行方不明になっていた息子が、数年ぶりに帰ってきた——1990年代のアメリカ・テキサス州で、ある家族がそう信じた。遠く離れた土地から連れ帰り、家に迎え入れ、一緒に暮らし始めた。ところがその「息子」は、髪を脱色して見た目を似せたフランス人の男だった。目の色が違い、話す英語にはフランス訛りが残り、本人は13歳ではなく23歳。それでも家族は、彼を息子として受け入れてしまった。
※注:この事件では、姿を消した少年の行方が今も分かっていない。当時から家族の関与を疑う声はあるが、それを裏づける事実が示されたことはない。この記事は判明している範囲の経緯と海外掲示板での反応を紹介するもので、特定の誰かについて何かを断定するものではない。
今日の知ってた?
🪪 フランス人のフレデリック・ブルダンは、テキサス州のある家族に「行方不明になっていたあなたたちの13歳の息子だ」と信じ込ませることに成功した。髪を脱色して少年の髪色に寄せ、少年の手にあったものと同じかたちのタトゥーを自分の手にも入れ、さらわれて人身売買され、ヨーロッパへ連れて行かれていた——という筋書きまで用意していた。目の色は少年と違い、英語にはフランス訛りがあり、そもそも当時の本人は13歳ではなく23歳である。それでも彼は家に迎え入れられ、しばらくのあいだ「帰ってきた息子」として暮らした。のちに正体が明らかになり、ブルダンには禁錮6年の判決が言い渡されている。
背景:「カメレオン」と呼ばれた男
フレデリック・ブルダンは、身元を乗り換えることを繰り返してきた人物である。フランスでは「ル・カメレオン(カメレオン)」の呼び名で知られている。名乗った身元は分かっているだけでも膨大で、数百に及ぶとも言われる。そのうち、行方不明の子どもや身寄りのない少年としてどこかの家庭や施設に入り込んだ例が、確認されているだけで複数ある。
テキサスの一件のあとも、同じことをやめていない。ウィキペディアの記述によれば、2005年6月、彼は15歳のスペイン人孤児フランシスコ・エルナンデス=フェルナンデスを名乗り、フランス南西部の街ポーにある中学校(コレージュ・ジャン・モネ)に1か月ほど通っていた。両親を交通事故で亡くしたと説明し、10代らしい歩き方を身につけ、後退した生え際を野球帽で隠し、顔には脱毛クリームを使っていたという。正体が割れたのは同年6月12日で、彼の過去を扱ったテレビ番組を見た学校の職員が気づいたためだった。同年9月16日には、それ以前に使っていた偽名レオ・バレーの件で、禁錮4か月の判決を受けている。
つまりテキサスの事件は、彼にとって唯一の大仕事ではなかった。刑期を終えたあともヨーロッパで同じ手口を繰り返しており、しかも「30歳を過ぎた大人が中学校に1か月通う」という、冷静に考えれば無理のある芝居を実際にやり切ってしまっている。この人物の異様さは、一度の大胆な嘘ではなく、それを何十年も続けたところにある。
もう少し詳しく:どうやって「息子」になったのか
始まりは、彼が狙って誰かになりすましたわけではなかった、と伝えられている。ブルダンはスペインの町で保護され、そこで身元の分からないアメリカ人の少年だと名乗った。そして警察に、アメリカにいる親族へ電話をかけさせてほしいと頼む。ところが彼はその電話で警察官を装い、アメリカ各地の警察署へ「行方不明の少年が見つかった」と連絡を入れた。あとはアメリカ側が調べてくれる。該当しそうな行方不明者のリストが出てきて、そのなかに外見がある程度合う少年がいた——それが、数年前にテキサス州で姿を消したニコラス・バークレー少年だった。
身元が決まってから、彼は必死に少年へ見た目を寄せていった。髪を脱色し、少年の手にあったものと同じかたちのタトゥーを入れる。少年の手にタトゥーがあったことは当時の警察記録でも確認されており、手彫りの、アルファベットの「T」の字だったとされる。そのうえで、さらわれて人身売買され、ヨーロッパで虐待を受けていたという身の上話を組み立てた。話す言葉や記憶の食い違いは、その「経験」のせいにできる。目の色の違いや訛りについても、彼なりの説明が用意されていたという。
そして家族は彼を受け入れ、彼はしばらく「息子」として暮らした。この段階でおかしいと気づいた人がいなかったわけではない。不審に思った関係者が身元を調べ直し、最終的にはブルダン自身が、私立探偵に対して自分はニコラスではないと認めたと伝えられている。裁判では、禁錮6年の判決が言い渡された。
いまも分かっていないこと
この話には、はっきりした結末がない。ニコラス・バークレー少年は、いまだに見つかっていない。生きているのか、そうでないのかも分かっていない。なりすまし事件のほうは犯人が捕まって決着したが、その手前にある「そもそも少年はどこへ行ったのか」という問いだけが、そのまま残されている。
