「世界最長のベルトコンベアは全長98km」西サハラの砂漠から港まで続く白い線は宇宙からも見える…運んでいるのは何か、知ってた?

「世界最長のベルトコンベアは全長98km」西サハラの砂漠から港まで続く白い線は宇宙からも見える…運んでいるのは何か、知ってた? 技術・発明

サハラ砂漠の西の端に、人工衛星の写真にも写る白い線が1本、まっすぐ引かれている。正体は、内陸の鉱山から大西洋岸の港まで約98km続く、世界最長のベルトコンベアだ。運んでいるのは、世界中の畑にまかれる肥料の原料。海外の掲示板では、工場づくりのゲームの愛好家から「これに乗れば海まで行けるのか」と考え始める人まで集まって、にぎやかな話になっていた。

※注:元スレッドのタイトルは「モロッコにある」と書いているが、コンベアがあるのは西サハラ。西サハラは、モロッコが大部分を実効支配し、独立を求めるポリサリオ戦線と帰属を争っている地域で、国連は1963年から「非自治地域」のリストに載せている。この記事では「西サハラにある」と書く。

今日の知ってた?

📏 世界最長のベルトコンベアは、西サハラの砂漠にある。内陸のブークラー(Bou Craa)にあるリン鉱石の鉱山から、大西洋岸のラユーン(アイウン)近郊の港町エル・マルサまで、全長は約98km(約100kmとする資料もある)。

1本のベルトではなく、11の区間をつないだコンベアシステムで、1時間に2,000トンのリン鉱石を運ぶ。完成は1972年。ベルトから風に飛ばされた白い粉が砂漠に筋を引いていて、その線は宇宙からも見える。

背景:なぜ砂漠に98kmのコンベアがあるのか

コンベアが運んでいるリン鉱石は、肥料の原料になる岩石だ。リンはあらゆる生き物に欠かせない元素で、DNAの骨格をつくっているうえ、窒素・カリウムと並んで、肥料に欠かせない3つの養分のひとつでもある。NASA(アメリカ航空宇宙局)の解説によると、肥料に使うリンのほとんどはリン鉱石から取り出されていて、おもな産地は中国、西サハラとモロッコ、アメリカだ。モロッコと西サハラを合わせた生産量は年に約3,800万トンで、2021年には世界の生産の17%を占めた。確認されている埋蔵量で見ると、この地域だけで世界の70%にのぼる(アメリカ地質調査所の統計による)。

ブークラーの鉱山は、海岸から遠く離れた砂漠の中にある。採掘が始まったのは、一帯がまだスペイン領だった1972年。掘り出した鉱石を輸出用の港まで運ぶために、鉱山と海岸を結ぶコンベアが造られ、同じ年に完成した。現在、鉱山を運営しているのは、モロッコ国営のリン鉱石会社OCPグループの子会社フォスブクラア(Phosboucraa)。同社によると、コンベアの終点にあたるラユーン近郊の海岸には、選鉱(鉱石の品位を高める処理)の工場と、船積み用の桟橋がある。NASAはこのコンベアを、アフリカ北部の奥地から、アメリカを含む世界中の農地へ欠かせない鉱物を届ける助けになっている、と紹介している。

この鉱山とコンベアは、帰属をめぐる争いとも無関係ではない。ギネス世界記録の記載によれば、コンベアは地域の紛争のため、たびたび運転を止めてきた。リン鉱石の採掘と輸出そのものも争点のひとつで、2017年には、ポリサリオ戦線側の申し立てにより、西サハラ産のリン鉱石を積んだ貨物船が南アフリカで差し止められている。1991年の停戦のときに予定された、帰属を決める住民投票も、まだ実現していない。

もう少し詳しく

「世界最長」は、何の最長なのか。ギネス世界記録が認定しているのは「最長のコンベアベルトシステム」という記録だ。長さ9〜11kmの区間が11あり、それをつないだ全体が対象になっている。単一のベルトとして最長というわけではない、とも明記されている。1本のベルトとしての最長記録は別にあって、オーストラリア西部のボーキサイト鉱山で使われている30.45kmのコンベアが、2024年に認定された(約31kmとする資料もある)。なお、全長の数字は資料によって少しずつ違う。NASAは61マイル(約98km)、ギネス世界記録は100km、運営会社は102kmとしている。日本にも、高知県の鳥形山で採った石灰石を海岸の選鉱場まで運ぶ、全長23kmを超える長距離ベルトコンベア(計11基。運営する日鉄鉱業の公開情報による)があるが、西サハラのものはその約4倍の長さになる。

