「吐く前に唾液が出るのは、上がってくる胃酸から歯を守るため」あの生唾に役目があるって知ってた?

「吐く前に唾液が出るのは、上がってくる胃酸から歯を守るため」あの生唾に役目があるって知ってた? 自然・科学

気持ちが悪くなって、口の中にじわっと生唾がわいてくる。「あ、これは来るな」と覚悟する、あの瞬間です。海外の掲示板で「吐く前に唾液がどっと出るのは、これから上がってくる胃酸から歯を守るための体の仕組み」という豆知識が話題になりました。ただの不快な前ぶれだと思っていた生唾には、本当に役目があるのでしょうか。歯科の資料と照らし合わせながら見ていきます。

今日の知ってた?

🦷 吐く前に唾液が増えるのは、医学の論文でも冷や汗と並ぶ「嘔吐の前ぶれ」として挙げられている現象。そして唾液には、酸を薄めて中和し、歯の表面を守る働きがある。胃酸は歯のエナメル質をやわらかくするので、吐いたあとは歯をすぐに磨かず、まず水で口をすすぐのがよいとされている。

背景:吐く前に体の中で起きていること

吐き気と嘔吐は、ただの不調ではなく体の防御のしくみだと考えられています。米国フィラデルフィアのモネル化学感覚研究所のホーン氏は、2008年の論文で、嘔吐には胃腸から有害な物を外へ出す働きがあり、吐き気には「あれを食べたら気持ち悪くなった」と覚えさせて、同じ物を二度と口にしないようにさせる役割があるらしい、とまとめています。食中毒への備えとしての反射、というわけです。

同じ論文は、吐き気と嘔吐の「前ぶれ」として冷や汗と唾液の分泌を挙げています。吐き気の信号は、胃腸から上がってくるものと、乗り物酔いのように耳の奥の平衡感覚から来るものがあり、どちらの入り口もおおよそ分かっています。ところが、それらが脳のどこでひとつにまとまって「吐く」という動作の手順を組み立てているのかは、当時まだほとんど解明されていませんでした。毎日のように誰かが経験している反射なのに、司令塔の正体がはっきりしていないのは意外です。

実際に吐くときには、胃の中身が食道を逆流して口から出ていきます。胃の中は食べ物を消化するために強い酸性に保たれているので、吐いた物も酸を含んでいます。のどがヒリヒリしたり、口の中が酸っぱくなったりするのはそのためです。そして口の中で、この酸にじかにさらされる硬い組織が歯です。

歯の表面を覆うエナメル質は体の中でいちばん硬い組織ですが、酸には弱い性質があります。オーストラリア政府が出資する健康情報サービス「ヘルスダイレクト」は、酸がエナメル質をやわらかくし、すり減らしていく状態を「酸蝕(さんしょく)」と呼び、原因として酸っぱい飲み物と並んで、繰り返す嘔吐(神経性過食症など)、胃食道逆流症による胃酸の逆流、唾液の減少を挙げています。唾液が少ないと、酸を洗い流して中和する力が足りなくなるからです。日本語では、酸で歯が溶けるこの病気を「酸蝕症」と呼びます。むし歯菌の出す酸ではなく、飲食物や胃酸そのものの酸で溶けるのが特徴です。

もう少し詳しく

唾液は、酸が来る前から動き出す。米インディアナ大学歯学部のハラ氏とゼロ氏は、2014年の総説で、唾液を「歯の酸蝕を防ぐうえで最も重要な体の働き」と位置づけています。唾液は酸が歯に触れる前から働き始め、酸っぱい刺激を受けると分泌量が増えて、酸を薄め、中和し、口の外へ押し流すとされています。唾液は歯の表面にごく薄い膜(ペリクル)ができるのにも関わっていて、この膜が酸と歯の表面の間に入ります。唾液に含まれるミネラルは、溶けかけた歯の表面を元に戻す「再石灰化」も助けます。唾液が酸を和らげる力(緩衝作用)は、炭酸水素塩(いわゆる重炭酸)やリン酸塩、たんぱく質が担っていて、スイスのベルン大学の研究(2007年)では、炭酸水素塩とリン酸塩に2種類の酵素たんぱく質を加えた液で、安静時の唾液とほぼ同じ性質を再現できたと報告されています。

