「駐車は75分まで」——その標識を、市から頼まれて取り付けていた業者が、作業の真っ最中にその規則で駐車違反切符を切られた。しかも異議を申し立てても取り消されなかった。2014年にカリフォルニア州サンタバーバラで実際に起きた、規則が規則を殺しにきたような話。
※注:アメリカでは路上の時間制限駐車が日本よりずっと一般的で、切符を切るのは警察官のほか、市が雇う駐車取り締まりの担当官であることも多い。罰金は数十ドル程度が相場。納得できない場合はまず市の窓口に異議を申し立て、それが通らなければ裁判所で争うという流れになる。
今日の知ってた?
📏 2014年、カリフォルニア州サンタバーバラ市は、業者のダン・グレディングに「駐車75分まで」の標識設置を発注した。ところが彼が標識を取り付けている最中、その作業車が「駐車75分まで」の違反で切符を切られた。罰金は48ドル。最初の異議申し立ては認められず、切符はそのまま確定した。
背景:「75分まで」という標識が立つ理由
アメリカの市街地では、路上の駐車枠に「ここは2時間まで」「ここは30分まで」といった時間制限が細かく設定されている。狙いは回転率で、店の前を一日中同じ車に占領されると商業地が死んでしまうため、市が区画ごとに上限時間を決めて標識を立てていく。サンタバーバラの「75分」という半端な数字も、その地区の実情に合わせて刻まれた設定のひとつだ。
そして標識は、当然ながら誰かが現地に行って立てなければならない。ポールを固定し、金属板をボルトで留め、次の区画へ移動する。作業車には標識やら工具やらが積まれているので、現場のすぐそばに停めるしかない。ここまではどこの国でも同じ話である。
問題は、その作業が「駐車時間の上限を街に増やしていく仕事」だという点にあった。仕事を進めるほど、自分が停めていい時間が短くなっていく。
もう少し詳しく
「まだ立ててないんだから切符は切れないでしょう」。グレディングは地元局の取材に、当日のやり取りをこう振り返っている。切符を差し出されて言葉が出なかった、というのが第一声だった。
「何と言えばいいのか分からなかった。呆然としましたよ」「『いや、私はいまこの標識を立てているところなんですが』と言ったら、担当官は『じゃあここに75分以上停められないことは知ってるはずだ』と。『でもまだその標識は立ててないんだから、切符は切れないでしょう』と言ったら、『向こうに立ってる標識に〈この区画〉と書いてある。だから違反だ』と言われました」
担当官の理屈は、通ってしまっていた。すでに同じ区画に取り付けられた標識には「この区画」と書かれている。つまり規制はその時点で区画全体に及んでおり、目の前のポールがまだ立っていないかどうかは関係ない——という解釈である。その標識を立てたのが本人だという事実は、判断材料に入らなかった。
争ってもひっくり返らなかった。48ドルの切符に対する最初の異議申し立ては退けられ、切符は有効なものとして確定した。金額そのものは大した額ではない。それでも「市の仕事をしている最中に、市の規則で市から切符を切られ、市に不服を申し立てて負けた」という一周した構図が、この話を10年以上ネタにされ続ける逸話にしている。
日本で言うなら。工事の告知看板を立てに来た作業車が、立てたばかりの「駐車禁止」で切符を切られる。放置自転車の撤去を知らせる看板を設置した作業員の自転車が、その告知どおりに撤去される。そんな絵を想像すればだいたい同じ味になる。担当した人に悪意があったわけでもなく、規則の書きぶりがそうなっていたというだけ、というところまで含めて。
海外の反応
1. 海外の名無しさん
「そういうことなら、こっちにも考えがある」と言って標識を全部下ろしていくところまで見たかった。実際にやったら契約違反なんだけど、気持ちはめちゃくちゃ分かる。
2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
惜しいことに、本人も近いことは言ってるんだよ。「まだこの標識は立ててないんだから切符は切れないでしょう」って。そしたら「向こうの標識にこの区画って書いてある」で終わり。かといって全部下ろしたら今度は仕事にならない。
3. 海外の名無しさん
争う手間を考えたら、請求書に「駐車違反罰金 48ドル」って一行足して市に回せばよかったのでは。どうせその金は市の別の財布から出るだけなんだし。
4. 海外の名無しさん(>>3への返信)
前の職場のボスは見積書に「面倒な客税」という項目を持ってた。やりたくない仕事や気に食わない相手だと、金額の桁をひとつ増やすの。それでもたまに通っちゃうから世の中わからない。
5. 海外の名無しさん
うちの親父が大学構内で工事をやってた頃、駐車課が容赦なく切符を切ってきたんだよ。歩道に停めた、許可証がない、トレーラーがどうこう。下水管を入れるために車両6台で大穴を囲んでる状況でもお構いなし。どうすれば止まるか聞いたら「どこでも停められる特別許可証を買え」と言われたので、全車両ぶんと従業員ぶんを1年分まとめて買って、その請求書を駐車課に回した。年間予算が吹き飛ぶと大騒ぎになって結局その請求は取り下げたけど、以後うちの工事車両に切符が切られることは二度となかった。
6. 海外の名無しさん(>>5への返信)
