ベルギーの首都の玄関口、ブリュッセル空港は「世界でいちばんチョコレートが売れる場所」だ。そんな話が海外の掲示板で話題になりました。空港の発表によると、売れる量は毎分およそ1.5キロ、年間でおよそ850トン。売り場にはノイハウスやゴディバ、ピエール・マルコリーニと、日本でも名前を知られた店が並び、国を出る前の旅行者が土産に買っていくそうです。スレッドのタイトルにあった「500グラムの箱が15秒に1つ売れる」という数字の出どころも、あわせて調べました。
※注:「世界最大」は空港自身の説明で、世界のほかの売り場と比べて順位をつけた資料は見つかりませんでした。販売量は、空港の2025年7月の発表と、スレッドが引いている2020年のブログ記事の数字を、出どころを分けて紹介します。
今日の知ってた?
🍫 ブリュッセル空港の発表(2025年7月)によると、空港で売れるチョコレートは毎分およそ1.5キロ、年間でおよそ850トン。チョコレート製品は、空港での販売全体の3分の1ほどを占めるという
🏆 空港は自らを、提携先の小売会社ラガルデール・トラベル・リテール・ベルギーとあわせて「世界最大のチョコレート売り場」だと説明している。ほかの売り場と比べた資料は示されていない
⏱️ スレッドのタイトルの「500グラムの箱が15秒に1つ」は、ブリュッセルの街歩きツアー会社が2020年に書いたブログ記事の数字で、出典は書かれていない。空港の「毎分1.5キロ」で単純に計算すると、500グラムの箱なら20秒に1つ、1日に約4300箱になる
🎁 いちばん売れているのは、売り場で中身を選べるノイハウスの箱詰め。2位はレオニダスのヘーゼルナッツ入りミルクチョコレートの板チョコ
✈️ 空港を通る人は1日に7万〜8万人。空港は発表のなかで、その多くが「ベルギーを少し持ち帰りたがっている」と書いている
背景:ブリュッセル空港とベルギーのチョコレート
ブリュッセル空港は、首都ブリュッセルの北東およそ12キロ、ザベンテムという町にあるベルギーの主要な国際空港です。空港の発表では、2024年の利用者は約2361万人。1日に7万〜8万人、夏の繁忙期には9万人が通ります。
チョコレートの売り場は「ザ・ベルジャン・チョコレート・ハウス」という名前で、出発ロビーと、A・Bそれぞれのゲートのエリアにあります。空港のサイトが挙げているブランドは、ノイハウス、ゴディバ、レオニダス、コルネ・ポート・ロワイヤル、ピエール・マルコリーニなど。ガレーやギリアンも扱っています。
なぜ空港でそこまで売れるのか。空港は2025年の発表のなかで、世界中から来る旅行者の多くが「ベルギーを少し持ち帰りたがっている」と書いています。スレッドが引いているブログ記事(ブリュッセルの街歩きツアー会社が2020年に書いたもの)は、買っていくのは帰国する外国人観光客や、国外の親類を訪ねるベルギー人だとしています。チョコレートは誰にでも喜ばれる贈り物で、重いビールと違って荷物に入れて運びやすい、というのがその記事の説明です。国を出る直前に、その国の名物をまとめて買える場所だから、ということのようです。
ベルギーはチョコレートの国として知られています。ベルギー外務省の広報サイト「フォーカス・オン・ベルギー」は2015年の記事で、国内に数百のショコラティエ(チョコレート職人)と、2000を超える店があると紹介しています。なかでも有名なのが「プラリネ」です。日本ではナッツのペーストを指して使われることが多い言葉ですが、ベルギーでは、チョコレートの殻にやわらかい中身を詰めた一口サイズのチョコレートをこう呼びます。
このプラリネを1912年に考案したとされるのが、ブリュッセルの老舗ノイハウスのジャン・ノイハウス2世です。ノイハウスは1857年、スイスから来た初代ジャン・ノイハウスがブリュッセル中心部のアーケードに開いた薬局が始まりで、薬をチョコレートで包んで売っていました。1915年には、ジャン2世の妻ルイーズ・アゴスティーニが、円すい形の紙袋に入れるとつぶれてしまうプラリネのために、厚紙を折って作る箱「バロタン」を考え出しました。空港でいちばん売れているのが、そのノイハウスの箱詰めです。
もう少し詳しく
「15秒に1箱」を検算すると。スレッドのタイトルにあった「500グラムの箱が平均15秒に1つ売れる」は、リンク先のブログ記事に書かれている数字です。同じ記事は、空港で売れるチョコレートを「年間650トン超、金額にして3200万ユーロ超」としていますが、どれも出典は示されていません。単純に計算すると、15秒に500グラムなら毎分2キロ、1日に5760箱で、年間ではおよそ1050トン。記事自身の「650トン超」とも、空港の数字とも合いません。
