「子は母の姓を名乗り、夫は妻の家に移り住む」インド・カシ族の母系社会…なのに州議会の女性は60議席中3人だった

「子は母の姓を名乗り、夫は妻の家に移り住む」インド・カシ族の母系社会…なのに州議会の女性は60議席中3人だった 文化・社会

インド北東部の山あいに暮らすカシ族では、子どもは母親の姓を名乗り、結婚した男性は妻の家に移り住みます。先祖代々の家と土地を受け継ぐのは、末の娘です。こう聞くと「女性が強い社会」を思い浮かべますが、海外掲示板で真っ先に上がったのは「最後の部分、絶対なにか裏があるでしょ」という声でした。その読みは、半分ほど当たっています。

今日の知ってた?

🏡 インド北東部メガラヤ州のカシ族は、母方で家系をたどる母系社会。子どもは母親の氏族の名前を姓として名乗り、同じ氏族どうしの結婚はタブーとされる。

💍 結婚すると夫が妻の家に移り住むのが伝統。家を継ぐ末娘の夫は、妻の母の家で暮らす。

🔑 先祖伝来の家と土地を受け継ぐのは末娘(カ・カッドゥ)。ただし持ち主というより「守り手」で、売るには母方のおじや男きょうだいの同意が要る。年老いた親や、暮らしに困ったきょうだいの世話も引き受ける。

🏛️ 一方で、政治の場は男性が中心。2023年の州議会選挙では、女性候補36人のうち当選したのは3人だった(定数60)。

背景:カシ族とは

カシ族は、インド北東部のメガラヤ州に暮らす民族で、州の東部では多数派を占めます。メガラヤ州は、南側でバングラデシュと国境を接する山がちの州です。2011年のインド国勢調査では、州内に約141万人のカシ族が暮らしていました。州都シロンを中心とする丘陵地帯が主な居住地で、隣のアッサム州やバングラデシュにも住んでいます。

言葉はカシ語で、ベトナム語やクメール語(カンボジアの言葉)と同じオーストロアジア語族に属します。周りの大きな言語はインド・アーリア系やチベット・ビルマ系なので、この地域では系統の違う言葉です。宗教は8割あまりがキリスト教で、伝統宗教の「カ・ニアム・カシ」を信じる人も15%ほどいるとされます。

家系は母方でたどります。子どもは母親の氏族に属し、その名前を姓として名乗ります。結婚した男性は生まれた家を出て妻の家に入り、伝統的なしきたりでは、妻に先立たれると、自分の母の家(生まれた家)に戻るとされてきました。

もう少し詳しく

末娘は「持ち主」ではなく「守り手」。家と先祖伝来の財産を受け継ぐ末娘は「カ・カッドゥ」と呼ばれます。受け継ぐのは財産だけではありません。年老いた親の世話、未婚のきょうだいや暮らしに困ったきょうだいの面倒、家の祭祀まで引き受けます。先祖伝来の土地を売るには、母方のおじや男きょうだいの同意が必要です。このしきたりが及ぶのは先祖から受け継いだ家や土地で、親が自分で築いた財産は、きょうだいで分けることもできるとされます。

一族のことを取り仕切るのは母方のおじ。一族の社会的なことや宗教上のことを取りまとめるのは、母方のおじ(ウ・クニ)です。子どもの導き手もおじが務めます。男性は、生まれた一族ではおじとして、妻の家では父として、二つの立場を持つことになります。

母系でも「女性が権力を握る社会」ではない。相続は母方でも、政治の場は男性が中心です。2013年の時点で、メガラヤ州議会の60議席のうち女性は4人でした。2023年の州議会選挙でも、女性候補36人のうち当選したのは3人です。村の自治を担う評議会「ドルバール・シュノン」でも、役職は男性が務め、女性は就けないとされてきました。かつてこの地にあった王国でも、王位を継いだのは王の末の妹の息子でした。

日本の婿養子とは何が違う?夫が妻の家に入ると聞くと、日本の婿養子を思い浮かべるかもしれません。婿養子は、妻の親と養子縁組をして妻の家の姓を名乗り、その家の跡継ぎになる形で、主に跡取りのいない家が選ぶものです。カシ族では、夫が妻の家に入るのがふつうの形です。夫が妻の氏族の一員になるわけではなく、母の氏族を継ぐのは子どもたちです。

