「1日2時間以上運転している中年ドライバーは、IQがじわじわ下がっていく」。海外の掲示板で、こんな豆知識が話題になりました。元になったのは、イギリスのレスター大学の研究チームが約50万人分の健康データを分析した研究です。ただ論文を読んでみると、「運転すると頭が悪くなる」と言い切れるほど単純な話ではありませんでした。
今日の知ってた?
🚗 1日の運転時間が長い人ほど、推理力や記憶力を測るテストの成績が低い傾向があった。平均5.3年後の再テストでも、運転時間が1時間長いごとに、推理テストの点が下がる側に入る見込み(オッズ)が約11%高かった。
📊 対象はイギリスの大規模健康調査「UKバイオバンク」の参加者約50万人(参加時37〜73歳)。レスター大学のキシャン・バクラニア氏らが分析し、米国の疫学専門誌に掲載された(2018年3月号)。
📺 同じ傾向はテレビを見る時間にも出た。一方、仕事以外でパソコンを使う時間が長い人は、逆に成績が良い側に出ていた。
⚠️ これは参加者の生活習慣とテストの成績を並べて比べた観察研究で、運転が脳の衰えを引き起こすと証明したものではない。
背景:「IQ」の正体は2分間の推理パズル
UKバイオバンクは、2006〜2010年にイギリス各地の22か所の検査センターで集められた、約50万人の中高年が参加する健康調査です。参加者は血液検査や体の測定を受けるほか、タッチパネルで生活習慣のアンケートや簡単な認知テストに答えました。参加時の平均年齢は56.5歳で、スレッドのタイトルが「中年ドライバー」となっているのも、この年齢層の人たちのデータだからです。
研究チームはこのデータから、座って過ごす時間のうち「テレビを見る時間」「車を運転する時間」「仕事以外でパソコンを使う時間」の3つを取り出しました。どれも本人の自己申告で、運転時間は「1日1時間未満・1時間・2時間・3時間以上」から選ぶ形式です。
見出しの「IQ」も、いわゆる知能検査の数値ではありません。使われたのは「流動性知能」と呼ばれる、知識に頼らない論理的な推理力を測るテストで、13問を2分間でできるだけ多く解きます。「つぼみと花の関係は、子どもと何の関係と同じ?」「150、137、125、114、104……の次の数は?」といった問題が並び、正解数がそのまま点数になります。このほか、カードの絵柄の位置を覚えるテスト、数字の短期記憶のテスト、最初に受けた指示をあとで思い出して実行できるかを見るテストも使われました。
分析の結果、運転時間が長い人ほど、4種類すべてのテストで成績が低めに出ました。推理テストでは、運転が「1日1時間未満」の人と比べて、「3時間以上」の人は平均で約0.73点低い計算です(13点満点。参加者の点数のばらつき=標準偏差は約2.1点)。この比較は、年齢・性別・学歴・喫煙・飲酒・睡眠時間・運動量・持病の数などの影響を差し引いたうえでのものです。
もう少し詳しく
5年後の再テストで見えたこと。2014〜2015年には、メールアドレスを登録していた参加者を対象に、オンラインで同じ種類のテストが行われました(テストによって約1万2000〜11万4000人が回答)。再テストを受けた人は全体として点数が下がっていて、推理テストの平均は6.7点から5.5点へ。そのうえで、最初の調査で運転時間が長かった人ほど「点数が下がった側」に入りやすく、運転1時間ごとにその見込みが約11%高かった、というのが研究の報告です。テレビの時間でも約9%高く、パソコンの時間は逆に、下がりにくい側に出ていました。
「2時間」は境目ではない。スレッドのタイトルは「1日2時間以上」ですが、論文の数字を見ると、推理テストの点は運転「1時間」の人ですでに少し低く、「2時間」「3時間以上」と長くなるにつれて差が広がっていきます。2時間を超えたとたんに急に下がる、という話ではありません。なお、年齢別・男女別に見ると、最初の調査時点での関連は、60歳以上の人と男性で強めに出ていました。
