「生きるための臓器は、頭のすぐ後ろに全部詰め込まれている」残り8割は発電器官…デンキウナギの意外な体のつくり

「生きるための臓器は、頭のすぐ後ろに全部詰め込まれている」残り8割は発電器官…デンキウナギの意外な体のつくり 自然・科学

数百ボルトもの電気を放つことで知られるデンキウナギ。実はその細長い体のうち、心臓や胃腸など生きるのに欠かせない臓器は頭のすぐ後ろにまとめて詰め込まれていて、残りの約8割は電気を作るための器官で占められている。海外の掲示板では「つまりiPhoneだな」というツッコミから、意外な長生きへの驚き、有名なSF映画のネタまで、にぎやかなコメントが集まった。

今日の知ってた?

⚡ デンキウナギの生命維持に必要な臓器は、頭のすぐ後ろ、体の前のほうおよそ2割の部分にすべて詰め込まれている。残りの約8割は、電気を作り出す「発電器官」がほぼ占めている。

背景:デンキウナギとは

南米の川にすむ、電気を出す魚。デンキウナギは南米のアマゾン川やオリノコ川の流域にすむ淡水魚で、大きいものでは全長2メートルを超える。濁った水の中で暮らしていて、強い電気で獲物をしびれさせて捕らえたり、身を守ったりする。米スミソニアン国立動物園の解説によると、すみかは流れのゆるい三日月湖や小川、水たまり、雨季に水没する森など。アマゾン川もオリノコ川も雨季と乾季で水位が大きく変わり、乾季には水が引いて、たくさんの魚が小さな水たまりに取り残される。そうした水は酸素が少ないが、デンキウナギはそこでも暮らしていける体をもっている。

名前に反して、ウナギの仲間ではない。かば焼きでおなじみのウナギは「ウナギ目」の魚だが、デンキウナギは「デンキウナギ目」という別のグループに属していて、分類上はむしろコイやナマズに近い。観賞魚として知られるブラックゴーストなど、英語で「ナイフフィッシュ」と呼ばれる南米の魚たちの仲間で、細長い体つきがウナギに似ているだけだ。

魚なのに、水面で息つぎをする。デンキウナギはエラ呼吸だけでは酸素が足りず、ときどき水面に上がって口から空気を吸い込む。口の中には血管がびっしり通ったひだがあり、米ミシガン大学の動物図鑑サイト「アニマル・ダイバーシティ・ウェブ」によれば、必要な酸素の8割近くをここから取り込む。エラもあるが、酸素の主な取り入れ口ではない。空気を吸わないと生きていけない魚なので、水面に出られない状態が続くと、魚でありながら溺れてしまう。

電池の発明にもつながった魚。デンキウナギの電気は1775年に初めて研究の対象になり、その成果は1800年のボルタによる電池の発明にもつながったとされる。1839年には、イギリスの化学者マイケル・ファラデーが南米のスリナムから運ばれたデンキウナギを使い、流れる電気の向きや大きさを測っている。

もう少し詳しく

発電のしくみは「小さな電池の直列つなぎ」。発電器官は、「発電細胞」と呼ばれる平たい細胞がぎっしり積み重なってできている。もとは筋肉の細胞が変化したもので、ひとつが生み出す電圧は0.1〜0.15ボルトほどとごくわずか。ところがこれが何千個も直列に並んでいて、神経からの合図で一斉に放電すると、電圧が足し合わされて数百ボルトに達する。日本語版ウィキペディアによれば、主器官では約0.15ボルトの発電細胞が約6000個直列につながり、その列が体の両側に約35本ずつ並列に並んでいる。わざわざ高い電圧を出すのは、すみかが淡水だからだ。淡水は海水より電気を通しにくく、強いショックを与えるには高い電圧が要る。海にすむシビレエイの仲間が、もっと低い電圧で強い電流を流せるのとは対照的である。

800ボルトを超える記録も。デンキウナギの電圧は、最大で600ボルト前後とされてきた。日本の家庭用コンセントは100ボルトなので、その数倍にあたる。さらに2019年には、それまで1種類だと考えられていたデンキウナギが実は3種類に分かれることが報告され、そのうちの1種では800ボルトを超える放電が測定されている。米スミソニアン自然史博物館のカルロス・デビッド・デ・サンタナらは、アマゾン各地で集めた107匹のDNAや体の形、すむ環境、放電の強さを調べて種を分け、新種の一つエレクトロフォルス・ボルタイで860ボルトを記録した。生き物の放電として記録された中で最も強く、それまでの最高は650ボルトだった。種名は電池を発明したイタリアのアレッサンドロ・ボルタにちなむ。ボルタイがすむ、アマゾン川の南側に広がる高地(ブラジル楯状地)の川は水に溶けた塩分が少なく電気を通しにくいので、強い放電を出せるように進化したのではないか、と研究チームは考えている。逆に、塩分が多く電気を通しやすい低地の川にすむもう一つの新種エレクトロフォルス・バリイの放電は、151〜572ボルトほどだった。

