シャンプーのボトルを開けて、中身を口に運んだ人がいる——という話が、40年以上も語り継がれている。1979年にアメリカで発売された、ヨーグルト入りのシャンプーの話である。史上有数の商品失敗として今も引き合いに出されるのだが、その「失敗」の中身が、なかなか奇妙なことになっている。
※注:商品名の Touch of Yogurt は「ヨーグルトをひとさじ」「ヨーグルトをちょっぴり」といったニュアンスの英語。日本では発売されておらず定訳もないため、この記事では原語のまま表記する。
今日の知ってた?
🧴 1979年、アメリカの大手化粧品メーカー、クレイロール社が「Touch of Yogurt」という名前のシャンプーを発売した。売れ行きは振るわず、今日に至るまで「史上有数の商品失敗」の代表例として語られ続けている。さらに、一部の消費者が中身を食べてしまい体調を崩したという話も伝えられている。
背景:1970年代は「食べ物の名前の化粧品」だらけだった
今の感覚だと、シャンプーにヨーグルトという時点で企画の段階で誰か止めろよ、と思う。ただし1970年代のアメリカの棚を思い浮かべると、この商品はまったく浮いていない。むしろ、当時の流行のど真ん中にいる。
1960年代の終わりから70年代にかけて、アメリカでは「自然のものを髪や肌に」という志向が一気に広がった。合成物質への不信と、ヒッピー文化まわりの自然回帰が重なった時期である。化粧品メーカーはこぞって、パッケージの前面に食材の名前を並べはじめた。卵、はちみつ、レモン、小麦胚芽油、いちご、アボカド。成分表の奥に隠しておくのではなく、商品名そのものを食材にするのが売り方だった。
クレイロール社は1971年に「ハーバルエッセンス」を出してこの流れの中心にいたメーカーで、ほぼ同じ時期には、実際にビールを配合した「Body on Tap」というシャンプーも売っている。他社にも「Gee, Your Hair Smells Terrific」(あなたの髪、いい匂いだね、の意)のような、香りを前面に押し出した定番商品があった。台所にあるものを髪に塗るのが最先端、という空気が本当にあったのである。
もうひとつ、今との落差が大きいのがヨーグルトそのものの立ち位置だ。当時のアメリカで、ヨーグルトはまだ食卓の常連ではなかった。健康志向の人が食べる、少し変わった新しい食べ物という扱いで、朝食のシリアルよりは寿司に近い。商品名に「ヨーグルト」と入れるだけで、新しくて健康的な感じが出た時代だったということになる。
もう少し詳しく
ボトルには、ちゃんと「シャンプー」と書いてあった。現存するボトルの写真を見ると、商品名のすぐ下に大きく Shampoo と入っており、脂性の髪向けであることを示す一文も添えられている。ヨーグルトという単語が読めて、そのすぐ下のシャンプーという単語が読めないというのは、たしかに考えにくい。海外の掲示板でこの話題が出るたび、真っ先に指摘されるのがこの点である。
それでも「食べた人がいた」という話は消えない。誤食が起きた理由としてよく挙げられるのは、買った人と口に入れた人が別人だったのではないか、という筋書きだ。買ってきた本人はシャンプーだと分かっている。しかし家に持ち帰った袋から中身を出したのが家族の別の誰かで、その人が冷蔵庫の隣に置いてしまえば、次に手に取った人にとっては食品売り場から来たものと変わらない。
ただし、この「食べて具合を崩した人が出た」という部分は、慎重に扱ったほうがいい。マーケティングの失敗事例をまとめた本や、この手の話を集めた記事では繰り返し語られてきたのだが、当時の報道や記録にさかのぼって裏を取ろうとすると、途端に足取りが怪しくなる。何人がどうなったのか、どこで確認された話なのか、という具体的な数字や出典が出てこないのである。広く知られている一方で、確かめるのが難しい話——というのが正直なところだ。この記事でも「〜と伝えられている」以上には踏み込まない。
商品そのものは、発売直後に消えたわけでもないらしい。新聞の縮刷版で割引クーポンを追いかけた人によると、1982年ごろまでは広告が確認できるという。数年は棚にあった商品が、その後は失敗の代名詞として語られ続けている、という形になる。
なお、食品に見える日用品というのは、今でもそれほど珍しいものではない。菓子そっくりの入浴剤や、果物の絵が大きく入った洗剤は普通に売られているし、乾燥剤の袋に「たべられません」と印字されていたりもする。あの一行が印刷されている理由を考えると、この1979年の話も、そこまで遠い世界の出来事ではないのかもしれない。
海外の反応
1. 海外の名無しさん
企業の肩を持つことはめったにないんだけど、これに関しては客側の責任だと思うよ。洗面用品の棚から取ってきたものを口に入れないでほしい。それだけの話じゃないか。
2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
じゃあ俺の腸内の繊毛はどうやって洗ってセットしろっていうんだ。ヨーグルトといえば腸だろう。内側から髪を整えるという発想がなぜお前にはない。
3. 海外の名無しさん(>>1への返信)
混乱が起きたのは買った場所じゃない気がするんだよな。買った本人はシャンプーだと分かっている。でも家で袋から出したのが別の人だったら、その人には何も分からないわけで。
