「約6〜9ミリの隙間なら、蜂は巣を作らず、ふさぎもしない」巣を壊さずに蜜をとれるのは、19世紀の牧師が見つけたこの“数ミリ”のおかげだった

「約6〜9ミリの隙間なら、蜂は巣を作らず、ふさぎもしない」巣を壊さずに蜜をとれるのは、19世紀の牧師が見つけたこの“数ミリ”のおかげだった 自然・科学

養蜂家が巣箱のフタを開けて、蜜がぎっしり詰まった巣枠を一枚ずつ引き上げていく。テレビや写真で見たことがある人も多いだろう。あの作業ができるのは、実はほんの数ミリの「隙間」のおかげだという。19世紀のアメリカで、ある牧師が気づいた「蜂が手をつけない幅」の話だ。

※注:「巣枠(すわく)」は、巣箱の中に吊り下げて並べる木の枠のこと。蜂はこの枠の中に巣を作るので、枠ごと取り出せば、巣を壊さずに中を見たり蜜をとったりできる。

今日の知ってた?

🐝 1851年、アメリカ・フィラデルフィアの牧師ロレンゾ・ラングストロスは、ミツバチが巣の中の隙間をどう扱うかは、その幅で決まることに気づいた。およそ6〜9ミリの隙間なら、蜂はそこに巣を作ることも、埋めてふさぐこともしないとされる。この「ビースペース」を巣枠のまわりに残しておけば、枠が巣箱にくっついて抜けなくなるのを防げる。養蜂家が巣箱を壊さずに枠を持ち上げられるのは、この数ミリのおかげだ。

背景:ラングストロスと「ビースペース」

ミツバチは、蜜ろうで作った板のような巣(巣板)を、何枚も平行にぶら下げて暮らしている。巣板と巣板のあいだには、蜂が歩いて通るための通路が残されている。蜂はこの通路の幅に、かなりこだわりがあるらしい。隙間が狭すぎると、プロポリス(木の芽などから集めた樹脂に蜜ろうなどを混ぜた、ヤニのような物質)で埋めてしまう。逆に広すぎると、そこにも巣を作り足してしまう。ちょうどいい幅のときだけ、通路としてそのまま残しておく。この幅が「ビースペース」と呼ばれるものだ。数字は資料によって多少ちがい、元スレッドでは約6〜9ミリとされている。

昔の巣箱では、蜂は巣を天井や壁にじかにくっつけて作っていた。絵本やイラストでおなじみの、わらを編んだ釣り鐘形の巣箱(スケップ)や、丸太をくり抜いた巣箱では、蜜をとるには巣を切り取るか、巣箱ごと壊すしかない。群れを死なせてから巣を取り出すことも珍しくなかったとされる。

この隙間の性質を巣箱の設計に取り込んだのが、フィラデルフィアに住んでいた牧師ロレンゾ・ロレイン・ラングストロスだ。巣枠と巣箱の壁のあいだ、巣枠とフタのあいだにビースペースを空けておけば、蜂は枠を箱にくっつけてしまわない。ラングストロスはこの考え方をもとに、上から枠を一枚ずつ抜き出せる巣箱を考案し、特許を取った。これが「ラングストロス式巣箱」で、彼は「アメリカ養蜂の父」とも呼ばれている。ちなみにラングストロス本人は、生涯にわたって重い気分の落ち込みにたびたび悩まされたと伝えられている。

もう少し詳しく

枠ごと抜き出せると、何が変わったのか。まず、巣を壊さずに蜜をとれるようになった。蜜のたまった枠だけを抜き出し、蜜を取り出したあとの巣板を箱に戻せば、蜂は巣を一から作り直さずに済む。それ以上に大きかったのが、巣箱の中を点検できるようになったことだ。女王蜂がちゃんと卵を産んでいるか、幼虫が育っているか、病気やダニが出ていないか。枠を一枚ずつ持ち上げて確かめ、傷んだ巣板を取り除くこともできる。

とはいえ、蜂がいつも計算どおりに動くとは限らない。ビースペースは絶対の決まりではなく、実際には隣の枠とのあいだに巣をまたがせて作ったり、フタや枠のふちをプロポリスで固めてしまったりすることもよくある。そのため養蜂家は、「ハイブツール」と呼ばれる金属のヘラのような道具で、くっついた枠をこじ開けながら作業するのが普通だ。

日本の養蜂では。日本でも、セイヨウミツバチを飼う養蜂では、巣枠を並べて入れる箱型の巣箱が広く使われており、ラングストロス式をもとにしたものが一般的とされる。一方、在来種のニホンミツバチでは、丸太をくり抜いた巣箱や、四角い木の枠を何段も積み重ねる「重箱式」の巣箱など、巣枠を使わない昔ながらの飼い方も各地で続いている。重箱式では、蜜のたまった上の段を切り離して蜜をとるやり方がよく知られている。

