第二次世界大戦中、イギリスの秘密工作機関は、死んだネズミの皮に爆薬を詰めた「ネズミ爆弾」を作っていました。ボイラーの脇の石炭に紛れ込ませておけば、気味悪がった作業員が火の中に放り込み、そこで爆発する、という狙いです。ところが最初の荷はドイツ側に押収され、一度も使われずに終わりました。それでもイギリス側の記録は、この結果を「実際に使うより、ずっと大きな成功だった」と振り返っています。
今日の知ってた?
🐀 1941年、イギリスの特殊作戦執行部(SOE)は、死んだネズミの皮にプラスチック爆薬を詰めて縫い合わせた「爆発するネズミ」を考え出した。用意されたネズミは約100匹。
🔥 置き場所はボイラーの脇の石炭の中。死骸を見つけた作業員が火の中に放り込むと、炎で導火線に火がつき、爆発する仕掛けだった。
📦 ところが最初の荷がドイツ側に押収され、計画は取りやめに。ネズミ爆弾は一度も使われなかった。
🔍 SOEの報告書によると、押収されたネズミはドイツ軍の学校で展示され、ドイツ側は大陸にばらまかれたと思い込んだ「何百匹ものネズミ」を探し回ったという。
背景:「ヨーロッパを炎上させよ」と作られた秘密機関
SOE(特殊作戦執行部)は、1940年にイギリスが作った秘密の組織です。ドイツに占領されたヨーロッパ各地で、現地のレジスタンス(抵抗運動)が破壊工作や撹乱を行うのを手助けするのが役目で、チャーチル首相はその任務を「ヨーロッパを炎上させよ」という言葉で表しました。
工作員のために、SOEはさまざまな仕掛けを作っています。イタリアのワイン「キャンティ」の瓶に見せかけた爆弾、爆薬を仕込んだ自転車の空気入れ、爆発する石けん、底が二重になったスーツケース。暗号や伝言は絹の布に書いて、シャツの襟留めやマッチ箱、歯磨き粉のチューブ、スポンジに隠しました。イギリスのガーディアン紙は、こうした道具の多くを「ジェームズ・ボンドが喜びそうなもの」と書いています。
ネズミ爆弾の話が広く知られるようになったのは、1999年10月のことです。50年以上も政府の保管庫に眠っていたSOEの文書が、当時の公文書館(現在のイギリス国立公文書館)で公開されました。ガーディアン紙はその記事で、数ある装置の中でも「いちばん風変わりなもの」として「爆発するネズミ」を紹介しています。
もう少し詳しく
ネズミ100匹の仕入れ方。ガーディアン紙が伝えたSOEの文書によると、ネズミ約100匹を手に入れたのは、実験に使いたい学生を装ったSOEの将校でした。BBCの解説では、仕入れ先はロンドンの業者で、業者はロンドン大学で使うものだと思い込んでいたとされています。ネズミは皮をはがされ、中にプラスチック爆薬を詰めて縫い合わされました。イギリス国立公文書館が所蔵するSOEの記録には、ネズミ爆弾を描いた図も残っています。
なぜネズミだったのか。狙いは、工場や発電所、機関車などのボイラーでした。計画では、ネズミをボイラーの脇の石炭の中に置いておきます。見つけた作業員は、気味の悪い死骸をすぐに火の中へ放り込むだろう、という読みです。図には、火に投げ込まれると炎で導火線に火がつく仕組みが描かれていて、時間がたってから爆発する時限式の信管を付ける方法もありました。ネズミ1匹に詰められる爆薬はわずかでも、高い圧力のかかったボイラーを壊せば、大きな爆発につながりかねません。
「意図したのとは少し違う形で」効いた。実際には、ドイツ側が死んだネズミの入った容器を押収し、ネズミ爆弾は作戦に使われる前に見つかってしまいました。SOEのファイルには「この装置は敵に相当な面倒をかけた。ただし、意図したのとは少し違う形で」とあります。別の報告書によれば、この発見は「並外れた心理的効果」を生み、ネズミはドイツ軍の学校で展示され、大陸にばらまかれたと敵が信じ込んだ「何百匹ものネズミ」の捜索が始まりました。SOEの結論は「敵にかけた面倒は、実際にネズミを使った場合よりも、われわれにとってはるかに大きな成功だった」というものです。
ただし、これはどれもイギリス側の報告書に書かれた評価です。「何百匹」というのも、それだけの数がばらまかれたとドイツ側が思い込んでいた、という意味で、実際に何匹分を探したのか、どれだけの人手がかかったのかを示す数字は、報じられた記録には出てきません。押収がいつ、どこで起きたのかも、今回調べた範囲でははっきりしませんでした。
石炭そっくりの爆弾も。同じときに公開された文書には、本物の石炭そっくりに作った爆弾も出てきます。石炭の型を取って2つに分けた中空の殻にプラスチック爆薬を詰め、黒いシェラック(樹脂のニス)を塗って石炭の粉をまぶしたもので、形は140種類もありました。報告書の書き手は、炉にくべられたこの「石炭」について「ボイラーを壊すほどの勢いで爆発するか、少なくとも機関士という職業をすこぶる不人気にするだろう」と書いています。