研究チームが挙げた理由。論文では、あくまで「考えられる可能性」として、いくつかの経路を挙げています。長く座っていることは心臓や血管の健康と関係があることが知られており、それが脳の働きにも響いているのではないか。運転はストレスや疲労と結びついていることが知られており、それが関わっているのではないか。テレビや運転はひとりで過ごす時間になりやすく、人との交流が減ることが影響しているのではないか。逆にパソコンは頭を使い、人とのやりとりも生まれるので、座っていることの不利を打ち消しているのかもしれない、という説明です。筆頭著者のバクラニア氏は当時、英紙の取材に「その数時間、頭はあまり働いていない」という趣旨の説明をしたと報じられています。
「運転が頭を悪くする」とは言い切れない理由。著者ら自身も、論文の中で限界をはっきり書いています。運転時間は自己申告で正確さに限りがあること。職業の種類のように、測っていない要因が結果に混ざっている可能性があること。そもそも認知機能が高い人ほど健康的な行動を選びやすく、因果が逆向きに働いている可能性もあること。さらに再テストはメールアドレスを登録した人だけが対象で、最初はタッチパネル、再テストはパソコンのマウス操作と、受け方も違っていました。論文は「確かめるには介入研究が必要」と結んでいます。それでも、テレビや運転の時間を減らすよう促す健康政策を後押しする結果だ、というのが著者らの立場です。
海外の反応
1. 海外の名無しさん
記事を最後まで読むと、テレビを何時間も見ている人でも同じような結果が出たって書いてある。刺激のある活動は脳を刺激して、刺激のない活動は……まあ刺激しない。要するに運転だけの話じゃないんだよ。
2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
しかも仕事以外でパソコンを使う時間は、逆に成績がいい側に出てたらしい。座ってること自体より、座って何をしてるかの問題なんだと思う。
3. 海外の名無しさん
IQのことは知らないけど、生きる気力は確実に削られる。渋滞の中で一秒ごとに自分が鈍っていく感覚、あれは気のせいじゃなかったんだな。
4. 海外の名無しさん
だから俺は運転中もずっとスマホを見てるんだ。頭を鈍らせないためには、常に刺激を入れておかないとな。
5. 海外の名無しさん(>>4への返信)
頭が鈍る前に人生が終わるやつだろ、それ。脳を守りたいなら、せめて車を停めてからにしてくれ。
6. 海外の名無しさん
長距離トラックで1日10〜11時間、それを14年続けてきたんだけど。つまり俺の脳はもう実質止まってるってこと?
7. 海外の名無しさん(>>6への返信)
安心してくれ、論文の運転時間の区分は「1日3時間以上」が一番上だから、10時間も3時間も同じ箱に入ってる。……安心材料になってるかは知らないけど。
8. 海外の名無しさん
60歳、36トン超のトレーラーを引っぱりながら、ファンタジー小説のオーディオブックを聞いて日々バカになってる最中だ。まあ、もともと余らせるほどのIQを持って乗り込んだわけでもないけどな。
9. 海外の名無しさん
相関と因果は別物だよ。長時間運転する仕事に就いてる人とそうじゃない人とでは、学歴も収入も生活リズムも違う。それを全部「運転のせい」にするのは乱暴だと思う。
10. 海外の名無しさん(>>9への返信)
論文を読んでみたけど、学歴や喫煙、睡眠時間、運動量なんかはちゃんと差し引いて比べてあったよ。ただ著者自身も「職業の種類みたいに、測っていない要因が混ざっている可能性はある」と書いてる。
11. 海外の名無しさん(>>10への返信)
逆向きの可能性もあるよな。もともと頭の回転が速い人ほど、1日中ハンドルを握るような生活を避けてるとか。どっちが先なのかは、この手のデータだけじゃ決められない。
12. 海外の名無しさん
見出しがひどすぎる。リーダーズ・ダイジェスト(アメリカの大衆向け雑誌)の記事が別のニュース記事をネタ元にしていて、その先にやっと論文がある。伝言ゲームを三回やれば「運転するとバカになる」にもなるわ。
