「線路に縛った人を轢かせない、悪者に見せない、戦いでは中立」映画『アントマン』にきかんしゃトーマスが出るための条件とは?

「線路に縛った人を轢かせない、悪者に見せない、戦いでは中立」映画『アントマン』にきかんしゃトーマスが出るための条件とは? 音楽・エンタメ

2015年公開のマーベル映画『アントマン』。クライマックスの戦いの舞台は主人公の幼い娘の部屋に敷かれたおもちゃの線路で、そこを走ってくるのは日本でもおなじみの『きかんしゃトーマス』だ。実はこの出演、権利を持つ会社へのプレゼンを経てようやく許可が下りたもので、「線路に縛った人を轢かせない」「悪者に見せない」「戦いではどちらの味方もさせない」といった条件までついていたと、監督本人が明かしている。

今日の知ってた?

🚂 映画『アントマン』(2015年)の最終決戦に出てくるトーマスのおもちゃは、製作側が権利者にプレゼンをして使用の許可を取ったもの。

📜 監督が条件の例として挙げたのは、「線路に縛りつけられた人をトーマスが轢く場面にしない」「子どもが“悪いトーマス”だと受け取るようなことをさせない」「戦いの中では中立を保たせる」の3つ。

🎬 明かしたのは監督のペイトン・リード。2015年7月の公開時に、アメリカの映画サイト「Film School Rejects」のインタビューで語った。

背景:『きかんしゃトーマス』と『アントマン』

『きかんしゃトーマス』の原作は、イギリスのウィルバート・オードリー牧師が、病気の息子に聞かせたお話から生まれた絵本シリーズ『汽車のえほん』だ。1945年に1冊目が出て、1984年にはイギリスでテレビシリーズになった。日本でも1990年に、フジテレビ系の子ども番組『ひらけ!ポンキッキ』の中で放送が始まっている。初期のテレビシリーズは実際に鉄道模型を走らせて撮影していて、機関車の目は模型の中に仕込んだ仕掛けをラジコンで操作して動かしていた。あの、左右にきょろきょろ動く目である。

『アントマン』は、マーベルのヒーローたちが同じ世界を共有する映画シリーズ(マーベル・シネマティック・ユニバース)の1本で、日本では2015年9月に公開された。主人公スコット・ラング(演:ポール・ラッド)は、体をアリほどの大きさまで縮められるスーツで戦う。クライマックスでは、同じく縮小スーツを着た悪役ダレン・クロス(イエロージャケット)がスコットの娘キャシーを人質に取り、最後の戦いはキャシーの部屋で繰り広げられる。縮んだ二人の目線では世界の命運がかかったような大決戦なのに、カメラが普通の目線に切り替わると、子ども部屋で小さな何かがちょこまかしているだけ。この落差で笑わせる名場面で、その戦場になるのがトーマスの線路セットだ。

もう少し詳しく

もともとは「ただの鉄道模型」だった。リード監督によると、当初この映画を監督する予定だったエドガー・ライトが、ジョー・コーニッシュと共同で書いた初期の脚本では、ここはただのおもちゃの鉄道セットだったという。リードが監督に就く前のどこかの段階で、それがトーマスに変わった。ところが、リードが加わった時点では、まだトーマスを使う権利を取れていなかった。

権利者へのプレゼン。そこで製作陣は、トーマスの権利を持つ側に、場面の見せ方を説明するプレゼンをすることになった。リードは「ありがたいことに先方は了承してくれたし、面白がってもくれた。ただし、はっきりした条件がついた」と振り返っている。当時トーマスの権利を持っていたのは、アメリカの玩具大手マテルの傘下に入っていたヒット・エンターテイメント社だ。

3つの条件。リードが例として挙げた条件は、「誰かが線路に縛りつけられて、トーマスに轢かれる場面にしない」「子どもから“悪いトーマス”に見えるようなことをさせない」「戦いの中では中立でいさせる」というもの。3つめについては「それはもともと、こちらもそのつもりだった」と話している。本編でも、縮んだ二人の目線ではトーマスがイエロージャケットに激突する迫力の場面になっているが、普通の目線に戻ると、おもちゃの機関車が線路から外れてぱたんと倒れるだけ、という見せ方になっている。

※注:「線路に縛りつけられた人に列車が迫る」は、悪役がヒロインを線路に縛る、昔の舞台劇や無声映画のころからのお約束の場面。1つめの条件は、この定番の使い方をはっきり禁じた形だ。

