「息を吸うと左胸がチクッ、数分で消える」あの痛みには1955年から名前があった…子どもと若者に多い「プレコーディアル・キャッチ症候群」とは?

「息を吸うと左胸がチクッ、数分で消える」あの痛みには1955年から名前があった…子どもと若者に多い「プレコーディアル・キャッチ症候群」とは? 自然・科学

息を吸った瞬間、胸の左側に細い針を突き立てられたような痛みが走る。怖くて深呼吸ができず、浅い息のまま固まって「まさか心臓?」と身構える。ところが数十秒もすると、何事もなかったように消えている。子どものころから何度もこれを経験してきたのに、誰にも説明できなかった――そんな人が、海外の掲示板にたくさんいました。この痛みには、70年前から医学の名前が付いていたのです。

※注:この記事は病気の一般的な説明で、診断の代わりにはなりません。胸が痛むときは心臓など別の病気のこともあるので、気になれば受診してください。痛みが5分以上続く、冷や汗・吐き気・動悸を伴う、腕や背中・あごに広がる、といったときは迷わず救急車を呼んでください。

今日の知ってた?

📏 息を吸うと胸の左側、乳首のすぐ下あたりがチクッと強く痛み、数秒〜3分ほどで消える症状には名前がある。「プレコーディアル・キャッチ症候群」、別名「テキシドールのうずき(Texidor’s twinge)」。心臓や肺の病気とは関係がなく、6歳ごろの子どもから20代前半の若い人に多い。

背景:プレコーディアル・キャッチ症候群とは

「プレコーディアル(precordial)」は「心臓の前あたりの胸」、「キャッチ(catch)」は息が途中で引っかかって止まる感じを表す言葉です。名前のとおり、心臓のあるあたりの胸の表面が急に痛み、そのせいで息を深く吸えなくなるのが特徴です。

米国の大きな病院クリーブランド・クリニックの解説によると、痛むのはたいてい左胸の乳首のすぐ下で、範囲は指先1〜2本ぶんほどしかありません。痛みはほかの場所へ広がらず、刺すように鋭く、深く息を吸うと強くなります。続くのは数秒から3分ほどで、ほかの症状は伴いません。じっと座って前かがみになっているときに起きやすく、歩くなどの軽い動きの最中に出ることもあります。1989年の小児の報告も、運動とは関係なく起きることを特徴のひとつに挙げています。

医学論文に初めて名前が出たのは1955年です。米国の医師ミラーとテキシドールが、米国医師会雑誌(JAMA)に「プレコーディアル・キャッチ 見過ごされてきた前胸部痛の症候群」という短い報告を載せ、若く健康な10人の例を挙げました。2人は1959年にも内科の専門誌に続報を出しています。別名の「テキシドールのうずき」は、この論文の著者の名前から来た呼び名です。

原因は、70年たった今もはっきりしていません。クリーブランド・クリニックは、肺を包む膜(胸膜)や肋骨、軟骨のまわりで神経が圧迫されたり、筋肉がけいれんしたりするのではないかという説を紹介しつつ、「原因は不明」としています。成長期の体の急な変化が関わっている可能性も挙げられています。元スレのタイトルは「肋骨のそばの神経が誤作動する」と言い切っていますが、これは有力な説のひとつで、確かめられた仕組みではありません。

それでも「心配のいらない痛み」と言える理由は、経過がはっきりしているからです。痛みは治療しなくても自然に消え、ほかの症状も伴いません。クリーブランド・クリニックは見通しを「非常に良い」とし、多くの人は20代のうちに起きなくなるか、ずっと軽くなると説明しています。

もう少し詳しく

子どもの胸の痛みは、ほとんどが心臓ではない。トルコの小児循環器科が胸の痛みで紹介されてきた子ども380人を詳しく調べた研究(2013年)では、原因で多かったのは筋肉や骨の痛み(37.1%)、原因の分からない痛み(29.2%)で、プレコーディアル・キャッチ症候群は15%でした。心臓の病気が原因だったのは380人中1人(0.3%)だけです。カナダの小児科医による2025年の総説も、子どもの胸の痛みの99%は心臓以外が原因だとしています。とはいえ、これは医師が診察した上での数字です。「たぶん大丈夫」を自分で決めてよいという意味ではありません。

