アメリカのイエローストーン国立公園の地下には、桁違いの規模の火山がある。その噴火を防ぐために、カルデラに深い穴を掘って水を送り込み、噴火のエネルギー源である熱を少しずつ地上へ運び出してしまえばいい——NASAの科学者が、かつてそんな案を出したことがある。ただし、これは実行が決まった計画ではない。「もし本気で考えるとしたら」という、紙の上の思考実験である。
※注:カルデラとは、噴火で地下のマグマが抜けた結果、地表が大きく陥没してできたくぼ地のこと。イエローストーン国立公園の中心部は、この陥没地形がそのまま公園になっている。
今日の知ってた?
🌋 NASAの惑星防衛の検討会議に出された案は、イエローストーンのカルデラに穴を掘り、そこに水を送り込んで循環させ、噴火に必要な熱を少しずつ地上へ運び出すというものだった。示された費用の試算は約34.6億ドル。ただしこれはあくまで仮定の案で、実行に向けて動いている計画があるわけではない。イエローストーン火山観測所の責任者は、この方法では効かないと明確に否定している。
※注:34.6億ドルは、1ドル150円で換算するとおよそ5,200億円にあたる。
背景:イエローストーンの地下にあるもの
イエローストーン国立公園といえば、定期的に湯を噴き上げる間欠泉と、鮮やかな色の熱水池で知られている。あの湯を温めているのが、地下にあるマグマの熱である。公園の中心部が広いくぼ地になっているのも、過去に大規模な噴火が起きた痕跡で、地下の熱がいまも残っていることの裏返しでもある。「超巨大火山(スーパーボルケーノ)」と呼ばれるのはこの規模の大きさからで、噴火の跡がひとつの公園とほぼ重なるほど広い。
ただし、地下にマグマの「池」がなみなみと溜まっているわけではない。米地質調査所(USGS)の解説によれば、マグマだまりの大部分は固い岩で、溶けている部分は全体の5〜15%程度とされる。火山学者は、私たちが生きているうちに大規模な噴火が起きる可能性は極めて低いと説明している。イエローストーン火山観測所が地震計や地盤の変動を常時観測していて、状況が変わればその前に兆候が出る、というのが専門家の側の見方である。
※注:マグマだまりとは、地下でマグマが溜まっている領域のこと。液体のプールというより、熱い岩のかたまりの中に溶けた部分が混ざっている状態に近い。
もう少し詳しく
案の中身は、ひとことで言えば「熱を運び出す」ことである。カルデラの縁から地下に向かって穴を掘り、そこへ水を送り込む。地下の熱を受け取って高温になった水を地上へ汲み上げ、冷えた水をまた送り込む——この循環をひたすら続けることで、噴火を起こすのに必要な熱を少しずつ抜き取っていく、という発想だ。掲示板でも「それはほぼ無尽蔵の発電所ということでは」という反応がまっ先に並んだ。取り出した熱でお湯を沸かして発電できるなら、費用の一部は回収できるのではないか、というわけである。
掘る場所は、公園の中心部ではないという想定だった。超巨大火山の広がりは国立公園の敷地よりずっと大きい。掲示板で紹介された解説によれば、案では中心部から離れた外側から掘り進める形が想定されていたという。間欠泉の隣にやぐらを建てる話ではない、ということになる。
一方で、現場を預かる側の反応は冷ややかである。イエローストーン火山観測所の責任者は、この方法では噴火は防げないとしている。使ったたとえは「コンロを点けたまま、沸騰した鍋を点眼スポイトで冷やそうとするようなもの」。上から少しずつ熱を取り除いたところで、下にある熱源そのものはどこにも行かない、という意味だ。34.6億ドルという試算額についても「笑ってしまう」と評したと伝えられている。
技術的な壁も、掲示板では具体的に並べられていた。主なマグマだまりがあるのは地下およそ10マイル(約16km)。ところが、真下にマグマだまりがない普通の場所ですら、人類が掘り抜いた最深記録は7.6マイル(約12km)どまりだという。さらに、噴火を防げるだけの熱を抜き取るには数千年単位の時間がかかるという見積もりもある。掘削そのものが地層を弱めて、かえって引き金を引いてしまう危険。地下に潜む高圧の蒸気だまりや有毒ガス。方法を考えること自体はできても、成立するかどうかはまったく別の話である——というのが、この話題に集まった反応の中心だった。