一方、空港が出している「毎分およそ1.5キロ」は、500グラムの箱に直すと20秒に1つ、1日に約4300箱です。1年分にすると約790トンで、空港のいう「年間およそ850トン」に近い数字になります(850トンから逆算すると毎分約1.6キロで、19秒ほどに1箱)。空港の数字に沿うなら、「15秒に1つ」より「20秒前後に1つ」のほうが近そうです。それでも、平均すると1分に3箱のペースです。
「世界最大」は誰が言っているのか。空港自身です。さかのぼると、ベルギー外務省の広報サイトが2015年に「世界最大のチョコレート売り場で、年間800トン超を売る」と書き、2017年にはベルギーのドイツ語放送局BRFが、ベルガ通信の配信をもとに「年間800トン、1分あたり1.5キロ」と伝えています。空港のサイトの売り場案内にも「毎分約1.5キロ、1日約2トン、年間800トン超」とあります。2025年7月の発表では、これが「およそ850トン」になりました。どれも空港やベルギーの側から出ている数字で、世界のほかの売り場と比べた資料は示されていません。
利用者1人あたりにすると。年間850トンを2024年の利用者(約2361万人)で単純に割ると、1人あたり約36グラムです。到着した人も乗り継ぎの人も、何も買わなかった人も含めてならした数字で、100グラムの板チョコなら3分の1枚ほど。数字の時期がそろっていないので、あくまで目安です。
何が売れているのか。空港の2025年の発表によると、チョコレートの売れ筋は、1位が売り場のカウンターで中身を自分で選べるノイハウスの箱詰め、2位がレオニダスのヘーゼルナッツ入りミルクチョコレートの板チョコ、3位が塩キャラメル入りのミルクチョコレートの板チョコでした。チョコレート以外の土産では、ベルギー生まれの漫画『タンタンの冒険』の手提げ袋がいちばん売れているそうです。
値段は高いのか、安いのか。空港のサイトは、売り場の案内で「世界でいちばんお得な価格」とうたっています。一方、コメント欄では「空港は上乗せがすごいから街で買うべき」「去年は、大手のチョコなら空港のほうが少し安かった」「ヨーロッパの空港の店はむしろ高い」と体験談が割れました。この記事では実際の価格を調べていないので、どれが正しいとは言えません。なお、EU域内を移動する乗客への免税販売は1999年6月末で廃止されていて、EU内の空港で免税の対象になるのは、EUの外へ向かう乗客だけです。
「ベルギーチョコレート」を名乗る条件。コメント欄には「法律上、ベルギーチョコレートを名乗るにはカカオバター以外の油脂を使えない」という書き込みがありましたが、そう定めた法律は確認できませんでした。EUは2000年、表示をすることを条件に、カカオバター以外の植物油脂を製品の5%まで使うことを認める指令を出しています。ベルギーとフランスはこれに強く反対し、ベルギー経済省は同じ年、カカオバター以外の油脂を使っていないチョコレートに付けるマーク「Ambao(アンバオ)」を作りました。ただ、ベルギーの新聞ラヴニールは2014年の記事で、このマークは姿を消したと書いています。
「ベルギーチョコレート」という名乗り方については、業界団体Choprabisco(ベルギー王立チョコレート・プラリネ・ビスケット・砂糖菓子産業協会)が、自主規準「ベルギー・チョコレート・コード」をまとめています。業界紙コンフェクショナリーニュースは2008年8月、この規準が同年9月から運用されると報じました。求めているのは、材料を混ぜ、細かくすりつぶし、練り上げるまでの工程をベルギー国内で行うことで、カカオ豆をひく工程は国外でもかまいません。「ベルギー風」「ベルギーのレシピ」といった紛らわしい表示を減らすのが狙いですが、法的な強制力はありません。
海外の反応
1. 海外の名無しさん
身に覚えがあるな。お土産用にチョコを山ほど買って帰ったら、友達も同僚も大喜びだったよ。ただ、それとは別にイースターの卵チョコを1袋買って、ひとりで全部食べたことは誰も知らない。
2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
「だが、彼らは皆あざむかれていたのだ……」