「歯を守るため」はどこまで確かなのか。ここは少し注意が必要です。吐く前に唾液が増えることは前ぶれとして確かめられていて、唾液に酸から歯を守る働きがあることも歯科の研究で裏づけられています。この二つを合わせると「吐く前の生唾は、上がってくる胃酸に備えたもの」という説明はたしかに筋が通ります。ただ、吐く直前の唾液がどれだけ酸を中和し、どれだけ歯の傷みを減らしているのかを直接測った研究は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。「体がそういう目的で用意している」と言い切るより、「理屈の通った説明として広く語られている」くらいに受け止めるのが安全です。のどや食道を酸から守る、吐いた物を口の外へ押し流しやすくする、といった別の役目も考えられます。

吐いたあと、すぐに歯を磨かない。吐いた直後は、口をさっぱりさせたくて歯ブラシに手が伸びがちです。ところが歯科の助言は逆で、すぐには磨かないようにと呼びかけています。ヘルスダイレクトは、酸に触れたあとのエナメル質はしばらくやわらかくなっていると説明し、吐いたあとは水か牛乳で口をすすぎ、歯みがきは少なくとも30分待つよう勧めています。オーストラリア・ビクトリア州政府の健康情報サイト「ベター・ヘルス・チャンネル」は、歯が胃酸に覆われた状態でブラシをかけるとエナメル質を傷つけかねないとして、水道水でよくすすぎ、フッ素入りの洗口液を使い、1時間待ってから磨くよう勧めています。待つ時間は資料によって30分から1時間と幅がありますが、「まずすすぐ、磨くのは少し後」という順番はどの資料でも同じです。

吐くことが続く人ほど、歯への影響は大きい。資料が注意を促しているのは、酸に触れることが繰り返される場合です。ベター・ヘルス・チャンネルは、つわりによる嘔吐で歯が強い胃酸に覆われることがあり、逆流や嘔吐が繰り返されるとエナメル質が傷み、むし歯のリスクも上がると注意しています。ローマ・トルヴェルガタ大学の小児歯科のチームによる2021年の総説は、摂食障害では歯の酸蝕や知覚過敏などの口のサインが現れ、とくに自分で吐くことを繰り返す場合と強く結びついていて、小児歯科医が最初に異変に気づくことがあると指摘しています。胸やけや酸っぱいものがこみ上げる感じが続く場合も、歯に酸が触れている可能性があります。気になる症状があれば、医師や歯科医に相談するのがいちばんです。

海外の反応

1. 海外の名無しさん
便利な早期警報システムだよな。トイレまで走るのに、ちょうど間に合うくらいの時間をくれる。

2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
猫が吐く前の早期警報としても使えるぞ。あの「ケッ、ケッ」が聞こえたら即抱き上げて床に下ろす。うちはこれでソファを何台も救ってきた。

3. 海外の名無しさん(>>2への返信)
うちの猫は吐く前に、家じゅうに聞こえる声で「今から吐きます」って宣言してくれる。律儀なのか迷惑なのか分からない。

4. 海外の名無しさん
「引き返せない地点」が分かるのはありがたい。唾が出てきたと気づいた時点で動けば、今までゴミ箱かトイレに間に合わなかったことはない。

5. 海外の名無しさん(>>4への返信)
唯一間に合わなかったのは小学5年のとき。保健室の先生に3回も教室へ追い返されて、最後は先生の机の横でやってしまった。それまで一度も保健室に行ったことがなかったのに、なんで仮病だと決めつけたのか今でも分からない。

6. 海外の名無しさん
英語圏だとこれを「マウス・スウェット(口の汗)」って呼ぶ人が多いよね。コメディドラマの『New Girl』で覚えた。口が汗をかくって表現、妙にしっくりくる。

7. 海外の名無しさん(>>6への返信)
うちでは「熱いツバ」って呼んでる。あれが出てきたら家族全員、無言で道をあける。

8. 海外の名無しさん
こういう反応が進化で身についたってのがすごい。ご先祖さまはいったいどれだけ吐いてたら、これが生き残りに有利になるくらいの差になったんだ?

