ガーナの古着市場で「死んだ白人の服」と呼ばれる理由|海外で過剰消費批判が大紛糾

文化・社会

世界有数の古着輸入国、それは西アフリカのガーナ。首都アクラの巨大マーケット「カンタマント」には毎週1500万着もの中古衣料が欧米から流れ込み、現地の人々はこれを「オブロニ・ワウ」――現地語で「死んだ白人の服」と呼ぶ。「これだけの量を手放すなんて、持ち主は死んだに違いない」という発想から来たとされる呼び名で、いまでは欧米の使い捨て文化に対する痛烈な皮肉としても語られる。海外掲示板で議論が大紛糾。

※注:「オブロニ・ワウ(Obroni Wawu)」はアカン語(ガーナ南部の主要言語の一つ)。直訳すると「白人が死んだ服」。由来は、欧米人がこんな大量の服を捨てるなんて死んだとしか思えない、という説明がよく知られている(まだ着られる服を手放すことに驚いたという説明もある。本文「背景」参照)。

今日の知ってた?

👕 ガーナは世界有数の中古衣料輸入国。首都アクラのカンタマント市場には毎週1500万着が流入する。

これはガーナの全人口(約3300万人)に対し、年間にすると国民1人あたり約25着分。輸入された衣料の約40%は売れ残り、ゴミ処分場や海岸に捨てられている。

背景:「死んだ白人の服」という呼び名

ガーナでは欧米から大量輸入される中古衣料を「オブロニ・ワウ(Obroni Wawu)」と呼ぶ。アカン語で「白人が死んだ服」の意味。スレッドのタイトルでは「品質が高すぎて持ち主は死んだに違いない、と思われたから」と紹介されていた。

これに対して海外掲示板では、「持ち主が死ぬくらいでないと、こんな大量の服を手放すはずがない」――つまり欧米の過剰消費文化に対する皮肉だ、「これは品質の話じゃない、欧米のオーバーコンサンプション批判だ」という訂正コメントが殺到し、このタイトルの解釈が議論の中心に。

ただ、由来をはっきり書き残した記録は見当たらず、現地で聞かれる説明も一つではない。2021年に支援団体オア財団とカンタマントを訪ねた衣料問題のプロジェクト「フィクシング・ファッション」は、ガーナの独立後に米国の業者が余った衣類を輸出し始め、取引が急拡大したころに生まれた呼び名で、「これほど大量の物を手放すのは死んだ人くらいだ」という思い込みから来ていると紹介している。当時のガーナの多くの人には、服が余るという状況そのものが考えられなかったのだという。一方で、「まだ十分着られる服を捨てる人などいるはずがない」という、品質の良さに驚いたことを由来とする説明も現地で聞かれる。どちらか一方だけが正しいと言い切れる資料は見当たらない。

呼び名が生まれたころと今とでは、届く服の中身も変わった。同じフィクシング・ファッションの報告によると、いまカンタマントに届く服の多くはファストファッションの品質の低いもので、量だけが膨大になり、ガーナでさえほとんど値がつかないという。

もう少し詳しく

カンタマント市場の数字。 ガーナ最大の中古衣料市場カンタマント(首都アクラ)には、毎週1500万着もの古着が、イギリス、ヨーロッパ、北米、オーストラリアから流入する。2021年の豪ABC放送の報道によると、世界では毎年最大400万トンの古着が国境を越えて取引されていて(取引額は推定46億ドル)、アクラには毎週およそ60個のコンテナで古着が届き、輸入業者は中身を確かめられないまま1コンテナに最大9万5,000ドルを払う。開けてみて状態が良ければ最大1万4,000ドルの利益になるが、破れや染み、流行遅れの服ばかりなら丸損だ。1梱包55キロの古着の山を狭い路地で運ぶのは「カヤイェ」と呼ばれる女性の頭上運搬人で、ABCが取材した女性の稼ぎは1日約4.5ドルだった。ちなみに「世界最大の古着輸入国」という言い方はよく見かけるが、国連の貿易統計をもとにした2015〜19年の重量の比較では、最も多いのはパキスタン(年64万トン)で、ガーナ(年12万トン)は9番目。ただし、国によって統計の集め方がまちまちで、重さではなく金額で報告する国もあるため、順位はあくまで目安だ。

