夏の夜、寝苦しさに目を覚ましたら外は突風が吹き荒れていて、空気が焼けつくように熱い。朝になると畑の作物が枯れていて、町にあった温度計は目盛を振り切ったまま壊れている——1960年6月15日、テキサス州の小さな町でそんな一夜があったと語り継がれている。地元の人がつけた呼び名は「サタンの嵐」。ただし、その夜の気温が本当は何度だったのかは、いまだに決着がついていない。
※注:この記事に出てくる温度は、原文がアメリカで使われる華氏(°F)表記のため、日本でおなじみの摂氏(℃)を併記している。華氏140度=摂氏約60度、華氏100度=摂氏約38度が目安。
今日の知ってた?
🌡️ 1960年6月15日の深夜、米テキサス州の小さな町コッパールを、突風と熱気が襲った。風は時速70マイル(約113km)に達し、畑の作物は一晩で枯れ、町にあった温度計は華氏140度(摂氏約60度)という目盛の上限を振り切って壊れたと伝えられている。この種の現象はヒートバーストと呼ばれ、コッパールの一件は地元で「サタンの嵐」の名で語り継がれてきた。
背景:ヒートバーストとは
雷雨が力尽きるときに、熱い空気が落ちてくる。ヒートバーストは、発達した雷雨が衰えていく段階で起きる現象だと考えられている。仕組みはこうだ。雷雨が崩れはじめると雲の層が上へ抜け、地表近くには雨で冷やされた空気が残る。そこへ、乾いた空気の塊が地面に向かって一気に落ちてくる。空気は下へ降りるほど周囲の気圧に押されて圧縮され、圧縮された分だけ温度が上がる。その上がり方はおおよそ1000メートル降りるごとに10度(1000フィートあたり華氏5.4度)というペースになる。落ちてきた熱い空気が地表の冷たい空気を押しのけるので、地上にいる人からすると「風が吹いた瞬間に急に暑くなった」という体験になる。ウィキペディアの解説は、この様子を水たまりに息を吹きかけるようなものと表現している。
ふつうは「異様に暑い」で済む。近代的な観測機器で記録されたヒートバーストは、気温の上限が華氏105度(摂氏約41度)あたりに収まっているものがほとんどである。真夜中に十数度も跳ね上がるだけで十分に異常なのだが、コッパールで語られてきた数字は、その常識から桁違いに外れている。だからこの話は、気象の豆知識としてよりも「本当にそんなことがあり得るのか」という論争として繰り返し掘り起こされてきた。
もう少し詳しく
「振り切れた」は「そこまで上がった」ではない。この話でいちばん引っかかるのが華氏140度という数字だが、これは正式な観測記録ではない。元スレでこの件を調べ直した人によると、数字の出どころは町の釣り餌店に掛かっていた大きな広告用の温度計で、校正もされていない代物だった。その温度計は目盛の上限がちょうど華氏140度で、嵐のあと壊れているのが見つかった。つまり「上限まで振り切れて壊れた=140度に達した」と受け取られたわけだが、強風と飛んできた破片で単に割れただけ、という可能性も同じくらいある。急激な温度変化にガラスが耐えられなかった、という見方も出ていた。いずれにせよ、目盛の端に針が張りついた温度計は「これ以上は測れない」と言っているだけで、外の気温を教えてくれてはいない。
公式記録と並べると、どれくらい無茶な数字なのか。地球上で公式に記録された最高気温は、1913年7月10日にカリフォルニア州デスバレーのファーネスクリーク牧場で観測された華氏134度(摂氏56.7度)である。コッパールの140度は、テキサス州の公式最高記録を華氏20度(摂氏約11度)上回るうえに、この地球の公式記録すら超えてしまう。ウィキペディアの記述も「〜と伝えられている」という書き方で、公式の記録ではないことをわざわざ断っている。実際、この件を調べた気象学者が確認できた最高気温は華氏104〜106度(摂氏約40〜41度)あたりで、140度という数字が学術的に認められたことは一度もない。
それでも、嵐そのものは実在した。数字が疑わしいことと、その夜に何も起きなかったことは別の話である。元スレで数字に異議を唱えていた人たちも、突風が吹き、畑が傷んだこと自体は否定していない。似た誇張は他の土地にもあって、19世紀のカリフォルニア州サンタバーバラでも、熱風で華氏133度(摂氏約56度)に達したと長く語られてきたが、後の検証ではせいぜい華氏110度(摂氏約43度)程度だったと見られている。強烈な体験の記憶、当時の温度計の精度、語り継がれるうちに丸くなっていく数字。この3つが混ざると、60年以上経ったあとでは誰にも確かめようがなくなる。なお、この夜に人的な被害があったかどうかについては、元スレでは触れられていない。