ルール通りにやっただけなのに相手が悲鳴を上げるタイプの話、何度読んでも効く。しかも文句のつけようがないのが一番きれいなところ。
7. 海外の名無しさん(>>5への返信)
こっちの大学は逆によくできてて、施設課が「この社名の車には手を出すな」と取り締まり側に事前に流してくれる。結局、車体に社名を大きく入れておくのがいちばん効く防御なんだよね。
8. 海外の名無しさん
似たようなことが自分にもあった。仕事に行ってる間にアパートの前に「駐車1時間まで」の標識が新しく立てられて、帰ってきたら切符が挟まってた。裁判所で取り消してはもらえたけど、そのために丸一日仕事を休むはめになった。
9. 海外の名無しさん(>>8への返信)
裁判所への出頭って、会社が休み扱いにしてくれるものじゃないの? こっちだとその手の呼び出しは有給とは別枠で処理されるんだけど、国や州で全然違うんだろうな。
10. 海外の名無しさん(>>9への返信)
アメリカで守られてるのは陪審員の呼び出しくらいで、それも「それを理由に解雇されない」というだけ。給料が出るとは限らないし、それ以外の出廷は完全に自己責任。テキサスにいたときは本当にそうだった。
11. 海外の名無しさん
「1時間ごとにトラックを動かせばよかった」と言ってる人、サンタバーバラで駐車場所を探したことがないでしょ。空き枠を見つけるだけで一苦労だし、資材を積んだ作業車なら余計に無理な相談だよ。
12. 海外の名無しさん(>>11への返信)
サンタバーバラで起きたと聞いた時点で、だいたいこういうオチなんだろうなと思った。あの街のこういうところだけは本当に一貫してる。
13. 海外の名無しさん
そもそも停めた時点では、その場所に規制の標識が無かったわけでしょ。それを理由に争えないものなの? 法律の素人からすると一番まっとうな反論に見えるんだけど。
14. 海外の名無しさん(>>13への返信)
ちゃんと争ってはいるんだよ。ただ担当官の言い分が「同じ区画の別の標識に〈この区画〉と書いてある」で、その標識を立てたのが本人だという事情は考慮されなかった。理屈だけは一応通ってるのが余計に腹立たしい。
15. 海外の名無しさん
昔コンクリートの試験で工事現場を回る仕事をしてたんだけど、社名入りのマグネットシートを車に貼って、オレンジのベストを着てクリップボードを持っていれば誰にも何も言われなかった。芝生の上だろうが歩道だろうが停め放題だったよ。
16. 海外の名無しさん(>>15への返信)
車体に「許可車両」と書いてあるだけで通ってしまう時代はあったね。元上司は古いランクルにオレンジと白の四角を塗って両側のドアにそう書き、一度も切符を切られなかったと自慢してた。今はカメラと照合されるから無理だろうけど。
17. 海外の名無しさん
自分はいくつかの町で資産評価の仕事をしてるんだけど、新しいホテルの内覧中に30分枠を少しだけ超えて切符を切られた。その物件は町の課税台帳を何千万ドルも押し上げたんだが、それでも切符は切符らしい。結局その分は年間契約に上乗せして請求した。
18. 海外の名無しさん
自分の作った処刑器具の第一号にされた古代ギリシャの職人を思い出した。作ったものに自分がやられるという構図は、二千年以上たっても人類のお気に入りらしい。
19. 海外の名無しさん(>>18への返信)
真鍮の雄牛を作ったペリラオスね。もっとも伝わっている話では、中に入れられて悲鳴の響き具合を確かめられたあと引きずり出され、最後は崖から突き落とされたことになってる。どちらにしても救いがない。
20. 海外の名無しさん
路上にボートを停めてて切符を切られたんだけど、前日ぶんの支払いに市役所へ行っている最中に、その同じボートにまた切符を切られてた。あの街に払った金は全部どこかの穴に消えたと思ってる。
21. 海外の名無しさん
素朴な疑問なんだけど、業者に切符を切って、その分が請求書に乗って結局は市が払うことになるなら、最初から作業車を対象外にしておけば全員の手間が減るのでは。何か外せない事情があるのかな。
22. 海外の名無しさん(>>21への返信)
たいていの自治体は、業者が受付したときに当日限りの許可証を渡してるよ。「誰が例外なのか」を取り締まり側の全員に覚えさせるより、紙を一枚渡すほうがはるかに早いからね。今回はその運用がすっぽり抜けてたんだと思う。
23. 海外の名無しさん
48ドルを取り立てたおかげで、10年以上たった今もこうして世界中でネタにされ続けてるわけで、市としてはずいぶん高い48ドルになったんじゃないかな。
まとめ
「駐車75分まで」の標識を市から頼まれて設置していた業者が、その作業中にまさにその規則で切符を切られ、48ドルの異議申し立ても退けられた。コメント欄は「請求書に乗せてしまえ」という現実的な対処法と、自分や身内が似た理不尽に遭った体験談で埋まり、なかでも大学の駐車課に許可証代を丸ごと請求し返した父親の話が喝采を浴びていた。規則は規則、というひと言の前では、その規則を立てた本人ですら例外にならないらしい。
元ソース: 2014年、サンタバーバラ市に「駐車75分まで」の標識設置を発注された業者が、その設置作業中に同じ規則で駐車違反切符を切られた話


コメント
弁護士が無能で争い方が悪かっただけだね