RSSヘッドライン

「コンピュータを使ったのはズルだ」全編CGの金字塔がアカデミー賞の対象外にされた理由

「コンピュータを使ったのはズルだ」全編CGの金字塔がアカデミー賞の対象外にされた理由 音楽・エンタメ

1982年公開のSF映画『トロン』は、全編が光り輝く”コンピュータの中の世界”を描いた革新作だった。ところがアカデミー視覚効果賞では、候補にすら入れてもらえなかった。理由が強烈で——監督いわく「コンピュータを使ったのはズルだと審査員に思われたから」。コンピュータを題材にした映画が、コンピュータを使ったらズル。そんな理屈が本気で通っていた時代の話だ。

今日の知ってた?

📏 映画『トロン』(1982)は、アカデミー視覚効果賞の対象から外された。監督が語った理由は「コンピュータを使ったのはズルだと思われたから」。だが皮肉なことに、映像の大半はCGではなく膨大な手描き作業で作られており、制作陣はむしろ人の2倍働いていた

背景:『トロン』とはどんな映画か

『トロン』はウォルト・ディズニー制作、スティーヴン・リスバーガー監督によるSF映画。プログラマーがコンピュータ内部の”電脳空間”に取り込まれ、ネオンのように発光するスーツを着て戦う——という、当時としては前代未聞の映像世界を打ち出した。

公開は1982年。CG(コンピュータ・グラフィックス)という言葉すら一般には馴染みのなかった時代だ。長編映画がCGを”背景の一部”ではなく”作品全体の舞台”として使ったのは、事実上これが初めてだった。リスバーガー監督は後にこう振り返っている。「私たちはCG映像を、ひとつの実在する環境として使った。それまで誰もやっていなかったことを、約7か月で——技法そのものを発明しながら——やり遂げた」。

もう少し詳しく

実は”CGの塊”ではなかった。「全編CGのズル」と誤解されがちだが、純粋なコンピュータ映像は全体で15分ほどしかない。人物が画面に映る場面には、CGは一切使われていない。当時は実写とCGを同じ画面に同時合成する技術がまだ存在しなかったからだ。あの象徴的な”光るスーツ”も、実はCGではなく、フィルムに1コマずつ手で描き込んだものだった。

白黒で撮って、後から手で色を塗る。俳優が登場する電脳空間のシーンは、まず白黒カメラで撮影された。スーツの光や色は、撮影後にすべて手作業で加えられている。1コマごとにマスク(型抜き)を作り、裏から光を当てて発光させる”裏面照明アニメーション”や、実写をなぞって描き起こす”ロトスコープ”——こうした地道な手描きの積み重ねを、何百人ものアニメーターがフレーム単位でこなした。CGを使ったどころか、CGに見せるために膨大な手仕事をしていたのだ。

1フレームに数時間。CG部分の作り方も、今とはまるで違う。リアルタイムで動きを確認する道具などなく、アニメーターは物体の座標・角度・傾きの数値を方眼紙に書き出し、レンダリング業者に送る。数字は人の手で1つずつコンピュータに打ち込まれ、映像は1コマずつ生成された。ワイヤーフレームの簡素な絵ですら1コマに数時間。わずか4秒ぶんの100コマを作るのに、600個もの数値を手入力する必要があった。それがちゃんと動いたこと自体が奇跡に近い。

名誉挽回はゆっくり訪れた。視覚効果賞からは締め出されたものの、『トロン』は衣装デザイン賞と音響賞の2部門でアカデミー賞にノミネートされている。そして時代が追いつくにつれ、この作品の先駆性は正当に評価されるようになった。ピクサーのジョン・ラセターは「『トロン』がなければ『トイ・ストーリー』は生まれなかった」と公言している。ズル呼ばわりされた技術は、その後の映像業界そのものを作り変えたのだ。

海外の反応

1. 海外の名無しさん
本当の皮肉は、『トロン』が全編CGですらなかったこと。あの映像の大部分は、気の遠くなるような量の手描きロトスコープと裏面照明で作られてる。実質2倍の労力をかけて、それでも「ズルした」と言われたわけだ。

2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
しかも俳優が入る電脳空間のシーンは全部白黒カメラで撮影されてて、スーツの色みたいな発色は全部あとから手作業で足してる。撮った時点では真っ白なんだよ。

3. 海外の名無しさん(>>2への返信)
それを何百人ものアニメーターが、1コマずつ、丁寧に、延々とやったんだよな。想像しただけで気が遠くなる。

4. 海外の名無しさん
そりゃコンピュータは使うだろ。だってコンピュータの中でロケしてるんだから。何言ってんだ審査員…(笑)

