「日本で食べた大きな紫のぶどうが”ぶどう味のアメ”の味だった」アメリカで消えた”ぶどう味のリンゴ”が教えてくれた、あの味の正体

「日本で食べた大きな紫のぶどうが"ぶどう味のアメ"の味だった」アメリカで消えた"ぶどう味のリンゴ"が教えてくれた、あの味の正体 技術・発明

見た目も手ざわりも普通のリンゴなのに、かじるとぶどうの香りがする。アメリカでは2000年代から、そんなリンゴが「グレープル(Grāpple)」の名前で売られていました。正体は、ぶどうとリンゴを掛け合わせた新しい果物ではありません。ぶどうの香りの成分を溶かした液に、収穫したリンゴを浸したものです。発明者によれば2年でおよそ2000万個が売れたというこの商品は、いつの間にか売り場から姿を消していました。

今日の知ってた?

🍎 グレープルは、アメリカ・ワシントン州の会社が売っていた「ぶどう味のリンゴ」のブランド。中身はガラやふじといった普通のリンゴで、ぶどうの香りの成分アントラニル酸メチルを含む液に浸して、果肉に香りを移していた。

🍇 アントラニル酸メチルは、アメリカのぶどう「コンコード」などに天然に含まれる香りの成分。ぶどう味の飲み物やキャンディー、ガムの香料に使われ、果樹園では鳥よけとしても撒かれている。

📈 2004年ごろから店頭に並び、共同発明者は2012年の取材に「この2年でおよそ2000万個売れた」と語った。

🚫 加工の少ない食べ物が好まれる流れのなかで人気は続かず、2023年までに販売を終えたと報じられている。公式サイトもすでに無い。

背景:「グレープル」とは

グレープルを売り出したのは、「世界のリンゴの都」を名乗るワシントン州ウェナッチーの果樹・苗木の会社です。英語で「取っ組み合う」を意味する grapple と同じ綴りですが、aの上に横棒を付けて Grāpple と書き、「グレープル」と読ませます。grape(ぶどう)と apple(リンゴ)を合わせた名前です。

2012年に米公共ラジオNPRの取材を受けた共同発明者のトッド・スナイダーによると、始まりは2001年ごろ、「どうすればリンゴをもっと人気のある、食べて楽しい果物にできるか」と考えたことでした。ぶどう味を選んだのは「子どもがいちばん好きな味はぶどうだから」。土台のリンゴには、「いちばん甘い2品種」としてガラとふじを選んだといいます。ふじは、青森県藤崎町にあった国の試験場で生まれた日本の品種で、名前も町の名から取られています。

特許の出願は2003年。商品は2004年ごろから店に並び、のちにワシントン州の大手青果会社2社が、生産と出荷を一手に引き受けるようになりました。値段は4個入りで3〜6ドル。スナイダーはNPRに「この2年でおよそ2000万個売れた」と話しています。ただ、取材班が首都ワシントンの市内で探しても見つからず、手に入ったのは遠く離れた郊外の店だったそうです。

もう少し詳しく

注射ではなく、数分浸すだけ。スナイダーは製法の細部を明かしていませんが、NPRには、注射しているわけではなく、香りは皮の小さな穴から染み込むのだと説明していました。実がぐずぐずになることはなく、日持ちも普通のリンゴと変わらないそうです。手がかりになるのが、ゲーリー・A・スナイダーの名前で2010年に成立した米国特許の明細書です。それによると、濃縮したアントラニル酸メチルの液を水で薄めて、そこに収穫したあとのリンゴを丸ごと1〜3分浸し、1日ほど乾かしてから約2℃で冷蔵します。冷蔵したリンゴはぶどうの香りが4か月ほど残り、室温でも1か月ほどは香りがしました。3分より長く浸すと皮にやけが出て、ワックスをかけた市販のリンゴや洋梨には香りが入りませんでした。イチゴ、モモ、アンズ、サクランボのように、リンゴやナシの仲間ではない果物もうまくいかなかったとあります。

日本の梨でも試していた。特許の試験には、ふじのほかに日本の梨の品種「新世紀」も使われていて、ぶどう味の良い仕上がりになったと書かれています。同じ発明は日本にも特許出願され、2007年に公開されました。ちなみにこの米国特許は、維持のための手数料が払われず、2022年に失効の扱いになっています。