3. 海外の名無しさん(>>2への返信)
その卵チョコは、それが作られたチョコレートファウンテンに投げ戻さねばならない。「ファウンテンに投げ込め! 葬り去るんだ!」
※注:2と3は、映画『ロード・オブ・ザ・リング』の台詞をもじった冗談です。映画では、指輪を葬るには、それが作られた火山の火口に投げ込むしかありません。
4. 海外の名無しさん
なんだか名指しで責められてる気分だ。15秒に1箱のペースで買ってるの、自分なんだけど。
5. 海外の名無しさん(>>4への返信)
平均をひとりで押し上げてる人って、本当にいたんだ。君を外して数え直したら、空港の数字はもっと地味になると思うよ。
6. 海外の名無しさん
そりゃ売れるよ。ベルギーのチョコは本当に、本当においしいんだから。これまで食べたなかでいちばんおいしかったチョコも、ベルギーで食べたやつだった。
7. 海外の名無しさん(>>6への返信)
空港のチョコも質はいいんだけど、街ならもっと上のものが、わりと手ごろな値段で買えるんだよね。それに空港の上乗せはすごい。ベルギーに行く予定があるなら、空港に着く前に街で買っておくべきだよ。
8. 海外の名無しさん(>>7への返信)
去年行ったときは、ノイハウスやレオニダスみたいな大手のチョコは、回ったどのチョコレート店よりも空港のほうが少し安かったけどな。
9. 海外の名無しさん(>>8への返信)
そうそう。ああいうのはふつう免税になるから、街の店で買うより安くなるはずなんだよ。
10. 海外の名無しさん(>>9への返信)
少なくともヨーロッパでは、空港の店のほうがずっと高いよ。お菓子はとくにね。オーストラリアやニュージーランドもだいたい同じで、少し安くなるのは税の重い強いお酒くらい。あとは空港の賃料と店の上乗せがひどくて、税が浮く分なんて簡単に消えてしまう。ビーズ入りの首枕が30ドルだよ?
※注:EU域内を移動する乗客は、1999年から免税の対象外です。
11. 海外の名無しさん
免税店で買い物をする人って、本当にいるんだね。「免税」といっても値段はよそと同じか、むしろ高いくらいで、税を払わずに済んでるのは店のほうでしょ。あれのどこが客の得になるのか、誰か子どもにも分かるように説明してほしい。
12. 海外の名無しさん
ベルギー人だけど、いちばん残念なのは、あれがたいしておいしいチョコじゃないってことなんだ。便利な場所に置いてあるだけ。街に出れば、もっとおいしくて安い店が何十軒もあるよ。買う人を悪く言うつもりはないけどね。自分だって、祖父の家に行くのに手土産を忘れたと気づいて、空港で1箱買ったことがあるし(笑)。ただ、空港に本当の名店が入っていないのが惜しいな、と思うだけ。
13. 海外の名無しさん(>>12への返信)
何を言ってるんだ? あそこで売ってるブランド(ノイハウス、ゴディバ、ガレー、ピエール・マルコリーニ……)は、ベルギー人の99%が一流と認めるチョコだよ。よそで買うほうが安いだろう、というのはそのとおり。でも「良い」から「最上級」までのブランドなのは間違いない。
14. 海外の名無しさん(>>12への返信)
ノイハウスとレオニダスのほかに、買う価値があるのはどこだと思う? チョコは好きなんだけど、あの2つがそこまで持ち上げられる理由が、正直ぴんと来なくて。もっと職人の手づくりっぽい、カカオ75%以上のダークを探してるんだ。
15. 海外の名無しさん
ブリュッセルには、チョコレートを宝石店みたいに並べてる店があるんだよ。もちろん安くない。それに、ああいう店はたぶん空港には入ってない。年に何度かブリュッセルに行ってる自分が言うんだから、信じてほしい。
16. 海外の名無しさん(>>15への返信)
ブルージュ(ベルギー北西部の古都)に行ったとき、あの美しい街で見られるものは全部見たし、すばらしい食事もした。……それはそれとして、チョコレート店にも4軒は入ったと思う。本当に、本当においしかった。
17. 海外の名無しさん
グアムで、箱にグアムの景色が描かれた「ベルギーチョコレート」を手にしたことがある。中身はなんと中国製だった! ベルギーチョコレートって、イングリッシュマフィンみたいな「種類の名前」なんだと、ずっと思い込んでたよ。
18. 海外の名無しさん(>>17への返信)
厳密に言うと、「プラリネ」に限れば、あれは本当にチョコレートの種類の名前だよ。生まれたのはベルギーだけどね。
19. 海外の名無しさん
