「きらきら星」「ABCの歌」「バー・バー・ブラック・シープ」は全部同じ曲…元は1761年にパリで出た作者不明のフランスの歌だった

「きらきら星」「ABCの歌」「バー・バー・ブラック・シープ」は全部同じ曲…元は1761年にパリで出た作者不明のフランスの歌だった 音楽・エンタメ

英語圏の子どもが最初に覚える歌といえば「きらきら星」と「ABCの歌」。この2曲が同じメロディなのは気づいている人も多いはず。ところが羊の毛を歌う「バー・バー・ブラック・シープ」まで同じ曲で、しかも元をたどると18世紀フランスの歌に行き着く。海外の掲示板では「羊だけは気づかなかった」という声が相次いだ。

今日の知ってた?

🎵 「きらきら星」「ABCの歌」「バー・バー・ブラック・シープ」は、どれも同じメロディ。元になったのは、1761年にパリで楽譜が出版されたフランスの歌「ああ、お母さん、聞いて(Ah! vous dirai-je, maman)」。作曲者は分かっていない。モーツァルトが作った曲という説は誤りで、モーツァルトはこの旋律をもとにピアノの変奏曲を書いただけである。

背景:「ああ、お母さん、聞いて」とは

フランス語版ウィキペディアによると、この旋律が楽譜として確認できるいちばん古い例は、1761年にフランソワ・ブワンという音楽家がパリで出した曲集『ラ・ヴィエルーズ・アビル』だ。題名のヴィエルーズは、ハンドルを回して弦を鳴らす民俗楽器ハーディ・ガーディ(フランス語でヴィエル)の弾き手のこと。翌1762年にも同じ人の別の曲集に、題名だけが添えられて載っている。歌詞は書かれていなかった。英国の室内楽団体ミュージック・イン・ザ・ラウンドの曲目解説も、旋律と歌詞は1760年代の歌集に初めて現れ、どちらも作者不明だとしている。

題名を訳すと「ああ、お母さん、あなたに打ち明けましょうか」ほどの意味になる。最初に付いた歌詞は子ども向けではなく、羊飼いの娘が母親に、言い寄ってくる若者のことを打ち明ける恋の歌だった。この歌詞は1774年や1780年の歌集に、題名を変えて収められている。いまフランスの子どもが歌う「パパはわたしに大人のように考えなさいと言うけれど、わたしはお菓子のほうがいい」という内容の歌詞は、あとから作られた替え歌だ。いつ生まれたかは資料によって違い、1820年ごろとする説と、小学校が義務教育になった19世紀の終わりの歌集で初めて出てくるとする説がある。

英語の「きらきら星」の歌詞は、もとは別々に生まれた。英国の詩人ジェーン・タイラーが書いた「星(The Star)」という詩で、1806年に姉のアンとの共著の詩集『子ども部屋のための詩(Rhymes for the Nursery)』に載った。英語圏の民謡・童謡を記録しているデータベース「バラッド・インデックス」によれば、このメロディには英語の歌詞がいくつも付けられてきたが、タイラーの詩と組み合わさったのは1838年ごろのことらしい。ミュージック・イン・ザ・ラウンドの解説も、タイラーの詩は初めは別の曲で歌われていて、詩と曲がそろって出てくるいちばん古い例は1838年だとしている。

もう少し詳しく

モーツァルトの「きらきら星変奏曲」。日本でも「きらきら星変奏曲」の名で親しまれているピアノ曲は、正式には「『ああ、お母さん、聞いて』による12の変奏曲」(ケッヘル番号265)という。主題を弾いたあと、同じ旋律を12通りに姿を変えて聴かせる。ミュージック・イン・ザ・ラウンドの解説では、7番目までは軽やかで遊び心のある変奏が続き、8番目で短調に変わって厳しい表情になる。11番目はゆっくりした歌うようなアダージョで、最後の12番目は3拍子に組み替えた速いアレグロで華やかに締めくくる。以前はもっと早い時期の作とみられていたが、自筆譜の研究から、ウィーンに移った最初の年にあたる1781〜82年ごろの作曲と考えられている。初めて出版されたのは1785年、ウィーンの出版社トリチェッラからで、弟子のヨゼファ・バルバラ・アウエルンハンマーに献呈された。モーツァルトの名前が付いた曲があまりに有名になったため、旋律そのものもモーツァルトの作だと思われるようになった。元の投稿のコメント欄でも、この誤解の出どころはそこだと指摘されている。

