「1頭のヤギが雪崩を起こし、そのまま最後まで乗って下りてきた」2023年にモンタナのスキーパトロールが残した報告

「1頭のヤギが雪崩を起こし、そのまま最後まで乗って下りてきた」2023年にモンタナのスキーパトロールが残した報告 自然・科学

雪崩は、たいていの場合、人間が引き金を引く。斜面に踏み込んだスキーヤーの体重や、パトロール隊が仕掛けた火薬が、積もった雪のバランスを崩す。ところが2023年、モンタナ州のスキーパトロールが報告した一件では、引き金を引いたのは1頭のシロイワヤギだった。しかもこのヤギ、自分で起こした雪崩に乗ったまま斜面の下まで滑り降り、見たところ無傷のまま、そのまま歩いて去っていったという。

※注:シロイワヤギは北米の山岳地帯にすむ動物で、英語では mountain goat と呼ばれる。名前にヤギと付くものの、牧場にいる家畜のヤギとは別のグループで、分類の上ではカモシカの仲間に近いとされている。断崖を平気で歩く姿を思い浮かべるなら、日本のニホンカモシカと似た位置づけの動物だと考えると想像しやすい。

今日の知ってた?

🐐 2023年、モンタナ州のスキーパトロールが「1頭のシロイワヤギが1,000フィート(約300メートル)規模の雪崩を引き起こし、その雪崩に乗ったまま最後まで滑り降り、見たところ無傷で歩き去った」と報告した。雪崩を起こした張本人が、自分の起こした雪崩の上に乗って下まで運ばれ、そのうえ自力で立ち去った——という三段構えの目撃談である。人間が同じ目に遭った場合、無事で済むかどうかは運次第で、助かったとしても一生語り継ぐ話になる。ヤギのほうは、その後どうしたのか誰も知らない。

背景:崖に住むことを選んだ動物

シロイワヤギは、ほかの動物が来たがらない場所を住処にすることで生きてきた。北米のロッキー山脈やカスケード山脈の、標高の高い岩場。夏に涼しい高所へ上がって冬は麓へ下りる、という動物は多いが、この動物は冬も高いところに残ることが多い。捕食者が入ってこられない急斜面にいれば、それだけで身の安全がかなり確保できるからだ。生活の快適さより、落ちたら終わりの岩壁のほうを選んだ動物、という言い方もできる。

それを可能にしているのが、蹄の造りである。二つに割れた蹄の外側は硬い縁になっていて岩の小さな段差を引っかけられる。一方、内側は柔らかい肉球のようになっていて、こちらが岩肌に吸い付く。硬い部分でひっかけ、柔らかい部分で滑り止めをかける。この組み合わせで、人間なら道具と技術がいる傾斜を、荷物も持たずに歩いていく。子どもは生まれて数日のうちに、親について同じ斜面を登り始める。

冬の過ごし方も、雪山との付き合い方をよく表している。雪が深く積もる場所では餌が掘り出せないので、風で雪が吹き飛ばされた尾根や、雪が張りつけない急な岩場を選んで草や苔をかじる。つまり彼らが好んで立っている場所は、そもそも雪が不安定になりやすい地形と重なりやすい。雪崩の起きる斜面に、日常的に体重をかけている動物なのである。

もう少し詳しく:誰が雪崩を起こし、なぜ助かったのか

まず、雪崩の起き方から。山の斜面に降り積もった雪は、一枚岩ではない。降ったときの気温や風で性質の違う層が重なり、その中に、もろくて崩れやすい「弱い層」ができることがある。その上に板のような固い雪が乗った状態は、重い天板を薄いせんべいで支えているようなもので、条件が揃うと、上に少し荷重が加わっただけで支えのほうが砕け、板ごと一気に滑り出す。斜面を丸ごと剥がすように落ちる雪崩は、だいたいこの仕組みで起きる。

そして、その「少しの荷重」をかける役はスキーヤーだけとは限らない。雪の中を歩く動物が引き金を引くことは以前から知られていて、雪崩の調査記録にも、人ではなく動物が起点になった例が残されている。体重のある動物が急な斜面を横切れば、条件次第で、それは人間ひとりが踏み込むのとそう変わらない刺激になる。今回のヤギも、崖から崖へ移動する途中で、たまたま踏んではいけないところに脚を置いてしまったのだろう。

