1960〜70年代のアメリカのコミック誌には、X線メガネやシーモンキーの広告と並んで、「生きたリスザル」を郵便で届けるという通販広告が載っていました。1970年代の初め、15歳の少年が『アメイジング・スパイダーマン』に載っていた広告を見てサルを注文したところ、届いたサルに腕を何度も噛まれ、28針縫うことになったそうです。海外掲示板には、驚きの声とともに、家族の「通販で届いた動物」の思い出話が集まりました。
※注:シーモンキーは、ブラインシュリンプ(アルテミア)という小さなエビの乾燥卵を水に入れてかえす飼育キット。アメリカで1962年にこの名前で売り出され、日本でも昭和のころから「シーモンキー」の名で知られています。
今日の知ってた?
🐒 1960〜70年代のアメリカでは、コミック誌や雑誌の通販広告で生きたリスザルが売られていた。フロリダ州マイアミビーチの「アニマル・ファーム」社の広告では、値段は18ドル95セントで、送料は着払い。
📦 サルは小さな箱に入れられ、郵便で届いた。広告には「生きたまま届くことを保証」とあった。
🕷️ 1970年代の初め、15歳のジェフ・タットヒルが『アメイジング・スパイダーマン』の広告を見てリスザルを注文。届いたサルに腕を何度も噛まれ、救急外来で28針縫った(2008年、米コミック情報サイトCBRのインタビュー)。
🚫 アメリカは1975年10月10日から、サル類の輸入を研究・教育・展示用に限り、輸入したサルとその子をペットとして飼うことを禁じた。サルの通販広告は、1970年代の終わりまでにコミック誌から消えた。
🇯🇵 日本でも、2005年7月1日からペット用のサルは輸入できなくなっている。
背景:コミック誌の通販広告とリスザル
当時のアメリカのコミック誌には、子ども向けの通販広告がたくさん載っていました。米メンタル・フロス誌の2021年の記事によると、よく見かけたのは、服や体が透けて見えるとうたった「X線メガネ」、筋肉をつける通信講座、粉を水に入れて育てる「シーモンキー」など。シーモンキーの広告には人のような姿の生き物が描かれていましたが、実際に育つのは小さなエビです。X線メガネも、届いた子どもたちからは、物がぼやけて見えるだけだったという声が多かったといいます。そうした広告の中でもいちばん突飛だったのが、生きた動物の通販でした。
リスザルは、南米北部のアマゾン川流域などにすむ小型のサルです。頭から胴までの長さは30〜35センチほどで、尾も同じくらいの長さがあり、果物や昆虫、鳥の卵などを食べます。メンタル・フロス誌によると、1960〜70年代には17万3000匹を超えるリスザルが、ペルーやコロンビアからアメリカに輸入されました。広告は「とてもかわいいペット」「背丈は30センチほどに育つ」「人間と同じものを食べ、棒付きキャンディーが好き」とうたい、「生きたまま届くことを保証」と約束していました。
フロリダ州マイアミビーチの「アニマル・ファーム」社の広告は、18ドル95セント(1ドル=360円の固定相場で約6,800円)に送料着払い。15歳で注文したジェフ・タットヒルは、代金は25ドルより安く、届いたときに払った送料は10ドルもしなかったと振り返っています。サルを売る業者はほかにもあり、ウォーレン社のホラー漫画誌『クリーピー』『イーリー』にもサルの広告が載っていました。もっとも、同社の通販部門を任されていたフローレンス・スタインバーグは、サルはそれほど売れる商品ではなく、親からは「トイレのしつけができていない」という苦情が来たと話しています。
日本にも、リスザルはペットや動物園の展示用として入ってきました。国立環境研究所の外来種データベースによると、静岡県の伊豆半島では野外での目撃が多いものの、野生で定着しているかどうかは分かっていません。