医師にも知られていない時期が長かった。この症候群は、英国オックスフォードの医師ピカリングが1981年に8〜16歳の子ども17人の例を報告し、子どもにも多いことが知られるようになりました。米国の子どもでの報告は、1989年にニューオーリンズの小児循環器クリニックが出した10人の例が初めてだとされています。2003年の総説でも「とてもよくある訴えなのに、十分に知られていない」と書かれており、元スレのコメント欄に「医者に聞いても分からないと言われた」という声が多いのも、そのためでしょう。ピカリングは、子ども本人や親が痛みに強い不安を抱くことにも触れています。

見分けるときに大事なのは「痛み方」。診断は、たいてい問診と診察でつきます。突然、短く、一点が痛み、ほかへ広がらず、運動と関係がなく、息を吸うと強くなる――こうした特徴がそろえば、医師は検査なしで判断できることが多いとされています。心電図やレントゲンなどは、ほかの症状や気になる所見があるときに行います。似た痛みに「肋軟骨炎」がありますが、こちらは胸の上のほうが両側とも痛み、押さえると痛み、何か月も続くことがある点で違います。

痛いときの対処は、人によって正反対。クリーブランド・クリニックは、背筋を伸ばして座るか立ち、力を抜いて、ゆっくり浅い呼吸をするよう勧めています。一方で、「痛くても一度思い切り深く息を吸うと早く消える」という人もいると紹介しています。痛みはたいてい数分で消えるので、痛み止めは効いてくる前に治まってしまうことが多いそうです。ただし、水の中で起きると話は別です。2016年には、ぜんそくのある競泳選手2人が大会の泳ぎの最中にこの痛みに襲われ、救助されて救急外来に運ばれた例が報告されています。痛みそのものは無害でも、起きた場所によっては危険になりうるわけです。

受診の目安。クリーブランド・クリニックは、すぐ治まったとしても鋭い胸の痛みがあれば一度は医療機関に相談するよう勧めています。そして、胸の痛みが5分以上続く、休んでも治まらない、冷や汗・吐き気・速い動悸を伴う、背中やあご・首・腕・肩に広がる、といった場合は救急を呼ぶべきだとしています。「いつものあれだろう」と思っても、いつもと痛み方が違うときは自己判断しないことが大切です。

海外の反応

1. 海外の名無しさん
へえ、あれに名前があったのか。何十年も「あの胸のやつ」って呼んでたわ。

2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
しかも「テキシドールのうずき」って、ちょっと響きがかっこいいのが腹立つ。こっちは毎回死ぬかと思ってるのに。

3. 海外の名無しさん
これを読んで気づいたけど、もう10年くらい起きてないな。昔はしょっちゅうだったのに、言われるまで消えたことにすら気づいてなかった。

4. 海外の名無しさん(>>3への返信)
同じく。10代のころは月に何回もあったのに、30過ぎてからはほとんど無い。成長期と関係あるって話、たぶん本当なんだろうな。

5. 海外の名無しさん
25年くらい、出たり消えたりしてる。浅い息だけして数分じっとしてれば消える。10代のころほど頻繁じゃなくなったけどね。

6. 海外の名無しさん
子どものころからずっとこれ。今でもたまに来るけど、そのたびに「よし、ついに来た、本命のやつだ。ここで死ぬんだな」って覚悟してる。正体が分かってよかった。

7. 海外の名無しさん
息を吸うと痛い。心臓発作かと思う。で、覚悟を決めて痛いのを我慢して大きく深呼吸すると、痛みがぐーっと上がって「ポン」と抜けて、嘘みたいに消える。医学部の同級生にこの話をするのが好き。

※注:この人は若いころに自分で見当をつけたと書いていましたが、胸の痛みの原因は自分では見分けられません。初めて起きたときや痛み方がいつもと違うときは、医療機関で診てもらってください。

8. 海外の名無しさん(>>7への返信)
自分もそっち派。みんな浅い呼吸って言ってるけど、自分は「せーの」で一気に深く吸い込む。絆創膏を一気にはがすのと同じで、痛みの向こう側まで突き抜ける感じ。

9. 海外の名無しさん(>>8への返信)
自分は逆に、まず息を限界まで吐き切って、顔が真っ赤になってから思いっきり吸う。これで9割は治る。体調を崩してるときほど起きやすい気がする。

10. 海外の名無しさん(>>9への返信)
自分はゆっくり深く吸い切る派。最初は痛いけど、胸の中でゴムがパチンと切れるような感じがして、そこから引いていく。急いで吸うと余計に痛かった。病院の解説だと、基本はゆっくり浅い呼吸で力を抜く、らしいけどね。