報告したのがスキーパトロールだったのも、この話が記録に残った理由である。スキー場のパトロール隊は、遭難者の救助だけを仕事にしているわけではない。営業を始める前に、雪崩の危険がある斜面へ出て、火薬を使ったり、あえて斜面を横切って雪を切ったりして、危ない雪を先に落としてしまう。危険を消すために、自分たちで雪崩を起こしておくわけだ。日々そうやって雪の様子を観察して記録を取っている人たちの目の前で、ヤギが同じことを一発でやってのけた、という構図になる。

では、なぜ無事だったのか。ここは推測の話になるが、雪崩に巻き込まれた場合の生死を大きく分けるのは、埋まってしまうか、雪の表面に残れるかである。埋まると身動きが取れず、自力で出ることはほぼできない。逆に、流れの上に浮いたまま最後まで運ばれた場合、あとは岩や木にぶつからずに済むかどうかという話になる。「乗ったまま下まで行った」という目撃は、この動物がずっと表面側にいたことを示している。四本の脚と低い重心、山で鍛えた体幹、そして単純に運。どれがどれだけ効いたのかは、いまとなっては確かめようがない。

念のために書いておくと、雪崩は毎年のように人の命を奪っている災害である。山に暮らす動物にとっても事情は同じで、巻き込まれて命を落とす例は珍しくない。今回の話が愉快に読めるのは、たまたま関係者全員が無事で、しかも当事者が歩いて帰ったからにすぎない。そこだけは、笑いながらも忘れないでおきたいところではある。

海外の反応

1. 海外の名無しさん
動物どうしで「聞いてくれ、今日とんでもない目に遭った」と伝える手段があるのかどうか、こういう話を見るたびに考えてしまう。それとも「まあ、変な一日だったな」で片づけて、翌朝には跡形もなく忘れているのだろうか。

2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
自慢したいという欲求は、人類の歴史のかなり早い段階で生まれたんじゃないかと思っている。洞窟の壁にわざわざ絵を描いた理由の何割かは、たぶんそれだ。

3. 海外の名無しさん(>>2への返信)
「見て!ねえ見て!今の見てた!?」「はいはい、見てましたよ」というやり取りが十数万年前から続いていると考えると、人類はそんなに進歩していないのかもしれない。

4. 海外の名無しさん(>>1への返信)
野生動物は毎日が生き残りの連続なので、とんでもない目に遭うこと自体が日常なんだと思う。経験から学びはするだろうけど、そこを引きずったりはしない。小説を書くわけでもないし、カウンセリングに通うわけでもない。

5. 海外の名無しさん(>>1への返信)
記憶はあるでしょ。餌場の場所を覚えて何度も通うんだから。このヤギも山を登り直して、次の雪崩が来ないかと斜面を眺めていた可能性はあると思う。

6. 海外の名無しさん
英語では「史上最高」のことを GOAT(Greatest Of All Time の頭文字)と書くんだけど、綴りがそのままヤギなんだよね。というわけで、こいつは文字どおりの GOAT ということでいいと思う。

7. 海外の名無しさん(>>6への返信)
これまで GOAT と呼ばれてきたのは全部たとえ話だった。ここに来て実物が出てきてしまったので、歴代の称号保持者には返上してもらうしかない。

8. 海外の名無しさん
雪の塊に押し流されて、下で止まって、立ち上がって、何事もなかったように歩いて行く。あの顔は絶対に「今のは狙ってやった」と言っている顔だと思う。

9. 海外の名無しさん
完全に地元の利。人間が装備を揃えて講習を受けてようやく立ち入れる斜面に、あいつらは一年中住んでいる。ホームとアウェイの差というのは、やっぱり大きい。

10. 海外の名無しさん(>>9への返信)
雪崩が普通に起きる場所で長いこと暮らしてきた動物なら、雪崩をやり過ごす術がある程度は身についていてもおかしくない。むしろ身についていない血筋のほうが、とっくに先に消えていったはずだ。

11. 海外の名無しさん(>>10への返信)
埋まらずに雪の表面に残れるかどうかが分かれ目だと聞いたことがある。だとすると、四本足で低い重心というのは有利に働いたのかもしれない。人間はそこがいちばん思いどおりにいかない。

12. 海外の名無しさん
人間が「エクストリームスポーツ」と呼んでいるものを、心の底からどうでもよさそうな目で眺めていそう。ヘルメットも命綱もなしで崖に住んでいる相手に、こちらから張り合える要素が何もない。