発電器官は3種類ある。体の後ろ側には「主器官」「ハンター器官」「サックス器官」と呼ばれる3つの発電器官が並んでいる。獲物をしびれさせたり身を守ったりする強い電気は主に主器官とハンター器官から、濁った水の中で周りの様子を探るための弱い電気は主にサックス器官から出ているとされる。スミソニアン国立動物園の解説では、強い電気を出すのは主器官とハンター器官の3分の2で、ハンター器官の残りとサックス器官が弱い電気を担う。

狩りは「ぴくっ」と動かしてから。同じ解説によると、デンキウナギは体の側線で水のわずかな動きを感じ取り、獲物が近くにいそうだと、素早い2連続の電気パルスを出す。すると獲物の筋肉が勝手にぴくっと動いて居場所がばれ、そこへ1秒間に最大400回もの高電圧のパルスを浴びせて動けなくし、飲み込む。一連の動きは速すぎて、人の目では細かく追えないほどだという。

水から飛び出して、敵に体を押し当てる。1800年、探検家アレクサンダー・フォン・フンボルトは南米で、先住民が馬を水たまりへ追い込んでデンキウナギを捕る漁を見た。デンキウナギは水面から伸び上がって馬に電気ショックを浴びせ、2頭の馬が気を失って、そのまま溺れたという。この話は長いあいだ半信半疑で受け止められてきたが、2016年に米バンダービルト大学のケネス・カタニアが実験で、デンキウナギが水から飛び出してあごを相手に押し当て、高電圧を浴びせることを確かめた。水の中では電気が広がってしまうので、半分水につかった敵には、体を直接押し当てたほうが強く効く。

肛門はのどの下に。生きるための臓器が頭の後ろに固まっている体のつくりなので、デンキウナギの肛門は、のど元のあたりという魚としてはかなり前の位置にある。泳ぐときは、体の下側に沿って長く伸びるひれ(しりびれ)を波打たせて進む。

海外の反応

1. 海外の名無しさん
へえ、と思ったのは寿命の長さ。野生で平均15年、飼育下だと25年くらい生きることもあるらしい。魚ってもっと短命なイメージだったから意外だった。

※注:米スミソニアン国立動物園の解説では、野生のデンキウナギの平均寿命は「まだ分かっていない」とされている。飼育下ではオスがおよそ10〜15年、メスが12〜22年ほど生き、20年を超えて飼われた例もある。

2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
自分より年上のデンキウナギがこの世にいるという事実を、どう受け止めればいいのか分からない。年上といってもほんの少しだし、もうすぐこっちが追い越すんだけど、しばらくはそれを意識しながら生きていくしかない。

3. 海外の名無しさん(>>2への返信)
口を慎め、若造。こちとらお前がおむつをしてた頃から、アマゾンの川で黙々と発電してきたんだ。年長者を敬え。

4. 海外の名無しさん(>>2への返信)
ちなみに君は野生? それとも飼育下? そこで寿命が10年も変わるらしいから、けっこう大事なところだよ。

5. 海外の名無しさん(>>4への返信)
そもそも我々はみんな、何かに飼われて生きてるようなものでは? 会社と家賃という名の水槽の中でさ。

6. 海外の名無しさん
寿命の話でいうと、金魚だって広い池のような環境でちゃんと飼えば、20年以上生きることもあるらしい。水の中の生き物って、本当によく分からないことだらけだ。

7. 海外の名無しさん(>>6への返信)
だよね、ずっとそう思ってた。そもそも水で呼吸するって何なの? 正直、あいつらのことはちょっと怪しいと思ってる。

8. 海外の名無しさん
電気を作るのが簡単なら、誰だってやってるよ。体の8割を発電に差し出すくらいの覚悟がいるってことだ。

9. 海外の名無しさん(>>8への返信)
厳密に言えば、人間だって電気は作ってるけどね。量が少ないだけで。心臓も脳も、電気信号で動いてるわけだし。

10. 海外の名無しさん(>>9への返信)
でも地球全体を人間電池の農場にしたら、どれだけ発電できるか想像してみてよ……。

11. 海外の名無しさん(>>10への返信)
面白そうな設定だね。それ、映画にしたらけっこうウケるんじゃない?