海外の反応

1. 海外の名無しさん
蜂蜜がどうやって作られているのか気になって調べていたときに、この話を知った。隙間が狭すぎるとプロポリスでふさがれるし、広すぎると巣で埋められる。ちょうどいい幅に収まっていれば、枠はいつまでたってもくっつかない。ラングストロス牧師はこの原理で巣箱の特許を取っていて、アメリカの特許番号は9300号、1852年10月5日付けだそうだ。世界中の商業養蜂の巣箱は、今でもほとんどがこの形らしい。

2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
養蜂やってます! ただ現場の感覚だと、蜂が枠をくっつけるのは今でも普通にある。だからみんな、枠をこじ開けるハイブツールを手放せないんだよ。巣箱の中に1日以上置きっぱなしで、蜂が外へ運び出せない物は、だいたいプロポリスで塗り固められて、そのうち巣までくっつけられる。何をどう固めてあるのか見るのは、本当に面白い。

3. 海外の名無しさん
蜂蜜をとるたびに巣を丸ごと壊していたなんて、想像しただけで悪夢だ。この牧師さん、ほとんど一人で養蜂という仕事を救ったようなものじゃないか。

4. 海外の名無しさん(>>3への返信)
何千年も、ずっとそういうやり方だったんだよ。絵でよく見る、わらを編んだ釣り鐘みたいな形の巣箱があるでしょ。あれは「スケップ」といって、下が開いていて、出入り口は小さな穴がひとつあるだけ。蜜をとる時期になると、巣も蜜も蜂もまとめて潰していたから、その群れはそこで終わり。次の季節には、また新しい群れを捕まえてこないといけなかった。今では残酷だというだけでなく、中を検査できないという理由で、養蜂に使うのを禁じている地域もあるらしい。

5. 海外の名無しさん(>>4への返信)
補足すると、いつも巣箱ごと潰していたわけじゃない。地域によっては、先の曲がった長いナイフで巣の一部だけ切り取っていたし、上に木の棒を渡して、そこから巣をぶら下げさせるカゴを使うところもあった。北米では、わらのスケップより、くり抜いた木の幹を巣箱にすることが多かったはず。中東では、横に寝かせた筒形の土の巣箱が使われていたと記憶してる。どれにしても、蜜をとるには巣を切り取るしかなかったけどね。

6. 海外の名無しさん(>>4への返信)
蜂ごと潰した巣から、どうやって蜜だけを取り出していたんだろう。死んだ蜂とか巣のかけらとか、どうしても混ざりそうだけど。

7. 海外の名無しさん(>>6への返信)
巣を布に包んでしぼったり、こしたりしていたらしいよ。残った蜜ろうはろうそくの材料になったから、それはそれで無駄にはならなかったとか。今は枠ごと遠心分離機にかけて、蜜だけを振り飛ばして取り出せる。空になった巣板はそのまま箱に戻せるから、蜂は巣を作り直さなくて済む。これも枠が抜き出せるからこそだね。

8. 海外の名無しさん(>>4への返信)
アメリカのユタ州は「蜂の巣の州」なんて呼ばれていて、州旗にもちょうどこの形の巣箱が描かれてるんだよね。これからはあの旗を見るたびに、潰された群れのことが頭に浮かびそう。

9. 海外の名無しさん
養蜂をやってる者です。これは「ビースペース」と呼ばれていて、蜂にとっては守るべき決まりというより「一応参考にしておく」くらいのものだと思ってほしい。枠に沿って巣を作らずに、隣の枠とのあいだにまたがせて作ったり、枠に対して直角に作ったりすることもよくある。枠が抜けなくなるほどひどいのはまれだけど、一枚持ち上げたら二、三枚いっしょに付いてくることはある。点検のときに早めに見つけたら、はみ出た蜜ろうをこそげ落として、巣箱の中に戻しておけばいい。蜂がそれを噛み砕いて、次は(できれば)ちゃんと作り直してくれる。

10. 海外の名無しさん(>>9への返信)
同じく養蜂家。ビースペースより謎なのがプロポリスだよ。聞いた話だと、木のヤニを蜂が吐き戻したものらしいけど、とにかく何でも塗り固める。枝でも、入り込んだ虫でも、うっかり置き忘れたハイブツールでも、外に運び出せない物は全部だ。うちには、出入り口を狭めるための板にヤニを盛られすぎて、カチカチに固まって二度と外せなくなった巣箱がある。

11. 海外の名無しさん(>>10への返信)
自分たちで噛み砕けない物は、何でも塗り込めてしまうからね。巣箱に入り込んで死んだトカゲやネズミ、ヘビの死骸もそう。牛の群れが通って巣箱をいくつか倒していったあと、13センチ近い隙間をまるごとふさいでいたのも見たことがある。侵入者をそのまま封じ込めるなんて、容赦がなさすぎる。

12. 海外の名無しさん(>>10への返信)
細かいけど、プロポリスは吐き戻したものじゃなくて、蜂が木の芽や樹皮から集めてきた樹脂に、蜜ろうなんかを混ぜたものなんだって。健康食品として売られているあのプロポリスも、元をたどればこの「巣箱の接着剤」だと思うと、ちょっと見る目が変わる。

13. 海外の名無しさん(>>9への返信)
点検のとき、ハイブツールで箱と箱を引きはがす「バリッ」という音。あれが聞けなくなって、少し寂しい。もう蜂は飼っていないけど、あの音だけは今でもたまに思い出す。