海外の反応
1. 海外の名無しさん
イエローストーン火山観測所の責任者は、この案について「効かない」とはっきり言っている。コンロを点けたまま、沸騰した鍋を点眼スポイトで冷やそうとするようなものだ、と。下の熱源はどこにも行かないんだから、という理屈だね。34.6億ドルという試算額のほうも「笑ってしまう」と評していた。
2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
そもそも、あの一帯に穴を掘って水を押し込むという行為自体がよくない気がする。岩盤に割れ目ができて地震を誘発すれば、かえって全体を不安定にしかねない。仮に狙いどおり冷えたとしても、閉じ込められていたガスが抜け道を見つけて水蒸気爆発、という筋書きもありうる。触らないほうがいい類のものだと思う。
3. 海外の名無しさん(>>1への返信)
効かないという指摘はもっともなんだけど、じゃあ超巨大火山が噴くのを黙って待つのが良い案かというと、それも困る。どちらも困る、という状態がこの話のいちばん厄介なところだと思う。
4. 海外の名無しさん(>>3への返信)
待つ待たないという話ではないと思うよ。この規模の地下の動きは、人間が許可を出したり止めたりできる対象ではない。こちらの都合とは無関係に、動くときは動く。
5. 海外の名無しさん(>>4への返信)
オゾンホールと地球温暖化がこちらを見ています。この案の実現性が薄いという指摘は妥当だけど、「人間は地球規模の現象に手を出せない」というのは、事実としてすでに反証されている話だよ。
6. 海外の名無しさん
「NASA惑星防衛諮問会議」という名前の響きが良すぎる。実際にやっているのは小惑星への備えの検討らしいけど、名前だけ聞くと映画に出てくる地下の会議室が浮かんでくる。
7. 海外の名無しさん(>>6への返信)
名づけた人はよくわかっている。所属している会議体の名前がかっこいいと、人は不思議とよく働くものだ。予算の通り方も少し変わってくる気がする。
8. 海外の名無しさん(>>7への返信)
台所家電の命名担当とはえらい違いだ。あっちは機能の後ろに「〜するもの」と付けて終わり。「これ何する機械?」「中身を新鮮に保つ」「じゃあフレッシャーで。休憩入ります」みたいな会話で決まっている。
9. 海外の名無しさん
落ち着いて整理しておこう。まず、この「方法」は完全に仮定の話だ。次に、実行するための技術が今はない。主なマグマだまりがあるのは地下およそ10マイル(約16km)で、真下にマグマだまりがない普通の場所ですら、人類が掘り抜いた最深記録は7.6マイル(約12km)どまり。しかも、噴火を防げるだけの熱を抜き取るには数千年かかるという見積もりもある。方法を考えること自体は誰でもできるけれど、それが成り立つかどうかは別の話だよ。
10. 海外の名無しさん(>>9への返信)
「規模」という言葉に尽きると思う。自然が動かしているエネルギーの桁を、人はだいたい小さく見積もる。ハリケーンに核を撃ち込めば相殺できるんじゃないか、みたいな発想が出てくるのもそれが理由だ。地質の時間と規模は、その分野で食べている人間でも掴みきれない。
11. 海外の名無しさん
逆に考えると、地下から熱を継続的に運び出す仕組みが本当に作れるなら、それはほぼ無尽蔵の発電所ということになる。噴火を止められるかどうかは置いておいても、そっちの価値のほうが先に立つ気がするんだけど。
12. 海外の名無しさん(>>11への返信)
熱でお湯を沸かして、蒸気でタービンを回せば電気になる。理屈はそのとおりなんだよ。ただ、火山を鎮められるほどの熱量を抜き取るとなると、もう発電所の規模の話ではなくなってくる。
13. 海外の名無しさん(>>11への返信)
