地球の内側が今も熱いのは、約46億年前にできたときの熱が残っているから——だけではないらしい。地表へ出てくる熱のおよそ半分は、岩石に含まれるウランやトリウムが今この瞬間も崩壊して出している熱だという。しかも、それを実測で確かめたのは岐阜県の鉱山の地下にある日本の観測装置だった。海外の掲示板では、そこから地球の年齢をめぐる昔の論争やバナナの放射能にまで話が広がっていた。
※注:「半減期」は、放射性の原子が崩壊して元の半分の数に減るまでにかかる時間のこと。「テラワット」は熱や電力の出力を表す単位で、1テラワットは1兆ワット。
今日の知ってた?
📏 地球の内部から地表へ逃げていく熱は、合計で約44〜47テラワットと見積もられている。そのおよそ半分は地球ができたときの余熱ではなく、地殻とマントルに含まれるウラン・トリウム・カリウムが放射性崩壊で今も生み出している熱だとされる。
熱源になっている同位体は、どれも半減期がとてつもなく長い。ウラン238が約45億年、トリウム232が約140億年、カリウム40が約12.5億年、ウラン235が約7億年。残りの熱は、地球が形成されたときから残っている「原始の熱」だ。
背景:地球の熱はどこから来るのか
地面は深く掘るほど熱くなる。その熱は少しずつ地表へ伝わり、最後は宇宙へ逃げていく。逃げていく熱の量は、世界各地の2万か所を超える掘削孔で測った温度などをもとに、約44〜47テラワットと見積もられている。
熱の出どころは大きく2つある。ひとつは原始の熱。無数の天体が衝突して集まり地球ができたときのエネルギーや、重い金属が中心へ沈んで核ができたときのエネルギーが、熱として閉じ込められたものだ。もうひとつが放射性崩壊の熱で、岩石にわずかに含まれるウラン、トリウム、カリウムの放射性同位体が、崩壊するたびに少しずつ熱を出している。
これらの同位体が46億年たっても熱源であり続けているのは、半減期が長いからだ。ウラン238の半減期は地球の年齢とほぼ同じなので、地球ができたときにあったウラン238は、今ようやく半分ほどに減ったところ、という計算になる。
内部の熱は、マントルの対流やプレートの動き、火山活動の原動力になっていて、核の中の対流が地磁気を生み出していると考えられている。ただし、地表の暖かさを決めているのは太陽のほうだ。太陽から届くエネルギーは約17万3000テラワットで、地球内部からの熱は全体の0.03%ほどにすぎない。
もう少し詳しく
掘れない場所の熱を、どうやって測ったのか。手がかりは「地球ニュートリノ」だ。ウランやトリウムが崩壊するときには、熱と一緒に反ニュートリノという素粒子が出る。物質とほとんど反応しないので、分厚い岩盤をすり抜けて地表まで届く。その数を数えれば、地球の中でどれだけ崩壊が起きているかを見積もれる。
これを世界で初めて捉えたのが、岐阜県飛騨市の神岡鉱山の地下1000メートルにある東北大学の観測装置カムランドだ。かつての観測装置「カミオカンデ」の跡地に作られ、1000トンの液体シンチレータ(放射線が当たると光る液体)で満たされている。2002年に観測を始め、2005年に地球ニュートリノの検出を初めて報告した。
2011年には、イタリアの観測装置ボレキシーノのデータと合わせた結果を科学誌『ネイチャー・ジオサイエンス』に発表した。ウラン238とトリウム232の崩壊による熱は約20テラワット(誤差は9テラワット近くある)。この方法では捉えられないカリウム40の分(約4テラワットとされる)を足しても、地表へ出ていく熱(この論文では約44テラワット)のおよそ半分にしかならない。つまり地球ができたときの熱は、まだ使い切られていない——というのが結論だった。
「ちょうど半分」と決まったわけではない。放射性崩壊の熱は15〜41テラワット、原始の熱は12〜30テラワットと、見積もりにはかなりの幅がある。カムランドが18年以上の観測をまとめた2022年の発表では、「地球の熱はすべて放射性崩壊でまかなわれている」というモデルが退けられ、放射性崩壊の熱を10〜20テラワット程度とみるモデルと合う結果になった。半分よりやや少ない可能性もあり、正確な内訳は今も研究が続いている。
