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「悪役の名字も、冒頭の舞台も、映画のタイトルも同じ四角形から取られていた」ノーラン『TENET テネット』が2000年前のローマから借りた5語

「悪役の名字も、冒頭の舞台も、映画のタイトルも同じ四角形から取られていた」ノーラン『TENET テネット』が2000年前のローマから借りた5語 歴史

「サトール」「アレポ」「テネット」「オペラ」「ロータス」——クリストファー・ノーラン監督の『TENET テネット』を観た人なら、この5つの単語すべてに心当たりがあるはずだ。悪役の名字、贋作師の名前、映画のタイトル、冒頭の舞台、そして保管庫を手がけた会社。じつはこの5語、ノーランが考えたものではない。2000年近く前のローマ人が、壁や床に刻んでいた文字列だった。

※注:『TENET テネット』は2020年公開のノーラン監督作。時間の流れが逆向きになった人や物が登場するアクション作品で、日本でも劇場公開されています。以下、筋書きの核心に触れるネタバレはありません。

今日の知ってた?

📏 ラテン語の5語「SATOR / AREPO / TENET / OPERA / ROTAS」を5×5のマス目に並べると、横に読んでも縦に読んでも、さらに逆から読んでも、まったく同じ25文字が現れる。「サトール・スクエア」と呼ばれるこの文字の四角形は、年代がはっきりしているものでは西暦79年のヴェスヴィオ噴火で埋もれたポンペイの遺跡から見つかっている。映画『TENET テネット』は、この5語を登場人物名・組織名・舞台としてすべて作中に配置している。

背景:縦横どちらから読んでも同じ、という仕掛け

まずは実物を見てもらったほうが早い。5語を1行ずつ、上から順に並べる。

  • S A T O R
  • A R E P O
  • T E N E T
  • O P E R A
  • R O T A S

ここからが本題だ。今度は縦の列を、上から下へ読んでみてほしい。いちばん左の列は上から S・A・T・O・R で「SATOR」。2列目は A・R・E・P・O で「AREPO」。3列目は T・E・N・E・T で「TENET」。以下同じで、横に読んだ5語と、縦に読んだ5語が完全に一致する

さらに、いちばん右下の「S」から出発して、右から左・下から上へと逆向きに25文字を拾っていっても、やはり SATOR AREPO TENET OPERA ROTAS の順で現れる。つまりこの四角形は、紙を180度ひっくり返しても文字の並びが変わらない。上下左右のどこを起点にしても同じ文章が読める、という構造になっている。

日本語の回文が「たけやぶやけた」のように一直線の往復で成り立つのに対し、サトール・スクエアは平面(縦と横)で同時に成立している。ここが決定的に違う点で、コメント欄でも「これは回文というより二次元の回文だ」と表現している人がいた。

ちなみに中央の「N」は、25文字のうちたった1回しか出てこない唯一の文字だ。真ん中の行と真ん中の列がどちらも「TENET」で、その2本がこのNの上でぴたりと十字に交差する。映画のタイトルが四角形のど真ん中に据えられているのは、偶然ではないだろう。

もう少し詳しく

映画のどこに5語が置かれているか。整理すると気持ちいいほどきれいに散らばっている。SATOR=ケネス・ブラナー演じる悪役、アンドレイ・セイターの名字。AREPO=物語の発端になる贋作を描いた画家、アレポ。TENET=映画のタイトルであり、作中で合言葉として使われる言葉。OPERA=冒頭、オペラハウスで展開する大規模な作戦シーン。ROTAS=美術品保管庫(フリーポート)を手がけた建設会社ロータスの社名。主要な固有名詞のほとんどが、1枚の古代の文字盤から取られていたわけだ。

ところが、肝心の意味は今も決着していない。よく引かれる訳は「農夫アレポは車輪を丹念に扱う」といったもので、SATOR(種をまく者・農夫)、TENET(保つ・握る)、OPERA(骨折って・入念に)、ROTAS(車輪を)はラテン語として読める。問題はAREPOで、この単語はラテン語の辞書に存在しない。人名だと仮定すれば文として通る、というのが有力な見方だが、ガリア語由来で「鋤(すき)」を意味するという説、そもそも回文を成立させるために作られた無意味な綴りだという説もあり、定説はない。「農夫が車輪を扱う」という訳自体、意味が通っているようで妙に据わりが悪く、研究者の間でも解釈は割れている。