4. 海外の名無しさん
ボトルには商品名のすぐ下に、でかでかと「シャンプー」と入っていたはずなんだけどな。それが読めなかったんだとしたら、その家では漂白剤のほうがよっぽど心配だよ。
5. 海外の名無しさん(>>4への返信)
しかも「脂性の髪用」って一文まで入ってるんだよ。ヨーグルトの四文字が読めて、髪という単語が三回読めないというのは、さすがに無理がある。
6. 海外の名無しさん
当時を知らない人には想像しにくいと思うけど、1970年代のアメリカでヨーグルトは「健康志向の人が食べる変わったもの」枠だったんだよ。朝食のシリアルより寿司に近い立ち位置。だから商品名に入れるだけで新しさが出た。
7. 海外の名無しさん(>>6への返信)
味も食感も今とは別物だったしね。80年代の半ばに初めて食べたけど、なめらかでもないし甘くもなかった。今のヨーグルトはほとんどお菓子だよ。
8. 海外の名無しさん(>>7への返信)
いやいや、今でもギリシャヨーグルトとか無糖のやつは普通に売ってるからね。同じ棚に並んでる。わざわざ探しに行く必要すらないよ。
9. 海外の名無しさん
洗剤のパックを食べた若者を笑っていた世代が、その40年前にシャンプーを食べていたわけだ。人間、そんなに変わらないんだな。
10. 海外の名無しさん
Touch of Yogurt であって Taste of Yogurt ではないんだよな。ひとさじ入っているという話であって、ひとさじ食べていいという話ではない。
11. 海外の名無しさん
これ、本当に体調を崩した人がどれだけいたのかは怪しいと思ってる。返金目当てや、無料の詰め合わせ狙いで会社に苦情を入れる人は昔からいるし、今でも普通にいるからね。
12. 海外の名無しさん
むしろボディバター系を食べた人がいないほうが不思議だよ。あれの匂いを嗅いだことある? 商品名からしてもう食べ物なんだよな。
13. 海外の名無しさん(>>12への返信)
十代のころ、ショッピングモールの店員に「これ食べられるローションなんですよ」と力説されて手の甲に塗られたことがある。問題は、私に塗られたのが食べられないほうだったこと。ローションは食べないほうがいい。
14. 海外の名無しさん
でも本当にひとさじで具合が悪くなるものかな。シャンプーを口に入れて吐き出さない人がいるとは思えないし、まして二口目、三口目に進むとはもっと思えない。
15. 海外の名無しさん
犬用シャンプーを何ヶ月も使い続けた挙げ句、「ペット用」の表示が小さすぎると会社に苦情を送った人の話を思い出した。ボトルには大きくラブラドールの写真が入っていたらしいよ。
16. 海外の名無しさん
オートミール入りの製品なんて世の中にいくらでもあるけど、それが全部食べられるわけじゃないからね。原材料の名前が前に出ているというだけで食品扱いされるのは、けっこう危ないと思う。
17. 海外の名無しさん
客が悪いで終わらせるのも違う気がするんだよな。当時の広告は「卵」「はちみつ」「レモン」みたいな食材名を、これでもかと前面に出す作りだった。中身が食べ物っぽく見えるように作っていたのは会社のほうだよ。
18. 海外の名無しさん(>>17への返信)
同じ会社が、ほぼ同じ時期に本当にビールを配合したシャンプーも売ってたからね。あの時代は台所にあるものを髪に塗るのが最先端だったんだ。
19. 海外の名無しさん
今もそんなに変わってないと思うよ。いちごの香りのリップ、チョコレート色のボディクリーム、マカロンそっくりの入浴剤。売り場が違うだけで、やってることは同じだ。
20. 海外の名無しさん
こういう事故の積み重ねがあって、日用品に「食べられません」の一行が入るようになったんだと思う。あの手の注意書きは、たいてい誰かが実際にやった証拠なんだよな。
21. 海外の名無しさん
名前を「ヨーグルト配合シャンプー」くらいにしておけば、たぶん普通に売れていたんじゃないかな。商品名の真ん中にヨーグルトを座らせたのが全部の原因という気がしてならない。
22. 海外の名無しさん
この話、失敗事例の本やまとめ記事には必ず出てくるんだけど、当時の記録で裏を取ろうとするとぱたっと出典が消えるんだよ。何十年も語り継がれるうちに、話のほうがだいぶ育っているんじゃないかと思ってる。
まとめ
1979年に発売されたヨーグルト入りシャンプー Touch of Yogurt は、食材名を前面に出すのが当たり前だった1970年代の空気のど真ん中から生まれ、そして売れずに消えた。中身を食べて具合を悪くした人がいたとも伝えられているが、こちらは広く語られている一方で確かめるのが難しい。海外のコメント欄も「シャンプーと大書してあった」という呆れ半分の指摘と、「食べ物に見せて売っていたのは会社のほうだ」という擁護、そして「そもそも話が盛られているのでは」という疑いの三方向に割れていた。乾燥剤の「たべられません」を思い出した人が何人もいたあたりに、この話が今も引き合いに出される理由がよく出ている。
元ソース: 1979年にクレイロール社が発売した Touch of Yogurt というシャンプーは、史上有数の商品失敗になった。中身を食べて具合を悪くした人が出たとも伝えられている

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