人は食べ物も水もいらない。新鮮な空気と日光さえあれば生きていける――。そう説いて「ブレサリアン(不食主義者)」の看板を背負った男がいました。ところが彼のウェブサイトに載っていた「おすすめの食事」は、なんとマクドナルドのダブルクォーターパウンダー・チーズのセットとダイエットコーク。しかも「マクドナルドはすべて5次元のポータルに守られた土地に建っている」と書いてあったのです。
※注:ブレサリアニズム(不食主義)とは、人は食べ物を摂らず、空気や光(「プラーナ」と呼ぶ流派もある)だけで生きられるとする考え方。医学的な根拠は無く、実践して亡くなった人も報じられている。
今日の知ってた?
🍔 「食べずに生きられる」と説いたアメリカの男性ワイリー・ブルックスは、自分のウェブサイトで「ダブルクォーターパウンダー・チーズのセットとダイエットコーク」を勧め、「マクドナルドはすべて5次元の高エネルギー/霊的なポータルに守られた土地に建っている」と書いていた。同じページには「どんな水も飲むな」「果物も野菜も食べるな」とも書かれていた。
背景:「空気と日光だけで生きる男」ワイリー・ブルックス
ワイリー・ブルックスは、1980年代のアメリカで「ブレサリアン」の第一人者として知られた人物です。1993年に米紙シアトル・タイムズが彼を取材した記事によると、当時58歳。彼の主張は「人間に必要なのは新鮮な空気と日光だけで、食べ物も水も、睡眠さえもいらない」というもので、宣伝には「1週間に寝るのは1〜7時間」とうたっていました。
名前が広く知られたきっかけは、1980年に出演したアメリカのテレビ番組『ザッツ・インクレディブル!』(びっくり人間を紹介する人気番組)です。番組でバーベルを持ち上げてみせ、タブロイド紙には「食べない男、1,000ポンド(約450キロ)を持ち上げる」という見出しが躍りました。
ところが1983年、彼の右腕だった側近が辞め、「夜中にジャンクフードを部屋にこっそり持ち込んでいた」と告発します。シアトル・タイムズの記事の見出しも「食べ物は毒だと言うブレサリアン、ときどきトゥインキー(米国の定番スポンジ菓子)をぽいっ」。取材に対してブルックス本人も、オレンジジュースとハチミツ、たまのサンドイッチやトゥインキーは口にすると認めていました。言い分は「食べ物は毒だが、薬のように使っている」「都会の空気や高速道路のスモッグで体のバランスが崩れるので、甘いもので整える」。良い空気と1日5時間の日光があれば食べ物はいらなくなる、とも話しています。
当時のセミナー料金は、入門の説明会が1人10ドル、2日間のセミナーが150ドル。同じ記事で州保健局の管理栄養士は「無害とは言えない。食べなければ栄養失調になる」と指摘していました。
もう少し詳しく
「マクドナルドのポータル」はどこに書かれていたのか。元の投稿は、ブルックスが「マクドナルドで食べているところを見つかり、ポータルの話で言い訳した」という流れで紹介していますが、確かめられる資料ではそうなっていません。1983年に告発されたのはジャンクフード全般で、ポータルの一文は、彼の団体「ブレサリアン・インスティテュート・オブ・アメリカ」のウェブサイトの「5つの魔法の言葉とワイリーの食事」というページに、勧める食事の説明として書かれていたものです。インターネット・アーカイブに残る2020年の版では、5つの「5次元の言葉」を唱える瞑想を1日30分から2時間行い、ダイエットコークを好きなだけ飲み、マクドナルドのダブルクォーターパウンダー・チーズのセットを1日1食、まず30日続けるよう勧めています。そのうえで「できるだけマクドナルドで食べることを強く勧める。すべてのマクドナルドは5次元の高エネルギー/霊的なポータルに守られた土地に建っている」と続き、ヨーロッパではハンバーガー・ロワイヤル・チーズとコカ・コーラ・ライトで代用するよう、細かい指示まで付いていました。つまり「見つかったときの言い訳」というより、自分から勧めていた食事の理屈だったわけです。マクドナルドとダイエットコークを勧める記述自体は、2008年の版にもすでにありました。
