「君は素晴らしいジェームズ・ボンドだった。ありがとう」5代目ボンド、ピアース・ブロスナンが役を降ろされた電話はそれだけで終わった

「君は素晴らしいジェームズ・ボンドだった。ありがとう」5代目ボンド、ピアース・ブロスナンが役を降ろされた電話はそれだけで終わった 音楽・エンタメ

1995年から4作にわたって5代目ジェームズ・ボンドを演じたピアース・ブロスナン。5作目に向けて交渉していたさなか、ある日かかってきた1本の電話で、彼のボンド役はあっけなく終わった。海外の掲示板では「決まったあとなら長話はいらない」という冷めた声と、「いちばんボンドらしいボンドだった」と惜しむ声が入り混じった。

※注:『007』は、英国の作家イアン・フレミングのスパイ小説を原作に、1962年から続く映画シリーズ。主人公の英国諜報員ジェームズ・ボンドは、数作ごとに演じる俳優が交代してきた。ブロスナンはショーン・コネリー、ジョージ・レーゼンビー、ロジャー・ムーア、ティモシー・ダルトンに続く5代目にあたる。

今日の知ってた?

📞 5代目ジェームズ・ボンドのピアース・ブロスナンは、5作目に向けて交渉していた2004年、プロデューサー2人からの電話1本でボンド役を降ろされた。本人の回想によれば、電話口のやり取りは「君は素晴らしいジェームズ・ボンドだった。本当にありがとう」「ありがとう。さようなら」で終わったという。直前の主演作『007/ダイ・アナザー・デイ』(2002年)は、当時のシリーズ史上最高の興行収入を上げていた。

背景:5代目ボンド、ピアース・ブロスナンとは

テレビドラマで名を上げたアイルランド出身の俳優。ピアース・ブロスナンは1953年、アイルランド生まれ。1980年代に米国のテレビドラマ『探偵レミントン・スティール』の主演で人気を集めた。

6年ぶりのボンド映画で主役に。シリーズは『007/消されたライセンス』(1989年)のあと、映画の権利をめぐる会社同士の争いで新作が作れない時期が続き、先代のティモシー・ダルトンも1994年に役を降りた。そこで起用されたのがブロスナンだ。1995年の『007/ゴールデンアイ』は世界で3億5000万ドルを超えるヒットになった。この作品から制作を率いたのが、シリーズを立ち上げたプロデューサーの一人アルバート・R・”カビー”・ブロッコリの娘バーバラ・ブロッコリと、マイケル・G・ウィルソンの2人。のちにブロスナンへあの電話をかけてくる2人である。

主演4作、最後の作品がシリーズ最高のヒット。ブロスナンがボンドを演じたのは、『007/ゴールデンアイ』(1995年)、『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』(1997年)、『007/ワールド・イズ・ノット・イナフ』(1999年)、『007/ダイ・アナザー・デイ』(2002年)の4作。4作目の『ダイ・アナザー・デイ』は世界興収4億3200万ドルで、当時のシリーズ記録を塗り替えた。ただ中身については、派手すぎる特撮や荒唐無稽な展開への批判も多かった。

もう少し詳しく

9年越しでつかんだ役だった。実はブロスナンは、1986年にも一度ボンド役のオファーを受けている。ところが打ち切りが決まっていた『探偵レミントン・スティール』が、このボンド起用の報道で人気を取り戻して続行になり、契約上ドラマに戻らざるを得なくなった。ボンド役はティモシー・ダルトンに渡り、ブロスナンが改めて役を手にしたのは9年後のことだった。

「来週の木曜日に電話が来る」。2004年、ブロスナンは主演映画『ダイヤモンド・イン・パラダイス』(原題 After the Sunset、2004年公開)の撮影でバハマに滞在していた。007シリーズの制作史をまとめた海外の書籍『Some Kind of Hero』の取材で本人が語ったところによると、そこへ代理人から「交渉は止まった。プロデューサーの2人も、どうしたいのか決めかねている。来週の木曜日に電話が来る」と連絡が入った。約束の電話を受けたのは、バハマにある俳優リチャード・ハリス(『ハリー・ポッター』シリーズ初期のダンブルドア校長役で知られる)の家だった。電話口でバーバラは泣きながら「本当にごめんなさい」と言い、マイケルは淡々と「君は素晴らしいジェームズ・ボンドだった。本当にありがとう」と告げた。ブロスナンが「ありがとう。さようなら」と返し、それで終わり。「まったく寝耳に水だった。あんなやり方でお払い箱にされるなんて」と本人は振り返っている。

「2分」の裏付けは見つからなかった。元スレのタイトルは「2分間の電話」としているが、通話時間を正確に記した資料は確認できなかった。ただ本人の回想を読む限り、やり取りがほんの数言で終わったのは確かなようだ。2005年の米誌のインタビューでも「電話1本、それで全部終わりさ!」と語っている。