トーマスでなければならなかった理由。リードにとってトーマスは、使えなかったら本気で落ち込んでいたはずのもののひとつだったという。「どんなおもちゃの電車でも場面自体は作れた。でも、あの機関車の個性と、左右にきょろきょろ動く目が、場面にまったく別の空気を与えて一段上のものにしてくれた」と語り、許可が取れなかったらどうするつもりだったのか自分でも分からない、とまで話している。なお、この映画のコンセプトアートを手がけたアンドリュー・キムのポートフォリオには、トーマスの代わりにピクサー映画『カーズ』のパトカー「シェリフ」が部屋の壁を突き破る絵があり、許可が下りなかったときの代案だったのではないか、と海外メディアで報じられている。

海外の反応

1. 海外の名無しさん
悪役が子どもを人質に取ってる戦いで「どっちの味方もしない」って、トーマスそれでいいのか……。しかもキャシーの部屋で、キャシーのおもちゃとして走ってるのに。

2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
公平に言うと、映画のトーマスはあくまでおもちゃで、番組の中のトーマスみたいに意思を持った機関車じゃないんだよね。おもちゃが自分の意思でどっちかの味方につくのは、『トイ・ストーリー』みたいなピクサー映画の中だけ。権利者が気にしたのは善悪の問題というより、「トーマスを戦いに参加するキャラクターとして扱わないで」ってことだと思う。

3. 海外の名無しさん(>>2への返信)
「悪がはっきりしてる戦いで中立を気取るのは悪だ」って言いたくなるけど、それが通るのは自分で選べる相手だけなんだよな。決められた線路の上を走るしかないやつに、どっちにつくか選べって言うほうが酷だよ。

4. 海外の名無しさん
「日和見きかんしゃトーマス」って新シリーズの題名が頭に浮かんだ。どっちが勝っても「ぼくは線路を走ってただけだよ」って言い張るやつ。

5. 海外の名無しさん
でも実際、イエロージャケットにぶつかってなかったっけ? 縮んだ目線の場面だと、完全に機関車にはね飛ばされてたように見えたけど。

6. 海外の名無しさん(>>5への返信)
普通の目線に切り替わると、おもちゃが線路から外れてぱたんと倒れてるだけだから、「轢いた」には入らないって扱いなんだと思う。大激突のあとにあの絵が来るのがずるい。映画館で声を出して笑った。

7. 海外の名無しさん(>>6への返信)
そう、イエロージャケットが車輪の下敷きになるわけじゃないんだよね。ぶつかって、おもちゃが脱線して、それでおしまい。禁止されたのは「線路に縛りつけた人を轢かせること」だから、ちゃんとその内側に収まってる。上手いことやったなと思う。

8. 海外の名無しさん
あの戦いはマーベル映画の中でも屈指の名場面だと思ってる。縮んだ二人の目線だと怪獣映画並みの大迫力なのに、普通の目線に戻ると子ども部屋で虫が2匹じゃれてるようにしか見えない。最後に巨大化したトーマスが家を突き破って外まで飛び出すのも最高だった。

9. 海外の名無しさん
トーマスって、第二次世界大戦のときも中立だったことで有名だからな。スイスと並んで。

10. 海外の名無しさん(>>9への返信)
真面目に返すと、トーマスが絵本に初めて出てくるのは戦後の1946年。ただ、原作者のオードリー牧師が息子へのクリスマスプレゼントに、あり合わせの材料で青いタンク機関車のおもちゃを作ったのは戦時中だったらしい。つまり戦争中のトーマスは、子ども部屋のおもちゃとしてきっちり中立を守ってたわけだ。映画と同じだな。

11. 海外の名無しさん
冗談抜きで、トーマスって善人でも悪人でもないんだよね。3歳児みたいに自分のことで頭がいっぱいで、でも悪気はまったくない。5分前のことはもう覚えてない。「戦いでは中立で」って条件は、キャラクターの解釈としてもかなり正しいと思う。

12. 海外の名無しさん(>>11への返信)
いや、あの世界は結構容赦ないぞ。自慢の緑の車体が雨に濡れるのが嫌だってトンネルから出てこなくなったヘンリーは、トップハム・ハット卿にトンネルの入り口を壁でふさがれて、中に閉じ込められてたからな。

※注:テレビシリーズ第1シーズンの「でてこいヘンリー」の回。トップハム・ハット卿は、トーマスたちが走る鉄道の責任者。

13. 海外の名無しさん(>>12への返信)
あの回、子どものころ本気で怖かった。言うことを聞かなかったらどうなるかの見せしめが、暗いトンネルの中に置き去りって。いま思えば、子ども向け番組とは思えない仕打ちだよ。

