「中身をコピーしても動かなかった」『スターフォックス』のカセットに入っていたもう一つの頭脳「スーパーFX」とは

「中身をコピーしても動かなかった」『スターフォックス』のカセットに入っていたもう一つの頭脳「スーパーFX」とは 技術・発明

1993年にスーパーファミコンで発売された『スターフォックス』。ポリゴンで組み上げた戦闘機が画面の奥へと飛んでいく映像は、当時の家庭用ゲームとしてはまるで別物だった。ところがあの立体映像は、スーパーファミコン本体の力だけで描かれていたわけではない。実はソフトのカセット1本ごとに、立体を描くための専用チップが入っていた。

※注:元スレの「SNES」は、スーパーファミコンの北米などでの名称(Super Nintendo Entertainment System)。『スターフォックス』も北米では『Star Fox』の名で発売されている。

今日の知ってた?

🎮 1993年に任天堂がスーパーファミコンで発売した『スターフォックス』は、ソフトのカセット1本1本の基板に、立体の計算と描画を受け持つ専用チップが組み込まれていた。チップの名はスーパーFX。命令を単純にして処理を速くするRISCという設計の補助プロセッサである。わざわざカセットに載せたのは、スーパーファミコン本体のCPUだけでは、ポリゴンを描く計算が追いつかなかったためだ。

背景:スーパーファミコンと「ポリゴン」とは

スーパーファミコンは、任天堂が1990年に発売した家庭用ゲーム機である。得意としていたのは、ドット絵で描いたキャラクターを動かす2Dの表現と、背景の絵を回転・拡大・縮小させて奥行きがあるように見せる機能(いわゆる「モード7」)だった。平らな絵を傾けて地面に見立てることはできても、どの角度からでも眺められる立体の物体を描くことは、本来の守備範囲ではない。

ポリゴンは、立体物を三角形や四角形などの小さな面の集まりとして表す手法だ。視点や物体が動くたびに、すべての面について「いまどこにあって、どちらを向いていて、画面のどこに映るか」を計算し直し、塗りつぶして描かなければならない。これを1コマごとに繰り返す計算量は、スーパーファミコン本体のCPUがひとりで抱えきれるものではなかった。

そこで『スターフォックス』は、計算の担い手をカセットの側に追加するという手を取った。スーパーFXチップの開発には、イギリスのゲーム開発会社アルゴノート・ソフトウェアが任天堂と組んで関わっており、ゲーム本体の開発にもアルゴノートが加わっている。本体を買い替えなくても性能を底上げできる仕組みを、ソフト1本ごとに持たせたわけだ。このチップには、のちに改良版の「スーパーFX2」も登場している。

もう少し詳しく

カセットで本体を補う発想は、これが初めてではない。ファミコンの時代から、カセットにメモリ管理用のチップ(いわゆる「マッパー」)を載せ、本体だけでは扱いきれない大きなプログラムを読み込めるようにする工夫が広く使われていた。スーパーファミコンでも、発売初期の『パイロットウイングス』のカセットに、遠近感の計算を手伝う演算チップ(DSP-1)が入っている。スーパーファミコンのカセット用に作られた追加チップは、スーパーFX以外にも数多くの種類があった。

コピー機では遊べなかった。当時は、本体のカセット差し込み口に取り付け、そこにソフトのカセットを差してプログラムのデータをフロッピーディスクに写し取る「コピー機」が出回っていた。しかし写し取れるのはデータだけで、カセットの基板に載っているチップという部品までは写せない。そのため、スーパーFXを必要とするソフトは、コピーしたデータだけでは動かなかった。結果として、スーパーFXチップは不正コピーへの対策としても働いていたことになる。

いま遊ぶには、チップごと再現する必要がある。現在のパソコン用エミュレーターは、こうしたカセット内のチップの動きまで再現することで、スーパーFXを使うソフトを動かしている。ゲームのデータだけでなく「カセットに入っていた部品」まで模倣しなければならないのが、この時代のソフトの手ごわいところだ。

海外の反応

1. 海外の名無しさん
「ゲームのカセットに演算チップまで積んでしまおう」から始まって、今や「パッケージ版そのものをやめます」という話が出る時代になった。30年ちょっとで、ずいぶん遠くまで来たもんだ。

2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
その比較なら、ダウンロード販売よりクラウドゲームのほうがしっくりくると思う。手元にあるのは画面とコントローラーとネット回線だけ、という形だから。ただGoogleのStadiaがあっさり終わったのを見ると、技術のほうがまだ追いついていない気もする。

