「差額はおよそ1ユーロだった」ホットドッグのサイズ違いで解雇された映画館スタッフに、2万ユーロの補償が命じられた話

「差額はおよそ1ユーロだった」ホットドッグのサイズ違いで解雇された映画館スタッフに、2万ユーロの補償が命じられた話 文化・社会

アイルランドの首都ダブリンの映画館で、約3年働いていたスタッフが解雇されました。理由は、社員割引で買ったホットドッグとお菓子が、レシートの記録と食い違っていたこと。差額は合計でおよそ1ユーロ、日本円にして100円台の話です。それから2年後、会社はこの元スタッフに2万ユーロを支払うよう命じられました。

※注:アイルランドには、解雇に納得できない労働者が申し立てをして、その解雇が正当だったかどうかを公的な機関に判断してもらえる仕組みがあります。不当な解雇だったと認められると、雇用主に補償金の支払いなどが命じられることがあります。

今日の知ってた?

🌭 ダブリンの映画館シネワールドで約3年働いていたカール・ミードさんは、2012年、社員割引で買ったホットドッグとお菓子をめぐり、「重大な非行」(即時解雇の理由になるほど重い違反)を理由に解雇された。

🧾 防犯カメラに映っていたのはラージのホットドッグ。レシートに記録されていたのはレギュラーだった。お菓子の食い違いも合わせた差額は、40%の社員割引を入れて約1ユーロ。

⚖️ 2014年、アイルランドの雇用上訴審判所はこの解雇を不当と判断し、会社に2万ユーロ(2014年当時のレートで日本円にしておよそ270万円)の支払いを命じた。

背景:不当解雇を争う「雇用上訴審判所」とは

アイルランドには不当解雇法(Unfair Dismissals Acts)という法律があり、解雇された労働者は「この解雇は不当だ」と申し立てることができます。この件を審理した雇用上訴審判所(Employment Appeals Tribunal)は、そうした申し立てを扱っていた機関です。通常の裁判所ではなく、労使の争いを専門に扱う審判機関で、この件も議長と委員2人の合わせて3人が審理にあたりました。海外向けに配信された通信社の記事は、これを「court(裁判所)」と表現しています。

不当解雇と認められた場合の補償には上限があり、原則として最大で104週分(2年分)の報酬までと定められています。なお、雇用上訴審判所の役割は2015年10月に職場関係委員会(Workplace Relations Commission)へ引き継がれました。現在は、この委員会が最初の判断を出し、不服があれば労働裁判所(Labour Court)で争う形になっています。

会社が解雇の理由に挙げた「重大な非行(gross misconduct)」は、予告期間を置かない即時解雇の理由になるほど重い違反を指す言葉です。アイルランドの公的な生活情報サイトは、その例として暴行、酩酊、盗み、いじめ、会社の規程に対する重大な違反を挙げています。ホットドッグのサイズの食い違いがこれにあたるのかどうかが、この件の争点でした。

もう少し詳しく

きっかけは、在庫が合わなかったこと。ミードさんは2009年から、複数の業務を受け持つスタッフ(multi-functional operator)としてこの映画館で働いていました。映画館を運営していたのは、シネワールドの名前で営業するアデルフィ・カールトン社です。報道によると、会社は売店の在庫が足りないことに気づき、売店カウンターの防犯カメラ映像を調べました。そこに映っていたのが、ミードさんがラージのホットドッグとワインガム(英国やアイルランドで定番のグミ菓子)を受け取り、レシートに署名してレジに戻す様子です。ところがレシートには、レギュラーのホットドッグとモルティーザーズ(丸いチョコレート菓子)と記録されていました。従業員には40%の社員割引があり、割引を使うときは、受け取った商品がレシートと合っているかを確かめて署名する決まりになっていました。

本人は「レシートを読まずに署名した」と説明した。ミードさんは審判所で、会社をだますつもりはなく、レシートを読まないまま署名してしまった単純な間違いだったと述べました。規則に反したこと自体は認めています。ただ、それがどれほど重い結果につながるのかは指摘されるまで知らなかった、社員割引の規程の写しを受け取ったこともない、解雇は処分として重すぎる、と主張しました。

会社は「食い違いがあれば違反」という立場だった。会社側の運営責任者(operations manager)は、署名した内容と受け取った商品のあいだに食い違いがあれば、それはすべて規則違反として扱うと説明しました。社内の懲戒手続きでも、そのあとの社内での不服申し立てでも、「重大な非行にあたり、即時解雇が相当」という結論は変わりませんでした。

