『きかんしゃトーマス』に出てくる、シルクハットをかぶった恰幅のいい紳士。イギリスでは長いあいだ「太っちょの局長(the Fat Controller)」と呼ばれてきましたが、アメリカ版では一貫して本名の「サー・トップハム・ハット」で通されています。理由は、fat という一語が大西洋を渡ると響きが変わってしまうから。そして日本語版は、どちらの呼び方を選んでいたでしょうか。
今日の知ってた?
📏 『きかんしゃトーマス』の「太っちょの局長(the Fat Controller)」は、アメリカ版では本名の「サー・トップハム・ハット(Sir Topham Hatt)」で統一されている。イギリス英語の fat は体型をそのまま言い表す形容詞として、必ずしも侮蔑にはならない。一方アメリカでは同じ一語が明確に侮蔑として受け取られるため、あだ名のほうが使われなくなった。
背景:「太っちょの局長」とは誰なのか
『きかんしゃトーマス』のもとになったのは、イギリスの牧師ウィルバート・オードリーが病気で寝込んだ息子に語って聞かせた話から生まれた絵本シリーズです。日本では『汽車のえほん』の名で知られています。
舞台は架空のソドー島。そこで鉄道全体を取り仕切っているのが、あのシルクハットの人物です。本名はサー・トップハム・ハット。「太っちょの局長」はその本名と並んで作中に登場する通称、つまりあだ名にあたります。子どもの頃に見ていた人ほど、どちらが本名でどちらがあだ名なのかを取り違えていることが多い部分です。
もう少し詳しく
fat の線引きは英語圏でも一枚岩ではない。イギリス英語の fat は、体型を見たまま言い表す形容詞として、攻撃的な響きを伴わずに使われてきました。一方アメリカ英語では、同じ一語が体型をめぐる侮蔑としてかなり強く働きます。単語は同じでも、どこまでが描写でどこからが悪口なのかの境界線が、大西洋を挟んで別の場所に引かれている。この作品の呼び名の違いは、その線の位置がずれていることをそのまま映しています。
アメリカ版は名前を作ったのではなく、あだ名を使わなかった。「サー・トップハム・ハット」はアメリカ向けに新しく考え出された名前ではありません。原作の絵本にもイギリス版のテレビシリーズにも最初から出てくる本名で、アメリカ版がやったのは「太っちょの局長」という通称のほうを採らなかった、というだけのことです。イギリス本国でも、近年のシリーズでは本名で呼ばれる場面のほうが増えています。
初期の語り手はビートルズのドラマーだった。1980年代に始まったイギリスのテレビシリーズで、最初期のナレーションを務めたのはリンゴ・スターでした。イギリスの視聴者にとって「太っちょの局長」という呼び名は、この時代の語りとセットで記憶に残っているようで、コメント欄でも「リンゴが読んでいた頃はずっとその呼び方だった」という声が並んでいました。
そして日本のテレビでは「トップハム・ハット卿」。日本でも『きかんしゃトーマス』は長く親しまれていますが、テレビシリーズであの局長を指す呼び名は「トップハム・ハット卿」です。体型を言い表すあだ名のほうで覚えている人は、そう多くないでしょう。どちらを採るかの判断が公にされているわけではないので理由までは断定できませんが、英語圏でいま盛り上がっている「本名なのかあだ名なのか」という取り違えを、日本のテレビで育った世代は最初から経験せずに済んでいた、とは言えそうです。
海外の反応
1. 海外の名無しさん
「太っちょの局長」って、子どもの頃はてっきりそういう役職名なんだと思ってた。まさか毎回あの人の体型を言い続けていたとは思わなかった。
2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
逆に「サー・トップハム・ハット」のほうがあだ名だと思い込んでた人も多いと思う。実際は本名がそっちで、太っちょ呼びのほうが後から付いた通称。
3. 海外の名無しさん
念のため言っておくと、原作の絵本でもイギリス版のテレビでも彼はサー・トップハム・ハットだよ。アメリカ版が新しく名前を発明したわけじゃなくて、あだ名のほうを使わなくなっただけ。
4. 海外の名無しさん(>>3への返信)
イギリスで子ども時代を過ごしたけど、リンゴ・スターが語ってた頃はずっと「太っちょの局長」だった記憶がある。下のきょうだいが見てた新しいシリーズでは、その呼び方を一度も聞かなかった。
5. 海外の名無しさん
じゃあ「やせた局長」のほうは何て呼ばれてたんだろう。出番は少なかったけど、確かにそういう人もいたよね。太い細いできれいに対になってた覚えがある。