ぶどう味の正体、アントラニル酸メチル。この成分は、コンコード種などのぶどうや、柑橘類に天然に含まれています。米環境保護庁(EPA)が1995年に官報に載せた文書によると、天然のコンコード種には約33ppm含まれ、合成したものは飲み物、アイスクリーム、キャンディー、焼き菓子、ゼリー、プリン、ガムの香料に使われています。香料として加えたときの量は、ハードキャンディーで約30ppmと天然のコンコード種とほぼ同じで、ガムでは400ppm近くになります。米食品医薬品局(FDA)は香料として認めていて、香料業界の専門家委員会も「一般に安全と認められる物質」に分類しています。

果樹園では鳥よけ。その1995年の文書は、ブルーベリー、サクランボ、ぶどうの畑に、薄めたアントラニル酸メチルを葉の上から散布して、鳥に実を食べられる被害を減らす使い方を扱ったものです。グレープルの特許の明細書にも、多くの鳥はこの成分をひどく嫌うので、収穫前の果樹園に撒くと被害がかなり減る、と書かれています。人にとっては香料として認められた成分でも、鳥にとっては近寄りたくない匂いというわけです。アメリカでは、こうした鳥よけも「生化学農薬」という農薬の一種として扱われます。

子どもにリンゴを、という狙いと疑問。NPRの記事では、においと味の研究で知られるモネル化学感覚研究所の心理学者マーシャ・ペルチャットが、ぶどう味は「キャンディーや砂糖と結びつくので、子どもにはより甘く感じられるはず」「自分はリンゴを食べる子だと思えれば、味の付いていないリンゴにも手を伸ばしやすくなる」と評価しました。一方で、南カリフォルニア大学のマーケティングの教授は、低所得の家庭が普通のリンゴより余分にお金を使うよう仕向けるなら倫理的な問題がある、と指摘しています。取材班は、多くの子どもがリンゴ味よりぶどう味を好むという根拠も見つけられなかったと書いています。

アレルギーの報告、そして販売終了。2007年には、グレープルを食べてアレルギー症状が出た2人の症例報告が、アレルギーの国際的な医学誌に載りました。2016年には、もとの甘いタイプに加えて酸味のあるタイプも売り出されています。それでも、米国の食の情報サイト「ザ・テイクアウト」は2025年の記事で、加工の少ない自然な食べ物を求める声が強まるなか、グレープルは2023年までに販売を終え、公式サイトも消えて会社もなくなったと伝えています。2026年10月の時点では、かつての公式サイトのアドレスは、果物とはまったく関係のないサイトにつながるようになっていました。

海外の反応

1. 海外の名無しさん
ぶどうの味じゃなかったんだよな。あれは「ぶどう味のアメ」の味。でもそれはそれで、普通においしかった。

2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
日本に行ったとき、すごく大きな紫のぶどうを食べたら、まさに「ぶどう味のアメ」の味がして驚いた。あのアメの味はちゃんと本物のぶどうの真似だったんだって、そこで初めて分かったよ。手本になった種類のぶどうを、自分が食べたことがなかっただけなんだ。

3. 海外の名無しさん(>>2への返信)
アメのぶどう味の手本は、コンコードっていうアメリカのぶどうなんだよ。ジュースやジャムにするのが主な使い道で、スーパーで生のまま売ってるのはあまり見かけない。だから大半の人は「元の味」を食べたことがないってわけ。

4. 海外の名無しさん(>>3への返信)
日本の巨峰って、親をたどるとアメリカ系のぶどうの血が4分の1入ってるらしい。>>2が食べたのがそれかピオーネあたりなら、アメっぽく感じたのも分かる気がする。

5. 海外の名無しさん(>>1への返信)
ぶどうの香りつきマーカーで塗り絵をしながら、普通のリンゴをかじってる感じ。説明するならそれが一番近いと思う。

6. 海外の名無しさん
これ好きだったなあ! でも香料に浸してただけとは知らなかった。掛け合わせか、遺伝子をいじって作ったものだとずっと思ってたよ。我ながらおめでたい。

7. 海外の名無しさん(>>6への返信)
うちは父親に「ぶどうとリンゴの掛け合わせだ」って教えられて、このスレを見るまで疑いもせずに信じてた。帰ったら問い詰める。

8. 海外の名無しさん
香料だったの? ちょっとほっとした。何かの遺伝子組み換えの雑種だと思ってたから、得体の知れないものを食べてた気がしてたんだよね。

9. 海外の名無しさん
覚えてる、一回だけ食べた。本当にぶどうの味がしたんだよ。歯ごたえはリンゴなのに香りはぶどうだから、すごく不思議な感覚だった。

10. 海外の名無しさん
話の趣旨を分かってないのかもしれないけど、ぶどう味の果物が食べたいなら、ぶどうを食べればよくない?