審判所が問題にしたのは、「うっかりかどうか」が考慮されなかったこと。処分を決めた担当者も、不服申し立てを審理した担当者も、審判所で「規則違反があった以上、それは重大な非行であり、解雇が相当だ」という趣旨の証言をしました。つまり会社の手続きでは、単純な間違いだったのかどうかは、処分の結論を左右しない扱いになっていたわけです。審判所は、これを重大な非行と結論づけて解雇を選んだことが合理的だったとは認められないとして、不当解雇法にもとづき2万ユーロの支払いを命じました。

スレッドのタイトルは「悪意のない間違いだったと認められた」とまとめていますが、報道を読むかぎり、審判所が指摘したのは、会社が間違いの可能性を考えに入れないまま、規則違反イコール解雇と決めてしまった点です。

海外の反応

1. 海外の名無しさん
管理職の中に、彼をよく思っていない人が最低1人はいたんだろうな。そうじゃなきゃ、ホットドッグ1本のためにわざわざ防犯カメラを見返したりしないでしょ。

2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
あるいは、ただ細かすぎる上司だったのかも。部下の落ち度を見つけるためだけに防犯カメラを見返す管理職って、本当にいるんだよ。

3. 海外の名無しさん(>>1への返信)
映像を見返すこと自体は、わりと普通の業務だよ。自分が管理職だった頃は、月に3回、日付と時間帯を決めて、10分間ぶんの会計を1件ずつ確認する監査が義務になっていた。

4. 海外の名無しさん
辞めさせる口実を探していたんだと思う。自分も管理職として似た場面に立って、同じ考えが頭をよぎったことはある。でも、実行はしなかった。

5. 海外の名無しさん(>>4への返信)
書類に書かれた理由がこのうっかり1件だっただけで、本当は上の誰かの個人的な感情とか、別の事情があったんじゃないかな。そういう辞めさせ方は何度も見てきたよ。

6. 海外の名無しさん(>>4への返信)
報道を読むと、売店の在庫が合わないのに気づいて、カウンターの映像を調べ始めたのがきっかけらしい。誰か1人を狙ったというより、見つかった食い違いを規則どおり一律に処分した、という流れに見える。それはそれで融通がきかなすぎるけど。

7. 海外の名無しさん
ホットドッグのサイズを取り違えたことが「重大な非行」にあたると、誰かが審理の場で、真顔で主張しなきゃいけなかったわけだ。

8. 海外の名無しさん(>>7への返信)
だから企業側の弁護士は高給取りなんだよ。まっとうな案件でも、無茶な案件でも、同じ品質で仕事をやりきるんだから。

9. 海外の名無しさん
「食い違いの金額は、ちょうど1ユーロでした」。この一文が読み上げられる瞬間、その場に居合わせたかったな。

10. 海外の名無しさん
つまり、ラージを頼んでラージを受け取ったのに、レジ係がレギュラーの値段で会計したってこと? それならレジ係のミスで、彼のせいじゃないよね。自分の身に起きたら「今日はついてる」と思うだけで、まさかクビの理由になるとは思わない。

11. 海外の名無しさん(>>10への返信)
もしそうなら、それは盗みじゃなくて、安く請求されただけだよね。処分する相手を間違えていることになる。

12. 海外の名無しさん(>>10への返信)
注文のやり取りまでは報道に出ていないけど、社員割引を使う側が、受け取った商品とレシートが合っているかを確かめて署名する決まりだったそうだ。だから買った本人の責任にされた。本人も「読まずに署名してしまった」と認めている。ただ、レシートを読み飛ばした代償が失業というのは、どう考えても重すぎる。

13. 海外の名無しさん
「重大な非行」だって? たった1ポンドで? どう理屈をこねたらそんな結論にたどり着けるんだ。重大な非行というのは、不注意で人にけがをさせたとか、そういう水準の話だろ。

14. 海外の名無しさん(>>13への返信)
ちょっと待って、ポンドじゃなくてユーロね。アイルランドの文化もちゃんと尊重してもらわないと(もちろん冗談だよ)。

※注:アイルランドの通貨はユーロで、ポンドは隣の英国の通貨です。

15. 海外の名無しさん
チケットを買わずに入り込む子どもたちや、上映中に騒いで館内を散らかしていく客のことは放っておくのに、追及するのは気の毒なカールだけなんだよな……。

