「刺されたら1回1000ドル払ってくれ」と交渉した俳優、口に本物の蜂を入れて撮影し23回刺される

「刺されたら1回1000ドル払ってくれ」と交渉した俳優、口に本物の蜂を入れて撮影し23回刺される 音楽・エンタメ

撮影のために、口の中へ本物の生きた蜂を入れた俳優がいる。しかもその人は、蜂を口に含む前に契約書へ一文を足させていた。「刺された場合、1回につき1000ドルのボーナスを支払うこと」。結果として彼は23回刺された。単純に掛け算すると2万3000ドル。つまり本番中、彼の口の中では、それだけの金額が動いていたことになる。

※注:『キャンディマン』は1992年に公開されたアメリカのホラー映画で、日本でも同じ題で紹介されている。鏡に向かって名前を5回唱えると現れる、という形で語り継がれる怪人が主人公で、その役を演じたのが俳優のトニー・トッドである。蜂は作品全体を貫くモチーフとして繰り返し登場し、なかでもキャンディマンの口から蜂が這い出してくる場面は、この映画といえばまずこれ、と言われる有名な一場面になっている。

今日の知ってた?

🐝 1992年のホラー映画『キャンディマン』で、主役を演じたトニー・トッドは、口から蜂が這い出すあの有名な場面を、本物の生きた蜂を口に含んだ状態で撮影した。彼は撮影にあたって「蜂に刺されたら1回につき1000ドルのボーナスを支払う」という条項を契約に入れさせており、最終的に23回刺されている。

背景:なぜ、本物の蜂だったのか

1992年という年を思い出してほしい。コンピュータで作った映像が劇場を席巻するのはもう少し先の話で、この時期に「画面いっぱいに無数の虫が蠢いている」という絵を成立させようと思ったら、選べる手はそう多くなかった。作り物を使えば、たいていの場合は作り物に見える。ならば本物を連れてくるしかない——というのが、この現場の出した答えだった。ホラー映画の歴史には、この手の「そこまでやるか」という判断がいくつも転がっているが、俳優の口の中を撮影場所として使った例はさすがに数が少ない。

とはいえ、人間の口に生きた蜂を入れる以上、現場が完全に無策だったわけでもない。元スレッドには蜂に詳しい人が何人も現れて、当時どんな工夫がされていたかを説明していた。使われたのは羽化してから12時間ほどしか経っていない若い蜂で、これは画面に映ったときには成虫と見分けがつかないのに、針の威力だけが弱いのだという。蜂の扱いを担当した人はフェロモンを使って、群れが散らばってしまわないよう制御もしていた。関係者の言葉として「毒を持たない個体を使おうとした」という一節も引用されており、その上でトニー・トッド側の備えは、蜂が喉の奥へ落ちないようにするためのデンタルダム——歯科で使うゴムのシート——たった一枚だったと紹介されていた。

この説明には、コメント欄からすぐに突っ込みが入った。ミツバチの雄、いわゆる雄蜂にはそもそも針がない。針があるはずの場所に別の器官ができるためで、養蜂をやっている人なら体つきや目の大きさで見分けもつくし、口に数匹隠しておいて後から吐き出して飛ばせる、という古い余興まであるらしい。だったら最初から雄蜂だけを選べばよかったのではないか、という疑問である。これに対する答えも同じスレッドの中から出てきた。雄蜂には、働き蜂のように群れて這い回る本能がない。だから顔の上でうまく蠢いてくれず、要するに画にならないのだという。安全側に振ると絵が死ぬ。撮影現場でいちばんよく起きる種類の綱引きが、ここでも起きていたことになる。

もう少し詳しく

この契約条項が異様なのは、危険手当ではなく出来高払いだったところである。「危ない仕事だから上乗せする」という形なら、金額はあらかじめ決まっていて、あとは耐えるだけで済む。ところが彼が通したのは「刺された回数×1000ドル」という、伝票が現場で増えていく方式だった。撮影が進むほど請求額が上がっていく契約に自分から署名した人間が、口を開けて蜂を待っているわけである。スレッドでは「1992年の1000ドルは今の感覚だと2300ドルくらい」という換算も出ていて、それを23回分並べると、ちょっとした車が買える額になる。作品の中でいちばん有名な数秒が、実は歩合制で撮られていたと知ると、あの場面の見え方が少し変わる。