13. 海外の名無しさん
運転の仕方と、何のために運転してるかによると思う。ぼーっと考えごとをしながらの2時間なら頭も鈍るだろうけど、周りに気を配って危険を先読みする運転が、他の何より脳に悪いとは思えない。むしろ毎日それだけ座りっぱなしってほうが問題なんじゃないか。
14. 海外の名無しさん(>>13への返信)
わかる。運転支援フル装備の高級車でほぼ車任せの人と、窓全開でマニュアル車を運転してる俺とじゃ、頭の使い方がまるで違う。「運転」でひとくくりにされても困る。
15. 海外の名無しさん
運転しながらオーディオブックとか語学の勉強をすれば、相殺できないのかな。あと、カーナビを使わずにいつもと違うルートで帰るのも、けっこう頭を使いそう。
16. 海外の名無しさん(>>15への返信)
俺は交通情報すらカーナビに頼らない派で、周りには変わり者扱いされてる。遠回りになっても自分の記憶で道を選ぶほうが、頭を使わないよりはマシだと本気で思ってるんだ。
17. 海外の名無しさん(>>16への返信)
ロンドンのタクシー運転手の脳を調べた有名な研究があったよね。街中の道を覚え込んで難関試験を通ったタクシー運転手は、決まった路線を走るバスの運転手より、記憶に関わる海馬の後ろ寄りの部分が大きかったって。運転そのものより、頭を使うかどうかなんだろうな。
18. 海外の名無しさん
路線バスの運転手が長距離トラックの運転手より頭がいい、とは言わないけどさ。長距離はA地点からB地点までひたすら一本道で、バスは止まっては発車して、乗客と話して、って常に頭が動いてる。同じ「運転」でも別物だよ。
19. 海外の名無しさん
トラック運転手をやってると、周りの車全員のぶんまで考えて走らなきゃならない。最近はどういう基準で免許を出してるんだ?って運転ばかりで、こっちの頭はむしろフル回転だよ。
20. 海外の名無しさん
睡眠8時間、仕事8時間、身支度1時間、食事1時間、家事1時間。残りの5時間が「生きてる時間」なんだよ。そこから2時間を渋滞に差し出す仕事なんて、脳への影響がどうこう以前に二度と選ばない。
21. 海外の名無しさん(>>20への返信)
車で片道1時間の通勤をやめたとき、体も頭もびっくりするくらい軽くなった。やめてみて初めて、自分がどれだけ削られてたか気づくんだよな。
22. 海外の名無しさん
車を持つ余裕がないおかげで、毎日この害から守られてる。貧乏もたまには役に立つもんだ。
23. 海外の名無しさん
運転中はずっとNPR(アメリカの公共ラジオ)を流してるんだけど、これって相殺されて、今と同じくらいのバカのまま据え置きってこと?
24. 海外の名無しさん
「運転すればするほど、人は賢くなくなる」って、1984年の映画『レポマン』の名セリフだぞ。40年以上前に答えは出てたんだよ。
25. 海外の名無しさん
来月引っ越すんだけど、片道30分の通勤が片道1時間を超えることになってる。この記事、今いちばん読みたくなかったわ。
まとめ
「運転で中年のIQが下がる」の元は、英国の約50万人のデータで「運転時間が長い人ほど推理や記憶のテストの成績が低く、5年後にも下がりやすかった」と報告した観察研究でした。テレビも同じ傾向で、パソコンは逆。運転そのものが原因かは、著者らも確かめきれていません。コメント欄には「相関と因果は別」という冷静な突っ込みと、心当たりがありすぎるトラック運転手や車通勤組の嘆きが並びました。


コメント
たまにネットでIQテストすると自分の脳の使ってない部分が刺激される感覚がある
能動的な思考をしないと衰える衰えるし気付くのは難しい
何時間も運転してたら勉強する時間がないとかいうオチじゃないよな?
パソコンはそもそも勉強目的でも使える。
なんとも言えんが脳細胞に慣れた単純な刺激だけでは老化が早いってことでしょ
年齢が上がれば上がるほどそれが顕著になるって事を回りくどくまとめただけでは。