もう少し詳しく
28針縫った少年。2008年に米コミック情報サイトCBR(コミック・ブック・リソーシズ)が掲載したインタビューによると、ジェフ・タットヒルは15歳だった1970年代の初め、『アメイジング・スパイダーマン』に載っていた広告でリスザルを注文しました。親に知られないよう、届け先は近所の友人の家にしました。届いたのは、靴箱より少し背の高いくらいの箱で、側面に金網を張った小さな窓が付いていました。サルを捕まえようと尻尾をつかむと、サルは肩のあたりから腕を伝って降りてきながら、ドリルのような勢いで噛みつき、一噛みごとに皮膚が破れたそうです。本人は「まるで縫い目をほどくミシンだった」と話しています。救急外来に運ばれ、腕を28針縫いました。
チッパーと名付けられたサル。それでも両親はサルを飼うことを許し、タットヒルはサルを「チッパー」と名付けました。噛むのをやめさせるのに2か月ほどかけ、その後は裏庭から出ないようにしつけたといいます。好物はバナナではなく、ピーナッツと種なしの白ブドウでした。ニューヨークのブロンクス動物園で健康診断も受けさせていましたが、チッパーはタットヒルが大学に進む前の夏に、突然死んでしまいます。本人はハチに刺されたのではないかと考えていますが、原因ははっきりしません。
ブリッジの会に届いたサル。2014年に米公共ラジオNPRの番組「スナップ・ジャッジメント」で紹介されたのは、ティム・テイトさんと弟の話です。1960年代半ば、当時9歳と8歳だった兄弟は、洗車や芝刈りでためた19ドル95セントを送り、雑誌『モンスター・マガジン』の広告に載っていた「猫くらいの大きさの本物のリスザル」を注文しました。サルは、母親が友人を招いてトランプのブリッジの会を開いている最中に、靴箱に入って郵便で届きます。母親は送り返すよう言いましたが、郵便配達員に「送り返したら死んでしまう」と言われ、しぶしぶ台所に置くことに。兄弟が箱を切り開くとサルは家中を走り回り、客の一人に飛びかかりました。その後、なでようとしたおばの胸に噛みついて森へ逃げ、2〜3か月後に樫の木の根元で死んでいるのが見つかりました。母親は亡くなる間際に、近所でサルが目撃されたという新聞やテレビの報道を、兄弟に見せずに隠していたと打ち明けたそうです。
その後の規制。アメリカでは1975年10月10日から、米疾病対策センター(CDC)の規則で、サル類の輸入は研究・教育・展示のためのものに限られ、輸入したサルとその子をペットとして飼うことが禁じられました。サルは人にうつる感染症を持っていることがあるためです。メンタル・フロス誌によると、サルの通販広告は1970年代の終わりまでにコミック誌から姿を消しました。ただ、通販で何匹のサルが届けられたのか、正確な数は分かっていません。輸送中に死んだサルも多く、届いたあとで捨てられたり、人に譲られたりしたサルもいました。2021年の記事の時点で、アメリカの18の州がリスザルを飼うことを法律で禁じています。
日本では。日本でも、2005年7月1日からペット用のサルは輸入できなくなりました。農林水産省の動物検疫所によると、海外では日本にないエボラ出血熱やマールブルグ病がサルから人に感染したことがあり、こうした病気を国内に入れないため、サルを輸入できるのは、国が指定した研究機関や動物園での試験・研究・展示用に限られています。
海外の反応
1. 海外の名無しさん
つまり、サルを箱に押し込んで郵便で送りつけて、「あとは幸運を祈る」で終わりってこと? 説明書くらいは付いてたんだろうか。
2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
そういうこと。しつけも何もされていない、南米で捕まえられたばかりの野生の子ザルだったらしい。人に慣れているわけがないし、箱を開けた瞬間から戦いが始まるのも当然だよ。
