ミュージカル『エビータ』のモデルとして知られるアルゼンチンのファーストレディ、エバ・ペロン。33歳の若さで亡くなった彼女の遺体は、エンバーミングされて執務室に展示され、クーデター後に16年間行方不明になり、ミラノの偽名の墓で発見され、最後は夫と新妻が暮らす家のダイニングに安置された——。海外掲示板で「史実とは思えない」と話題になった、彼女の数奇すぎる「死後の物語」を紹介したい。
※注:エンバーミングとは、遺体を長期保存するために行う防腐処置のこと。レーニンや毛沢東の遺体保存が有名。
今日の知ってた?
🕯️ エバ・ペロン(エビータ)の遺体は、1952年の死後にエンバーミングされ、約2年間展示された。1955年の軍事クーデター後に持ち去られて16年間行方不明となり、1971年にイタリア・ミラノの墓地で「マリア・マッジ・デ・マジストリス」という偽名の墓から発見される。その後スペインへ運ばれ、夫フアン・ペロンと3番目の妻イサベルの自宅でダイニングルームに安置された。祖国アルゼンチンの墓に眠るまで、死から実に24年かかっている。
背景:エビータとは誰か
エバ・ペロン(1919〜1952)は、貧しい農村の生まれから女優となり、後に大統領となるフアン・ペロンと結婚してファーストレディに上り詰めた女性だ。労働者や貧困層への支援と女性参政権の実現に力を注ぎ、「エビータ」の愛称で民衆から熱狂的に愛された。一方で富裕層や軍部からは激しく憎まれた、評価が真っ二つに割れる人物でもある。1952年、子宮頸がんのため33歳で死去すると、アルゼンチンは国を挙げた服喪状態となった。
その生涯はアンドリュー・ロイド・ウェバー作曲のミュージカル『エビータ』(映画版はマドンナ主演)で世界的に知られ、劇中歌「アルゼンチンよ、泣かないで」は日本でも有名だ。ただし——ミュージカルは彼女の死で幕を閉じる。本当に数奇なのは、そこから先だった。
もう少し詳しく
自由の女神より大きな霊廟計画。夫フアン・ペロンは妻の死後、著名な解剖学者ペドロ・アラ博士に遺体の永久保存処置を依頼した。遺体はレーニンにならって永久展示される計画で、そのために自由の女神像より大きい記念碑の建設まで始まっていた。完成までの間、遺体は労働総同盟(CGT)本部にあった彼女の旧執務室に約2年間安置され、公開されていた。なお、エビータ本人は生前、エンバーミングを望んでいなかったという証言もある。
クーデター、そして16年の空白。1955年、軍事クーデターでフアン・ペロンは国外へ亡命。遺体を持ち出す余裕はなかった。政権を握った軍部はペロン派を徹底的に弾圧し、遺体は展示場所から撤去されて行方不明になる。この間の足取りは今も完全には分かっていないが、路上に駐めたバンの中、映画館のスクリーンの裏、軍情報部の施設などを転々としたと言われ、「隠し場所には、なぜか花とロウソクが供えられていた」という伝説めいた話まで残っている。1957年、遺体はバチカンの協力があったとされる極秘作戦でイタリアへ運ばれ、ミラノの墓地に偽名で埋葬された。
ダイニングルームから、要塞のような墓へ。1971年、軍事政権は遺体の所在を明らかにし、掘り出された遺体はスペインで亡命生活を送るフアン・ペロンのもとへ届けられた。長年の輸送・保管による損傷が確認されたという。フアンと3番目の妻イサベルは、この遺体を自宅のダイニングルームの食卓近くに安置することを選ぶ。1973年にフアンは帰国して三たび大統領となるが、翌1974年に在職のまま死去。大統領職を継いだイサベルの政権下でエビータの遺体はついにアルゼンチンへ帰還し、1976年、ブエノスアイレスのレコレータ墓地にあるドゥアルテ家(エビータの実家)の墓に埋葬された。墓は二重の隠し扉の奥に棺を収める厳重なつくりで、二度と持ち出されないよう設計されている。
海外の反応
1. 海外の名無しさん
これでもかなり省略されてるんだよな。当初の計画では、遺体はレーニン方式で永久展示されるはずで、そのために自由の女神より大きい記念碑まで建て始めてた。完成前にクーデターが起きて、そこから全部が狂っていった。
2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
で、なんでミラノなんだよ!? 一番知りたいところが「16年間行方不明」の一言で済まされてるの、歴史のあらすじとして雑すぎるだろ。
3. 海外の名無しさん(>>2への返信)
一説では、バチカンが極秘に協力して1957年にイタリアへ運んだと言われてる。それまでは路上駐車のバンの中、映画館のスクリーンの裏、水道局の施設……と転々としたらしい。しかも隠し場所には、なぜか花と火のついたロウソクが現れたという話まである。
4. 海外の名無しさん(>>3への返信)
その「花とロウソク」の逸話が一番ゾクッとくる。軍が必死に隠してるのに、誰かが必ず見つけて祈りに来る。エビータが民衆にどれだけ愛されてたかの証明だよね。