9. 海外の名無しさん(>>8への返信)
冷蔵庫もない時代に、傷んだ物を食べるたびに吐いてたら、歯がもたないのは死活問題だったんじゃないかな。歯が無くなったら食べられないし。

10. 海外の名無しさん
吐く代わりに下から出すって選択肢はないのか、と思ったことがある。

11. 海外の名無しさん(>>10への返信)
腸は何メートルもあって、ゆっくり通る物から栄養を吸い取るように作られてる。吐くのは「これは体に悪いかも」と判断した物を、吸収される前に止めるための非常手段なんだよ。わざわざ長い吸収コースに送り込んだら意味がない。

12. 海外の名無しさん(>>10への返信)
ちなみに体が両方いっぺんにやる胃腸炎っていう地獄もある。経験者として言うけど、選べるなら吐くほうがまだまし。

13. 海外の名無しさん
変な体質があって、急に何の前触れもなく気持ち悪くなるんだ。胃のあたりから、吐き気がだんだん上がってくる感じ。のどまで来て「よし、吐くぞ」と覚悟した瞬間、その感覚がさらに上へ抜けて鼻の奥まで行って、盛大なくしゃみが出る。くしゃみのあとは吐き気がきれいに消えてる。何年も心配してたけど、調べたら同じ人がけっこういて、迷走神経が関係してるらしい。

14. 海外の名無しさん(>>13への返信)
どういう神経の配線ミスなのか想像もつかないけど、自分にはなくてよかった……。いや、吐かずに済むならむしろうらやましいのか?

15. 海外の名無しさん
吐く前の生唾は経験ないけど、逆流性食道炎を治す前は、やたら唾液が出てた。胃酸の逆流と唾液ってつながってるんだなと今になって思う。

※注:胃食道逆流症(逆流性食道炎など)は、ヘルスダイレクトでも歯の酸蝕の原因のひとつに挙げられている。逆流と唾液の量の関係はこのコメントの体験談で、症状がある人は医師に相談を。

16. 海外の名無しさん
僕の場合は、首から頭にかけて冷たくてじっとりした波が走って、そのあとに口が唾でいっぱいになる。それが来たら引き返せない合図。えずきの反射が人一倍強いから、吐くのは本当にこの世で一番嫌い。

17. 海外の名無しさん
唾が出てきたら飲み込まずに、出てくるそばからひたすら吐き出し続けると、吐かずに済むことがある。おさまるまで何分でも続ける。

18. 海外の名無しさん(>>17への返信)
いやいや、なんでわざわざ我慢するんだ。体が胃の中の物を一刻も早く出したがってるなら、出させてやったほうがいいって。

19. 海外の名無しさん(>>18への返信)
吐くのは大嫌いだけど、自分も結局は流れに任せたほうが楽だと思う。前回は慌てて過呼吸にならないよう落ち着いてたら、思ったほどつらくなかった。

※注:唾を吐き出すと吐き気がおさまる、という話は個人の体験談で、効果が確かめられた方法ではない。

20. 海外の名無しさん
えずくだけで何も出ない空吐きなら、歯はほとんど傷まないと思う。のどと腹筋はボロボロになるけどね。歯のエナメル質が痛むのは、本当に胃酸が上がってきたとき。もし酸っぱいのが上がってきたら、すぐに歯みがきはしないで、まず水ですすいで。酸に浸かった歯を磨くと、あっという間にすり減るから。

21. 海外の名無しさん(>>20への返信)
これ知らなかった。吐いたらすぐ歯を磨くのが正しいマナーだと思って、毎回ゴシゴシやってたよ……。

22. 海外の名無しさん
食中毒で5回吐いて、キャップ1杯の水を飲んでもまた吐く、っていう状態で脱水がひどいときはどうすればいいんだ?

23. 海外の名無しさん(>>22への返信)
自分なら迷わず病院に行く。水が一口も入らないのは自力でどうにかする段階じゃないと思う。前に同じ状態で救急に行ったら、点滴一本で別人みたいに楽になった。

24. 海外の名無しさん
そもそも、歯がもっと丈夫にできてればこんな仕組みいらなかったのでは。人体で一番時代遅れのパーツだろ、歯って。

まとめ

吐く前の生唾は、冷や汗と並ぶ嘔吐の前ぶれとして知られ、唾液には酸を薄めて中和し、歯を守る働きがあります。「胃酸に備えるため」という説明は筋が通っていますが、直接確かめた研究は見当たらず、言い切るには少し慎重さが要りそうです。コメント欄では「トイレへ走る合図」「猫にも使える」という実用派が多く、吐いたあとすぐ歯を磨かないという助言に驚く声もありました。口の中が酸っぱくなったら、まず水ですすいで少し待つ。それだけは覚えておいて損はなさそうです。

参考資料

元ソース: 吐く前に唾液が出るのは、これから上がってくる胃酸から歯を守るための体の仕組みだった

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