「水を飲むな」という指示の矛盾。同じページには大文字で「どんな水も、どこから来たものも飲むな。そして何より、この食事法の間は果物も野菜も食べるな」と書かれています。一方で勧めているダイエットコークは、成分のほとんどが水です。2014年に米ヴァイス誌の電話取材を受けたとき、77歳のブルックスは「サンドイッチ1つと食事1回、ダイエットコーク1種類」を勧め、それらが「放射能を帯びていない唯一のもの」だと説明しました。その一方で「マクドナルドのファストフードとは言っていない」とも話しています。同じ取材では「いまこうして話している間も、私は5次元にいる」と語り、過去世では洗礼者ヨハネだったとも主張していました。ウェブサイトには1万ドルの水のボトルや、100万ドルの「不老不死のワークショップ」まで並んでいたと、ヴァイス誌は伝えています。1993年の入門説明会10ドルから、桁がいくつも増えていました。
食べないことは命に関わる。笑い話のように見えますが、ブレサリアニズムは笑えない結果も生んでいます。ヴァイス誌の記事は、この考えを信じた人の中に餓死した人がいると伝え、拒食症を勧め合うネット上のコミュニティで「日光と宇宙のちりで生きる食事」が流行しかけていることにも触れていました。2012年にスイスの英語ニュースサイト「ザ・ローカル」が報じたのは、スイス東部で50代の女性が自宅で亡くなった事例です。光だけで生きる「プラーナ食」を描いた2010年のドキュメンタリー映画を観て、不食を説く別の指導者の本に従って断食を始め、司法解剖の結果、死因は餓死で、ほかの要因は見つからなかったといいます。英国の摂食障害の専門医は、この食事法を「自殺行為」と評しました。人は食べ物と水なしには生きられません。
なぜ信じる人が残るのか。告発のあともブルックスは活動をやめず、主張の細部を変えながら説き続けました。1993年には「食べ物を捨てろと人に言ったことは一度もない」と話し、2014年には「ブレサリアンとは要するに空気のことだ。みんな呼吸しているから、みんなブレサリアンだ」とまで言っています。見つかるたびに教えのほうを書き換えれば、矛盾は「より高い次元の真理」に変わってしまう。マクドナルドのポータルは、その行き着いた先だったのかもしれません。
海外の反応
1. 海外の名無しさん
元の記事の続きがさらにひどい。「ダイエットコークとダブルクォーターパウンダー・チーズのセットを勧め、手に入らない地域ではクォーターパウンダー2個を重ねてもよい」「どんな水も飲むな」だってさ。ダイエットコークってほぼ水なんだけど。
2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
極端な食事法なのにマックはOKってところがいちばん面白い。マクドナルドを公認してるダイエット法なんて、世界中探してもこれだけじゃないか。
3. 海外の名無しさん(>>2への返信)
最初は公認じゃなかったんだよ。食べてるのがバレて、そこから公認になった。教えってこうやって増えていくんだな。
4. 海外の名無しさん(>>1への返信)
『コーヒー&シガレッツ』でトム・ウェイツが「タバコはやめた。やめたから、1本くらいは吸ってもいい。もう必要ないからな」と言って火をつける場面を思い出した。理屈がまったく同じ。
5. 海外の名無しさん(>>1への返信)
で、その5次元の魔法の言葉って何だったの?「スーパーサイズで」とか?
6. 海外の名無しさん
仮にポータルが本当にあったとして、それが何なんだ?店の中の人はよかったねって話だけど、ハンバーガーが空気になるわけじゃないだろ。
7. 海外の名無しさん
『イート・ザ・サン』っていうドキュメンタリーが似た話で最高だった。みんなが崇めてた導師が、撮影班にビュッフェで食べてるところを撮られてたんだよ。
8. 海外の名無しさん(>>7への返信)
主人公の男性は導師の教えに従って、裸足で土の上に立って太陽を直接見つめてた。それで食事の代わりになるはずだったんだけど、最後に眼科で目の損傷を確認されて、続けるか迷ってた。15年くらい前に見たきりだけど忘れられない。
※注:コメント7・8の内容は投稿者の記憶によるもので、本記事では映像の内容を確認できていない。なお太陽を直接見つめると網膜を傷めるおそれがある。
9. 海外の名無しさん
詐欺について一つ学んだのは、一度つかんだ客は簡単には離れないってこと。追い詰められたら、思いつくかぎりのでたらめを言って突き進めばいい。ほとんどの人は自分で理屈をつけて、また小切手を送ってくれる。
10. 海外の名無しさん(>>9への返信)
80〜90年代のテレビ伝道師を見ればわかる。スキャンダルが出ても「主よ、私は罪を犯しました!」と泣いてみせて、それで全部許されて献金はそのまま続いた。
11. 海外の名無しさん
今日マック食べたけど、確かに力が湧いてきた。超能力に目覚めたかもしれない。
12. 海外の名無しさん(>>11への返信)