5. 海外の名無しさん(>>4への返信)
うまい。ロケ地は文字どおり”電脳空間”だもんな。この渋いユーモアに座布団一枚あげたい。

6. 海外の名無しさん(>>4への返信)
撮影クルー全員が”中の人”だったってことか。ある意味では史上もっともリアルなドキュメンタリーだな。

7. 海外の名無しさん
面白い豆知識をひとつ。この映画、純粋なコンピュータ映像は全部で15分くらいしかない。人が映ってる場面にCGが無いのは、当時は実写とCGを同じ画面に同時に出す技術がまだ無かったから。あの光るスーツですらCGじゃなくて、フィルムにマーカーで手描きしてるんだよ。

8. 海外の名無しさん(>>7への返信)
当時の機材でそこまで作り込んだと知ると、むしろ他のどの受賞作より賞に値する気がしてくる。無いものを気合いで埋めた感じがすごい。

9. 海外の名無しさん
制作過程が狂ってる。動きを確認する道具が無いから、座標や角度の数字を方眼紙に書いて業者に送り、それを人が1つずつ打ち込んで1コマ生成する。4秒ぶんの100コマで600個の数値を手入力。1コマにつき何時間もかかったらしい。よく完成したな…。

10. 海外の名無しさん
腹を立てる前に、その年の視覚効果賞に何がノミネートされてたか調べてみたんだ。相手は『E.T.』と『ブレードランナー』。1982年のハリウッド、視覚効果に関しては全然ヌルくなかった。

11. 海外の名無しさん(>>10への返信)
結局その年は『E.T.』が受賞。粒ぞろいの年だったのは確かだけど、それでも『トロン』が土俵にすら上がれなかったのは別問題だと思うんだよな。

12. 海外の名無しさん
これは正真正銘の冷遇だよ。当時の『トロン』は、視覚効果の革新性で言えば『2001年宇宙の旅』に匹敵するくらいのインパクトがあった。

13. 海外の名無しさん(>>12への返信)
『トロン』は別世界を作るために何千コマも手作業でロトスコープしてる。片や『E.T.』は操り人形と空飛ぶ自転車。革新性で賞をあげるなら、どっちを評価すべきかは明らかだろ。

14. 海外の名無しさん
あと当時は「コンピュータで作ったものは芸術と呼べるのか」っていう大論争が本気であったんだよ。プロの間でも一般人の間でも、CGにははっきりした偏見があった。

15. 海外の名無しさん(>>14への返信)
写真だって最初は「芸術じゃない」と散々叩かれたからな。ボタンを押すだけで絵ができるなんてズルだ、って。今じゃ立派な芸術ジャンルなのに。新しい表現はいつもこの道を通る。

16. 海外の名無しさん
1983年、大学の授業でレポートを落とされたことがある。アップルIIeのワープロで書いて、ドットプリンタで印刷したから。「どうせコンピュータが書いたんだろう」って理由でね。当時の空気はマジでそんな感じだった。

17. 海外の名無しさん
コンピュータの中に入る映画の視覚効果に、よくもコンピュータを使ったな——って、字面だけで最高にバカバカしいだろこれ。

18. 海外の名無しさん
本来なら視覚効果賞を獲って当然だった。この映画のために生まれた”パーリンノイズ”という技法は、今もゲームや映画で炎・煙・地形を自動生成する土台として使われ続けてる。40年経っても現役の発明だぞ。

19. 海外の名無しさん
子どもの頃、衣装デザイン賞を『ガンジー』に持っていかれたのが本気で悔しかった記憶がある。いや『ガンジー』もいい映画なんだけどさ…(笑)。

20. 海外の名無しさん
待って、じゃあ『スター・ウォーズ』はどういう扱いになるんだ?あれも当時はとんでもない映像だったろ。

21. 海外の名無しさん(>>20への返信)
『スター・ウォーズ』にCGは無いんだよ。全部ミニチュア模型とカメラの工夫と巧みな編集。宇宙船のレーザーですら撮影後に手で描き足したもの。だから”コンピュータで作った”扱いにはならなかった。

22. 海外の名無しさん
なんだかすごく聞き覚えのある話だ。新しい技術が出るたびに「あれはズルだ」「あんなの本物じゃない」と言われて、次の世代ではそれが当たり前になってる。人間って昔から何も変わってないんだな。

まとめ

コンピュータで”コンピュータの中”を描いたら「ズルだ」と門前払い——今なら笑い話だが、当時は本気の偏見だった。しかも実際の『トロン』は手描きの塊で、制作陣はむしろ倍の労力を払っている。コメント欄では「写真も昔は芸術と認められなかった」「新しい表現はいつもこの道を通る」と、新技術が受け入れられるまでの”お決まりの反発”として重ねて見る声が目立った。ズル呼ばわりされた技術が、のちの映像業界そのものを作り変えたという結末込みで味わい深い一件だ。

元ソース: 『トロン』(1982)がアカデミー視覚効果賞の対象外とされた——「コンピュータを使ったのはズルだと審査員に思われたから」

コメント

  1. Reddit名無しさん より:

    観たことなかったんだけど、この話で観たくなった。