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伝説のシャチ「オールド・トム」|オーストラリアで人間と協力してクジラを狩った100年と「舌の掟」の悲しい結末

伝説のシャチ「オールド・トム」|オーストラリアで人間と協力してクジラを狩った100年と「舌の掟」の悲しい結末 自然・科学

オーストラリア南東部、ニューサウスウェールズ州のトゥーフォールド湾。19世紀末から20世紀初頭にかけて、ここで「ありえない協力関係」が成立していた。捕鯨者たちと、シャチの群れ。リーダーの名はオールド・トム――海岸の捕鯨者に獲物の到来を尾びれで合図し、ロープをくわえて捕鯨ボートを獲物まで引っ張った、伝説のシャチである。

※注:本記事の「シャチ(killer whale, orca)」はクジラ目だが、いわゆるヒゲクジラ類の「クジラ」とは別の科。オールド・トムたちは別種の大型クジラを獲物として人間と共闘していた。

今日の知ってた?

🐋 1830年頃〜1930年、オーストラリアのトゥーフォールド湾でシャチの群れと人間の捕鯨者が協力してクジラを狩っていた。シャチたちはクジラを湾に追い込み、海岸の捕鯨者に尾びれで合図。捕鯨者がロープを投げると、リーダーのオールド・トムが歯でくわえてボートを獲物まで引っ張った。報酬としてシャチには「舌と下顎」、人間には残りの肉体――この取り決めは「law of the tongue(舌の掟)」と呼ばれた。

背景:トゥーフォールド湾の「キラーズ・オブ・エデン」

オールド・トムが属していたのは、地元で「Killers of Eden(エデンの殺し屋たち)」と呼ばれた約30頭のシャチの群れ。1830年代から記録が残っており、最盛期には個体識別ができるレベルで人間側にも知られていた。

協力関係はもともと先住民アボリジニのコミュニティと始まったとされ、後に19世紀の白人捕鯨者デイヴィッドソン家がそのプロトコルを引き継いだ。シャチが沖でザトウクジラやセミクジラを湾に追い込み、捕鯨者の住居の前で尾びれを叩いて知らせる。捕鯨者たちはこの音で目を覚ましてボートを出した。

もう少し詳しく

「舌の掟」のディール内容。クジラを仕留めた後、捕鯨者は死骸を一晩湾に係留したまま放置する。シャチたちは脂の乗った舌と下顎、それに肝臓などの内臓だけを食べ、残りの大部分の肉体は人間に残す。翌朝捕鯨者が引き揚げるという完璧な分業だった。海に落ちた捕鯨者をシャチがサメから守った逸話まで残っている。

オールド・トムの晩年と悲劇。関係が崩れたのは1923年。捕鯨者ジョージ・デイヴィッドソンが嵐の接近を理由に、地元の引退牧場主ジョン・ローガンの助言で「掟」を破った。クジラの死骸をオールド・トムに渡さず引き揚げてしまったのだ。トムはロープをくわえて引き留めようとし、綱引きの末に歯を数本失う。元・軍属の獣医でもあったローガンは即座に事態を理解した――野生のシャチが歯を失うことの意味を。「神様、私はなんてことを」と漏らしたという。

1930年、トゥーフォールド湾の浜辺へ。歯の抜けた跡から感染症を発症したオールド・トムは、まともに獲物を捕れずに餓死。1930年9月、湾の浜辺に死骸が打ち上げられた。罪悪感に駆られたローガンは私財を投じてエデン・キラー・ホエール博物館を建設。オールド・トムの骨格標本は今もそこに展示されており、ロープを噛み続けた歯の摩耗痕がはっきり残っている。彼の死後まもなくして「キラーズ・オブ・エデン」群はトゥーフォールド湾に二度と現れなくなった。

海外の反応

1. 海外の名無しさん
オールド・トム、なんかクズすぎないか。同種を売り渡して人間と組むって、シャチ社会から見たら相当なやらかしだろ…完全に裏切り者ポジション。

2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
シャチっておおむねクズだから。アシカやクジラの子供を「遊び」で殺す動画とか見ると、知能高い分えげつないことやってる。クジラに対する裏切りなんて軽いほう。

3. 海外の名無しさん(>>1への返信)
人間も大概クズだから、ここは枢軸国シナリオだな。海の二大覇権が手を組んでクジラ大虐殺、構図が物騒すぎる。

4. 海外の名無しさん(>>1への返信)
名前が「キラー・ホエール(殺し屋クジラ)」だぞ。慈善活動やってる動物にその名前は付かないだろ。看板に偽りなしってだけ。

5. 海外の名無しさん
これ「law of the tongue(舌の掟)」って呼ばれてるんだよな。捕鯨者がクジラの死骸を一晩残しておくと、シャチたちが舌と下顎を食べる。残りは人間がもらう。海に落ちた捕鯨者をシャチが守った逸話まである。
アボリジニも白人捕鯨者も、トゥーフォールド湾でオールド・トムや他のシャチたちと協力してた。1830年には個体識別できるシャチが30頭まで関わってたという。これは生態学でいう「相利共生」の典型例。
ロシアのチュコト半島でも似た関係があったらしい――シャチが海生哺乳類を浅瀬や水面に追い込んで、人間が仕留めやすくしてた。

6. 海外の名無しさん(>>5への返信)
シャチと人間が共生関係を築くって、想像もしてなかった展開だ。映画の脚本だったら「リアリティない」って却下されるレベルなのに、実話というのが一番怖い。

7. 海外の名無しさん
調べたら、オールド・トムは「Killers of Eden(エデンの殺し屋たち)」って群れのリーダーだったらしい。名前がメタルバンドすぎる。アルバム1枚目のジャケットが目に浮かぶ。