その力、たぶん数時間後にトイレで発揮されるやつだぞ。便器を破壊する力。
13. 海外の名無しさん
24時間営業のマックに深夜3時半に入ったことある?あの時間帯は確かに何かを感じる。次元の歪みかどうかは知らないけど。
14. 海外の名無しさん(>>13への返信)
うちの近所はコロナ以降、店内は夜10時で閉まるようになった。深夜のファストフード店でしか見られない、昼とはまるで別の世界が好きだったんだけどな。
15. 海外の名無しさん
懐疑論者のジェームズ・ランディは、ブレサリアンを検証するのをやめたって聞いた。夜中の2時に被験者がホテルの部屋を抜け出してハンバーガーを買いに行くのを、外で待ち続けるのにうんざりしたからだそうだ。
※注:ランディがこう語ったという話はネット上でよく紹介されるが、本記事では出典を確認できていない。
16. 海外の名無しさん
昔、不食を実践してる同僚がいて本気で心配だった。もともと小柄な人だったけど、明らかに栄養失調と疲労の症状が出てて、背中に柔らかい産毛まで生えてきてた。「ビタミンは全部太陽からもらってるから大丈夫」って言い張ってたけど、その後どうなったかはわからない。
17. 海外の名無しさん(>>16への返信)
産毛が生えてくるのは、体が熱を逃がさないようにする飢餓のサインだって聞いたことがある。笑い話のスレだけど、実際に信じる人がいると洒落にならないよね。
18. 海外の名無しさん
ハミルトン・モリスの番組で、キセノンガスを吸える施設を訪ねる回を思い出した。不食主義者を名乗る男たちが来て、一人が吸いすぎて、呼吸用のチューブに大量の食べ物を吐き戻してた。食べてたんかい。
※注:番組の内容はコメント投稿者の記憶によるもので、本記事では確認できていない。
19. 海外の名無しさん
マックの味がいまいちな理由を説明できないのに店は世界中にある。その謎の答えが「5次元のポータル」なら、正直それっぽいと認めざるを得ない。
20. 海外の名無しさん(>>19への返信)
「人気がない」じゃなくて「おいしくない」って言ってるだけだから、それはただの好みの問題だろ。数が多いのは別の理由だよ。
21. 海外の名無しさん
最高だな。これで黄金のアーチが、異次元の化け物から人類を守る結界だったってことになった。ありがとう、ブレサリアンのみなさん。
22. 海外の名無しさん
じゃあ6次元の住人は何を食べてるんだ?ケンタッキーか?サブウェイか?誰か次の教祖、頼む。
まとめ
「空気と日光で生きる」と説いた男が勧めていたのは、マクドナルドのセットとダイエットコーク。しかも「水は飲むな」。コメント欄は矛盾へのツッコミと、マックの深夜の空気感の話で大いに盛り上がりました。一方で、本当に信じて体を壊した同僚の話も寄せられています。実際に亡くなった人も報じられており、ポータルの話で笑える一方、食べずに生きる教えそのものは命に関わる、という重い現実も残るスレでした。
参考資料
- シアトル・タイムズ「空気と光で生きる――食べ物は毒と言うブレサリアン、ときどきトゥインキーをぽいっ」(1993年・英語)
- ヴァイス「ブレサリアンの指導者ワイリー・ブルックスは光と空気とクォーターパウンダーで生きている」(2014年・英語)
- インターネット・アーカイブ所蔵、ブレサリアン・インスティテュート・オブ・アメリカ「5つの魔法の言葉とワイリーの食事」(2020年保存版・英語)
- ザ・ローカル(スイス版)「光だけを『食べて』いたスイスの女性が餓死」(2012年・英語)
元ソース: 現代の不食主義の提唱者は、マクドナルドを食べているところを見つかり「マクドナルドはすべて5次元のポータルに守られた土地に建っている」と弁明していた

コメント
要するにマクドリアンって事ぉ?堀さんもびっくり
こいつが犯してる最大の過ちは、マクドナルドを例外的で特別な存在としておきながら
そのマクドナルドにおいてすら選択を誤っているという点にある
マクドにおける至高の存在とはビッグマックである
パティを2枚にさえすれば高級になるだろ、じゃダブチで、という安易な選択は
アマチュアがもっとも陥りやすい過ちの一つである。
たかが真ん中にパンの層が一つ増えるだけではないか、ならばパティだけを2枚にすればいいのだろ?
…無知とはまこと恐ろしいものである
ビッグマックだからこそ得られる独特にして唯一絶対の旨味を全く理解していない
おまえにマクドナルドの何が解っているのか?
何も理解してないくせにその威光と影響力ばかりを利用しようとしている
不遜にして許しがたいカス野郎である