海外の反応
1. 海外の名無しさん
これ前に読んだことがある。コッパールの住民は本気で世界が終わったと思ったらしい。夜中に何の前触れもなくあれが来たら、そりゃそう考えるよなという気持ちしかない。
2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
仮に真夜中に27度くらいで風もなかったのが、いきなり30度以上跳ね上がって、温度計は割れて、どこからともなく暴風が吹きはじめたとする。自分なら地平線の向こうで核爆弾が落ちたんだと思う。他に説明のしようがない。
3. 海外の名無しさん(>>2への返信)
もしくはでかい隕石が落ちたパターン。どっちにしても「あ、これ終わったわ」と思いながら何もできずに突っ立っている自信がある。
4. 海外の名無しさん(>>1への返信)
記録されている数字がそのまま本当なら、自分も迷わず「世界の終わり」派に入る。というか、あの状況で冷静に気象現象を疑える人がいたらそっちのほうが怖い。
5. 海外の名無しさん
仕組みとしては下降気流と同じ系統だと考えられている。雷雨が崩れて雲が上へ抜けると、下には雨で冷えた空気の層が残る。そこへ乾いた空気の塊が地面めがけて落ちてきて、降りるほど圧縮されて暖まる。1000メートルにつき10度ほどのペースで上がるので、地上の冷たい空気を熱い空気が丸ごと押しのける形になる。水たまりに上から息を吹きかけるところを想像すると近い。
6. 海外の名無しさん(>>5への返信)
よく分からない、つまり宇宙人の仕業ということだな。……この手の現象は、ちゃんとした説明を読んだあとでもそう言いたくなる何かがある。
7. 海外の名無しさん(>>5への返信)
SF作品にありがちな、技術担当が延々と専門用語で説明したあと、隣の誰かが「要するに水たまりに息を吹きかけるようなものだな」と一言でまとめる、あの流れそのままで笑ってしまった。
8. 海外の名無しさん(>>5への返信)
元予報士だけど、この説明は部分ごとに見れば全部正しい。ただ、それを足して摂氏60度まで持っていけるとはどうしても思えない。断熱圧縮だけでそこまで暖めるには、上空のどのくらいの高さから、何度の空気が落ちてくればいいのか。しかも実際の大気には空気の混合も放射冷却も水平方向の風のずれもある。地上が43度くらいで強い逆転層があって、風がその熱気をかき混ぜて回り、温度計の校正がめちゃくちゃだった——のほうが何倍もありそうに思える。
9. 海外の名無しさん
自分は一度これを体験したことがあるけど、本当に不気味だった。夜10時ごろに突然すごい風が吹きはじめて、同時に空気が焼けるように熱くなった。60度なんて話ではなくて、35度から38度くらいの感覚。当時は現象の名前すら知らなくて、後から必死に調べてようやく正体がわかった。
10. 海外の名無しさん(>>9への返信)
自分も似た経験がある。夜中にテントの中が暑くて目が覚めて、外に出た途端に風が吹きはじめた。全員でテントと荷物を押さえてしのいだんだけど、1分ほどで何事もなかったみたいに静かになった。あの後味の悪さは今でも覚えている。
11. 海外の名無しさん(>>9への返信)
そのくらいの温度で収まるなら、むしろ一度くらい体験してみたい気もする。真夜中に世界が急に真夏へ切り替わる感覚って、たぶん一生忘れられない部類だと思う。
12. 海外の名無しさん(>>9への返信)
コッパールで実際に起きたのも、おそらくそのくらいの規模だったんじゃないかな。60度という数字は気象学者から真面目に相手にされたことがなくて、近代的な機材で記録が残っているヒートバーストは、どれもあなたの体験と同じくらいの範囲に収まっている。
13. 海外の名無しさん
この話題が前に出たとき、気になって延々と調べたことがある。結論から言うと華氏140度という数字は裏づけがまったくなくて、この一件を研究した気象学者たちにも否定されている。確認が取れている最高気温は摂氏40度から41度くらい。ただし、嵐そのものは実際に起きている。
14. 海外の名無しさん(>>13への返信)