12. 海外の名無しさん(>>11への返信)
銃とカッコいいサングラスを足してくれるなら、公開初日に観に行く。

13. 海外の名無しさん(>>12への返信)
ついでに人間をデンキウナギに差し替えよう。機械が人間を電池がわりにする『マトリックス』だって、最初から体の8割が発電器官のこいつらを並べておけば、ずっと効率がよかったはず。

14. 海外の名無しさん(>>10への返信)
そんなのはSFの絵空事だよ。それより、地球全体をデータセンターで埋め尽くしたらどれだけ熱が出るか想像してみなよ。……あれ、こっちはもう現実になりかけてないか?

15. 海外の名無しさん
つまり、ほぼiPhoneってことか。噂だけど、キーボード付きスマホのブラックベリーを作っていたリサーチ・イン・モーション社の幹部たちは、初代iPhoneが発表されたとき「あれだけの機能を詰め込んで、電池がもつわけがない」と信じなかったらしい。ところが実物を手に入れて分解してみたら、中身は巨大なバッテリーに小さな基板がくっついているだけだったとか。

16. 海外の名無しさん(>>15への返信)
中を開けた瞬間、幹部たちの体にビリッと電流が走ったんだろうね。デンキウナギの話だけに。

17. 海外の名無しさん
こういう話って、どうしていつも写真や図が付いてないんだろう。体の8割が発電器官って言われても、まったくイメージが湧かない。

18. 海外の名無しさん(>>17への返信)
気になって探したら、体の中身を描いた解説イラストが見つかったよ。頭のすぐ後ろに内臓がぎゅっと固まっていて、そこから後ろはほとんど全部が発電器官。見ると「本当に8割だ」って納得する。

19. 海外の名無しさん(>>18への返信)
いや待って、そのイラストに書いてある「800ボルト」と「全長8フィート(約2.4メートル)」って何? そんなのが普通に川を泳いでるの?

20. 海外の名無しさん(>>18への返信)
え、デンキウナギって息つぎのために水面まで上がってこなきゃいけないの? 魚なのに?

21. 海外の名無しさん(>>20への返信)
こっちも同じイラストを見てるだけだから詳しくは……と言いたいところだけど、本当らしい。エラだけでは酸素が足りないから、ときどき水面に顔を出して口から空気を吸うんだって。上がれないと溺れることもあるとか。

22. 海外の名無しさん
図がないって嘆いてる人がいたから、文字だけで断面図を描いてみた(長すぎるので中身だけ書く)。前の2割に脳、エラ、心臓、肝臓、胃腸。後ろの8割には主器官、ハンター器官、サックス器官という3つの発電器官が重なるように並ぶ。発電細胞はもとは筋肉の細胞で、1個あたり0.1〜0.15ボルトしか出ないけど、何千個も直列につながることで数百ボルトになる。

23. 海外の名無しさん
ということは、最初は体の後ろのほうに小さな発電部分があるだけの小さな魚で、それが長い進化の中でどんどん伸びていって、ついに体のほとんどを占めるようになったんだろうね。

24. 海外の名無しさん(>>23への返信)
たぶんそうだと思う。ちなみに、こいつらはそもそも本物のウナギじゃなくて、南米のナイフフィッシュの仲間なんだよね。あと、肛門がのどの下にある。

25. 海外の名無しさん(>>24への返信)
最後の一文、必要だった? 今日知った中でいちばん知りたくなかった情報なんだけど。……でもたぶん、明日には誰かに話してると思う。

まとめ

デンキウナギは、生きるための臓器を頭のすぐ後ろにまとめ、体の約8割を発電器官にあてている。ごく弱い発電細胞を何千個も直列につなぐことで、数百ボルトもの電気を生み出す魚だ。名前に反してウナギの仲間ではなく、息つぎのために水面に上がるという意外な一面も。コメント欄では「つまりiPhone」「『マトリックス』に使えばいい」とネタが飛び交う一方、自分より年上のデンキウナギがいると知って動揺する人もいた。

参考資料

元ソース: デンキウナギの生命維持に必要な臓器はすべて頭のすぐ後ろに詰め込まれていて、体の残り8割は発電に使われていると知った

コメント