※注:クリーブランド・クリニックは「背筋を伸ばし、力を抜いてゆっくり浅く呼吸する」を勧めたうえで、「痛くても深く吸うと早く治まる人もいる」と紹介しています。風邪や肺の不調のときに頻繁に起きる、いつもより長い、といった場合は別の原因もありうるので受診を。

11. 海外の名無しさん
周りに説明すると、頭が5つある生き物でも見るような顔をされる。そもそもそんなものが実在するって信じてもらえないことも多い。

12. 海外の名無しさん
よし、これからは起きるたびに「くそっ、また心臓発作か」じゃなくて、テキシドールの名前を呪えるわけだ。

13. 海外の名無しさん
そういうことだったのか!! 長年の謎が今夜ひとつ解けた。

14. 海外の名無しさん
「短くて無害な症状」ってタイトルに書いてあるけどさ、ふざけるな、死ぬほど痛いんだよ。

15. 海外の名無しさん(>>14への返信)
それな。「小さな針」とか可愛いもんじゃない。あれは短剣だよ。しかも刺したあとでひねってくる。

16. 海外の名無しさん(>>14への返信)
無害? 自分の不安症にも同じこと言ってやってくれ。体は無事でも、心のほうは毎回寿命が縮んでる。

17. 海外の名無しさん
本気で心臓発作だと思って救急外来に行った。そこで言われたのがこれだった。今もしょっちゅう起きる。

18. 海外の名無しさん
うちの9歳の息子が「乳首アタック」って呼んでる症状がある。数秒間けっこう長めに痛んで、短い間に1〜2回起きて、それから長いこと何もない。経験者の人、こんな感じ?

19. 海外の名無しさん(>>18への返信)
場所も起き方もそっくり。痛むのはまさにその辺だよ。ネーミングのセンスは息子さんのほうが上だと思う。

※注:痛む場所は典型的ですが、子どもの胸の痛みは一度小児科で診てもらうのが確実です。研究でも、医師の診察を経て「心臓ではない」と分かったうえでの話です。

20. 海外の名無しさん
これと、別に抱えてる肋軟骨炎が組み合わさると不安の塊になる。毎日が「今日で終わりか」って気分だよ。

21. 海外の名無しさん
14年前にこの痛みについて書き込んだら、いまだに「ありがとう」ってメッセージが届く。自分も10代のころにこれで死ぬほど怖い思いをした。医者は何も分からなかった。

22. 海外の名無しさん(>>21への返信)
40年以上これに悩まされてきた。子どものころ医者は答えをくれなかったのに、今になってネットの掲示板でたまたま正体を知るっていう。

23. 海外の名無しさん
10代のころに初めてなったときは本気で怖かった。死ぬんだと思ったし、何かの罰を受けてるんじゃないかとまで考えた。しばらく隠してたけど、とうとう母に打ち明けて病院に連れて行ってもらったら「何も問題ない」って言われた。

24. 海外の名無しさん
つまり自分は健康そのもので、あの胸の痛みは調べるまでもないってことね。最高。科学ばんざい。

※注:皮肉のコメントです。この症候群は特徴のはっきりした痛みに付く名前で、「胸の痛みはみんなこれ」という意味ではありません。痛みが5分以上続く、冷や汗や吐き気を伴う、腕・背中・あごに広がる、といったときはすぐに救急を。

25. 海外の名無しさん(>>24への返信)
こっちはこれで3回も急患外来に行って、3回とも「何が起きてるのか分からない」で帰された。名前が付いてると知ってたら、次は説明の仕方が変わったのに。

まとめ

息を吸うと左胸がチクッと痛み、数分で消える「プレコーディアル・キャッチ症候群」。1955年に医学論文で名前が付き、心臓や肺の病気とは関係がないとされますが、原因はいまも分かっていません。コメント欄は「やっと名前が分かった」という安堵と、「無害でも痛いものは痛い」という抗議でいっぱいでした。深呼吸で一気に抜く派と浅い息でやり過ごす派に分かれたのも、経験者が多い症状ならではです。とはいえ、胸の痛みは心臓など別の病気のこともあります。気になれば受診を。

参考資料

元ソース: 「テキシドールのうずき」(プレコーディアル・キャッチ症候群)を知った。肋骨のそばの神経が誤作動したびっくり箱のように、深呼吸すると見えない小さな針で刺されたように感じる、短くて無害な症状

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