3. 海外の名無しさん(>>2への返信)
クラウドでもダウンロードでも、結局は「いつまで遊べるのか分からない貸し出し」にお金を払っている感覚が抜けない。自分の物として持っていられるなら、もう少し気持ちよく払えるんだけど。

4. 海外の名無しさん
こういう追加チップはこの時代わりとよくある話で、当時のソフトが高かった理由のひとつでもある。『スターフォックス』の値段を今のお金に直すと、140ドルくらいになるらしい。

5. 海外の名無しさん(>>4への返信)
子どもの頃、あれに70ドル払ったよ。近所の家の芝刈りを何軒も引き受けて、やっと貯めた金だった。それでも当時の自分にとっては、1セント残らず払う価値があった。

6. 海外の名無しさん(>>4への返信)
高さでいえば上には上がいる。メガドライブ(北米名はGenesis)の『バーチャレーシング』は、スーパーFXに対抗してセガが用意した「SVP」というチップを積んでいて、アメリカでは1994年に100ドルもした。その年のおもちゃ屋のカタログを見ると、本体のほうが89.99ドルで安いんだよ。自分のカセットを開けてみたら、チップに放熱板がグリスで貼りつけてあった。

7. 海外の名無しさん(>>6への返信)
しかも結局、そのチップを使ったのは『バーチャレーシング』1本だけで終わったんだよな。同じチップで出す予定だった『バーチャファイター』や『デイトナUSA』の移植はコストがかさんで中止になって、どちらもセガサターンで出ることになった。

8. 海外の名無しさん
高かったのは確かだけど、あれは当時として本当に画期的な技術だったからね。テレビの前で、ポリゴンの戦闘機が奥へ飛んでいくのを初めて見たときの衝撃は今でも覚えている。

9. 海外の名無しさん(>>8への返信)
家庭用ゲーム機としては、たしかにそう。ただ自分はその3年くらい前から、DOSのパソコンで『Jetfighter II』っていうフライトシムを遊んでいて、画面に出ているポリゴンの数はたぶん同じくらいだったと思う。

10. 海外の名無しさん(>>9への返信)
でもそのパソコン、本体だけでいくらした? 子どもが芝刈りで貯めたお金でカセットを買って、テレビにつないだゲーム機に差し込めば、あの立体の映像が見られた。すごかったのはそこだと思う。

11. 海外の名無しさん
ちなみにスーパーFXチップは、結果的にコピー対策にもなっていた。当時は本体のカセット差し込み口に取り付けて、そこにソフトのカセットを差し、中身をフロッピーディスクに写して遊ぶ「コピー機」が売られていた。でも写せるのはデータだけで、チップという部品までは写せない。だからスーパーFXを使うソフトは、コピーしても動かなかったんだ。

12. 海外の名無しさん(>>11への返信)
今のパソコン用エミュレーターが、そのチップの動きまでまとめて再現しているのもそのためだね。ただ、これが見た目より厄介なんだ。当時のゲームは画面の書き換えのタイミングに合わせて進み方を決めているものが多くて、たとえば『スターフォックス』でスーパーFXの処理だけを速くすると、ゲームの進行まで速くなってしまう。

13. 海外の名無しさん(>>11への返信)
カセットの仕掛けでいうと『Super 3D Noah’s Ark』も面白い。北米で出た任天堂非公認のスーパーファミコン用ソフトで、本体に仕込まれた「正規品以外は弾く仕組み」をすり抜けるために、カセットの上に正規のソフトを差し込んでから遊ぶ作りになっていた。

14. 海外の名無しさん(>>13への返信)
あのゲーム、中身はほぼ『Wolfenstein 3D』の絵を差し替えただけなんだよな。ナチス兵と番犬を撃ちまくるゲームを遊んでいて「これをノアの方舟にして、敵を動物にしたら最高じゃないか」と思いつく人の顔が想像できない。

15. 海外の名無しさん
カセットで遊ぶゲームって、技術の面から見ると本当に面白い。スーファミのカセットに入っていた追加チップはスーパーFX以外にもかなりの種類があって、一覧にまとめたページまであるくらい。ファミコンのカセットにも、本体だけでは扱えない大きなデータを読めるようにする「マッパー」と呼ばれるチップが入っていた。