3. 海外の名無しさん(>>2への返信)
今回ばかりはサルの味方をする。捕まって箱に詰められて、郵便でガタガタ運ばれた先で、いきなり尻尾をつかまれたんだぞ。そりゃ噛むって。
4. 海外の名無しさん
前に、通販でサルを買った人の体験談を読んだことがある。もしかしたら、この話と同じ人かもしれない。箱を開けたらサルが飛び出してきて、腕に噛みつきながら移動していったんだって。本人は「縫い目をほどくミシンみたいだった」と書いてた。
5. 海外の名無しさん(>>4への返信)
「縫い目をほどくミシン」って、いかにも子どもが思いつきそうな言い回しだな。じゃなきゃロアルド・ダール(『チョコレート工場の秘密』の作者)の本に出てきそう。
6. 海外の名無しさん
こういう商売をしていた人たちの神経が分からない。売るたびに、サルにとっても買った客にとっても、ほぼ確実に悲惨な結末になると分かっていながら、毎日毎日売り続けてたわけでしょ。
7. 海外の名無しさん(>>6への返信)
しかも、まだ終わってないんだよ。ここまでひどくはないにしても、サルをおもちゃみたいに売っている人は今もいる。繁殖業者の中には、サルの健康なんてまるで気にしない、本当にひどい連中がいる。
8. 海外の名無しさん
父がこれを注文したことがある。60年代後半、空軍士官学校(アメリカ空軍の幹部を育てる学校)の上級生だった頃だ。前の学期に代金を送ったきりすっかり忘れていたら、フットボールの試合中に、郵便室で働く友人が父を探しに来た。「お前宛てに、でかくて臭い木箱が届いた。しかも動いてる」って。父と寮の仲間はそのサルを半学期かくまい通した。部屋の点検では何度も危ない場面があったらしいけど、なんとか乗り切って、クリスマス休暇にはサルの「ダーウィン」を実家に連れて帰った。祖父が地下室に檻を作って世話をしていたんだけど、ある日とうとう祖母が音を上げて、デトロイト動物園に引き取ってもらえと言い出したそうだ。
9. 海外の名無しさん(>>8への返信)
デトロイト動物園には、そういう理由で家を追い出された動物ばかり集まってるのか? 見に行くのがちょっと怖くなってきた。
10. 海外の名無しさん
待って、サルって普通の郵便で送られてきたの? 生き物をどうやって郵送してたんだろう。仕組みがまったく想像できない。
11. 海外の名無しさん(>>10への返信)
今でも爬虫類や魚、昆虫なんかは郵便で取り寄せられるよ。アメリカだと、孵化したばかりのヒヨコや一部の鳥も郵便で送れるらしい。うちの国では違法だけどね。
12. 海外の名無しさん
当時はコミックス・コードの時代だよね。コミック誌には汚い言葉ひとつ載せられなかったのに、野生動物は売ってよかったっていうのが、なんとも皮肉で笑える。
※注:コミックス・コードは、1954年にアメリカのコミック業界が作った自主規制の基準。暴力や性的な表現、下品な言葉などを厳しく制限していました。
13. 海外の名無しさん
で、その子はリスザルの超能力に目覚めたの? スパイダーマンの広告で買ったサルに噛まれたんだから、何か起きててもおかしくないでしょ。
14. 海外の名無しさん(>>13への返信)
目覚めたよ。ただ「リスザルマン」って名前がどうにも語呂が悪くて、マーケティング部が売り出しに苦労してね。そのまま忘れ去られたんだ。
15. 海外の名無しさん
おかしいな。僕が注文したシーモンキーの群れとは、何のトラブルもなかったけど。毎日平和に水槽を泳いでたよ。
16. 海外の名無しさん(>>15への返信)
あいつらだって、噛みつけるものなら腕を噛みちぎってたと思うよ。体が小さすぎて無理だっただけ。
17. 海外の名無しさん