8. 海外の名無しさん
キラー・ホエール(殺し屋クジラ)というより、「ホエール・キラー(クジラの殺し屋)」では? 彼に関しては誤訳のほうが正しく実態を表してる気がする。

9. 海外の名無しさん(>>8への返信)
ただの語順の問題(Seamantics、海と意味論をかけたダジャレ)。海の生き物だから「Sea」、意味論は「Semantics」、合わせて遊んでるだけだから真面目に取らんでくれ。

10. 海外の名無しさん
シャチがちゃんと「契約」を理解してたっていうのが一番ヤバい。本能じゃなくて、世代を超えて伝わるルールとして「人間に合図を送る」「報酬として舌をもらう」が定着してたわけで、ほぼ文化の領域。

11. 海外の名無しさん(>>10への返信)
シャチは社会認知能力がめっちゃ高いし、人間に対して「心の理論」を持ってる可能性もあるって研究がある。野生動物との相利共生は他にも多い――灰色オオカミ、ハチミツ案内鳥、バンドウイルカやイラワジイルカ、ワタリガラスやカラスなんかも。

12. 海外の名無しさん
彼の骨格は今もエデンの博物館にある。歯はロープを噛んでた跡で擦り減ってて、ガイドさんが「ここがロープを掴み続けた箇所です」って指差すんだ。エデンに行く機会があれば寄る価値ある。

13. 海外の名無しさん(>>12への返信)
そう、ニューサウスウェールズ州エデンの博物館に骨が展示されてる。獲物の取り分も決まってて、歯はロープを掴んで擦り減った。骨見ながら100年前の協業を想像すると、なんか胸にくるものがある。

14. 海外の名無しさん
クジラを殺せる生き物のリストってかなり短いんだ。シャチと、捕鯨者。両方その中に入ってる。
ゲームはゲームを尊重するってやつ。

15. 海外の名無しさん(>>14への返信)
「クジラ」っていっても種類による。シャチはマッコウクジラの成獣やザトウクジラ、ゴンドウクジラからは逃げる。後者はむしろシャチが他の種を襲ってると突進してくることもある。

16. 海外の名無しさん
オールド・トムの群れと協力関係が終わったのは、1923年に捕鯨者がディールを破ったから。地元の引退牧場主ジョン・ローガンが嵐の接近を理由に「これが今シーズン最後のクジラかもしれない、トムに残したら失う」とアドバイスして、デイヴィッドソンが死骸を引き揚げた。
オールド・トムはロープを引っ張って抵抗し、綱引きの末に歯を数本失った。ローガンは元・軍属の獣医でもあって、野生のシャチが歯を失うことの意味を知ってた。「神様、私はなんてことを」と漏らしたという。
案の定、抜けた歯の跡から感染症になり、オールド・トムは餓死。1930年に湾に死骸が打ち上げられた。罪悪感に駆られたローガンは私財でエデン・キラー・ホエール博物館を建てた。骨は今もそこにある。
彼の死後まもなく、群れはトゥーフォールド湾から姿を消した。300km北のジャービス湾で事情を知らないノルウェーの捕鯨船に狩られたという説もある。

17. 海外の名無しさん(>>16への返信)
だから人類はいいものを長く持てない、っていつものパターンだな…ローガンが嵐を理由にトムの取り分を奪わなきゃ、もしかしたら今でも続いてた関係かもしれないと思うと余計に悲しい。

18. 海外の名無しさん
こういう関係は自然界で何千年も前から各地で起きてる。うちの地域では、オオカミと鳥が一緒に狩りをしてて、現地の先住民族はそれを観察して野生のオオカミの群れと相互関係を築き始めた。観察と模倣で異種協力が成立するのは人類史的にも面白い。

19. 海外の名無しさん
獲物のクジラ:「このシステム、私は気に入らないんですけど…」 クジラ視点で読むとこれただのホロコースト案件で、共生って言葉が空々しい。

20. 海外の名無しさん
シャチがクジラ界のヒエラルキーを裏切る「ユダ・ホエール」だな。他のクジラの群れから契約金つきの賞金首になってそう。マフィア映画みたいな展開を野生でやってる。

21. 海外の名無しさん(>>20への返信)
そもそもシャチはクジラじゃない。誤称(misnomer)で、分類上はマイルカ科。だから「シャチがクジラを売った」っていう構図自体、生物学的には間違ってるんだ。

22. 海外の名無しさん
シャチがちゃんとクジラとは別の種類だって知らない人がいるってのが、TIL(今日知ったこと)だわ。日本語の「シャチ」と英語の「killer whale」、両方とも別物として認識されてないんだな。

23. 海外の名無しさん
シャチが漁師を見上げて、銛の使い方を観察して「自分にも一個欲しい…」って思ってたかもしれないって考えると面白い。次の世代では銛を使うシャチが現れるかも、と妄想すると人類が動物に出し抜かれる日も遠くない。

まとめ

オーストラリア・トゥーフォールド湾で約100年続いた、人間とシャチの「law of the tongue(舌の掟)」。獲物のクジラを共同で仕留め、舌と下顎をシャチに、残りを人間にという取り決めは、シャチ側が完全にルールを理解していたという驚くべき相利共生だった。1923年に人間側がディールを破り、リーダーのオールド・トムが歯を失って餓死、1930年に湾に打ち上げられた骨格は罪悪感のローガンが建てた博物館に今も展示されている。コメント欄では「シャチが契約を理解できる社会認知能力に驚き」という声と、「ユダ・ホエール」「クズすぎる」というブラック・ユーモアが並走する独特の盛り上がりだった。

元ソース: TIL: オーストラリアのシャチ「オールド・トム」の話。岸の捕鯨者にクジラの接近を合図し、歯でロープをくわえて捕鯨ボートを獲物まで引っ張っていた

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