当時から、家族の関与を疑う声はあった。捜査の過程で事情聴取を受けた親族の一人が、その数週間後にコカインの過剰摂取で亡くなっている。ブルダン本人も、のちに「この家族は息子の身に起きたことを隠しているのではないか」という趣旨のことを語ったと伝えられている。ただし、それは他人になりすました当人の言い分であり、家族の関与を示す事実が示されたわけではない。家族の側は、本当に息子が帰ってきたと信じていたと述べており、家族の誰かが罪に問われたという事実もない。
結局のところ、確かなのは二つだけである。フランス人の男が、目の色も年齢も違うまま「行方不明の13歳」として一つの家庭に入り込んだこと。そして、その家庭からいなくなった本物の少年が、いまも帰っていないこと。この一件は『The Imposter』というタイトルのドキュメンタリー映画にもなっており、海外の掲示板で話題になるたび、コメント欄はこの二つ目のほうへ流れていく。
海外の反応
1. 海外の名無しさん
えっと、まず引っかかったところを聞いていいかな。13歳の息子に、タトゥーがあったの? そこが本当なら、その時点でもうこの家庭の事情がだいぶ見えてくる気がするんだけど。
2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
あったんだ。自分も同じところで止まったけど、当時の警察記録で確認されている。手の甲にアルファベットの「T」の字が入っていて、たぶん針と墨でつついて入れる、いわゆる手彫りのやつ。13歳が自分で入れたか、入れられたか、どちらにしても穏やかな話ではない。
3. 海外の名無しさん(>>2への返信)
で、なりすました側はそれをわざわざ調べ上げて、自分の手の同じ場所に同じかたちを入れたわけだよね。髪を脱色するのはまだ分かるとして、タトゥーまでいくと執念の質が変わってくる。消せないものを入れてまで別人になろうとする感覚が、正直まったく理解できない。
4. 海外の名無しさん
目の色が違って、しゃべればフランス訛りが出て、しかも中身は23歳の大人。この三つのどれか一つでも普通は詰むと思うんだけど、三つ同時に抱えたまま押し通ったのが恐ろしい。よく最初の一日で終わらなかったな。
5. 海外の名無しさん(>>4への返信)
本人も、どこまで通用するか試してみたら通ってしまった、という感じだったらしいよ。最初から何年も居座るつもりだったわけじゃなくて、誰も「おかしい」と言い出さなかったから、そのまま進んでしまった。嘘って、止める人がいないと勝手に大きくなるんだと思う。
6. 海外の名無しさん
経緯を読むとさらに嫌な気分になる。彼はスペインで保護されたとき、身元不明のアメリカ人少年だと名乗って、警察に「アメリカの親族に電話させてほしい」と頼んだ。そして受話器を取ると警察官のふりをして、アメリカの警察署に「行方不明の少年を保護した」と連絡したそうだ。
7. 海外の名無しさん(>>6への返信)
つまり「この子になりすまそう」と最初から狙い定めたんじゃなくて、アメリカの警察が候補者を探してきてくれた形なんだよね。外見が近い子のリストを向こうが用意してくれて、そこから選んだ。手口としては最悪だけど、仕組みの穴の突き方があまりに的確で、感心とは違う意味で言葉が出ない。
8. 海外の名無しさん
子どもを失った悲しみは、人の判断をおかしくしてしまうことがある。付け込む側がいるのも昔からの話で、ただそれはたいてい霊媒とか占い師で、「本人がそのまま帰ってくる」という形は初めて聞いた。よくこんなことを思いつくものだと思う。
9. 海外の名無しさん(>>8への返信)
ドキュメンタリーを観た人のあいだでは、家族のほうも実は分かっていたんじゃないか、という受け取り方をした人が多いみたい。作品自体がそう匂わせる作りになっている、という感想はよく見かける。ただ、あくまで「そう見えるように撮られている」という話であって、そこは分けて考えないといけないと思う。
10. 海外の名無しさん(>>9への返信)
そこは本当に大事だと思う。映像作品は、疑わしく見えるように編集することがいくらでもできる。実際には、家族の関与を示す事実が確認されたことは一度もない。少年が見つかっていない以上、何も分かっていないというのが正確なところで、そこから先は全部が推測になる。
11. 海外の名無しさん
この件を扱った『The Imposter』というドキュメンタリー映画がある。淡々としているぶん、観たあとに嫌な感触がずっと残るタイプの作品だった。事件そのものより、関わった人たちが何をどう語るかのほうが怖い。
12. 海外の名無しさん
一番おかしいのは、途中からなりすましている側が「いや、この家族おかしくないか」と言い出したところだよね。嘘をついている本人が、相手の様子に引いていたという構図。もちろん、詐称した当人の言い分をそのまま信じるわけにはいかないけど。
13. 海外の名無しさん(>>12への返信)