14. 海外の名無しさん
測った数字の話そのものは、すごく面白い。ただ「現代の養蜂はたった一つの測定に支えられている」という言い方は、さすがに盛りすぎだと思う。そんな言い方をすれば、どんな歴史だって「一人の人物のおかげ」にできてしまう。養蜂を今の形にした工夫なんて、ほかにも山ほどあるはずだよ。

15. 海外の名無しさん(>>14への返信)
それはそうだね。ラングストロスより前にも、目の見えない博物学者のフランソワ・ユベールが、本のページみたいに開いて中を見られる巣箱を作っていたし、今のポーランドにあたる地方でも、ジェジョンという司祭が巣と巣の間隔について似たような工夫をしていたと聞いたことがある。ラングストロスが大きかったのは、それを誰でも使える箱と枠の形にまとめたところなんじゃないかな。

16. 海外の名無しさん(>>14への返信)
それに、ラングストロス式が唯一の正解というわけでもない。自分は本業のかたわら蜂を飼っていて、あえて上に棒を渡すだけのトップバー式や、箱を下へ積み足していくタイプの巣箱を使ってる。巣の土台に使う蜜ろうのシートが、ダニ対策や幼虫の育ち方にどう影響するのか気になっていて、なるべく自然に近い形で飼いたいから。蜂蜜は、世話をがんばったごほうびくらいに思ってる。

17. 海外の名無しさん
群れを殺さずに蜜がとれる、というのは実はおまけで、本当に大きかったのは中を見られるようになったことだと思う。たとえば巣の中に新しい女王蜂を育てる部屋ができ始めていたら、群れが分かれて一部が巣を出ていく前触れであることが多い。枠を抜いて中を見られれば、それに気づいて先に手を打てる。巣箱が「蜂を住まわせる入れ物」から「群れの世話をするための道具」になったわけだ。

18. 海外の名無しさん(>>17への返信)
ダニの点検なんかもまさにそう。今の養蜂は、ミツバチヘギイタダニとの戦いみたいなところがある。巣を開けて中を見られなかったら、気づいたときには群れがもう手遅れ、ということになりかねない。

19. 海外の名無しさん
それにしても、ロレンゾ・ロレイン・ラングストロスって名前の響きがすごい。頭文字がL・L・Lで、どう聞いてもスーパーマンに出てくる悪役の名前だ。

20. 海外の名無しさん(>>19への返信)
昼は牧師ロレンゾ・ロレイン・ラングストロス、夜は正体を隠して蜂の味方「ビーキーパーマン」。頭文字をそろえた名前が大好きなスタン・リーが考えたキャラクターだと言われても信じる。

21. 海外の名無しさん
養蜂の歴史ならスロベニアも外せない。たしか1770年ごろ、ウィーンにできた養蜂学校で最初の先生になったのが、スロベニア出身のアントン・ヤンシャという人だった。5月20日の「世界ミツバチの日」は、この人の誕生日にちなんでいるんだって。

22. 海外の名無しさん
養蜂の話はずっと好きで、自分も趣味で蜂蜜酒を造っているから、地元の養蜂家さんとは長い付き合いがある。ただ残念なことに、自分自身が蜂アレルギーなんだよね。

23. 海外の名無しさん(>>22への返信)
わかる。自分も蜂を飼ってみたかったけど、父親が命に関わるレベルの蜂アレルギーで、ずっと諦めてた。……待てよ。蜂を飼えば、父は二度とうちに遊びに来られないってことか。最高じゃないか。

24. 海外の名無しさん
蜂が苦手な自分からすると、隙間が6ミリだろうが9ミリだろうが、あのフタを開ける勇気がある時点で尊敬しかない。枠を一枚持ち上げたら、何千匹もいっしょに付いてくるんでしょ?

25. 海外の名無しさん(>>24への返信)
子どものころ、村のお祭りに地元の養蜂家さんが見学用の巣箱を持ってきてくれたことがある。蜂がまわりを自由に飛んでいる中で作業を見せてくれたけど、誰も刺されなかった。落ち着いて扱えば、思っているほど怖いものじゃないよ。あの光景は今でも覚えてる。

まとめ

養蜂家が巣を壊さずに枠を抜き出せるのは、蜂がちょうどいい幅の隙間を通路として残す習性を、ラングストロスが巣箱の設計に取り込んだからだった。コメント欄では、現役の養蜂家たちが「蜂にとっては参考程度」と実情を明かし、何でも塗り固めるプロポリスの話で盛り上がった。一方で「一人の発見に支えられている」という言い方は大げさだという声もあり、それ以前の巣箱の工夫や、あえて別の飼い方を選ぶ人の話まで出てきた。

元ソース: 現代の養蜂は、1851年にフィラデルフィアの牧師が見つけたひとつの数値に支えられている。蜂に約6〜9ミリの隙間を残しておくと、蜂はそこに巣を作ることも、ふさぐこともしない。養蜂家が巣箱を壊さずに枠を持ち上げられるのは、ひとえにそのおかげだ

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