捨てられる4割の行き先。 輸入される衣料のうち約40%は品質が悪すぎて売り物にならず、カンタマントからは毎週およそ600万着がゴミとして運び出される。アクラが処理できるゴミは1日2,000トンだが、実際にはその倍近くが出ていて、ABCによれば、世界銀行が資金を出した950万ドルの事業として2013年に15年分の容量で開いたクポネの処分場は、5年で満杯になったうえ火災を起こした。押し固めにくい布が、中にメタンガスをため込んでいたためだ。海に流れ出た服は、長さ2.4〜9.1メートルにもなる「触手」のような塊になって砂浜に打ち上げられ、掘り出すこともできないほど砂に絡みついている。

地元繊維産業を破壊した側面。 ガーナはもともと豊かな伝統染織文化を持ち、自国の繊維産業も活発だった。しかし安価な欧米古着の大量流入により国内のアパレル製造はほぼ壊滅。一方で、輸入・卸売・小売・仕立て・運搬・修繕などで約3万人の雇用を生んでいる側面もあり、評価は単純ではない。カンタマントでは、傷のある良い服を直したり染め直したりして高く売り直す職人も腕をふるっている。オア財団は、ゴミを分別・回収する市場の人たちのチーム「カンタ・キーパーズ」に賃金を払い、2022年10月からは市場の人たちと組んで、カンタマントと、ガーナの持続可能な暮らしの伝統をたたえる祭り「オブロニ・ワウ・オクトーバー」を毎年開いている。

「拡張生産者責任」の議論。 ファストファッションのアパレルブランドが衣料の最終処分まで責任を持つべき、という「拡張生産者責任(Extended Producer Responsibility)」の制度化を求める声が欧米でも広がっている。「私たちが捨てた服のゴミ処理を、なぜガーナが負担するのか」という問題提起だ。ABCによれば、人々はいま15年前より6割多く服を買い、その半分の期間しか着なくなっている。ABCの取材に、アクラ市の廃棄物担当者は「私たちは、ヨーロッパや南北アメリカなどで出た繊維ごみの捨て場になってしまった」と語っている。

海外の反応

1. 海外の名無しさん
(マックルモアの曲『Thrift Shop』を引用)「お前のじいちゃんの服を着る、超かっこよく見える」――哲学者ハガティ&ルイスはこう述べた。

2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
俺、このでかいコートに包まれてる。

3. 海外の名無しさん(>>1への返信)
忘れちゃいけない、「お前のばあちゃんの、おばさんの、母さんの!」

4. 海外の名無しさん
どこかの国に、Tシャツを着て「インディアナ・ペイサーズが2025年のNBAチャンピオン」だと信じている子供がいるんだろうな。

5. 海外の名無しさん(>>4への返信)
別の誰かは「ペイトリオッツの完全無敗シーズン」を熱く語ってるはず(編注:実際は最後に1敗してスーパーボウルで負けた)。

6. 海外の名無しさん(>>4への返信)
どこか貧しい国の青年が「バッファロー・ビルズはNFL史上最強の王朝」と思って育ってるかもしれない。

7. 海外の名無しさん
原文サイトには「これだけの量を手放すには持ち主が死ぬしかない、つまり過剰消費の概念がガーナにはなかった」と明記されてる。品質の話なんてどこにも書いてない。投稿者のタイトルが完全に間違ってる。

8. 海外の名無しさん(>>7への返信)
「白人の服は高品質だから死ぬまで手放さないんだ」みたいな解釈、白人優越のバイアスが透けて見えてキモい。元の意味は「死人の遺品整理」「過剰消費批判」のほう。

9. 海外の名無しさん(>>7への返信)
俺ガーナ人だけど、これ本当にそう。「あなたの英語の先生がガーナの人はカメラに魂を吸われると信じてるって本に書いてある」と言ったのを訂正したら「本に書いてある」で却下された経験がある。元の意味を正しく伝えたいよ。

※注:呼び名の由来をはっきり書き残した記録は見当たらない。「大量の服を手放すのは死んだ人くらいだ」という説明がよく知られている一方、「まだ十分着られる服を手放すはずがない」という品質に驚いた説明も現地で聞かれる(本文「背景」参照)。

10. 海外の名無しさん
これがガーナの繊維産業を破壊して、その上で米国の慈善ロビー団体が「ガーナのために寄付してください」と募金集めの口実にしてる。誰も「慈善」を表立って批判できないから、止められない。中古寄付は実はガーナよりアメリカ人のほうが得をしてる構造。

11. 海外の名無しさん(>>10への返信)
ファストファッション業界はマジで地球の害悪。「ファッションの未来」が、3着の良質な服を着倒すスタイルになってほしいくらいだ。

