「現金で払えないなら、石油で払えばいい」——1970年代後半、ソ連はスウェーデンの国民的グループABBA(アバ)に、レコードの対価をお金ではなく原油で支払っていた。冷戦下ならではの、なんとも豪快な物々交換の話を今日は掘り下げてみる。
今日の知ってた?
📏 1970年代後半、ソ連はABBAのアルバムの対価を、通貨ではなく原油で支払っていた。当時のソ連ルーブルは国外では使えない「非交換通貨」だったため、ABBA側は音楽の権利をタンカー単位の原油と交換したと伝えられている。一時はABBAがボルボに次ぐスウェーデン第2位の輸出額を稼ぐ存在だった、という話まで残っている。
背景:非交換通貨とバーター貿易
冷戦期、ソ連をはじめとする東側諸国の通貨は、国内ではふつうに機能していても、一歩国境を出るとほとんど価値を持たなかった。西側の銀行では両替してもらえず、ルーブルを大量に持っていても外国では何も買えない。これを「非交換通貨(ハードカレンシーではない通貨)」と呼ぶ。
そのため、西側の企業や個人が東側とビジネスをすると、代金をドルやポンドで受け取れないことがよくあった。かわりに使われたのが、モノとモノを直接交換する「バーター貿易」だ。ソ連はエネルギー資源が豊富だったので、支払いの手段としてよく登場したのが原油や石油製品だった。ABBAが受け取った石油も、この仕組みの産物である。
もう少し詳しく
なぜ「石油」だったのか。ソ連はABBAのレコードを国内で売りたかったが、印税をルーブルで払っても、ABBA側は国外に持ち出して使うことができない。そこで、世界中どこでも売れる原油という「実物のお金」で払う形になった。石油ならスウェーデンの商社を通じて現金化できる。ルーブルの札束より、タンカー1杯の原油のほうがよほど価値があったわけだ。
ABBAの経済的スケール。石油の話がなくても、当時のABBAの売上は桁違いだった。世界的な大ヒットを連発し、レコードの輸出額はスウェーデンを代表する自動車メーカー・ボルボに迫るほど。「歌でオイルマネーを稼ぐバンド」というより、「一国の輸出産業に匹敵するバンド」だったと言ったほうが実感に近い。
ただし規模の話は慎重に。石油で支払われたこと自体は複数の記事で語られているが、「タンカーを何隻分」といった具体的な規模になると、はっきりした一次資料は意外と多くない。取引があったのは確かでも、細部には尾ひれがついている可能性がある——という冷静な指摘も海外の掲示板では出ていた。豆知識として楽しみつつ、数字は話半分に、というくらいがちょうどいい。
実はソ連あるある。似た構図の取引はほかにもある。有名なのが飲料メーカーのペプシで、ソ連にシロップを売った見返りに、退役間近の軍艦や潜水艦を受け取ったという逸話が残っている。こちらもかなり盛られて語られているが、「ドルで払えないから現物で」という発想は、冷戦の東西貿易では珍しくなかった。
海外の反応
1. 海外の名無しさん
1981年、リトアニアのクライペダ港の防波堤で、暴風雨のなかタンカーが座礁して真っ二つに折れ、約1万6500トンの重油が流出した。バルト海沿岸を襲った大規模な環境災害だ。……ちなみに、あれはABBAの石油だったらしい。
2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
自然災害だっただけまだマシだよ。もしそのタンカーが「アンダー・アタック」(攻撃)されてたら、皮肉が過ぎて笑えない。
3. 海外の名無しさん(>>2への返信)
それこそ彼らの「ワーテルロー」だったろうね。ABBAの曲名で事件を実況できてしまうのがなんとも。
4. 海外の名無しさん(>>1への返信)
昔からうすうす思ってたんだ。ABBAはいつか地球環境を破壊する側に回るってね。まさか石油タンカーとは。
5. 海外の名無しさん
実はソ連、飲料のペプシにも似たことをしてる。ペプシシロップの代金として潜水艦17隻と巡洋艦・駆逐艦なんかを渡して、一瞬だけペプシが「世界有数の潜水艦保有勢力」になったって話まである。
6. 海外の名無しさん(>>5への返信)
正確にはその話はかなり盛られてる。実際は退役寸前のポンコツで、ペプシはすぐスクラップ業者に転売した。要は解体場への仲介役をやっただけだよ。