ケルヴィン卿の「地球の年齢」。19世紀の物理学者ケルヴィン卿(ウィリアム・トムソン)は、熱い地球が冷えていく速さから年齢を計算し、1860年代に「2000万年から4億年」、1897年には「2000万〜4000万年」という見積もりを示した。実際の年齢は約46億年なので、桁が2つ違う。ベクレルが放射能を発見したのは1896年、ラジウムが熱を出し続けることが示されたのは1903年で、ケルヴィン卿が計算を始めた頃には、地球の中に熱源があるとは知られていなかった。ただ、放射性崩壊の熱を計算に加えても結論は大きく変わらず、誤りの主因は地球内部の対流を考えなかったことだとする研究(2007年)もある。対流の影響は、元助手のジョン・ペリーが1895年にすでに指摘していた。
人類が掘った一番深い穴。旧ソ連がコラ半島で1970年から掘り進めた超深度掘削坑は、1989年に深さ1万2262メートルに達した。底の温度が予想を超える約180度になって掘削は止まり、垂直方向の深さでは今も人類最深の記録だ。それでも、その場所の地殻(厚さ約35キロ)の3分の1ほどに届いただけで、地球の中心までは約6400キロある。
海外の反応
1. 海外の名無しさん
熱源になってる元素は、半減期がとにかく長い。ウラン238が約45億年、トリウム232が約140億年、カリウム40が約12.5億年、ウラン235が約7億年。ウラン238は太陽系の年齢とほぼ同じで、トリウム232に至ってはその約3倍もある。地球は内側からじっくり低温調理され続けてるようなものだね
2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
この熱がなかったら、地球の内部はとっくに冷えて固まってたかもしれないんだよね。プレートが動かなくなって、外核の流れも止まれば磁場も消える。そうなると太陽風に大気を削られて、火星みたいな不毛の星になってたって話
3. 海外の名無しさん(>>2への返信)
火星がああなったのは、結局サイズの問題が大きいらしい。小さい天体は体積のわりに表面積が広いから、できたときの熱も放射性崩壊の熱も、地球よりずっと早く宇宙に逃がしてしまう。中で崩壊が続いていても、冷える速さに追いつけなかったわけだ
4. 海外の名無しさん
人類が今の姿に進化する「チャンス」をもらうだけでも、いったいいくつの条件が重ならなきゃいけなかったんだろう。太陽との距離だけじゃなく、足元の岩の中身まで関係してたなんて
5. 海外の名無しさん(>>4への返信)
条件がそろってなかったら、それを眺めて感心する俺たちがそもそもいないからね。『銀河ヒッチハイク・ガイド』の作者ダグラス・アダムスの例えを借りると、人類は「この穴、自分の形にぴったりじゃないか」と感動してる水たまりみたいなものだよ
6. 海外の名無しさん(>>4への返信)
それだけの偶然が積み重なって生まれた人類なのに、スーパーの駐車場でショッピングカートを置き場まで戻さない人のほうが多いんだよな……
7. 海外の名無しさん(>>6への返信)
人類全員が礼儀を身につけるには、核の温度がまだ少し足りないんだろう。今のところ人類が自力で上げられたのは、地表の気温だけだ
8. 海外の名無しさん
放射能がまだ知られていなかった頃の地質学では、これが大問題だったんだよ。地層を見るかぎり地球は途方もなく古いはずなのに、熱の計算をすると、そんなに長いあいだ中が熱いままでいられるはずがない、という答えになってしまう
9. 海外の名無しさん(>>8への返信)
これだから科学が好きなんだ。「理屈ではこうなるはず、でも証拠はこう言ってる」となった瞬間に、それまで誰も思いつきもしなかったパズルのピースを探す旅が始まる
10. 海外の名無しさん
その計算をした代表格がケルヴィン卿だね。地球が冷えていく速さから年齢を見積もって、最後は「2000万年から4000万年」まで絞り込んでいた。計算を始めたのは放射能が見つかる前だから、地球の中に熱源があるなんて考えようがなかった
11. 海外の名無しさん(>>10への返信)
ただ「放射能を知らなかったから間違えた」という説明は、単純化しすぎだとする研究もあるんだ。放射性崩壊の熱を計算に足しても結論はほとんど変わらなくて、本当の穴は地球内部の対流を考えていなかったことだという。しかも元助手のジョン・ペリーが、1895年にもうそこを指摘してたらしい
12. 海外の名無しさん
これって、生命が住める惑星の確率の計算にも関係してくるのかな。恒星からちょうどいい距離にあるかどうかはよく話題になるけど、放射性元素が少ない惑星だと内側から温まれなくて、生命を保てなかったりしない?