「主の祈り」の並べ替え説。1926年に指摘された有名な着眼点として、25文字を並べ替えるとラテン語の主の祈りの冒頭「PATERNOSTER(パーテル・ノステル)」が十字型に2回作れ、A と O が2つずつ余る、というものがある。A と O はギリシャ文字のアルファとオメガ(始まりと終わり)に対応する——だからこれは初期キリスト教徒の暗号だ、という解釈だ。ただしポンペイが埋まったのは79年で、その時点の当地にキリスト教徒がどれだけいたのかという年代の問題があり、この説にも異論は多い

広まり方は完全にお守り。意味が不確かなまま、この四角形はローマ帝国の各地に散らばっていく。シリアの遺跡からも、ローマ時代のブリタンニア(現在のイギリス)からも出土しており、中世に入るとヨーロッパの教会の壁や写本にまで現れる。用途として記録に残っているのは、火事よけ、狂犬病よけ、悪霊よけといったもの。意味が分からないからこそ強い力があると思われた、という順序だったのかもしれない。

海外の反応

1. 海外の名無しさん
単なる回文じゃないんだよ、これ。二次元で成立している回文なんだ。マス目に並べると、上から下に読んでも左から右に読んでも SATOR AREPO TENET OPERA ROTAS になる。しかも AREPO を人名だと仮定すれば、文法的に成立したラテン語の文にもなっている。

2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
こういうこと。S A T O R/A R E P O/T E N E T/O P E R A/R O T A S。実際に紙に書いてみると、縦の列がそのまま同じ5語になっていて一瞬ぞわっとする。何のために作られたのかは誰にも分かっていなくて、一種の魔よけだったんじゃないかと言われている。

3. 海外の名無しさん(>>1への返信)
訳としてよく見るのは「農夫アレポは車輪を丹念に扱う」あたり。ただ正直、意味が通っているようで通っていない。AREPO はラテン語の辞書に載っていない単語だから、人名ということにしておかないと文が成り立たないんだよね。

4. 海外の名無しさん
毎回この話題で気になるんだけど、「深遠な意味が隠されている」前提で語られすぎだと思う。2000年前の誰かが「縦横どっちからでも読める並びを作れた、すごくない?」と壁に書いただけ、という可能性も同じくらいあるはずで。

5. 海外の名無しさん(>>4への返信)
つまり古代版の「あのS」だよな。中学生が誰に教わるでもなくノートの端に描いていた、あの立体っぽいS。2000年後の学者が真剣に宗教的意味を論じていると思うと、なかなか味わい深い。

6. 海外の名無しさん
そして映画そのものが、この四角形と同じ構造をしている。真ん中で折り返して、行きと帰りで同じ道をたどる作り。5語を名前として散らしたのは飾りではなくて、構造の宣言だったわけだ。

7. 海外の名無しさん(>>6への返信)
劇場で2回観たのに、悪役の名字がサトールだったことにも、会社名がロータスだったことにも今日まで気づいていなかった。全部目の前に置かれていたのに、まったく見えていなかったのがちょっと悔しい。

8. 海外の名無しさん
ノーランが映像とプロダクションの面で頂点に近いのは認める。でもそろそろ脚本は誰かに任せてほしい。あの作品は効果もシークエンスも文句なしなのに、映画として必要なものがそれだけじゃないんだよ。仕掛けの説明に人物が食われている。

9. 海外の名無しさん(>>8への返信)
そこは求めるものの違いだと思う。あれは演技を見せる映画でも社会にメッセージを投げる映画でもなくて、根っこはアクションスリラーでしょ。難解かと言われれば確かに難解だけど、格闘シーンと物量で殴ってくる映画としては最高の部類だった。

10. 海外の名無しさん
劇場で観て、途中で本気で出ようかと思った。今まで観たどの映画より音の調整がひどくて、折り返し地点では誰も筋を追えていなかった。周りの客が普通に雑談を始めて、スマホを見ていた。字幕付きならまったく別の体験なんだろうけど、あのとき払った金額分は返してほしい。

11. 海外の名無しさん(>>10への返信)
配信で字幕を出して観直したら、まるっきり違う映画だった。セリフが聞き取れないせいで難解ということにされていた部分が、けっこうな割合であったと思う。

12. 海外の名無しさん
公開当時ずいぶん叩かれていたけれど、自分は家で観られたのが大きかった。止めて、ひと息入れて、今の理解で合っているか調べてから再開できたので。決して頭がいいほうではないので、ぎりぎりしがみついていた感じ。最後には好きになったけど、人には勧めにくい。ああいう映画が好きな人向けだ。