なぜ降ろされたのか。制作側は、『ダイ・アナザー・デイ』で作風が荒唐無稽になりすぎたと考え、よりリアルな路線で、若い俳優を迎えてボンドの物語を最初から作り直す(リブートする)方針を選んだ。ブロスナンは当時50代に入ったばかり。本人も「彼らは考えを変えたんだ」と語り、若返りを図ったのだろうという受け止めを示している。

後任クレイグへの逆風、そして大成功。2005年10月14日、6代目ボンドとしてダニエル・クレイグが発表された。当初は「ボンドらしくない」と反発が強く、英大衆紙デイリー・ミラーは1面で「The Name’s Bland – James Bland」と皮肉った。ボンドのおなじみの名乗り「ボンド。ジェームズ・ボンド」をもじったもので、blandは「味気ない」という意味だ。ところが翌2006年の『007/カジノ・ロワイヤル』は世界で約6億600万ドルを稼ぎ、『ダイ・アナザー・デイ』の記録をあっさり塗り替えた。

本人は「解放感もあった」。ブロスナンは2005年のインタビューで、降板を「全身を揺さぶられるような衝撃」と表現しつつ、そのあとには大きな落ち着きが訪れたとも語った。「もう誰にも縛られない。契約で決められたイメージに縛られることもない」。お決まりの気の利いた決め台詞については「大嫌いだった。言うたびに自分が嘘っぽく感じた」とまで明かしている。

海外の反応

1. 海外の名無しさん
正直、決定が出たあとなら、そんなに長く話すことってないと思うんだよな。「別の方向でシリーズを作り直すことになった。今までありがとう、最高だった。この先の幸運を祈ってる」。これで2分もかからない。

2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
本人の回想だと、実際に言われたのは「君は素晴らしいジェームズ・ボンドだった。本当にありがとう」くらいで、幸運を祈るのひと言すら無かったらしいぞ。で、返したのが「ありがとう。さようなら」。大人すぎる会話だ。

3. 海外の名無しさん(>>2への返信)
しかも電話口でバーバラ・ブロッコリは泣いてて、マイケル・ウィルソンのほうは淡々としてたんだって。告げる側もつらかったんだろうけど、泣かれながら降ろされるのも、それはそれでキツいよな。

4. 海外の名無しさん
1986年に一度決まりかけたのに、主演ドラマの契約のせいで逃して、9年待ってやっと手にした役だったんだよね。それを最後は電話1本で失ったと思うと、切なさが倍になる。

5. 海外の名無しさん(>>4への返信)
そのとき代わりにボンドになったのがティモシー・ダルトン。やっと自分の番が回ってきたと思ったら、今度は次の世代にあっさりバトンを渡すことになった。とことんタイミングに振り回された人だよ。

6. 海外の名無しさん
何度でも言うけど、歴代でいちばん「ボンドらしいボンド」はブロスナンだと思ってる。個人的に一番好きなのは、泥くさくてリアル寄りのクレイグ版なんだけど、「ジェームズ・ボンド」と聞いて思い浮かべる姿そのものはブロスナンなんだよ。

7. 海外の名無しさん(>>6への返信)
同意。原作小説のボンドに一番近いのはたぶんダルトンだけど、映画のボンドとしてはブロスナンがど真ん中だった。上品さ、色気、気の利いた軽口、それが全部スパイアクションにきれいに収まってた。コネリーとムーアとダルトンのいいとこ取り、って評価にも納得。あの『ダイ・アナザー・デイ』ですら楽しく観られたのは、彼のおかげだと思う。

8. 海外の名無しさん(>>7への返信)
クレイグ版も好きだけど、あっちは雰囲気が暗くて、スパイものというより”強いアクションヒーロー”の映画なんだよね。あれはあれで最高。ただ、ブロスナンにはせめてもう1本撮らせてあげたかった。

9. 海外の名無しさん
ブロスナンは素晴らしいボンドだった。でも判断としては、制作側が正しかったと思う。クレイグで路線を変えたからこそシリーズが息を吹き返したわけで、『カジノ・ロワイヤル』が当時のシリーズ最高の興行成績を出したのが答えでしょ。

10. 海外の名無しさん(>>9への返信)
現代のボンド映画って、その時代のアクション映画のはやりに合わせて姿を変えてきたんだよ。『ゴールデンアイ』はどこか『ダイ・ハード』っぽかったし、後期のブロスナン作品は『M:I-2』や『トリプルX』みたいな派手なアクションの全盛期と重なってた。クレイグが選ばれたころには、『ボーン・アイデンティティー』みたいな”秘密兵器より肉体”が主流になってた。

11. 海外の名無しさん
子どものころはブロスナンのボンドが大好きだった。大人になって観返すと、つくづく脚本に恵まれなかった人だなと思う。クレイグ時代くらいの脚本がブロスナンに回ってきてたら、どうなってたんだろうな。