宇宙から見える白い線。NASAの地球観測サイトは2023年1月、人工衛星テラが2022年12月14日に撮影した画像とともに、このコンベアを取り上げた。砂漠を横切る白い線がはっきり写っていて、解説には、白亜質のリン鉱石から出た白い粉が、コンベアの構造物から風に吹き流されているのが見える、とある。2018年6月に国際宇宙ステーションの宇宙飛行士が撮影した鉱山の写真の解説にも、このコンベアはあまりに長くまっすぐなので、たびたび宇宙飛行士の目を引いてきた、と書かれている。

海外の反応

1. 海外の名無しさん
ここ数年、この掲示板で見た中でいちばんワクワクする話だ。本気でどうかしてる。読んだ瞬間に思わず立ち上がって、また座り直して、声に出して「すげえ!」と言ってしまった

2. 海外の名無しさん
「工場は成長しなければならない」。あの合言葉を、現実の砂漠でここまでの規模でやってのけた人たちがいたのか

※ 「工場は成長しなければならない(The factory must grow)」:ゲーム『Factorio』の愛好家のあいだの合言葉。資源を掘ってベルトコンベアで運び、工場を自動化していくゲームで、遊んでいるうちに工場がどこまでも広がっていく。

3. 海外の名無しさん(>>2への返信)
実際、列車を走らせるより長いコンベアを引くほうが楽なことは多いんだよ。詰まったり壊れたりする要素が少ないし、どのみちコンベアで届く量より多くは使い切れない。まあ、襲ってくる虫の大群を列車がなぎ倒していく眺めも、あれはあれで捨てがたいんだけど

4. 海外の名無しさん(>>3への返信)
いやいや、コンベアのほうが壊れるところは桁違いに多いよ。動く部品の数を考えてみて。ローラーの1個1個に軸受けがあって、どれかが焼き付けば、その1か所のせいで全線が止まる。列車なら車輪が付いているのは車両だけだから、基地に集めて定期的に整備できる。空港の動く歩道がどれだけ頻繁に止まっているか、思い出してほしい。
(追記)いま気づいたけど、これは現実じゃなくてゲームの話だったのか。君が正しくて、こっちが間違っていた。でも面白いから、消さずに残しておく

5. 海外の名無しさん
ということは、砂漠に住んでいて海に行きたくなったら、このコンベアにひょいと乗せてもらえば着くのかな? まあ無理だろうけど、もしかしたら……

6. 海外の名無しさん(>>5への返信)
海までは行けるだろうね。問題は帰りで、帰りが本当につらいんだ

7. 海外の名無しさん(>>6への返信)
帰りはコンベアの下を這って戻るしかない、と思うだろ? でもベルトは裏側を通って鉱山へ戻っていくんだ。裏面にフックでハンモックを引っかけて、揺られながら帰ればいい

8. 海外の名無しさん(>>5への返信)
1時間進むごとに、日焼け止めを吹きつけてくれるスプレー所が欲しいね。それと高速道路のサービスエリアみたいに、ポテトチップスと飲み物が流れてくる並行ベルトを横に付けてほしい。「次の軽食ベルトは2時間先」なんて案内が出るわけだ。ベルトは決して止まらない!

9. 海外の名無しさん(>>5への返信)
乗るのは自由だけど、リン鉱石の粉じんと重金属を、着くまでずっと吸い込み続けることになるよ。それでもよければどうぞ

10. 海外の名無しさん(>>5への返信)
世界でいちばん長い列車も、モロッコに近い砂漠を走っているんだよ。砂漠で採れた鉱石を海岸まで運んで往復していて、人がその貨車の上に乗って移動している

※ モーリタニアの鉄鉱石列車のことと思われる。内陸の鉱山町ズエラットと大西洋岸の港町ヌアディブを結ぶ約700kmの路線を走り、長さは2kmを超える。世界で最も長く、重い部類の列車とされ、鉱石を積んだ貨車の上に人が乗って移動することでも知られる。

11. 海外の名無しさん
運んでいるのはリン鉱石。鉱山で掘った岩を港まで送っているんだ。その岩から取り出したリンが、肥料の原料になる

12. 海外の名無しさん(>>11への返信)
参考までに言うと、モロッコは世界のリン鉱石の埋蔵量の7割ほどを握っているとされる。それだけあるなら、手間をかけて巨大なコンベアを造ったのも、そう不思議な話じゃないよ