日本軍向けの仕掛けもあった。公開された文書には、アジアの戦線に向けた道具も含まれていました。そのひとつが、歩くと日本人の靴か現地の人の素足の跡が地面に残るサンダルで、文書には「足跡は、日本人か現地の住民以外の者がそこにいた痕跡をすべて消してくれる」とあります。バリ島の有名な木彫りそっくりに、爆薬を固めて作った置物もありました。時限装置付きで、物売りに扮した現地の工作員が波止場で、船に乗り込む直前の日本兵に売りつける計画だったといいます。
海外の反応
1. 海外の名無しさん
これ、連合軍がよくやってた心理作戦のひとつだったりしない? 最初から見つかる前提で、枢軸側の人手や情報機関をとことん無駄づかいさせるのが目的だった、みたいな。
2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
いや、コウモリ爆弾もスパイ猫もさんざんな結果だったし、動物に爆弾をくくりつけるのは悲しい伝統だよ。ネズミ爆弾の理屈は単純で、ダイナマイトには見えないってこと。見つけた人は「爆弾だ!」じゃなくて「うわ、気持ち悪っ」ってなるだけ。
3. 海外の名無しさん(>>2への返信)
スパイ猫って、CIAの「アコースティック・キティ」のことだよね。あれは爆弾じゃなくて、猫の耳に盗聴用のマイクを仕込む計画。1960年代に試したけど、猫を思いどおりに動かせなくて、実用的じゃないと打ち切られてる。
4. 海外の名無しさん
最初から心理作戦のつもりだったわけじゃないと思う。本気でボイラーを爆破したかったんだよ。SOEのファイルにも「意図したのとは少し違う形で」敵に面倒をかけた、って書いてあるらしいし。結果的に心理作戦としてよく効いたから、イギリスは何も損してないけど。
5. 海外の名無しさん
「クラウス、死んだネズミの荷物が届いたぞ」
「了解。……待て、何だって?」
「……念のため、中を調べたほうがいいな」
6. 海外の名無しさん(>>5への返信)
倉庫番「この死んだネズミの箱、どこに置きます?」
上官「どこでもいい。ボイラーの横以外ならな」
7. 海外の名無しさん(>>5への返信)
クラウス、ネズミを真に受けすぎだろって笑ったけど、よく考えたら本当に爆薬入りだったんだから大正解なんだよな。
8. 海外の名無しさん
いちばん気になるのは仕入れ方。ネズミ100匹を、実験に使いたい学生のふりをして業者から買ったんだって。業者のほうは、ロンドン大学の研究用だと思い込んでたらしい。
9. 海外の名無しさん(>>8への返信)
「で、きみの研究テーマは?」
「ええと……ネズミの、その……熱に対する反応です」
嘘は言ってないのがすごい。
10. 海外の名無しさん
押収したネズミを、ドイツ軍が学校で展示したっていうのがじわじわくる。「本日の講義:死んだネズミを見つけたら」。教官はどれだけ真面目な顔で教えてたんだろう。
11. 海外の名無しさん
こういう作戦の狙いの半分は、疑心暗鬼を広げることだった。次にくべる石炭が爆発するかもしれないと思ったら、誰も石炭をくべたがらない。そうなれば暖房も機関車も工場も止まってしまう。死んだネズミが爆発するかもと思えば誰も触らないから、本物の死骸が腐って病気を広めるし、工場の大事な一角に誰も近寄れなくなる。
12. 海外の名無しさん(>>11への返信)
しかも「誰がこんな所にネズミを置いたんだ」って話になるから、従業員が取り調べられて、仲間どうしで疑い合うことになる。レジスタンスがどこにでもいるって空気が広がれば、占領している側はその土地に居づらくなる。
13. 海外の名無しさん
石炭そっくりの爆弾の報告書に出てくる「少なくとも機関士という職業をすこぶる不人気にするだろう」って一文、イギリス人の皮肉が効きすぎてて好き。極秘文書にこれを書くのか。
14. 海外の名無しさん
レジスタンスにとっても効果的な武器だったって聞いた。ナチスの列車が使う石炭置き場にネズミ爆弾を隠しておけば、機関車の火室に放り込まれた瞬間に列車ごと吹き飛ぶ。線路沿いのどの町の石炭置き場から来たのか分からないから、ナチスはどの町に報復すればいいのか分からないし、調べ始めるころには仕掛けた人たちはとっくに逃げてる。
15. 海外の名無しさん(>>14への返信)
それはちょっと話が盛られてると思う。SOE側の記録だと、最初の荷がドイツに押収された時点で計画は取りやめになって、ネズミ爆弾は一度も使われてない。ベルギーの工場でボイラーを9基壊した、と書いた伝記もあるらしいけど、SOEの歴史をまとめた本では、たぶん作り話だろうとされてる。
