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「独房から英語辞典に1万件の用例を送った寄稿者は、殺人で収容された元軍医だった」編集者が会いに行くまで誰も気づかなかった話

「独房から英語辞典に1万件の用例を送った寄稿者は、殺人で収容された元軍医だった」編集者が会いに行くまで誰も気づかなかった話 自然・科学

英語のあらゆる単語の「正しい意味」を定義するために膨大な用例を提供した一人の人物が、じつは殺人を犯して精神病院に閉じ込められていた囚人だった——。編集者たちは長いあいだ、彼を上品な引退学者だと思い込んでいたそうです。今日知った話の中でも、とびきり奇妙で切ない実話を紹介します。

※注:OED(オックスフォード英語辞典)は、いまも「英語圏で最も権威ある辞典」とされる巨大事業です。

今日の知ってた?

📏 核心の事実:ビクトリア朝の犯罪者精神病院に収容されていた殺人犯 ウィリアム・チェスター・マイナー博士が、『オックスフォード英語辞典(OED)』のために 1万件以上の語義・用例をひそかに提供していました。編集者たちは、実際に彼を訪ねるまで、その寄稿者が収容者だとはまったく気づいていませんでした。これが映画『博士と狂人』の元になった実話です。

背景:オックスフォード英語辞典とは

OED(オックスフォード英語辞典)は、19世紀後半にイギリスで始まった、英語のすべての単語の歴史と意味を網羅しようという途方もない辞書プロジェクトです。「いま正しい言い方はこれ」と教える辞典というより、ひとつひとつの言葉が時代とともにどう生まれ、どう意味を変えてきたかを、実際の用例とともに記録していく——いわば「言葉の歴史博物館」のような辞典でした。

そのため編集部は、ある単語が初めて文章に登場した瞬間を探し出す必要がありました。とても一握りの学者だけでは追いきれない作業です。そこで編集主幹ジェームズ・マレーは、世界中の読書好きに呼びかけました。「本を読み、気になった単語と、それが使われている一文を書き写して送ってほしい」と。OEDは、無数の市民ボランティアが送ってきた用例カードの上に積み上げられた、巨大な共同事業だったのです。

もう少し詳しく

ある一通の戦争が壊した心。ウィリアム・チェスター・マイナーは、もともとアメリカ陸軍の軍医(外科医)でした。南北戦争の凄惨な現場を経験したことで深い心の傷を負い、生涯にわたって被害妄想に苦しむようになります。療養も兼ねてロンドンへ渡りますが、ある夜、誰かに命を狙われているという妄想に取り憑かれ、通りで無関係の男性ジョージ・メリットを射殺してしまいました。

「殺人」ではなく「病」と裁かれて。裁判では、計画性も悪意もないと判断され、心神喪失による無罪となります。そして犯罪者向けの精神病院(ブロードムア)に収容されました。陸軍からの年金があったため、彼の独房は比較的恵まれた環境で、いつしか研究者顔負けの蔵書で埋め尽くされていきます。時間だけはたっぷりある——その環境が、のちの膨大な寄稿を生むことになりました。

マレーとマイナーの長い文通。マイナーはマレーの用例募集を知って大いに奮い立ち、何年もかけて1万件以上の用例を送り続けました。マレーは長らく、彼を博識な引退紳士だと思っていたといいます。やがて事情を知った編集者が本人を訪ね、収容者だと判明してもなお、二人の交流は途切れませんでした。さらに胸を打つのは、マイナーが殺してしまった男性の未亡人が、彼のもとを訪れては本を差し入れていたという逸話です。彼女には恨む理由しかなかったはずなのに——。マイナーは後に病状を悪化させ、自ら凄惨な行為に及んだのち、1910年に病院を出てアメリカへ戻り、1920年に亡くなりました。

海外の反応

1. 海外の名無しさん
英語の「正しい使い方」を世界に示した張本人が、現実との接点を失って精神病院に入れられていた人だったとは。なんという皮肉なんだ。

2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
もう皮肉という言葉の意味を、彼自身が定義し直したレベルだよね。

3. 海外の名無しさん(>>2への返信)
辞書で「irony(皮肉)」の項目を引いたら、用例に彼の人生がまるごと載ってそう。文字どおりにも比喩的にも皮肉を定義した男。

4. 海外の名無しさん
言っておくけど、別に「秘密裏に」というほどの隠し事はなかったんだよ。囚人が用例を送ってはいけないというルールなんて存在しなかった。彼はただ、定義カードに自分の半生を書き添えなかっただけ。

5. 海外の名無しさん(>>4への返信)
ありがたいことに送ったのがレシピじゃなくて用例カードだったわけだ。もしレシピ投稿サイトだったら、本題にたどり着く前に「私がどうやって精神病院に入ったか」の長い前置きを読まされるところだった。