7. 海外の名無しさん(>>5への返信)
たとえ一週間でもペプシが海軍力ランキングに載ったなら、広告費としては人類史上いちばんクレイジーな部類だと思う。
8. 海外の名無しさん
ルーブルが「無価値」ってのは正確じゃないな。国外で交換できなかっただけで、国内ではちゃんとお金として機能してた。ああいうのは「非交換通貨」って呼ぶんだ。
9. 海外の名無しさん(>>8への返信)
つまり……国の外に出たら無価値ってことだよね。言い方を変えても結論はそんなに変わらない気がする。
10. 海外の名無しさん(>>8への返信)
そもそもお金なんて全部、突き詰めれば帳簿の上の数字にすぎないけどね。金貨だろうがルーブルだろうが、みんなが信じるから価値が出る。
11. 海外の名無しさん(>>8への返信)
記事のタイトルにもちゃんと「国外では」って書いてあるじゃないか。細かい揚げ足取りをしても、話の面白さは1ミリも減らないよ。
12. 海外の名無しさん
石油で払われたABBA側からすれば、ルーブルだろうがなんだろうが「自分たちが使えないお金=無価値」だったんだよ。だから結局、物々交換に落ち着いた。
13. 海外の名無しさん(>>12への返信)
ホルムズ海峡を通りたいタンカーにとってのドルと同じだね。どんな立派な通貨でも、その場で使えなきゃ意味がない。
14. 海外の名無しさん
70年代にラジオを聴いてた世代なら、石油の話なんかなくてもABBAがスウェーデン第2位の輸出企業だったことに全然驚かないと思う。とにかくどの局でも流れてたからね。
15. 海外の名無しさん(>>14への返信)
70年代、ABBAのビョルン(メンバーのビョルン・ウルヴァース)がうちの隣に住んでたよ。彼はBMWに乗ってた。オイルマネーの話を聞くと、あの車が急に意味深に見えてくる。
16. 海外の名無しさん
この記事、ABBAの曲名だけでコメント欄が回せそうだな。まずは景気よく「マネー・マネー・マネー」から始めようか。
17. 海外の名無しさん(>>16への返信)
それなら次は「タンカー・チャンス・オン・ミー」で。ABBAの名曲「テイク・ア・チャンス・オン・ミー」を石油タンカーに引っかけたやつだよ。
18. 海外の名無しさん(>>16への返信)
締めはやっぱり「ママ・ミーア!」だろうな。石油まみれの逸話に、これ以上ふさわしい叫びはない気がするよ。
19. 海外の名無しさん
豆知識をもう一個。ABBAって、実はバルト海産のニシンの酢漬けを作るスウェーデンの食品ブランドの名前でもあるんだ。石油に魚に音楽、バルト海周辺は働き者だな。
20. 海外の名無しさん
ただ、この石油の話、意外とちゃんとした裏付けが少ないんだよね。取引があったのはほぼ確実っぽいけど、タンカー丸ごと何隻分みたいな規模の話は、正直ちょっと盛られてる気がする。
21. 海外の名無しさん(>>20への返信)
それ大事な視点。ネットで出回る「へえ、そうなんだ」系の話の何割かは、小さな事実に尾ひれがついて伝説化したやつだからね。
22. 海外の名無しさん
結局のところ、通貨って売り手と買い手が「これでいい」と合意しなきゃただの紙なんだよ。ディズニーランドでドル札を出しても、向こうが欲しいのはディズニーダラーだからね。
23. 海外の名無しさん(>>22への返信)
そう考えると、原油で払うって案外いちばん理にかなってるのかもな。石油なら世界中どこでも買い手がつくから、どんな通貨より確実だ。
まとめ
国外で使えないルーブルの代わりに、ソ連はABBAへの支払いを原油という「実物のお金」で行った——冷戦下のバーター貿易が生んだ、音楽とオイルマネーの奇妙な交差点だった。海外のコメント欄では、タンカー座礁事故やペプシの軍艦話といった脱線を楽しむ声、ルーブルは無価値か否かをめぐる真面目な議論、そしてABBAの曲名をひたすら引っかける大喜利まで入り乱れ、「へえ」と笑いが同居する反応が並んでいた。規模の数字は話半分に、という冷静な指摘が添えられていたのも、いかにも豆知識好きらしい締めくくりだった。

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