13. 海外の名無しさん
シロイワヤギの頑丈さは前から異常だと思っていた。垂直に近い岩場を平然と登るし、多少落ちても転がっても、けろりとして立ち上がってくる。今回の話もその延長線上にある気がする。

14. 海外の名無しさん
元の投稿、「乗った(rode)」を「道路(road)」と書き間違えていて、コメント欄の半分がそっちの話で埋まっている。雪崩に乗った話が、雪崩と道路の話に見えてしまうという事故。

15. 海外の名無しさん(>>14への返信)
誤字いじりが本題より伸びるのは掲示板の伝統芸。ヤギはまったく悪くないのに、今日いちばん話題になっているのが綴りというのは、少し気の毒ではある。

16. 海外の名無しさん(>>14への返信)
英語圏の童謡「ボートを漕げ」の替え歌が始まっていて、「ボートを漕げ」が「ヤギを漕げ」になり、しまいには「ガレ場(岩くずの積もった斜面のこと)をゆるやかに下って」まで行き着いていた。もう誰もヤギの話をしていない。

17. 海外の名無しさん
パトロール隊が火薬を担いで斜面に上がって、手順を踏んで計画的に雪崩を落としている横で、ヤギが体当たり一発で同じ結果を出したと考えると、人間の側は少し立場がない。

18. 海外の名無しさん(>>17への返信)
しかも落とした本人が最後まで乗って下まで行っている。人間のほうは雪崩を落としたあと安全な場所から眺めているだけなので、勝負としては完敗という気がする。

19. 海外の名無しさん
「見たところ無傷」という書き方がいい。実際のところどうだったのかはヤギにしか分からないけれど、少なくとも自分の脚で歩いて去れる程度には元気だったわけで、そこが何よりだ。

20. 海外の名無しさん
雪崩は本当に人が亡くなる災害なので、笑い話として消費するのは本来よくないのだと思う。ただ、この件に関しては巻き込まれた当事者が全員無事なので、今日のところは笑わせてほしい。

21. 海外の名無しさん
動物は何も考えていない、という前提で話を進める人がときどきいるけれど、それはさすがに無理があると思う。意識には濃淡があって、その濃淡は野外で観察できる範囲にちゃんと現れている。

22. 海外の名無しさん(>>21への返信)
遊ぶ動物はいるし、鏡に映った自分に気づく動物もいる。道具を作る動物も、しっかり根に持つ動物もいる。考え方の中身が種によって違うのは当然として、人間だけが自意識を持っていると考えるのは了見が狭い。

23. 海外の名無しさん
このヤギ、群れに戻って何か言ったんだろうか。仮に言えたとして、信じてもらえたんだろうか。「雪崩に乗って下まで行った」は、ヤギの世界でもかなり怪しい話として扱われる気がする。

24. 海外の名無しさん
山に住んでいる動物のたくましさを、あらためて見せつけられる話だった。人間は道具と知識を総動員してようやく同じ場所に立っているだけで、そこで暮らしている相手には、やっぱり敵わない。

まとめ

2023年にモンタナ州のスキーパトロールが報告したのは、1頭のシロイワヤギが約300メートル規模の雪崩を自分で起こし、その雪崩に乗ったまま最後まで滑り降りて、見たところ無傷で歩き去っていったという一件だった。雪崩は、雪の中の弱い層が上の荷重に耐えられなくなって板ごと滑り出す現象で、引き金を引くのはスキーヤーとは限らない。雪の積もった急斜面を日常の生活圏にしている動物が、たまたま踏んではいけないところを踏んだ、というだけの話でもある。コメント欄では、英語で「史上最高」を意味する GOAT の綴りがヤギと同じであることをめぐる冗談と、「動物は自分に起きたとんでもない出来事を、仲間に話したいと思うのだろうか」という素朴な疑問が二本柱になっていた。答えは出ていない。ただ、雪崩の上に立ったまま山を下りて、何も言わずに歩き去るという振る舞いは、少なくとも人間には真似のできない種類の格好よさだった。

元ソース: 2023年、モンタナ州のスキーパトロールが、1頭のシロイワヤギが約300メートル規模の雪崩を引き起こし、その雪崩に乗ったまま最後まで滑り降りて、見たところ無傷で歩き去ったと報告していた

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