そこが厄介なんだよ。彼は自分の罪を軽くしたい立場にいるから、家族に疑いを向ける動機が最初からある。一方で家族の側は、本当に息子だと信じていたと一貫して言い続けていて、家族の誰かが罪に問われたわけでもない。どちらの言い分にも都合があるから、外から見ているだけでは何も確定しない。
14. 海外の名無しさん
コメント欄が家族を疑う方向で盛り上がっているけど、息子が消えた家族なら、帰ってきてほしいと願うのはごく普通のことでしょ。何年も探し続けたあとで「見つかった」と言われたら、目の色くらい記憶違いかもしれないと思ってしまう人はいると思う。疑いだけで語るのは酷だよ。
15. 海外の名無しさん
「やあ、同郷のテキサス諸君。調子はどうだい?」と、彼はにこやかに話しかけたのだった。訛りの件はもう気にしないことにしたらしい。
16. 海外の名無しさん(>>15への返信)
エスカルゴを口いっぱいに頬張りながら、そう言ったんだよね。ご存じのとおり、テキサスの伝統料理である。地元の人たちも「そうそう、俺たちの故郷の味だ」と深くうなずいていたに違いない。
17. 海外の名無しさん
この人、同じことを何度もやってる。2005年には15歳のスペイン人の孤児を名乗って、フランスの街ポーの中学校に1か月通っていた。両親を交通事故で亡くしたと説明して、10代っぽい歩き方を練習して、後退した生え際は野球帽で隠して、顔には脱毛クリームまで使っていたそうだ。
18. 海外の名無しさん(>>17への返信)
そのときの記述が「正体を暴かれた」という書き方になっていて、子ども向けの探偵アニメの終盤みたいだなと思ってしまった。仮面をはがして「なんだ、お前だったのか!」ってやつ。実際には、彼の過去を扱ったテレビ番組を観た学校の職員が気づいたらしい。
19. 海外の名無しさん(>>17への返信)
名乗った身元は分かっているだけで数百に及ぶとされていて、そのうち子どもとして家庭や施設に入り込んだのが複数件、というのが今のところの整理。一つひとつが単発の事件として十分成立する規模なのに、それを何十年も繰り返している人が実在するというのが、まず信じがたい。
20. 海外の名無しさん
でも、なぜ? そこが本当に分からない。身寄りのない10代の暮らしが、そこまでうらやましいものだとは思えないんだけど。しかも大人になってから中学校に通い直すって、こっちの感覚だとほとんど悪夢の類なんだが。
21. 海外の名無しさん(>>20への返信)
たぶん、世話を焼いてもらえて、同情してもらえて、家賃も食費もかからないところじゃないかな。可哀想な子として扱われれば、誰も細かいことを追及してこない。そして飽きたら消えればいい。責任だけがきれいに抜け落ちた立場を選び続けている、という説明が一番しっくりくる。
22. 海外の名無しさん(>>21への返信)
「飽きたら消える」のところが一番きついな。受け入れた側からすれば、同じ相手を二度失うことになるわけで。一度目は本物の子で、二度目は偽物と分かった日。しかも二度目のほうは、自分たちが信じたかった気持ちごと踏まれる。
23. 海外の名無しさん
行方不明になった家族を名乗る人が現れる話自体は、実は昔からある。ロシア革命で殺された皇女アナスタシアを名乗った女性が何人も出てきた件は有名だし、映画『チェンジリング』も、行方不明の息子として別の少年を連れてこられ、「これがあなたの息子だ」と押し通された母親の実話がもとになっている。この種の話は、思っているより新しくない。
24. 海外の名無しさん
なりすました男の話ばかりが有名になっているけど、自分が引っかかるのはそこじゃない。何年経っても、ニコラス・バークレー少年は見つかっていない。生きているにせよ、そうでないにせよ、詐称者のページの脚注として名前が残るだけで終わっていい子じゃないと思う。そっちを知りたい。
まとめ
髪を脱色し、少年の手にあったのと同じタトゥーを自分にも入れ、人身売買されていたという身の上話まで用意して、フランス人のフレデリック・ブルダンはテキサス州の家族に「帰ってきた13歳の息子」として迎え入れられた。目の色は違い、英語にはフランス訛りがあり、本人は23歳。それでもしばらくのあいだ、彼はその家の子どもとして暮らしている。のちに正体が明らかになり、禁錮6年の判決を受けた。コメント欄で盛り上がったのは、まず「なぜ大人がそこまでするのか」という一点。世話をされ、同情され、飽きたら消えられる立場を選び続けているのだろう、という見立てが多かった。そしてもう一つ、繰り返し出てきたのが「本物の少年はどこへ行ったのか」という問いだった。家族の関与を疑う声は当時からあるが、それを裏づける事実が示されたことはない。なりすましのほうは犯人が捕まって決着したのに、その手前にある肝心の問いだけが、いまも開いたまま残っている。

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