6. 海外の名無しさん(>>5への返信)
ネットのレシピ前置きの起源、まさかここにあったとは(嘘です)。

7. 海外の名無しさん
彼の名前はウィリアム・チェスター・マイナー。被害妄想の発作のさなか、通りで見ず知らずの人を撃ってしまった元外科医だ。その後38年間を病院で過ごし、そのあいだもひたすら用例を送り続けた。仲良くなった編集者は、最後まで彼を引退した紳士学者だと思い込んでいたらしい。

8. 海外の名無しさん(>>7への返信)
独房が事実上、英語研究のための専門図書館みたいになっていたという話もある。研究者が欲しがる資料がぎっしり詰まっていて、しかも彼には有り余る時間があった。皮肉だけど、研究には完璧な環境だったんだ。

9. 海外の名無しさん
いちばん胸に来るのは、自分が殺してしまった男性の未亡人が、彼を訪ねては本を差し入れていたという部分。彼女には憎む理由しかなかったはずなのに、何年も本を持って会いに来ていたなんて。

10. 海外の名無しさん(>>9への返信)
人は誰も、自分を傷つけた相手を許す義務なんてない。だからこそ、それでも許せる人を見ると本当に頭が下がる。

11. 海外の名無しさん(>>9への返信)
正気を取り戻していた時期に、彼は自分の軍人年金の一部を未亡人への償いとして渡す取り決めをしていたとも言われている。せめてもの誠意だったんだろうな。

12. 海外の名無しさん
「クレイジー(狂気)」は「バカ」と同じ意味じゃない。この一件はそれを完璧に証明している。

13. 海外の名無しさん(>>12への返信)
昔こんな小話があってね。男が精神病院の前でパンクしたタイヤを交換していて、外したナットがコロコロ転がって全部側溝に落ちてしまった。窓から見ていた入院患者が「ホイールキャップをひっくり返して器にして、その中にナットを入れておけよ」と教えてくれた。男が「よくそんな名案を思いつくな」と驚くと、患者はこう答えた。「俺たちは狂ってるだけで、頭は悪くないんだ」

14. 海外の名無しさん(>>13への返信)
その小話とこの実話がここまで完璧に重なる日が来るとは思わなかった。

15. 海外の名無しさん
この話、ショーン・ペンとメル・ギブソンで映画になってるよ。『博士と狂人(The Professor and the Madman)』、2019年公開。実話のすごさにちゃんと向き合った良作だった。

16. 海外の名無しさん(>>15への返信)
もとになった本もすごく面白い。イギリス版は『クロウソーンの外科医(The Surgeon of Crowthorne)』というタイトルで出ていて、中身は同じなのに探すと安く手に入ったりする。

17. 海外の名無しさん
ひとつ補足すると、オックスフォード英語辞典は「正しい話し方」を教えてくれる辞典じゃないんだよね。むしろ言葉の歴史や移り変わりを記録することにずっと重きを置いている。

18. 海外の名無しさん(>>17への返信)
だからこそ膨大な用例が要るわけだ。マイナーが送った1万件は、まさにその「歴史の標本」だったんだな。

19. 海外の名無しさん
そもそも英語って、規則と例外のかたまりみたいな言語だからね。すべてを論理的に整理しようとしたら、たしかに人は正気を失うのかもしれない(半分冗談)。

20. 海外の名無しさん
事実関係をひとつ。彼が病院にいると知って編集者が訪ねたのが正しい順序で、「訪ねてみたら収容者だった」というのは少し脚色が入っている。とはいえ、本筋の驚きは何も変わらないけどね。

21. 海外の名無しさん
南北戦争で心を壊し、見知らぬ人を撃ち、38年間閉じ込められ、それでも言葉と向き合い続けた。フィクションでもここまでの人生はなかなか書けない。

22. 海外の名無しさん
面白くて、同時にものすごく物悲しい話だ。彼が現代の医療を受けられていたら、と思わずにはいられない。

23. 海外の名無しさん(>>22への返信)
それでも、せめて打ち込める仕事を見つけて、彼の幸せを願ってくれる人たちがそばにいたことは、救いだったと思いたい。

24. 海外の名無しさん
今日いちばんの「知らなかった」をもらった気分。辞書の裏に、一人の壊れた天才の38年があったなんて。

25. 海外の名無しさん
言葉オタクとしては、独房が専門図書館になって一万件の用例を送ったという部分だけで、もう完全に彼に親近感を覚えてしまった。境遇の悲しさを抜きにすれば、ちょっとうらやましいまである。

まとめ

南北戦争で心を病み、見知らぬ人を撃って精神病院に収容された元軍医マイナーは、独房から1万件以上の用例を送り、OEDという巨大辞典を陰で支えました。コメント欄では「皮肉そのものを定義した男」という驚きと、被害者の未亡人が本を差し入れ続けた逸話への静かな感動、そして「狂気は無知とは違う」という言葉が繰り返し共有され、奇妙さと切なさの入り混じった余韻が広がっていました。

元ソース: 英語辞典のために1万件の用例を提供した寄稿者は、精神病院に収容された殺人犯だった

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