ただし、23回という数字だけが独り歩きしている面もある。その23回がすべて口の中だったのか、顔や首まで含めた数なのかまでは伝わっていない。刺された場所によって、これは笑い話にも救急搬送にもなり得る。実際、コメント欄には医師を名乗る人が現れて、喉の奥を刺されて気道が塞がった患者の話を書き込んでいた。腫れで空気の通り道がなくなると、そこから先は分単位の勝負になる。「若い蜂を選んだ」「デンタルダムで喉を守った」という工夫は、ふざけた話の中に紛れているせいで軽く聞こえるが、要するに全部そこを避けるための備えだったということでもある。

そして、この現場で危ない橋を渡っていたのは彼だけではなかった。スレッドによれば、共演したヴァージニア・マドセンは蜂アレルギーを持っていて、それでも救急隊を待機させたうえで自分の出番をやりきったのだという。この話が本当なら、報酬の話が出てくる余地すらない種類の覚悟である。1000ドルの上乗せを勝ち取って蜂を口に入れた俳優と、アレルギーを抱えたまま救急車の隣で撮影に臨んだ俳優が、同じ画面に映っている。当時の現場の温度がなんとなく伝わってくる組み合わせだと思う。

いま同じことをやろうとしたら、まず企画の段階で止まる。俳優の身体的な危険に金額を紐づけて、多く傷つくほど報酬が増える契約というのは、現代の撮影現場の考え方とは正面からぶつかる。そもそも今なら、この画は映像処理でいくらでも作れてしまう。ではあの場面をコンピュータで描き直せば同じものになるかというと、そこは意見が割れるところで、「本物だと知った瞬間に一段ぞわっとする」あの感触は、たしかに合成では出しにくい。安全に撮る技術と、危険を引き受けた画の凄み。1992年にはこの二つを両立させる方法がなかった、という話でもある。

海外の反応

1. 海外の名無しさん
口の中に何匹入った時点で、いっそ噛み締めて稼ぎにいこうと考え始めるのか、そこが気になって仕方ない。1回1000ドルなら、途中から発想が完全に出来高払いの仕事に切り替わるはずだ。

2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
1刺され1000ドルなら正直かなりの回数まで受けると思う。問題は金額の上限じゃなくて「これ以上は蜂を怒らせたくない」と感じる線がどこにあるか、なんだよな。決定権が自分にない怖さがある。

3. 海外の名無しさん(>>2への返信)
医者として言っておくと、本当に怖いのは刺された回数じゃなくて喉が塞がるほうです。前に炭酸飲料に入っていた蜂に喉の奥を刺された子がいて、腫れで気道が塞がって挿管もできず、その先を切って通すしかなかった。おすすめはしません。

4. 海外の名無しさん(>>3への返信)
ものすごくためになる話だけど二度と読みたくない。絶対に1か月後の午前3時に思い出すやつだし、次に炭酸を開けるとき缶の口を覗き込む人間になってしまった。責任を取ってほしい。

5. 海外の名無しさん
蜂も適当に集めてきたわけじゃなくて、羽化して12時間くらいの若い個体を使ったらしい。若い蜂は画面上だと成虫と見分けがつかないのに針の威力が弱い。しかもフェロモンで群れが散らないように制御していたとか。

6. 海外の名無しさん(>>5への返信)
細かい話だけど、さなぎから成虫になって出てくる段階と、卵から孵る段階は別物として呼び分けられているんだよな。蜂のスレッドを開いただけなのに、虫の育ち方の講義まで受けて帰ることになるとは思わなかった。

7. 海外の名無しさん
関係者の話として「毒を持たない個体を使おうとした」「トニーが着けていたのは蜂が喉に落ちないようにするデンタルダム一枚だけだった」という説明が出ていた。防具がゴムのシート一枚。装備が軽すぎる。

8. 海外の名無しさん
養蜂をやっている側から言うと、ミツバチの5%くらいは雄蜂で、雄には針がない。針の位置に別の器官ができるからで、体が少し大きくて目も大きいのですぐ見分けられる。口に何匹か隠して後から吐き出して飛ばす、という昔ながらの余興もあるくらいだ。

9. 海外の名無しさん(>>8への返信)
じゃあなぜ雄蜂を使わなかったんだ、という疑問がどうしても残ってしまう。針のない個体だけを選べたなら、口に入れても理屈のうえでは安全だったはずだよな。養蜂家が同行していたなら選別もできただろうし。

10. 海外の名無しさん(>>9への返信)
雄蜂には群れて這い回る本能がないからだと聞いた。働き蜂みたいに顔の上に集まって蠢いてくれないので、撮っても画としてまるで成立しないらしい。安全に寄せると絵が死ぬという、身も蓋もない理由だった。