13. 海外の名無しさん
考えてみると、あのベルトに乗って運ばれた岩の一部を、自分たちはみんな、回り回ってもう口にしているんだよな

14. 海外の名無しさん
細かいようだけど、西サハラはモロッコじゃない。正確に書くなら「モロッコが占領している西サハラ」だ。国連の脱植民地化の枠組みでは帰属がまだ決まっていない地域で、住民の意思を問う投票も実現していない

15. 海外の名無しさん(>>14への返信)
スレッドの題を読んで、同じところが引っかかった。コンベアのすごさとは別の話として、そこは分けて書くべきだよね

16. 海外の名無しさん
スレッドに貼られたNASAの記事、宇宙から撮った画像はあるのに、肝心のコンベアそのものの写真が1枚も載ってないじゃないか……。いちばん見たいのはそこなんだが

17. 海外の名無しさん(>>16への返信)
去年、解説系の動画チャンネルがこのコンベアを取り上げていたよ。実物を撮った映像もちゃんと入っているから、見てみるといい

18. 海外の名無しさん(>>17への返信)
その動画のコメント欄に「8分間、肝心のコンベアの映像は一度も出てこない」と書かれてたぞ。全部見る気にはなれなくて、ざっと飛ばしながら確かめたけど、たしかに見当たらなかった

19. 海外の名無しさん(>>18への返信)
見たのがずいぶん前で、絶対に映っていたと思い込んでいた。見返してみたら記憶違いだった、ごめん! 代わりに、写真が何枚か載っているページを貼っておく。世界の珍しい場所を紹介するサイトの記事だよ

20. 海外の名無しさん
これ、さすがに1本のベルトじゃなくて、何本かをつないでいるんだよね? 1区間はどれくらいの長さなんだろう。行きと戻りを合わせて200km近いベルトと、途中の駆動モーターを全部まとめて面倒見るなんて、誰にもできないと思うんだ

21. 海外の名無しさん(>>20への返信)
11の区間に分かれているそうだよ。だから1本あたりは10km弱。ただ、途中に積み替えの場所があるわけじゃなくて、鉱石はベルトからベルトへそのまま乗り移っていくから、運ぶという意味ではひと続きらしい。ちなみに、つないだものではなく1本のベルトとして世界最長なのは、オーストラリア西部のボーキサイト鉱山にある約31kmのコンベアだそうだ

22. 海外の名無しさん
これだけ長いと、ベルトが左右にずれないよう調整する作業は地獄だろうな……。ほんの少し狂っただけで、ベルトは横へ横へと寄っていってしまうんだ

23. 海外の名無しさん
世界一長いコンベアなんて、てっきりデンバー空港にあるものだと思い込んでいたよ

※ デンバー国際空港:アメリカ・コロラド州にある空港で、敷地の広さは北米の空港で最大。1995年の開港は、全自動の手荷物搬送システムの不具合などで予定より16か月遅れた。

24. 海外の名無しさん
自分が『Satisfactory』で引いたコンベアのほうが、これよりずっと長いぞ。というか、これはもう現実版の『Satisfactory』だろう

※ 『Satisfactory』:未知の惑星で資源を掘り、ベルトコンベアでつないで工場を建て、自動化していく3Dのゲーム。

25. 海外の名無しさん(>>24への返信)
で、その長いラインのどこか1か所にだけ、いちばん遅い初期型のベルトが混ざっていて、全体の流れを詰まらせているんだろ。よくあるやつだ

まとめ

西サハラの内陸にあるブークラーの鉱山から、大西洋岸の港まで約98km。11の区間をつないだ世界最長のコンベアシステムは、1972年に完成し、中断をはさみながら、肥料の原料になるリン鉱石を運んできた。コメント欄は、工場づくりのゲームの合言葉から、乗って海へ行く計画、保守の苦労を思いやる声までにぎやかで、「西サハラはモロッコではない」という指摘も出ていた。あのベルトの上を流れていった岩は、回り回って世界中の畑にまかれている。

元ソース: 世界最長のベルトコンベアはモロッコにあり、全長は61マイル(98km)。西サハラの砂漠から、大西洋岸の港まで続いている。

コメント

  1. Reddit名無しさん says:

    六甲アイランドを作った須磨ベルトコンベヤは14.5km、地下に保管されているとさ。