11. 海外の名無しさん(>>10への返信)
狙いは大人じゃなくて子どもだったらしいよ。お菓子みたいな味にして、リンゴを食べる習慣をつけさせようって発想。発明した人は「子どもがいちばん好きな味はぶどう」って言ってた。

12. 海外の名無しさん
学校でこれの話をしたら、歴史の先生に「そんなものは存在しない、作り話でしょ」とやけにきつく言われた。次の日に実物を持っていったのに「あなたの説明と違うんだから分かるわけない」だって。ちなみにその先生、2007年の時点でバラク・オバマを知らなかった。向いてない仕事に就いてる大人もいるんだって、あのとき初めて知ったよ。ありがとう、グレープル。

13. 海外の名無しさん
昔、これを扱ってるスーパーの青果売り場で働いてた。あまりに売れないから、新しい箱が届くたびに上司が怒り出して、最後はグレープルという発想そのものにキレてた。

14. 海外の名無しさん(>>13への返信)
高校のときバイトしてたスーパーでも、青果コーナーに置いてたな。自分は結局食べなかったけど、友だちはおいしいって言ってた。この前コストコで綿あめ味のぶどうを見て、ちょうど思い出したところだった。

15. 海外の名無しさん
待って、もう作ってないの!? うそでしょ! うちではコストコで買う定番中の定番だったのに!

16. 海外の名無しさん(>>15への返信)
自分がこのスレで知ったのは、グレープルがあったことじゃなくて、とっくに作るのをやめてたことのほうだわ。

17. 海外の名無しさん
たしか、あの成分は農薬みたいな用途で使われてて、そこから偶然見つかったんじゃなかったっけ。化学系YouTuberのナイルレッドが自分でグレープルを作ってたから、気になる人は見てみて。

※ グレープルの特許の明細書には、アントラニル酸メチルが収穫前の果樹園で鳥よけとして撒かれてきたことが書かれている。アメリカではこうした鳥よけも「生化学農薬」として扱われる。ただし、鳥よけの用途から偶然見つかったという経緯は、資料では確かめられなかった。

18. 海外の名無しさん(>>17への返信)
ナイルレッド本人の登場を待ってたら、先に名前が出てた。あの人なら、香料を一から合成するところから始めそう。

19. 海外の名無しさん
看護師がうっかり、患者にアントラニル酸メチルを500cc点滴しちゃったらどうなるんだろう。「ハリエット、血圧は下がってないぞ。患者がおいしくなっただけだ!」

20. 海外の名無しさん
自分の大学の美術の先生が、グレープルのロゴとテレビCMのアニメーションを描いた人なんだ。世間って狭い。

21. 海外の名無しさん
似てるけど別物で、うちのホテルが仕入れてる「綿あめ味のぶどう」っていうのがある。あれは本当にすごい(笑)

22. 海外の名無しさん(>>21への返信)
今ならアメみたいな味のぶどうが普通に買えるもんね。どうせなら、その綿あめ味のぶどうでグレープルを作ってほしい。

23. 海外の名無しさん(>>22への返信)
綿あめ味のぶどうは、香料じゃなくて品種の掛け合わせで甘い香りを出したものらしいよ。グレープルとは逆で、こっちは本当に「掛け合わせ」のほう。

24. 海外の名無しさん
すっかり忘れてた! ちょっとしたおやつで楽しかったな。作り方はもっと手が込んでると思ってたから、浸すだけと聞くと少し拍子抜け。

まとめ

グレープルは、日本生まれのふじなどのリンゴを、コンコード種のぶどうにも含まれる香りの成分に浸しただけの、意外とシンプルな商品でした。発明者いわく2年で約2000万個売れたものの、2023年までに売り場から消えています。

コメント欄では「ぶどうじゃなくて、ぶどう味のアメの味」という声に多くの人がうなずき、掛け合わせだと信じていた人の告白が続きました。日本で食べたぶどうで「あの味」の元に出会ったという話は、日本の読者には少しうれしいところです。

参考資料

元ソース: 濃縮したぶどうの香料(アントラニル酸メチル)に浸して、果肉をぶどう味にしたリンゴ「グレープル」という、今は販売終了したブランドがあった

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