13. 海外の名無しさん(>>12への返信)
この熱は地表にはほとんど届かないから、気温や天気には関係ないと思う。太陽から受け取るエネルギーに比べたら誤差みたいな量だし。ただ、放射性元素が少ない惑星は内部が早く冷えて、地質活動が続く期間が短くなる。そのぶん生命が育つ時間の窓も狭くなるんじゃないかな
14. 海外の名無しさん
大気の話もひとつ。空気の約0.93%はアルゴンという希ガスで、そのほとんどはカリウム40が崩壊してできたものなんだ。何とも反応しないから、ただ大気の中に溜まり続けてる。窒素、酸素に次いで3番目に多い気体が放射性崩壊の産物だというのが面白い
15. 海外の名無しさん(>>14への返信)
補足すると、カリウム40のうちアルゴンになるのは1割ほどで、残りはカルシウムになる。それと、人間の体が出している放射線の一番の出どころもこのカリウム40。バナナがごくわずかに放射能を持つのも同じ理由で、1本食べたときの被ばく量を目安にした「バナナ等価線量」(約0.1マイクロシーベルト)なんて冗談みたいな単位まである
16. 海外の名無しさん
つまり地熱発電って、元をたどれば半分くらいは原子力ってこと? だったら地上に大がかりな原発を建てなくても、数キロ掘って下の熱をそのまま使えばいいのでは。暖房に使う電気もかなり減らせそうだけど
17. 海外の名無しさん(>>16への返信)
それができれば苦労しないんだ。街を作りたいような場所はたいてい地殻が分厚くて、十分に熱い深さまで掘るのに金がかかりすぎる。人類が一番深く掘ったのは旧ソ連がコラ半島で掘った穴で、約12キロ(8マイル弱)。底が予想以上の高温になって、それ以上掘り進められなくなった
18. 海外の名無しさん(>>17への返信)
しかもその約12キロで、大陸の地殻の3分の1くらいまでしか届いてない。地殻そのものが地球の半径の1%にも満たない薄皮だから、中心までの道のりで言えば500分の1ほど進んだだけ。地球がどれだけ大きいかよく分かる
19. 海外の名無しさん(>>16への返信)
掘る深さ以外にも難しさがあるらしい。地下深くに水を送り込んで熱くして戻すと、溶け出した鉱物が大量に混ざってくる。硬水のものすごくひどい版を想像してほしい。配管が傷みやすくて、地熱は設備の手入れにかなり手間がかかるそうだ
20. 海外の名無しさん
素朴な疑問なんだけど、12キロしか掘れてないのに、地球の中で出ている熱の「半分くらいは放射性崩壊」だなんて、どうやって分かったんだろう。誰も見に行けない場所の話だよね
21. 海外の名無しさん(>>20への返信)
測ったのは、日本の鉱山の地下にあるカムランドという検出器だよ。ウランやトリウムが崩壊すると、地球をすり抜けて飛んでくるニュートリノが出る。その数を数えれば、中でどれだけ崩壊が起きているか見積もれるんだ。掘れないなら素粒子で覗けばいい、という発想がすごい
22. 海外の名無しさん(>>21への返信)
日本って火山と温泉の国でしょ。足元の熱の出どころを、その国の地下に置いた装置が突き止めたというのは出来すぎていて好きだな。次に温泉に入る機会があったら、ウランとトリウムにも少しだけ感謝しておく
23. 海外の名無しさん
ということは、いつか地球が冷えてきたら、核に向かって核爆弾を撃ち込めばいいってことだな。よし、解決策は見つかった
24. 海外の名無しさん(>>23への返信)
それ、映画『ザ・コア』(2003年)で見たやつだ。止まってしまった地球の核をもう一度動かすために、地中を掘り進んで核爆弾を仕掛けに行く話。科学的なツッコミどころは山ほどあるけど、なぜか嫌いになれない
25. 海外の名無しさん
この話、ここでは前にも何度か投稿されている定番ネタではあるんだよね。でも、誰かにとっては毎回初耳なわけで。自分も今日が初めて知る側だった。久しぶりに本当に面白い話を読めたよ
まとめ
地球の内部から出てくる熱のおよそ半分は、ウランやトリウムなどの放射性崩壊が今も生み出している熱で、残りは地球ができたときの余熱だとされる。実測で示したのは岐阜県の地下にある観測装置だった。コメント欄は半減期の長さへの驚きから、ケルヴィン卿の年齢計算、大気中のアルゴン、地熱発電は原子力なのかという疑問へと広がった。足元で46億年続いている「低温調理」を思うと、地面の見え方が少し変わる。
元ソース: 地球内部の熱の半分は、惑星ができたときの余熱ではなく、地殻やマントルに含まれるウラン・トリウム・カリウムなどの同位体が今も続けている放射性崩壊から来ていると知った。

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