法律上、「ベルギーチョコレート」を名乗るには、油脂はカカオバターしか使えないんだよ。だから、大手の量産品の多くがやってるようにパーム油を混ぜたりできない。高い品質が保たれてる理由のひとつだね。
※注:そう定めた法律は確認できませんでした。EUの規則は、表示をすることを条件に、カカオバター以外の植物油脂を製品の5%まで認めています。「ベルギーチョコレート」の名乗り方について業界団体が設けている自主規準が求めているのは、混ぜる・練り上げるといった工程を国内で行うことで、守るかどうかは任意です。
20. 海外の名無しさん(>>19への返信)
なんだか後ろめたくなってきた。ブリュッセルに1週間いたのに、チョコをひとかけらも食べなかったんだ。20代のころで、甘いものを食べない時期だったんだよね。30代後半になった今は、甘いものばかりむさぼってる。あのころの自分が憎い。
21. 海外の名無しさん(>>20への返信)
誰に向けて言えばいいのか分からないけど、ベルギーは今もちゃんとあそこにあるし、もう一度行けるんだよ。健康のためにも、行っておいで!
22. 海外の名無しさん
旅行者に、とっておきの助言をひとつ。欲しいお土産は、全部空港のターミナルで買える。せっかくの休暇を、買い物で無駄にしちゃだめだよ。
23. 海外の名無しさん(>>22への返信)
とんでもない値段を払う気があるならね。たいていの国では、質がずっとよくて、ずっと安いものは街なかにあるんだよ。小さな町や村なら、なおさら。国際空港に並んでるのは、値段が高いうえに、いちばん大量生産されてる品ばかりだ。
24. 海外の名無しさん
チョコの箱なら、コスタリカからコーヒー豆を1ダース持ち帰るのに比べて、ずっと怪しまれずに済むしね。土産としては優秀だよ。
25. 海外の名無しさん
メキシコから帰るとき、いっしょに旅行してた人が、モルカヘテ(メキシコ料理で使う石のすり鉢)を持って帰ろうとしたんだ。保安検査で「これで人を殴れるから危険だ」と止められてね。ところが検査を抜けたすぐ先の店で、まったく同じものが10倍の値段で売られてた(笑)。空港って、どこへ行っても同じだよ。
まとめ
ブリュッセル空港は、毎分およそ1.5キロ、年間およそ850トンのチョコレートが売れる「世界最大のチョコレート売り場」だと自ら説明しています。スレッドのタイトルにあった「500グラムの箱が15秒に1つ」は出典の分からない数字で、空港の発表に沿って計算すると、20秒前後に1箱でした。コメント欄は、空港は高いから街で買え、いや空港のほうが安かった、あのブランドは一流だ、いや街にはもっといい店がある、と割れたまま。出発前に空港で土産をまとめて買うのは、日本でもおなじみの光景です。配る分とは別に、自分用の1袋をこっそり足したくなる気持ちも、たぶん万国共通なのでしょう。
参考:ブリュッセル空港の発表「Brussels Airport, Belgium’s biggest souvenir shop for Belgian products」(2025年7月)、ブリュッセル空港「The Belgian Chocolate House」、ブリュッセル空港の発表「23.6 million passengers at Brussels Airport in 2024」(2025年1月)、Brussels By Foot「1.5 kg of chocolate per minute」(2020年6月)、Focus on Belgium「Did you know that Brussels Airport is the world’s biggest chocolate shop?」(2015年4月)、BRFの記事(2017年10月)、英語版ウィキペディア「Neuhaus (chocolatier)」、同「Ballotin」、同「Belgian chocolate」、EUR-Lex「Cocoa and chocolate」(指令2000/36/ECの要約)、just-foodの記事(2000年12月)、ラヴニールの記事(2014年4月)、ConfectioneryNewsの記事(2008年8月)、CESifoの論文(2002年、EU域内の免税販売の廃止について)
元ソース: ベルギーのブリュッセル空港は、世界のどこよりもチョコレートが売れる場所。平均すると、500グラムの箱が15秒に1つ売れている

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