揺れるしきたり。この仕組みに異を唱える男性もいます。1990年には州都シロンで男性団体「シンコン・リンペイ・ティンマイ」が結成され、相続を父系に改めることを目標に掲げてきました。2021年には、カシ族の慣習法を扱う「カシ丘陵自治県評議会」が、親の財産を男女を問わずきょうだいで公平に分ける法案をまとめましたが、成立しないまま残っています。父親の姓を名乗る人に部族の証明書(進学や就職の優遇枠を使うのに必要)を出さない運用をめぐっては、2025年にこの男性団体が州の高等裁判所に訴えを起こしました。

海外の反応

1. 海外の名無しさん
最後の一文、絶対なにか裏があるよね。末っ子の娘が家も財産もまるごと受け継ぐなんて、話がうますぎる。

2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
「母系社会ではあるけど、女性が権力を握る社会ではない」んだよ。昔この地にあった王国では、王位を継いだのは王の末の妹の息子だった。いまも州議会や村の評議会に女性はほとんどいなくて、2013年の時点で州議会60議席のうち女性は4人だけだったそうだ。

3. 海外の名無しさん(>>2への返信)
となると、自分の息子を王位に近づけようとして、姉たちが末の妹を……みたいな、シェイクスピア顔負けの愛憎劇もあったんじゃないの。そういう『ゲーム・オブ・スローンズ』なら見てみたい。

4. 海外の名無しさん(>>1への返信)
裏っていうか、介護だと思う。上の子は下の子の面倒を見ながら育って、末っ子は親の老後を見る。アメリカでも子だくさんの家だと、そういう分担になってるのをよく見るよ。

5. 海外の名無しさん(>>4への返信)
そう、あれは「所有」じゃなくて「管理」なんだ。お金の大事な判断は母方のおじがするし、末娘は年老いた親や障害のあるきょうだいみたいに、家に頼って暮らす人たちの毎日の世話を引き受ける。

6. 海外の名無しさん(>>1への返信)
自分が末っ子の娘で13歳のときに、40代後半の両親に「うっかり」妹ができたら、どれだけ腹が立つだろうね。その日から相続人じゃなくなるんだから。

7. 海外の名無しさん(>>6への返信)
案外ホッとするかもよ。将来、親のおむつを替える係から外れるわけだし。

8. 海外の名無しさん
「母系の末子相続」だって? 中世の王家を動かす戦略ゲームで、うちの国の継承法をこれに変えようものなら、家臣どもが黙っちゃいないぞ……。

9. 海外の名無しさん
結局、財産の受け継ぎ方が母系というだけで、実際の力は別のところにあるんだよね。一族のことを取り仕切るのは母方のおじだし、政治の役職に就いている女性はほとんどいない。

10. 海外の名無しさん(>>9への返信)
でも、女性が政治の実権を持っている先住民族って、そもそもいるの? ディズニーの『モアナと伝説の海』以外で。

11. 海外の名無しさん(>>10への返信)
北米のハウデノショーニー(イロコイ連邦)がそうだよ。各氏族の「クランマザー」が首長を選ぶし、務めを果たさない首長は、警告したうえでやめさせることもできる。チェロキーにも「最愛の女性」と呼ばれる称号があって、それを授かった女性は首長たちの会議で発言権を持っていた。

12. 海外の名無しさん
土地や財産を血筋で受け継ぐ社会なら、理にかなってると思う。父親が誰かを確かめようのない時代でも、母親が誰かだけは確実だったんだから。

13. 海外の名無しさん(>>12への返信)
英語にも「ママの子なのは確か、パパの子なのはたぶん」って言い回しがあるくらいだしね。

14. 海外の名無しさん
カシ族が話題になってる! 自分たちのことがこういう場で取り上げられるのを、ほとんど見たことがないからうれしい。母がカシ族で、自分はアメリカ育ちなんだ。