12. 海外の名無しさん(>>10への返信)
公平に言うと、現地で約3万人の雇用(輸入・卸・小売・仕立て・運搬・修繕)も生んでる。世界最貧国の一つで「服にお金を使うか食料に使うか」という現実もある。問題は「投棄ゾーン化」――欧米の輸出業者が選別をろくにせず大量に送りつけ、結局ガーナのゴミ処分場に捨てられる構造のほう。アパレルブランドに最終処分の責任を持たせる「拡張生産者責任」制度が必要。

※注:世界銀行によると、ガーナは2011年に中所得国の仲間入りをしている。ただし、いまも人口の2割以上が貧困状態にあり、北部州やサバンナ州では5割を超える。

13. 海外の名無しさん
寄付された服の山が処理しきれず、海岸に積まれて、結局海に流れていく。大西洋ゴミ問題の大きな原因の一つ。新品より中古を買おう、みんな。

14. 海外の名無しさん
平均的なアメリカ人は年間約36kg(80ポンド)の服を捨ててるらしい。俺は10年で36kgくらい。誰かがシーズンごとにクローゼット総入れ替えしてるってことだな。

15. 海外の名無しさん
カンタマントは毎週1500万着の古着が流入。輸入の40%が廃棄物としてガーナの埋立地行き。欧米の捨てた服が物理的にガーナに「投棄」されてる。

16. 海外の名無しさん
ガーナの友達がいて、ガーナの服を持ってきてくれたことがある。本当に質が高くてスタイルもクール。地元産業がもっと残れば良かったのに。

17. 海外の名無しさん
ガーナがなぜ最大なんだろう? 俺はウガンダ住みだけど、ここも人口多くて服のほとんどが中古。最近は中国の安い新品が増えて中古は減ったけど、まだ大半が中古。

18. 海外の名無しさん
これ、白人の「Africa is one country」的誤解の典型。アフリカは国じゃない。ガーナの話。ちゃんと「ガーナの話」と言おう。

19. 海外の名無しさん
チリだと思ってた。アタカマ砂漠に文字通り中古衣料の山が積まれてる。

20. 海外の名無しさん
寄付の大半がボロ布扱いで、その売上(雀の涙)で中国から最安の生地を買ってる。慈善団体は安く商品を仕入れて利益を出し、企業は安くゴミ処分できて慈善活動として税控除も受けられる。儲かってるのは欧米側。

21. 海外の名無しさん
俺が古着屋で働いてた時の話。よく寄付に来た人と話したけど、「亡くなった親のアパートを片付けてる」というケースが本当に多かった。だから稀に超高価な掘り出し物が紛れる――おばあちゃんの「安物アクセサリー」と思って寄付された箱の中に、鑑定2000ドルの本物が混じってたりする。「死んだ白人の服」って表現、思ったより文字通りなんだ。

22. 海外の名無しさん(>>21への返信)
それを聞くと、「死んだ人の遺品整理だから手放せた」っていう本来の語源解釈が一気に納得できる。

23. 海外の名無しさん
ケニアに住んでた時、自分の好きなバンドのTシャツを着てる人を見ても反応しないように学習した。中古は安い、だから反応すると「あなたは貧しいから中古を着てる」と意識させてしまう。配慮が必要。

24. 海外の名無しさん
ガーナで育って、35年前は「白人は服を一回着たら捨てるんだ」って本気で信じてた。今でもそんなに間違ってないと知って驚いた。

25. 海外の名無しさん
ファストファッションは地球規模で本当に最悪。自分のクローゼット見ても気持ち悪くなる。新品買うのやめて、古い服を着続けるようにしてる。業界全体が浪費まみれ。

まとめ

ガーナ最大の中古衣料市場カンタマントには毎週1500万着の古着が流入し、約40%が販売不能のままゴミとして処分される。「死んだ白人の服(オブロニ・ワウ)」という呼び名は、「これだけの量を手放すには持ち主が死ぬしかない」という驚きから来たと説明されることが多い。スレタイの「品質が高いから持ち主は死んだに違いない」という解釈には「誤訳だ」という指摘が相次ぎ(由来には品質の良さに驚いたという説明もある)、議論はそこから一気に「ファストファッション批判」へと展開した。

地元繊維産業を破壊した負の側面と、3万人の雇用を生む側面、そして海岸に積み上がる衣料ゴミの環境破壊。中古を買う、新品を着倒す、ブランドに拡張生産者責任を課す――海外読者の問題意識は明確だった。

参考資料

元ソース: TIL ガーナは世界最大の中古衣料輸入国。現地では「オブロニ・ワウ(死んだ白人の服)」と呼ばれている

コメント