16. 海外の名無しさん
自分は辞めさせられた側を経験した。小売店で働いていた頃、学校の授業に合わせてシフトの希望を出していたら、店長に嫌われてね。ある日「お客さんから苦情があった」という理由でクビになった。それまで注意を受けたことは一度もなかったし、苦情の中身を聞いても何も教えてくれなかった。あとで元同僚に街でばったり会ったら、「苦情なんて来てなかったよ」と言われた。

17. 海外の名無しさん(>>16への返信)
自分は「お客様のニーズに対して鈍感」という理由でクビになったことがある。機械室のオペレーターで、お客なんて1人もいなかったのに。その半年後、当時の上司と、そのまた上の上司がそろって「重大な無能」を理由にクビになった。あっちの理由は的確だったと思う。

18. 海外の名無しさん(>>16への返信)
うちにも、次々と人を辞めさせる店長がいた。そのせいでクリスマス商戦の時期に人手が足りなくなって、「スタッフがいないから」と自分に週55〜65時間のシフトを入れてきた。店長本人は休みを取りたいから、自分では出たくなかったらしい。だからクリスマス前の最後の週に辞めて、店長に出勤してもらった。あれは気分がよかった。

19. 海外の名無しさん
当時あそこで働いていたよ。あれはもっと大がかりな調査の一部で、彼は運悪くそれに巻き込まれた形だった。職場でいちばん感じのいい人だったから、なおさらひどい話だと思った。

※注:在庫の不足をきっかけに会社が売店の映像を調べたことは報じられていますが、このコメントのそれ以外の内容は書き込み主の説明で、報道では確認されていません。

20. 海外の名無しさん
アメリカに住んでいてこういう話を読むと、気が滅入ってくる。アメリカの裁判所なら、逆に従業員のほうに同じ額を払わせる方法を見つけ出しそうだから。

※注:アメリカでは多くの州で、雇用主が特に理由を示さなくても従業員を解雇できる雇用慣行が一般的です。

21. 海外の名無しさん
会社が細かいお金にこだわりすぎて、かえって大損をした見本だね。1ユーロの食い違いを問題にして、2万ユーロを払うことになったわけだから。自分が処分を決めた側だったら、正直恥ずかしいと思う。

22. 海外の名無しさん(>>21への返信)
会社に2万ユーロの出費と山ほどの悪評をもたらしたんだから、責任を問われるべきなのは、この処分を決めた管理職のほうだよね。

23. 海外の名無しさん
まるでディケンズの小説に出てくる話だな。ホットドッグ1本で人の職を奪う雇い主なんて、19世紀の工場主と変わらないじゃないか。

※注:チャールズ・ディケンズは19世紀の英国の作家です。『クリスマス・キャロル』のけちで冷酷な商人スクルージのように、貧しい働き手に冷たい雇い主が登場する作品で知られています。

24. 海外の名無しさん
器の小さい管理職っているよな。売れ残ったぶんは、たぶん閉店のときに何本も捨てているホットドッグなのに。そんなことをわざわざ問題にできる人は、一度自分の生き方を見つめ直したほうがいい。

25. 海外の名無しさん
何年か前に一緒に働いていた人は、職場の金庫から700ポンドを抜き取ってハンドバッグを買い、しかもそのバッグを職場に持ってきた。それでもクビにならなかったんだよ。ホットドッグ1本との扱いの差は、いったい何なんだろう。

まとめ

ダブリンの映画館で働いていたカール・ミードさんは、社員割引で買ったホットドッグとお菓子がレシートの記録と食い違っていたことを理由に解雇されました。差額はおよそ1ユーロ。雇用上訴審判所は、単純な間違いだったかどうかを考えに入れないまま解雇とした会社の判断を合理的とは認めず、2万ユーロの支払いを命じました。コメント欄では、防犯カメラを見返した経緯への疑問や、「重大な非行」という言葉と1ユーロの釣り合わなさへのあきれ、納得のいかない理由で職を失った人たちの体験談が並びました。差額1ユーロに対して、支払いは2万ユーロ。規則違反があったかどうかだけでなく、処分がその中身に見合っているかが問われた件でした。

元ソース: ダブリンの映画館シネワールドは、1ユーロのスナックをめぐる争いで、解雇した従業員に2万ユーロ(2万5,000ドル)の補償金を支払うことになった。従業員のカール・ミードさんは、レギュラーのホットドッグの代金を払ってラージを受け取ってしまい、重大な非行を理由に解雇されたが、のちに悪意のない間違いだったと認められた

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