バー・バー・ブラック・シープは、詞のほうが古い。「黒い羊さん、毛はある?」「はい、袋に3つ」と問答する英国の童謡で、バラッド・インデックスによると、歌詞が確認できるいちばん古い例は1744年ごろの童謡集『トム・サムのかわいい歌の本』。1761年のフランスの楽譜より古い。ただし今のメロディと組み合わさったのはずっとあとで、1879年まで一緒に出版された例は無いという。1871年の楽譜では別の曲が付いていた。この歌は「13世紀の羊毛税への恨みを歌ったもの」と説明されることがあるが、同じ項目の注記は、歌詞が初めて出てくるのは1744年で、税が問題だった時代とは遠く離れているうえ、言葉づかいにも当時の痕跡が無いとして、この説には無理があるとしている。

ほかにも同じ旋律の歌がある。フランス語版ウィキペディアによると、アルファベットの歌は英語だけでなくドイツ語やデンマーク語でも、この旋律で歌われている。ドイツでは、詩人ホフマン・フォン・ファラースレーベンが1840年ごろに発表したクリスマスの歌「あしたはサンタがやってくる(Morgen kommt der Weihnachtsmann)」が同じ節だ。オランダ語やベトナム語の替え歌もある。『不思議の国のアリス』では、帽子屋が「きらきら星」をもじった「きらきらコウモリ」を歌う。作曲家もこの旋律を好んだ。リスト、アドルフ・アダン、サン=サーンスらがこれを使っていて、サン=サーンスの組曲『動物の謝肉祭』の「化石」にも出てくる。

「ジョニー・ジョニー」は確かめきれなかった。元の投稿は、子ども向け動画で定番の「ジョニー・ジョニー・イエス・パパ」(お砂糖を食べた?と父親に聞かれて、いいえと答える問答歌)も同じ曲に数えている。コメント欄にもそう歌う人がいるが、この歌がもとからこの旋律で歌われてきたと示す資料は、今回調べた範囲では見つからなかった。なお、日本で「きらきら星」として歌われているのも同じ旋律だ。元の投稿は、この曲を紹介するのに初音ミクが歌う動画を貼っていて、コメント欄で「なんで原曲じゃないんだ」とつっこまれていた。

海外の反応

1. 海外の名無しさん
きらきら星とABCの歌が同じなのは何年も前に気づいてた。でもバー・バー・ブラック・シープだけは、なぜか一度も頭に浮かばなかったよ。

2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
バー・バー・ブラック・シープは歌詞の音節がほかの2曲より多いから、同じ曲に聞こえにくいんだと思う。音符を細かく割って詰め込んでるからね。

3. 海外の名無しさん(>>2への返信)
逆に「袋に3つ(three bags full)」の部分は、ABCの「LMNOP」より音節が少ないんだよな。早口になったりゆっくりになったり忙しい曲だ。

4. 海外の名無しさん
試しに混ぜて歌ってみた。「きらきら光る、羊さん毛はある? H、I、J、K、LMNOP……」。途中で自分が何を歌ってるのか分からなくなって、最後は叫んでた。

5. 海外の名無しさん
これ聞いて、ゴティエの「サムバディ・ザット・アイ・ユーズド・トゥ・ノウ」を思い出した。あの曲の間奏の木琴、バー・バー・ブラック・シープの節回しに聞こえない?

6. 海外の名無しさん(>>5への返信)
言われてみれば、あの「ポロロン」って音はそれっぽい。あの曲は別の曲のサンプリングだって話も聞いたことあるし、似て聞こえるだけかもしれないけど。

7. 海外の名無しさん
ちなみにフランス語の子ども向けの歌詞は、子どもがお母さんに「パパは大人みたいに考えなさいって言うけど、わたしはお菓子のほうがいい」と訴える内容なんだよ。かわいすぎる。

8. 海外の名無しさん(>>7への返信)
それは子ども向けに作り直された版だね。最初の歌詞は、娘がお母さんに好きな男の子のことを打ち明ける恋の歌だったはず。フランスの童謡って、もとは大人の歌だったものが多いんだ。

9. 海外の名無しさん
この話でいちばん驚いてほしいのは、モーツァルトがこのメロディで変奏曲をまるごと1曲書いてることだよ。ピアノ習ってた人なら一度は聞いたことがあるはず。