13. 海外の名無しさん(>>12への返信)
自分と友人たちは『プライマー』を同じやり方で観た。1シーンごとに止めて言い争いながら進める会。あれをテネットでもう一度やるのは、たぶん楽しい。

14. 海外の名無しさん
ノーランの最高傑作ではないと思う。でも、同じ格闘シーンが順方向と逆方向の両方から同時に進んでいくあの場面は、映画史でもかなり異様な部類の映像だった。理屈が全部わからなくても、見ているだけで楽しい。

15. 海外の名無しさん
自分はこれがノーラン作品でいちばん好き。公開直後の評判を考えると言いにくかったけど、最近になってようやく擁護する声を見かけるようになってうれしい。

16. 海外の名無しさん(>>15への返信)
自分は『メメント』『プレステージ』に次いで3番目。不当に低く見られている作品だと思う。あの2本が好きな人なら、テネットも構造を追いかける楽しさは同じ場所にあると気づくはず。

17. 海外の名無しさん
ロバート・パティンソンが本当に良かった。あと個人的に、映画の別れのシーンとして忘れられないものが2つあって、どちらもこの作品に入っている。とくに老練な英国俳優と交わす短い別れの場面は、ノーラン作品の常連だった彼へのはなむけみたいに見えた。

18. 海外の名無しさん(>>17への返信)
パティンソンについては、この一本で評価が完全にひっくり返った。以前は正直あまり期待していなかったのに、今では出演作を追いかけるようになってしまった。

19. 海外の名無しさん
映像と音は素晴らしかったけど、主人公にはまったく乗れなかった。悪役の妻を守ろうとする動機がどこから来ているのか最後まで分からず、恋愛方向の含みがあったのかどうかも判別できなかった。「私が主人公だ」というくだりも自分には響かなかった。

20. 海外の名無しさん(>>19への返信)
あれは恋愛じゃなくて、単純に「これ以上痛めつけられているのを見ていられない」という人としての反応だと思って観ていた。恋愛の線を探すと確かに何も見つからないから、そこで引っかかる人が多いのは分かる。

21. 海外の名無しさん
北欧のフォークバンド、ヘイルングがこの文字列をそのまま歌詞にした曲を出している。暗い民族音楽系が平気な人には強く勧めたい。意味の分からないラテン語をひたすら唱えられると、魔よけとして使われていたという説にいきなり説得力が出てくる。

22. 海外の名無しさん
この四角形、出土する場所の範囲がとんでもない。シリアの遺跡からもローマ時代のブリタンニアからも見つかっていて、中世には教会の壁や写本にまで書かれている。火事よけ、狂犬病よけ、悪霊よけと、用途がだんだん増えていくのが人間っぽくて好き。

23. 海外の名無しさん(>>22への返信)
25文字を並べ替えると「PATERNOSTER」が十字に2回作れて、A と O が2つずつ余るという指摘もある。アルファとオメガに対応する、という読み方。ただ年代が合わないという反論も根強くて、結局これも決定打にはなっていない。

24. 海外の名無しさん
正直に言うと、映画本編よりこの四角形の話のほうが面白い。2000年前に誰かが縦横どちらからでも読める並びを組み上げて、意味も目的も分からないまま帝国中に広まって、今もまだ答えが出ていない。仕掛けとしてはノーランの完敗だと思う。

まとめ

5×5のマス目に並べると、縦・横・逆順のどこから読んでも同じ25文字が現れる——サトール・スクエアは、意味も目的も分からないまま2000年生き延びてきた古代の言葉遊びだ。ノーランはそれを、悪役の名字から冒頭の舞台、会社名、そして映画のタイトルにまで丸ごと解体して埋め込んだ。コメント欄は「二次元の回文」に感心する声と、『TENET テネット』という映画そのものへの賛否がきれいに二層になり、最後は「映画より四角形のほうが面白い」という身も蓋もない一言で締まっていた。ちなみに古代のほうの答えは、今も出ていない。

元ソース: ノーラン監督『TENET テネット』には、ローマ時代の回文「サトール・スクエア」の5語すべてが登場している。最古級の実例はポンペイの遺跡から見つかった

コメント

  1. Reddit名無しさん より:

    ノーランは日本アニメの影響を受けてるからSF初心者にはウケるのかも