14. 海外の名無しさん
正直、あの番組は子どものころから不気味で苦手だった。だから映画のトーマスが「悪者には見えないのに妙に怖い」仕上がりになってたのを見て、ある意味すごく忠実な再現だなと思った。

15. 海外の名無しさん(>>14への返信)
分かる。昔の模型版の、顔は固まったまま目だけがきょろきょろ動くのがいちばん怖い。監督はあの目が場面の空気を変えるって言ってたらしいけど、子どもの目線だとホラーの一歩手前なんだよな。

16. 海外の名無しさん
トーマスが戦いに加わらないのは当然だよ。少しでも運行を乱して遅れを出したら、トップハム・ハット卿にこっぴどく叱られるんだから。中立でいるのは自分の身を守るためでもある。

17. 海外の名無しさん
「悪者に見せない」って言うけど、そもそもずる賢くて周りを引っかき回すのはディーゼルの役回りじゃん。悪役っぽい機関車が欲しかったなら、最初からディーゼルを出せばよかったのに。

18. 海外の名無しさん
いま頭に浮かんでるのは、スカイリムのあのMODのことだけ。あれこそ「悪者に見せない」の条件に真っ向から違反してる。

※注:ゲーム『スカイリム』(The Elder Scrolls V: Skyrim)用に有志が作った改造データ「Really Useful Dragons」のこと。空から襲ってくるドラゴンが、すべてトーマスたち機関車の姿に置き換わる。

19. 海外の名無しさん(>>18への返信)
あれは公式じゃないから、許可も条件もないんだよな。顔のついた機関車が空から猛スピードで突っ込んでくる絵面、いまだにたまに夢に出てくる。

20. 海外の名無しさん
ただのおもちゃなのに、権利者はそこまで気にする? 本物のトーマスと共演するわけでもあるまいし……と最初は思った。でもよく考えたら、マーベルならドラマ『ワンダヴィジョン』みたいなノリで、トーマスたちが暮らすソドー島ごと別の世界として出してきかねない。やっぱり条件は必要だったかもしれない。

21. 海外の名無しさん(>>20への返信)
実はトーマスとマーベルには縁があって、1987年からマーベルのイギリス部門がトーマスの子ども向け雑誌を出してたんだよ。そこで漫画を書いてたアンドリュー・ブレナーって人のオリジナルの話が、本人の知らないうちにテレビシリーズの第3シーズンに使われて、名前もクレジットされなかった。その人がのちにテレビシリーズの脚本の総責任者になるんだから、世の中わからない。

22. 海外の名無しさん(>>21への返信)
映画の裏設定を考察する動画チャンネルが飛びつきそうなネタだな。「『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』でスパイダーマンをはねた列車、実はトーマスなんです。『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』で壊された列車の仇を討ちに来たんですね」

23. 海外の名無しさん
「動いている列車の上で中立ではいられない」って言葉があるけど、トーマスはその列車そのものだから例外、ってことでいいのかな。

※注:アメリカの歴史家ハワード・ジンの自伝のタイトル(原題 You Can’t Be Neutral on a Moving Train、1994年)。

24. 海外の名無しさん
権利者が神経質すぎるって言う人もいるけど、子ども向けのキャラクターを守るのは当たり前。むしろ、マーベル映画の戦闘シーンに出したいって話を「面白い」で通したのが偉いと思う。許可が出なかったら『カーズ』のシェリフが代わりに壁を突き破ってたかもしれない、って話もあるらしい。マーベルもピクサーも同じディズニー傘下だから、そっちなら話は早かっただろうけど。

25. 海外の名無しさん
今後「アベンジャーズ次回作でトーマス再登場決定」なんて記事を見かけても、信じないように気をつけないと。……いや、正直ちょっと見たいけど。今度はどっちの味方もしないまま、最後まで走り抜けてほしい。

まとめ

『アントマン』の最終決戦を走るトーマスは、権利者へのプレゼンを経て許可された、条件つきの出演だった。コメント欄は「子どもが人質なのに中立?」というツッコミに始まり、「おもちゃに味方を選ぶ意思はない」という指摘、ぱたんと倒れるだけの演出への称賛を経て、ヘンリーの閉じ込め回のようなトーマスの“怖い”一面へと脱線していった。子ども向けのキャラクターを大人の戦いに借りてくるには、それなりの気配りが要るらしい。

元ソース: 今日知った:マーベルは権利者に見せ方を了承してもらい、『アントマン』にきかんしゃトーマスを使う許可を得た。条件は、トーマスが誰も轢かないこと、悪者として描かれないこと、戦いでどちらの味方もしないことだった

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