景観を壊さずにやれるなら、噴火対策うんぬんを抜きにしても真っ当すぎる案に聞こえる。国立公園のど真ん中に配管を通すわけにいかない、という一点だけが引っかかるところだ。
14. 海外の名無しさん
補足しておくと、超巨大火山を支えているマグマだまりは、どろどろの池ではなく大半が固い岩だ。溶けている部分は5〜15%程度とされている(米地質調査所の解説)。私たちが生きているうちに噴火する可能性は極めて低いし、状況が変われば観測しているチームが先に気づいて警告できる。火山の研究者はセントヘレンズ山の噴火の記念日に毎年質問会をやっていて、観測所の責任者本人が答えていることもあるよ。
15. 海外の名無しさん(>>14への返信)
こういう出典付きの補足がいちばんありがたい。本日の最優秀コメントとして表彰します。アイスの引換券は夕方6時までに窓口で受け取ってください。
16. 海外の名無しさん
これ、要するにシェールガスを掘るときの水圧破砕と同じことをやるという話なのでは? あれも地下に大量の水を押し込む方法だったと思うんだけど。
17. 海外の名無しさん(>>16への返信)
全然違う。水圧破砕は水に砂と薬品を混ぜて高い圧力で岩を割り、その割れ目から石油やガスを吸い出す方法だ。こっちは砂も薬品も使わないし、岩を割って何かを取り出すわけでもない。地下を回るのは水だけで、地上に持ち帰るのは熱だけだよ。
18. 海外の名無しさん
地熱発電で出た熱水には使い道があるよ。アイスランドのブルーラグーンは、まるごと地熱発電所から出た排水でできている。肌にいいという評判で人が入り始めて、今では大人気の観光地だ。天然の温泉だと思って来た観光客はだいたい驚いて帰る。
19. 海外の名無しさん
全部が裏目に出て、最後はアイスランドかグリーンランドに避難するSF映画の脚本にしか聞こえない。中盤で必ず「だから警告したのに聞かなかっただろう」と言う学者役が出てくるやつだ。
20. 海外の名無しさん
前提として、超巨大火山の広がりは国立公園よりずっと大きい。案の解説を読むと、公園の中心からは離れた外側から掘り進める想定になっていたらしい。少なくとも、間欠泉の隣にやぐらを建てるという話ではないみたいだ。
21. 海外の名無しさん(>>20への返信)
見た目が多少悪くなるくらいなら受け入れるよ。景色と引き換えに死なずに済むなら、そっちを取る。地熱発電はもともと汚染も少ないほうだしね。
22. 海外の名無しさん
西モンタナといえば水が有り余っている土地として有名だからね(そんなことはない)。乾いた場所に大量の水を持ち込み続ける話でもあるという点は、もう少し語られていい気がする。
23. 海外の名無しさん
効かないという結論だったとしても、数百万人の命が関わる災害について研究しておくこと自体は無駄じゃないと思う。今できないことを「こうすればできるかもしれない」と紙の上に並べるところから技術は始まる。この案も、そのための出発点として読むのが正しいんじゃないかな。
まとめ
穴を掘って水を送り込み、噴火に必要な熱を少しずつ運び出す。NASAの科学者が出したこの案は、費用約34.6億ドルという試算まで付いていたが、実行に向けて動いている計画ではない。コメント欄で伸びたのは、案そのものへの驚きよりも「本当に効くのか」という検証のほうだった。火山観測所の責任者による点眼スポイトのたとえ、地下16kmという深さと12kmという掘削記録の差、数千年という時間、そして掘ること自体が引き金になりかねないという懸念。そのうえで「取り出した熱で発電すればいい」という話に転がっていくのが、この掲示板らしいところである。日本も火山の多い国で、地熱発電の話は決して遠くない。地下の熱をどう扱うかという問いは、噴火を止める止めないの前に、すでに身近な技術の話でもある。
元ソース: NASAの科学者が、イエローストーンの超巨大火山の噴火を防ぐ方法を考え出していた——カルデラに穴を掘って水を通し、噴火に必要な熱を少しずつ抜き取るという案

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