15. 海外の名無しさん(>>14への返信)
私もメガラヤ出身だよ。もっとも、民族としてはカシ族じゃないんだけどね。

16. 海外の名無しさん(>>15への返信)
クムノ!(カシ語のあいさつ) 主に母が育ててくれたから、アメリカの次に愛着があるのはカシの文化なんだ。カシ料理は北インド料理みたいにスパイスをたくさん使わなくて、ラカドン産のターメリック、マスタードオイル、黒ごま、花椒に似たジャイウール、しょうが、にんにく、青唐辛子が中心。毎年、友達と山小屋に泊まりに行くときは、豚肉を黒ごまで煮込む「ドー・ネイ・イオン」を12〜15人分作るよ。

17. 海外の名無しさん
カシ語はオーストロアジア語族で、ベトナム語やクメール語の親戚にあたる。周りの大きな言語はインド・アーリア系やチベット・ビルマ系だから、あの地域では系統がまったく違う言葉なんだよ。

18. 海外の名無しさん
中国にも母系社会があるよね。たしかモソ人。あそこの「通い婚」の仕組みは、調べてみるとすごく面白い。

※注:モソ人は、中国の雲南省と四川省にまたがる山地、濾沽湖(ルグ湖)の周辺などに暮らす人々。男性が夜に女性の家を訪ね、朝には自分の家へ帰る「通い婚(走婚)」で知られ、子どもは母方の家に属して母の姓を名乗ります。

19. 海外の名無しさん
日本に住んでるけど、日本には「婿養子」って仕組みがある。夫が妻の家に入って、妻の家の名字を名乗るんだ。ただあれは、跡取りのいない家が家を絶やさないための形で、カシ族みたいに社会全体が母方で家系を数えるのとは、出発点がまるで違うんだよね。

20. 海外の名無しさん
インドには母系の集団があちこちにいるよ。自分は南インドのケーララ州の北部出身で、うちの地域はいまも母系なんだ。アラビア海に浮かぶラクシャディープ諸島の人たちも母系だし、ケーララのナーヤルと呼ばれる人たちの大家族も、仕組みがよく似てる。

21. 海外の名無しさん
末っ子の娘として言わせてもらうと、大賛成。いちばん上の子が継ぐなんて誰が決めたの? 息子が継ぐなんて誰が決めたの? 長子相続なんてお断りだね。

22. 海外の名無しさん(>>21への返信)
「自分が得をする制度なので賛成です」か。いやあ、驚きの告白をありがとう。

23. 海外の名無しさん(>>22への返信)
現地には逆の立場もあって、男性の団体が「相続を父系に改めろ」と長年訴えてるらしいよ。結局どこの誰でも、自分が得をする側の制度に賛成するってことだね。

24. 海外の名無しさん
末っ子ならではの損もあると思う。親と過ごせる年数も、親に支えてもらえる年数も、きょうだいの中でいちばん短い。相続はその埋め合わせなのかもしれない。ある意味、思いやりの相続だね。

25. 海外の名無しさん(>>24への返信)
昔のモンゴルで、末の息子が実家の「炉」を継いだ習わしに近いのかも。上の子は親が元気なうちに分け前をもらって独り立ちして、末っ子は家に残って最後まで親を看て、残ったものを継ぐ。アメリカでも植民地時代の東海岸では、上の子が早めに遺産をもらって西で農場を開き、末っ子が実家の農場を継ぐことがよくあったらしい。

まとめ

インド北東部のカシ族は、子どもが母の姓を名乗り、夫が妻の家に入り、末娘が家と先祖伝来の土地を受け継ぐ母系社会です。ただし末娘は持ち主というより守り手で、土地を売るには母方のおじたちの同意が要り、親の世話も引き受けます。政治の場は今も男性が中心です。コメント欄では「何か裏があるはず」という疑いが「介護を引き受ける代わりの相続」という納得に変わり、カシ族の母を持つ人の料理の話や、世界各地の母系社会の話まで広がりました。

元ソース: インド北東部の先住民族カシ族は、厳格な母系制をとっている。子どもは母親の姓を名乗り、夫は妻の実家(妻の母の家)に移り住み、末娘が家の財産と先祖伝来の土地をすべて受け継ぐ

コメント

  1. Reddit名無しさん より:

    母系社会と議員数と何か関係があるのか?