12. 海外の名無しさん(>>11への返信)
とはいえ『ゴールデンアイ』はちゃんと傑作だったし、アクションもしっかり体を張ってた。少なくとも1作目の時点では、脚本にも恵まれてたと思うよ。

13. 海外の名無しさん
何を言われようと、ブロスナンの名前はポップカルチャー史にしっかり刻まれてる。ニンテンドウ64の『ゴールデンアイ 007』があるからね。

※注:『ゴールデンアイ 007』は、映画『007/ゴールデンアイ』を原作に1997年に発売されたシューティングゲーム。画面を4分割した4人対戦が人気を呼び、米国では大ヒットした。

14. 海外の名無しさん(>>13への返信)
ほんとそれ。ゲームが出たとき12歳くらいで、友だちと画面を4分割して毎日撃ち合ってた。だから自分にとってジェームズ・ボンドといえば、真っ先に浮かぶのはブロスナンの顔なんだよ。

15. 海外の名無しさん
『ゴールデンアイ』こそボンド映画の最高傑作。これだけは譲れない。クライマックスの「英国のためか、ジェームズ?」「いや、俺自身のためだ」のやり取りは、何回観てもしびれる。

※注:『007/ゴールデンアイ』のクライマックスで、ボンドを裏切った元同僚の諜報員とボンドが交わすやり取り。

16. 海外の名無しさん
『ダイ・アナザー・デイ』が散々な出来だったのは、ブロスナンのせいじゃないよ。なのに彼がその責任までかぶる形になったのは、本当に気の毒だった。

17. 海外の名無しさん(>>16への返信)
素晴らしいボンドだったのに、作品を重ねるごとに脚本がどんどん悪くなっていったんだよな。『ダイ・アナザー・デイ』なんて、姿が消える車にCGの大波サーフィンまで出てくるし。好きな場面もあるにはあるけど、1本通して観ると……とにかく”盛りすぎ”。

※注:『007/ダイ・アナザー・デイ』には、光学迷彩で透明になるボンドカーや、CGで描かれた大波をボンドがサーフィンで乗り切る場面があり、公開当時から「やりすぎ」と批判された。

18. 海外の名無しさん
ボンド役をはっきりクビだと言い渡されたのは、歴代でもブロスナンくらいじゃないかな。そこはちょっと切ない。でも打率で言えば歴代トップだと思う。4本中3本は、少なくとも自分の中では良作。1本ごとに少しずつ落ちてたのも確かだから、落ち切る前に降りられたのは、むしろ良かったのかもしれない。

19. 海外の名無しさん(>>18への返信)
それでも、年を取ったブロスナンのボンドは一度観てみたいんだよな。最前線で撃ち合うんじゃなくて、若い部下を指揮する側に回るような、渋めの諜報ものでさ。

20. 海外の名無しさん(>>19への返信)
2005年に彼が主演した、くたびれた殺し屋が主人公のブラックコメディ(原題『The Matador』)を、「引退後のボンドの話」だと思って観てる人もいるらしい。そのつもりで観ると、妙にしっくりくるんだよ。

21. 海外の名無しさん
本人が「決め台詞の軽口は大嫌いだった」って言ってたの、ちょっと意外だった。こっちはあの軽さこそブロスナンの持ち味だと思って観てたのに。本人が嫌々言ってたのに様になってたなら、それはそれで才能だよ。

22. 海外の名無しさん
ブロスナン「私にしゃべれとでも言うのか?」
制作側「いいえ、ブロスナンさん。あなたの役に死んでいただきたいのです」

※注:『007/ゴールドフィンガー』(1964年)の有名なやり取り「しゃべると思うか?」「いいや、ボンド君。死んでもらう」のもじり。

23. 海外の名無しさん
電話があれ以上長引いてたら、逆探知されてたかもしれないからな。短くて正解だよ。

24. 海外の名無しさん
ブロスナンは”紳士のボンド”、クレイグは”腕っぷしのボンド”。どっちも良いけど、そもそも別ジャンルだと思う。クレイグの次にどんなボンドが出てくるのか、そこが楽しみだな。

25. 海外の名無しさん(>>24への返信)
心配なのは、クレイグ版が大成功したせいで、また同じ路線をなぞるだけになりそうなところ。秘密兵器が恋しいよ。ありえない機能が付いた腕時計とか、そろそろまた見たい。

まとめ

『007/ゴールデンアイ』から4作でボンドを演じたブロスナンは、5作目の交渉中に、プロデューサーからの短い電話1本で役を降ろされた。9年待ってつかんだ役にしては、あっけない幕切れだった。コメント欄では「制作側の判断は正しかった」「脚本さえ良ければ」と見方が分かれつつも、「自分にとってのボンドはブロスナン」という人がとにかく多かった。

元ソース: ピアース・ブロスナンは、プロデューサーとのわずか2分の電話でジェームズ・ボンド役を降ろされたと知った

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