6. 海外の名無しさん(>>5への返信)
後年のシリーズだと本名のパーシバルさんで呼ばれてたはず。体型で呼び分けるのをやめただけで、キャラクター自体はちゃんと残ってる。
7. 海外の名無しさん(>>5への返信)
原作の「やせた局長」は線路の幅が狭い鉄道を任されてる人で、実在の保存鉄道の支配人がモデルだと聞いたことがある。しかも挿絵で見ると、本人もそこそこ恰幅がいい。
8. 海外の名無しさん
「サー・トップハム・ハット」の字面を見るたびに、どうしてもジャバ・ザ・ハットが頭をよぎる。日本語だと綴りの差すら消えて、完全に同じ音になるらしいね。
9. 海外の名無しさん(>>8への返信)
じゃあイギリス版のジャバは「フラッバ・ザ・ハット」ということにしておこう。こっちの呼び方なら誰も気にしないはず。
10. 海外の名無しさん
今のアメリカの平均に照らしたら、彼はむしろ細身の部類に入るんじゃないかな。呼び名のほうが先に時代に追い抜かれてしまった形になる。
11. 海外の名無しさん
うちの義理の姉は娘たちの前で「太った」という言葉を絶対に使わない。鶏の脂身も全部「皮」ということになってる。さすがに向かってる方向を間違えてる気がする。
12. 海外の名無しさん(>>11への返信)
学校で保健や生物の授業が始まった瞬間に、その子たちが困ることになりそう。脂肪という単語を避けて通れる分野じゃない。
13. 海外の名無しさん
侮蔑の話をするなら、あの世界で最大の悪口は「ディーゼル」だと思う。蒸気機関車たちにとって、あれ以上に失礼な呼ばれ方はない。
14. 海外の名無しさん
ヨーロッパにはイギリス版がそのまま入ってきてたけど、名前について深く考えた人はいなかったと思う。イギリスだと見た目をそのまま言うのが親しみの表現になるのに、アメリカだとそうならない。そのずれ自体が面白い。
15. 海外の名無しさん
オーストラリアでもずっと「太っちょの局長」のままだった。こっちで急に上品な呼び方に変えようものなら、全力でからかわれて終わってたと思う。
16. 海外の名無しさん
子どもの頃の友達に発音がうまくできない子がいて、彼の呼び名がとんでもない言葉に聞こえる形になってた。自分の子の前でうっかり同じ言い方をしないよう、いまだに気をつけてる。
17. 海外の名無しさん
イギリスでも「太っちょ」呼ばわりが失礼じゃないわけではないよ。今から新しく作る番組なら絶対に付けない呼び名だと思う。ただトーマスはもう国民的な存在だから、そのまま残ってしまっただけ。
18. 海外の名無しさん
個人的には、侮蔑うんぬんより「アメリカの子どもにはなぜこの人が太っちょと呼ばれるのか分からない」ほうが大きかったんじゃないかと思ってる。かなり実務的な理由。
19. 海外の名無しさん(>>18への返信)
それはありそう。前提を知らない子からしたら、あだ名なのか役職名なのか区別がつかないもんね。
20. 海外の名無しさん
アメリカで見て育ったけど、たしかに何度か「太っちょの局長」って聞いた記憶がある。イギリス版のまま流通した短編がどこかに混ざってたのかもしれない。
21. 海外の名無しさん
初期のハリー・ポッターのゲームで、グリフィンドール寮の入口にいる「太った婦人」が別の呼び名に差し替えられてたという話も聞いたことがある。公式に理由が説明されたわけじゃないけど、たぶん同じ流れだと思う。
22. 海外の名無しさん
設定を掘り下げた本によると、彼はトップハム・ハット三世ということになってるらしい。つまり同じ名前の局長が代々いた計算になる。ソドー島の人事はなかなか渋い。
23. 海外の名無しさん
こういう英米で語感がずれる話は、いくら聞いても飽きない。同じ英語なのに、片方では親しみのこもった愛称になって、片方ではただの悪口になってしまう。
まとめ
イギリスでは体型をそのまま指す言葉が親しみの表現として通り、アメリカでは同じ言葉が侮蔑として働く。その一点の差だけで、同じ人物の呼び名が国境をまたいだ瞬間に入れ替わっていました。コメント欄は「あだ名のほうが本名だと思っていた」「いや自分は逆だと思っていた」という取り違えの告白から、やせた局長の行方、ハリー・ポッターの「太った婦人」の改名話まで、気持ちよく脱線しながら賑わっています。そして日本の読者にとっては、慣れ親しんだ「トップハム・ハット卿」という呼び名が、この英米のずれのどちら側に立っていたのかを、いま初めて知ることになるわけです。

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