16. 海外の名無しさん(>>15への返信)
スーファミはそもそも、最初からこういう拡張をする前提で作られていたんだよ。発売初期に出た『パイロットウイングス』のカセットにも、遠近感の計算を手伝う演算チップ(DSP-1)がもう入っていた。

17. 海外の名無しさん(>>15への返信)
その一覧を眺めていて思い出した。同じスーパーFXを使った『ワイルドトラックス』(海外名は『Stunt Race FX』)が、とにかく楽しかったんだ。紙芝居みたいなコマ送りだったけど、子どもの頃はそれこそ飽きるほど遊んだよ。

18. 海外の名無しさん
カセット側のチップで本体を強化するのは、当時はごく普通のことだった。それとスーファミ本体だけでも、ごく限られた範囲ならポリゴンを描けたんだ。『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』のオープニングで、トライフォースが立体的に動く場面がそれ。

19. 海外の名無しさん(>>18への返信)
ああいう、プレイヤーの操作に反応しなくていい立体なら、計算はかなり軽く済ませられる。1コマごとの座標や光の当たり方をあらかじめ計算して、カセットに入れておけばいいから。理屈の上ではファミコンのCPUでも描けたはずで、当時そうしなかったのは、そのデータを入れておく容量が高くついたからだと思う。

20. 海外の名無しさん
こういうチップを全部使ったら、何も改造していないスーファミ本体でどこまで絵を出せるんだろう。ちょっと気になってきた。

21. 海外の名無しさん(>>20への返信)
パソコンの映像をスーファミのメモリに流し込んでテレビに映す、というカセットを自作した人の動画を見たことがある。だから、かなりのところまでいけるんじゃないかな。

22. 海外の名無しさん(>>21への返信)
それはスーファミがゲームを動かしているんじゃなくて、映像を流す画面として使っているだけだよね。面白い試みではあるけど、当時のカセット用チップで本体の性能をどこまで引き出せるか、という話の答えにはなっていないと思う。

23. 海外の名無しさん(>>20への返信)
スーパーFX向けに自作ソフトを作っている者だけど、「限界」をどこに置くかによる。試作品として、光の反射を計算して描くレイトレーシング用の拡張チップを作った人までいるから、上を見ればきりがない。ただ90年代のチップに限るなら、実際に発売されたゲームから大きくは伸びない。チップで描いた絵をスーファミの映像用メモリに送る部分がどうしても詰まるから、現実的には16色、毎秒30コマくらいで頭打ちになる。

24. 海外の名無しさん
実はスーパーFXをさらに強化した「FX 3」というチップを作って、スーファミ向けの『DOOM』の復刻版カセットに載せたんだ。オリジナルのスーファミ版を手がけたランディ・リンデンも一緒で、自分はステージを移植するチームにいた。元のステージを128KBのメモリに押し込みつつ雰囲気をどれだけ残せるかの勝負で、正直いくつかは地獄だったよ。計算の速さは旧型のFX 2の7倍くらいあるけど、足を引っぱるのは結局スーファミ本体の映像用メモリで、それでも毎秒20〜25コマは出ている。パソコン版の原作が35コマ、昔のスーファミ版は調子のいい日でも10コマくらいだったから、かなり健闘していると思う。スーファミの歴史に少しでも関われてうれしいよ。

25. 海外の名無しさん
『スターフォックス』の話になると、続編の『スターフォックス2』を思い出す。当時は開発が進んでいたのに発売が見送られて、正式に遊べるようになったのは、2017年のニンテンドークラシックミニ スーパーファミコンに収録されたとき。初代から数えて24年越しだった。

まとめ

1993年の『スターフォックス』は、スーパーファミコン本体のCPUだけではポリゴンの計算が追いつかないため、カセット1本ごとに専用チップ「スーパーFX」を載せていた。コメント欄では、その分カセットが高くついた思い出話や、コピー機では動かなかったという裏話が並び、メガドライブの『バーチャレーシング』はもっと高かったという話にも広がった。終盤には、そのチップを強化した新型を作ったという開発者本人まで登場。30年以上前のカセットの中身が、今も現役の話題として語られている。

元ソース: 1993年のスーパーファミコン用ソフト『スターフォックス』の立体映像を実現するため、ゲームカセット1本1本に専用のRISC補助プロセッサがはんだ付けされていた。スーパーファミコン本体のCPUだけでは、ポリゴンを描くには遅すぎたからだ

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