そこも調べ直してみた。町の釣り餌店に、校正もされていない大きな宣伝用の温度計が掛かっていて、それが嵐で壊れた。その温度計の目盛の上限がたまたま華氏140度だったので、「上限まで行ったから壊れたに違いない」と解釈されたらしい。風と飛来物でガラスが割れただけ、という説明でも何も矛盾しない。
15. 海外の名無しさん(>>13への返信)
19世紀のサンタバーバラでも同じような話が伝わっている。山から吹き下ろす熱風で華氏133度、摂氏でいうと56度に達したと言われてきたけれど、研究者の見立てではせいぜい43度くらいだったらしい。この手の記録は、語り継がれていく途中のどこかで盛られてしまうものらしい。
16. 海外の名無しさん
一点だけ引っかかる。地球上で公式に記録された最高気温は華氏134度、摂氏でいうと56.7度で、1913年7月10日にカリフォルニア州デスバレーのファーネスクリーク牧場で観測されたものだ。つまりこの町の数字は、地球の記録を上から踏み越えていることになる。
17. 海外の名無しさん(>>16への返信)
そこはウィキペディアの本文もちゃんと「公式」と断り書きをしたうえで、州の公式最高記録より華氏20度高く、地球の公式最高記録も超えていると書いている。誰かの家の玄関先にぶら下がっている温度計は気象観測所ではないし、それが60個あっても観測所にはならない。
18. 海外の名無しさん
大気科学をやっている者です。正真正銘とんでもない条件が揃えば、理論上は起こりうる。ただし確率としては、2つの小惑星が壊れずにそっと合体するくらいの話になる。コッパールのような極端な事例に疑いが向くのは当然で、だからこそ公式記録として扱われていない。あの日の観測データでモデルを回した研究があるかどうかは気になっている。
19. 海外の名無しさん
温度計が壊れた理由も、単純に「目盛を超えるほど熱かったから」とは限らないよね。短時間で急激に温度が変わったせいでガラスが持たなかった、という可能性だって普通に考えられる。壊れた温度計は、壊れる直前の気温を証言してくれるわけではない。
20. 海外の名無しさん
数字が怪しいのは同意するけど、畑が一日で干上がっていたという話は、何かが起きた証拠としてはかなり強いと思う。ただ、それだけの熱風が吹いたのに軽い火傷を負った人すら出ていないのが不思議で、他に裏づけになる記録が残っていないのかがずっと気になっている。
21. 海外の名無しさん
でも当時の新聞には「気象予報士が、あれは華氏140度はあったに違いないと語った」と書いてあるらしいよ。専門家がそう言っているんだから間違いないよね——というのが皮肉なのは伝わると思うけど、人が口にしたことをそのまま事実として積み上げない、という話でもある。
22. 海外の名無しさん
巨大な熱風って、比べる対象が世界の終わりくらいしか思い当たらないんだよな。核が落ちたのか、太陽が新星になったのか。実際には空気が落ちてきただけだと説明されても、それであれだけの被害が出るというのは頭のほうがすぐには追いつかない。
23. 海外の名無しさん
地震と似ている気がする。雨も雷も風も火山も、細かい理屈は知らなくても大枠は頭に入る。でもこれは、説明を読んだ後ですら「自然がやることじゃないだろう」という感覚が抜けない。天気はもうちょっと行儀よくしていてほしい。
24. 海外の名無しさん
テキサスの夏がようやく本番に入ったところなんだから、これ以上変なものを呼び込まないでくれ。今の時点でもう、外に出るたびに焼かれている気分なんだよ。
まとめ
雷雨の後始末として降りてきた乾いた空気が、圧縮されながら暖まって地上に落ちてくる。ヒートバーストという現象そのものは実在していて、元スレにも「夜10時に急に風と熱気が来た」という体験談がいくつも並んでいた。ただし華氏140度という数字のほうは、釣り餌店に掛かっていた校正なしの広告用温度計が上限で壊れていた、という一点から生まれた可能性が高い。コメント欄は「世界が終わったと思ったのはよくわかる」という共感と、「その数字は物理的に無理がある」という検証にきれいに分かれていて、伝説が伝説になっていく過程をそのまま覗き込んでいるようだった。壊れた温度計は「これ以上は測れない」としか言っていない。そこから先の60度は、語り継いだ人たちが足したものかもしれない。
元ソース: 1960年6月15日の深夜、テキサス州コッパールという小さな町を襲った「ヒートバースト」という異常な気象現象について

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