豆知識だけど、シーモンキーとX線メガネを売ってた男は、KKKやネオナチ団体と深く関わってたんだって。しかも本人はユダヤ系の家の出身。
18. 海外の名無しさん(>>17への返信)
まさかと思ってウィキペディアを見てみたら、本当だった。子どもの頃の思い出の商品が、いきなり重たい話になったな。
※注:シーモンキーやX線メガネを売り出したのは、ハロルド・フォン・ブラウンハット(1926〜2003年)。ユダヤ教の家庭で育ちましたが、1980年代にはKKKや白人至上主義団体「アーリアン・ネーションズ」と深く関わっていました。1988年の米紙の報道で、その活動とユダヤ系の生い立ちの両方が広く知られるようになりました。
19. 海外の名無しさん
豆知識。悪名高いカルト教団の教祖ジム・ジョーンズは、若い頃にサルの訪問販売をしていたことがある。
20. 海外の名無しさん(>>19への返信)
サルを売れるだけの口のうまさがあれば、カルト教団だって売り込めるってことか。妙に納得してしまった。
※注:ジム・ジョーンズは、1978年に南米ガイアナで900人以上が死亡した「人民寺院」事件の教祖。2018年の米紙インディアナポリス・スターによると、1954年ごろ、インディアナポリスで教会の資金を集めるため、インドのカルカッタ(現コルカタ)からサルを輸入し、1匹29ドルで一軒一軒売り歩いていました。
21. 海外の名無しさん
売られていたサルの中でも、リスザルは特にたちが悪い。自分の手足におしっこをかけて、においをつけるためにそれをあちこちになすりつけるんだ。しかも欲張りだから、そのおしっこまみれの手で何でもかんでもつかみにかかる。
22. 海外の名無しさん(>>21への返信)
サルはたくさん扱ってきたけど、リスザルは正直、まだ安全なほうだよ。野生動物だし、サルはどれもペットには向かないけどね。50種類のサルの中から一つ飼えと言われたら、リスザルは上位2〜3番目には入る。
23. 海外の名無しさん
スウェーデンで作られた昔の実写版『長くつ下のピッピ』にも、ピッピの肩に乗っているサルのニルソン氏が出てくるよね。あのサル、撮影では相当な暴れん坊だったらしい。それをずっと肩に乗せてなきゃいけなかったピッピ役の子が気の毒だよ。
24. 海外の名無しさん(>>23への返信)
子どもの頃あの作品が大好きで、毎週末のように父に一緒に見てもらってた。大人になって見返してから、父にちゃんと謝ったよ。
※注:『長くつ下のピッピ』はスウェーデンの作家アストリッド・リンドグレーンの児童文学で、1969年にスウェーデンで実写ドラマになりました。ピッピ役のインゲル・ニルソンは2019年のインタビューで、撮影中にサルに噛まれたことを振り返っています。
25. 海外の名無しさん
義父は60年代に、コミック誌の広告でトカゲの赤ちゃんを注文したことがある。ところが届いたのはワニの赤ちゃんだった。義父はそれを地下室で何年もこっそり飼って、鶏や豚を丸ごと餌にしていた。体長が6フィート(約1.8メートル)になったところでとうとう親にばれて、手放すために動物管理局を呼ぶはめになったらしい。
まとめ
1960〜70年代のアメリカでは、コミック誌の通販広告で生きたリスザルが売られ、小さな箱に入って郵便で届きました。スパイダーマンの広告で注文した15歳の少年は、届いたサルに腕を噛まれて28針縫っています。アメリカは1975年にペット目的のサルの輸入を禁じ、日本でも2005年から輸入できなくなりました。コメント欄には、サルを箱詰めして送る商売への憤りと、父や義父の思い出話が並びました。
元ソース: 1960〜70年代のコミック誌には、子どもが注文できるリスザルの広告が載っていた。スパイダーマンのコミックの広告を見て注文した少年は、届いたサルに腕を噛まれ、28針縫った

コメント