16. 海外の名無しさん
ドイツにはネズミ爆弾、日本にはコウモリ爆弾。相手の国ごとに動物を選び分けてるあたり、妙なこだわりを感じる。
17. 海外の名無しさん(>>16への返信)
コウモリ爆弾のほうはアメリカの計画ね。冬眠させたコウモリに小さな時限式の焼夷弾を付けて、日本の都市の上空でばらまく。コウモリは軒下や屋根裏にもぐり込むから、木と紙でできた家が多い日本の街なら、手の届かない場所からいっせいに火が出るって発想だった。試験では効果がある兵器だと評価されたけど、実戦に使えるのは1945年の半ばになりそうだと分かって、打ち切られてる。
18. 海外の名無しさん(>>17への返信)
しかも扱いが大変すぎる。大量のコウモリを船に積んで、出撃前に爆弾を付ける作業までしなきゃいけない。実際、1943年の試験では爆弾付きのコウモリが逃げ出して、ニューメキシコ州にあった陸軍の補助飛行場が燃えてるからね。これが空母の中で起きたらと思うとぞっとする。
19. 海外の名無しさん
動物じゃないけど、日本も「風船爆弾」をアメリカまで飛ばしてたよね。和紙をこんにゃく糊で貼り合わせた気球に爆弾を吊るして、ジェット気流に乗せる。1944年11月から翌年4月までに約9300個を放って、北米で見つかったり目撃されたりしたのは約300個だったらしい。
20. 海外の名無しさん(>>19への返信)
あれはネズミ爆弾とは逆で、見つけた側が黙っていたのが効いた。アメリカは新聞やラジオに風船のことを報じないよう頼んでいて、日本側は届いたのかどうかをほとんど確かめられなかった。ただ、危険が知られていなかったせいで、1945年5月にはオレゴン州の森で、ピクニックに来ていた人たちが見つけた爆弾が爆発して6人が亡くなってる。報道の自粛が解かれたのはそのあとだった。
21. 海外の名無しさん
動物に火をつけて敵に突っ込ませるのは、古代ローマのころからある。豚に火をつけて敵の陣地に送り込んで、混乱させたって話があるよね。
22. 海外の名無しさん(>>21への返信)
火のついた豚で有名なのは、ローマよりギリシャのほうかな。象がとくに怖がったらしくて、古代ギリシャの著述家によると、紀元前266年にメガラの人たちが豚に松やになどを塗って火をつけ、包囲していたマケドニア軍の象にけしかけたんだとか。豚は城攻めのトンネル掘りにも使われてて、1215年にイングランドのジョン王がロチェスター城を攻めたときは「食べるのに向かない、いちばん太った豚を40頭」大急ぎで送れと命じて、その豚の脂を燃やして、城の下に掘った坑道の支柱に火をつけ、塔の一角を崩してる。
23. 海外の名無しさん(>>22への返信)
初代の『Rome: Total War』(古代ローマが舞台の戦略ゲーム)でも、火をつけた豚の部隊を雇えたよね。象の近くまで連れていって特殊能力のボタンを押すと、燃えた豚が走り回って象が大暴れする。あれは最高だった。
24. 海外の名無しさん
イギリスの動物頼みの発想は、戦後も終わらない。1950年代には、西ドイツに埋める核地雷が冬の寒さで動かなくなるのを防ぐために、生きたニワトリを餌と水と一緒に中へ閉じ込めて、その体温で部品を温めるって案まで出てる。
25. 海外の名無しさん(>>24への返信)
その文書が公開されたのが2004年の4月1日だったから、みんなエイプリルフールの冗談だと思ったんだよね。問い合わせに国立公文書館が返した答えが「公務員は冗談を言いません」。
まとめ
死んだネズミに爆薬を詰めたイギリスのネズミ爆弾は、最初の荷をドイツ側に押収され、一度も使われませんでした。それでもSOEの報告書は、ドイツ側が、ばらまかれたと思い込んだ何百匹ものネズミを探し回ったことを、実際に使うより大きな成功だったと評価しています。ただし、これはイギリス側の記録に残る見立てです。
コメント欄では、最初から心理作戦だったのではという声に「本気でボイラーを狙っていた」という反論が返り、話はコウモリ爆弾や日本の風船爆弾、火をつけた豚、ニワトリで温める核地雷へと広がっていきました。疑われるだけで相手の手を止められる、という発想の強さを感じさせる話です。
元ソース: 第二次世界大戦中、イギリスのスパイは死んだネズミに爆薬を詰めて、ドイツの工場を破壊しようとした。最初の荷は押収されたが、それがきっかけでドイツ軍は何百もの存在しないネズミ爆弾を探し回ったという

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