10. 海外の名無しさん(>>9への返信)
そのせいで「きらきら星はモーツァルトの作曲」って思い込んでる人が多いんだよね。彼が書いたのは変奏のほうで、メロディ自体は作者不明のフランスの歌。

11. 海外の名無しさん(>>10への返信)
子どものころ、音楽の先生に「きらきら星はモーツァルトが作ったのよ」って教わったんだけど……。先生、あれ間違ってたのか。

12. 海外の名無しさん
ところで「ジョニー・ジョニー」って何? ほかの3曲は分かるけど、それだけ聞いたことがない。

13. 海外の名無しさん(>>12への返信)
「ジョニー、ジョニー」「はい、パパ」「お砂糖食べた?」「食べてないよ」「うそついてない?」「ついてないよ」「じゃあお口を開けて」「あはは!」っていう問答の歌。子ども向け動画で延々流れてるやつ。

14. 海外の名無しさん(>>13への返信)
あれか! うちの子が動画で何百回も見てたやつだ。あの曲の再生回数は桁がおかしい。たぶん半分くらいはうちの子が回してる。

15. 海外の名無しさん
もっと驚く話をしよう。このメロディは、インド古典音楽の「シャンカラーバラナム」という音階にぴったり収まるんだ。大陸が違っても、人類は何千年も同じ音の並びで楽しんできたってこと。

16. 海外の名無しさん(>>15への返信)
インド古典音楽の伝統的な響き、つまり……普通の長音階(ドレミファソラシ)のことでは?

17. 海外の名無しさん
昔はこれが普通だったんだよ。1つの節に、何十通りもの歌詞をのせて歌う。今の著作権の仕組みだと、こういう歌の広がり方はなかなか起きないよね。

18. 海外の名無しさん
2歳の娘が今日、きらきら星とABCの歌をごちゃまぜにして歌ってた。歌詞をまだよく分かってないのに、つなぎ目がまったく分からないくらい自然で感心した。そりゃそうだ、同じ節をなぞってたんだから。

19. 海外の名無しさん
ABCの歌でいちばん好きなのは「LMNOP」のところ。あそこだけ急に早口になって、子どものころは「エレメノピー」っていう1つの文字だと思ってた。

20. 海外の名無しさん(>>19への返信)
でもABCの歌はLMNOPあたりから崩れていくよね。出だしは最高なのに終盤で失速する長編ドラマみたい。最後のWなんか、3音節もある名前を1文字に押し込んでて、それまでの決まりを全部ぶち壊してる。

21. 海外の名無しさん(>>20への返信)
しかもW(ダブリュー)って「Uが2つ」って意味だろ? 同じ文字を2つくっつけて新しい文字にするとか、ネタ切れにもほどがある。

22. 海外の名無しさん
投稿に貼ってあるのが初音ミクのカバーなのはなぜなんだ。原曲の動画を貼ればいいのに。いや、好きだけどさ。

23. 海外の名無しさん(>>22への返信)
日本でも「きらきら星」として子どもが歌う曲だから、ミクが歌ってても不思議じゃない。この旋律、本当にどこの国にもあるんだな。

24. 海外の名無しさん
『不思議の国のアリス』で帽子屋が「きらきらコウモリ」を歌う場面があるけど、あれもこの曲の替え歌なんだよね。当時の子どもならすぐ元ネタが分かったんだろうな。

25. 海外の名無しさん
作者の名前も残ってない18世紀の歌が、海を渡って星の歌になって、アルファベットの歌になって、羊の歌になって、今も世界中の子どもが毎日歌ってる。作った人が知ったらどう思うだろう。

まとめ

「きらきら星」「ABCの歌」「バー・バー・ブラック・シープ」の元は、1761年にパリで楽譜が出た作者不明のフランスの歌。モーツァルトはそれをもとに変奏曲を書いただけで、作曲者ではない。コメント欄は「羊だけは気づかなかった」という驚きから、モーツァルトの誤解、ABCの歌の「LMNOP」へのつっこみ、子育て中の親の実感まで広がった。1つの節に何通りもの歌詞をのせて歌い継ぐという、昔の歌の広がり方に改めて感心する声もあった。

参考資料

元ソース: きらきら星、ABCの歌、ジョニー・ジョニー、バー・バー・ブラック・シープは同じ曲で、元はフランスの童謡「ああ、お母さん、聞いて」だったと今日知った

コメント