11. 海外の名無しさん
昔スズメバチに50か所以上刺されたことがあるけど、あの痛みを思い出すと1刺され1000ドルはどう考えても安い。桁がもうひとつ欲しいし、そもそも金額の問題じゃないと当時の自分なら言っていたと思う。

12. 海外の名無しさん(>>11への返信)
羽化したばかりの弱い蜂と、あのスズメバチを同じ物差しに載せるのはさすがに酷じゃないか。どっちも「刺された」で片づけられてしまうけど、中身の破壊力がまったく違う。

13. 海外の名無しさん
共演のヴァージニア・マドセンは蜂アレルギーがあったのに、救急隊を待機させたうえで自分のシーンをやりきったという話まで出ていた。正直こっちのほうが震える。報酬の話をする余地すらない。

14. 海外の名無しさん(>>13への返信)
アレルギーのない人を配役すればよかったのでは、と思ってしまうけど、たぶん順番が逆で、役が決まったずっと後に蜂の量が決まっていったんだろうな。降板するには惜しい役でもあっただろうし。

15. 海外の名無しさん(>>14への返信)
求人票の細かい欄を読まずに応募してしまった感がすごい。「※業務内容に蜂を含みます」が下のほうに小さく書いてあって、面接を通ってから気づくやつだ。

16. 海外の名無しさん
今これをやろうとしたら、まず安全管理の担当者が卒倒すると思う。傷つくほど報酬が増える契約って、危険を減らす方向に誰も動かなくなるから、仕組みとして現代の現場ではまず通らないんだよな。

17. 海外の名無しさん(>>16への返信)
そもそも今なら映像処理で十分に再現できる画だし、わざわざ生きた虫を人間の口に入れる必要はないと思う。置き換えられるところは置き換えたほうが、みんな長生きできる。

18. 海外の名無しさん(>>17への返信)
言いたいことは分かるんだけど、あの場面の気味悪さって「これ本物だ」と気づいた瞬間に一段跳ね上がる種類のものでもあるんだよな。作り物だと知って観る蜂は、どうしても軽くなってしまう。

19. 海外の名無しさん
結局どちらも正しくて、今は「本物に見える作り物」と「安全に撮った本物」の両方から選べる時代になっただけだと思う。1992年にはその選択肢がなくて、誰かが口を開けるしかなかった。

20. 海外の名無しさん
無理。いくら積まれても無理。蜂は大事にしたいし絶滅してほしくもないけど、それはそれとして自分から半径5メートル以内には来ないでほしい。応援は遠くからさせてくれ。

21. 海外の名無しさん(>>20への返信)
ちなみに「守るべき蜂」として思い浮かべているのは、たぶんセイヨウミツバチじゃないと思う。あれは蜂蜜のために各地に持ち込まれて広がった側で、その土地にもともといた蜂と餌を取り合っている面がある。

22. 海外の名無しさん
関係ないけど、ジェイソン・ステイサムが養蜂家役のアクション映画(原題 The Beekeeper)のために本物の養蜂を習ったとき、練習中も撮影中も何人も刺されたのに、ステイサム本人だけ一度も刺されなかったらしい。蜂にも分かるんだな。

23. 海外の名無しさん
刺されるたびにカウンターが回る仕事って、もはや芝居じゃなくて完全に歩合制の副業だろ。よくもまあそんな条項を思いつき、しかも通したものだと思う。撮影が始まる前の時点で勝っている。

24. 海外の名無しさん
トニー・トッドはとにかく声が良くて、あの低音だけで場の空気を変えられる俳優だった。ホラーの人という印象が強いけど、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』のリメイク版みたいな静かな芝居のほうがむしろ上手い人だったと思う。

まとめ

1992年の『キャンディマン』で口から蜂が這い出す有名な場面は、本物の生きた蜂を俳優の口に入れて撮られていた。しかも本人が「刺された1回につき1000ドル」という条項を契約に入れさせており、結果は23回。コメント欄は「途中から噛み締めて稼ぎにいくのでは」と笑う声で始まりつつ、羽化直後の蜂を選んだ理由や、雄蜂を使わなかった事情、喉を刺されることの本当の危険まで説明が続き、最後は「今ならCGで十分」派と「本物だと知った瞬間の凄みは代えがきかない」派に静かに割れていった。

元ソース: 1992年のホラー映画『キャンディマン』で、俳優トニー・トッドは口から蜂が這い出す有名な場面を、本物の生きた蜂を口に含んで撮影した。1回刺されるごとに1000ドルのボーナスという契約条項を交渉し、最終的に23回刺された

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