5. 海外の名無しさん
逆に聞きたいんだけど、偽名の墓からどうやって「発見」したんだ? 墓地を歩いてて「この墓の人、地球の裏側のアルゼンチンのファーストレディな気がする」とはならないだろ。
6. 海外の名無しさん
お悩み相談板に投稿されてそう。「夫が前妻の遺体を、私たちのダイニングルームに安置しています。私の気にしすぎでしょうか?」
7. 海外の名無しさん(>>6への返信)
気にしすぎではないです。今すぐ身の回りの物だけ持って実家に帰りましょう。残りの荷物は後日で構いません。
8. 海外の名無しさん(>>6への返信)
ところがその新妻イサベル、遺体の髪を水で丁寧に洗い、櫛でとかしてドライヤーで乾かしていたと、当時を知る実業家が証言してる。「数日がかりの丁寧な作業だった」って。気にするどころか全面的に受け入れてた。
9. 海外の名無しさん
この話、どの段階を切り取っても「その場にいた全員、何をやってたんだ」としか言えないのがすごい。誰か一人くらい止める人間はいなかったのか。
10. 海外の名無しさん(>>9への返信)
むしろ全員が大真面目だったんだと思う。「寝室はさすがに変だろう」という消去法の結果がダイニングだった可能性すらある。
11. 海外の名無しさん
代表曲「アルゼンチンよ、泣かないで」の原題は「ダイニングに遺体を飾らないで、フアン」だったらしいよ。もちろん嘘だけど、そうであってほしかったと思わせる説得力がある。
12. 海外の名無しさん
泣かないでアルゼンチーナ、真実はね、ほんの16年ほど留守にしていただけなの……。冗談抜きで歌詞として成立しそうなのが困る。
13. 海外の名無しさん
ミュージカル『エビータ』を観た人なら分かると思うけど、この死後の大冒険は本編にまったく出てこない。物語は彼女の死で終わる。実際には、死んでからのほうがよほど波乱万丈だったのに。
14. 海外の名無しさん(>>13への返信)
『スターリンの葬送狂騒曲』の路線でブラックコメディ映画化してほしい。脚本家が一行も盛らなくても完成する、稀有な題材だと思う。
15. 海外の名無しさん
本人は生前、エンバーミングを望んでいなかったという話もあるんだよね。保存を決めたのは夫だったとされてる。33歳で亡くなって、そこから20年以上も安住の地がなかったと思うと、笑い話では済まない。
16. 海外の名無しさん
亡くなる少し前にロボトミー手術を受けていた、と近年の研究で指摘されてる。末期がんの苦痛を和らげる目的だったとされるけど、本人が同意していたのかは分かっていない。この時代の医療の話は本当に重い。
17. 海外の名無しさん(>>16への返信)
生前は国民の母として担がれ、死後は政治の象徴として運ばれ続けた人。本人の意思が確認できる場面がほとんどないのが、この物語の一番悲しいところだと思う。
18. 海外の名無しさん
一番不思議なのは知名度の逆転だよ。大統領になれなかったエビータは世界中で知られてるのに、実際に世界初の女性大統領になった3番目の妻イサベルはほぼ無名。「夫の前妻のほうが有名な大統領」って肩書き、歴史上ほかにないだろ。
19. 海外の名無しさん(>>18への返信)
しかもそのイサベルさん、御年95歳でご存命なんだよな。この壮大な物語の登場人物の中で、ほぼ唯一の生き証人という。
20. 海外の名無しさん
ちなみに遺体がアルゼンチンに戻った経緯もすごいぞ。左翼ゲリラ組織が、かつてペロンを追放した側の元大統領の遺体を墓から持ち出して、「エビータを祖国に返せば返却する」と要求した。遺体で遺体を取り返す交渉なんて、世界史でもこれだけだと思う。
21. 海外の名無しさん
最終的にエビータはブエノスアイレスのレコレータ墓地に埋葬されたんだけど、その墓が要塞じみてる。大理石の床に隠し扉、その下の部屋にさらに隠し扉、その奥にようやく本人の棺。「二度と誰にも持ち出させない」という国家の執念を感じる。
22. 海外の名無しさん
政治的な評価は今も人によって割れるだろうけど、ひとりの人間が静かに眠れるまでに24年かかった、という事実の前では言葉がない。今はどうか安らかに、と思うよ。
まとめ
国民に愛されたファーストレディの遺体は、展示され、奪われ、偽名で異国に眠り、ダイニングに安置され、24年かけてようやく祖国の墓にたどり着いた。コメント欄は「関係者全員、何をやってたんだ」というツッコミで盛り上がりつつも、政治の象徴として運ばれ続けた彼女自身の意思がどこにもないことへの、静かな悲しみが底に流れていた。レコレータ墓地の厳重すぎる墓は、この歴史を二度と繰り返さないという誓いなのかもしれない。
元ソース: 今日の豆知識:エバ・ペロンの遺体はエンバーミング後に16年間行方不明になり、ミラノの偽名の墓で発見され、夫の家のダイニングに安置された


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