ワールドカップの決勝、優勝が決まった瞬間にキャプテンが高々と掲げるあの黄金の像。あれを優勝国がそのまま自国に持ち帰っている、と思っている人は多いはずだ。ところが2006年以降、優勝チームは表彰式でひとしきり喜んだあと、あのトロフィーを大会関係者に返している。手元に残るのは、そっくりに作られた別の一体のほうだという。
※注:FIFA(国際サッカー連盟)は、ワールドカップを主催している国際競技団体のこと。
今日の知ってた?
🏆 2006年以降、ワールドカップの優勝国は本物のトロフィーを持ち帰れない。表彰式で掲げて記念撮影をしたあとFIFAに返却し、代わりに同じ形の複製を受け取る。優勝国の手元に永久に残るのは、この複製のほうである。
背景:トロフィーが一度、本当に消えている
ワールドカップのトロフィーには、じつは二代目がある。初代は「ジュール・リメ杯」と呼ばれ、1930年の第1回大会から使われていた。当時のルールでは、3回優勝した国がそれを永久に受け取れることになっており、1970年にブラジルがその権利を手にする。
ところが、そのブラジルに贈られた初代トロフィーは数年後に盗まれ、今日にいたるまで行方が分からないままだ。実は盗難はこれが初めてではなく、1966年のイングランド大会の前にも一度姿を消している。このときは幸運にも見つかり、無事に大会を迎えた。
現在の、あの上から二人の人物が地球を支えているように見えるデザインのトロフィーは、1974年から使われている。つまり半世紀のあいだ、同じ一体が優勝国から優勝国へと渡り歩いてきたことになる。世界にひとつしかなく、なくしたら代わりが利かない。「返してもらう」という判断の背景には、この歴史がある。
もう少し詳しく
複製といっても、粗悪なコピーではない。優勝国が受け取るものは公式に作られた同型のトロフィーで、実際、2010年にスペインが初優勝したときには、この一体が国中を巡回して各地でファンが写真撮影の列を作った。並んでいた人たちの大半は、自分が見ているのが「表彰式で掲げられた、あの一体そのもの」だと信じていたという。見た目で区別がつくようなものではない、ということでもある。
素材についても誤解が多い。ずしりとした金の塊だと思われがちだが、金が主体でありつつ他の金属も混ぜられており、中は空洞になっていると言われている。純金の中実だったなら、掲げるどころか持ち上げるのも一苦労だっただろう。
「優勝者が本物を持ち帰らない」競技はほかにもある。アイスホッケーのスタンレー・カップは、本物が殿堂に保管され、優勝チームのもとを巡るのは別の一体だ。ゴルフのマスターズの緑のジャケットも、基本的には開催クラブが預かる。一方で野球のワールドシリーズのように、毎年新しいトロフィーを作って優勝チームがそのまま持ち帰る競技もある。どちらが正解というより、競技ごとに「賞の意味をどこに置くか」の考え方が違うということだろう。
日本の感覚でも、優勝旗や優勝杯は次の大会の前に返す、というかたちの大会は珍しくない。返すことが格下げではなく、「あの一本が歴代の優勝校をつないでいる」という連続性そのものが価値になっている。ワールドカップのトロフィーの扱いも、それに近い発想と言えるかもしれない。
海外の反応
1. 海外の名無しさん
トロフィー盗難の歴史があるからね。あれは盗まれたら代わりが作れない類のもので、FIFAが自分の金庫に置いておきたがるのも分からなくはない。
2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
実際、1970年にブラジルへ永久贈呈した初代トロフィーは、その数年後に盗まれてそれっきり。1966年にも一度盗まれてるけど、そのときは戻ってきた。
3. 海外の名無しさん(>>2への返信)
そして66年に見つけたのが散歩中の犬だった、と語り継がれている。国の威信をかけた大会のトロフィーを犬が見つけてくるって、脚本にしたら没にされる展開だよ。
4. 海外の名無しさん(>>2への返信)
66年の盗難はイングランド大会の前の話。あの国が「サッカーの母国」と言われるのは競技のルールが整えられた土地だからで、応援歌の歌詞にも初代トロフィーの名前がそのまま出てくる。あの曲、勝利宣言だと思われがちだけど中身は延々と負けた記憶の話なんだよね。
5. 海外の名無しさん
FIFAのやることには文句を言いたい点が山ほどあるけど、これに関しては過去の盗難を考えたら妥当な判断だと思う。ここだけは擁護する。
6. 海外の名無しさん(>>5への返信)
自動車レースのインディ500のトロフィーもサーキットに置きっぱなしだし、優勝者が本物を持ち帰らない競技は別に珍しくないんだよな。
7. 海外の名無しさん
えっ、大会ごとに新しいトロフィーを作ってるものだと思ってた。ずっと同じ一体を回してるなら、複製を渡す方式になるのも当然か。
8. 海外の名無しさん(>>7への返信)
今のトロフィーは1974年から使われてるやつ。半世紀ずっと同じ像が優勝国のあいだを渡り歩いてると思うと、急にありがたみが増してくる。
9. 海外の名無しさん
あれ純金なんだと思ってた。あのサイズで純金だったら、掲げた瞬間に選手が腰をやってしまいそうだけど。
10. 海外の名無しさん(>>9への返信)
金が主体ではあるけど他の金属も混ぜてあるし、中は空洞だと言われてる。ぎっしり詰まった金の塊ではないらしい。
11. 海外の名無しさん(>>10への返信)
つまり金の包み紙で中身がチョコってこと? だとしたら何度も行方不明になったのも納得だし、決勝を蒸し暑い街でやれない理由も分かる。溶けて正体がバレてしまう。
12. 海外の名無しさん
アイスホッケーのスタンレー・カップも似た仕組みだよ。本物は殿堂の金庫にあって、試合後に渡されて世界中を回るのは別の一体。しかもその区別を知らないファンのほうが多い。
13. 海外の名無しさん(>>12への返信)
あれは優勝チームの選手が一人ずつ一日だけ預かれる制度があるんだよね。だからカップ本体がとんでもない場所に連れていかれた逸話が山ほど残っている。
14. 海外の名無しさん(>>13への返信)
昔は選手が酒場に持ち込んで一晩じゅう好き放題やってた、なんて話まで伝わってる。優勝カップを二階建てバスから落としたクラブもあったし、トロフィーはだいたい人間より過酷な人生を送っている。
15. 海外の名無しさん
野球のワールドシリーズは毎年新しいトロフィーを作って、優勝チームがそのまま持ち帰る方式。同じ「優勝の証」でもここまで考え方が割れるのが面白い。
16. 海外の名無しさん
ゴルフのマスターズの緑のジャケットも近い扱いだと思う。優勝した年は本人が持っていられるけど、基本的には開催クラブが預かる形で、外で着る機会も限られていると聞いた。
17. 海外の名無しさん
2010年にスペインが優勝したとき、子どもだった自分がトロフィーを持って撮った写真がどこかにあるはず。国中を回ってきて、写真の順番待ちで何時間も並んだ。あのとき並んでた全員、本物だと信じてたよ。
18. 海外の名無しさん(>>17への返信)
それも本物のトロフィーだよ。FIFAが金庫にしまってるほうじゃない、というだけの話。君が抱えたのは間違いなく優勝国のトロフィーだ。
19. 海外の名無しさん
個人的にはこっちのほうがいい結末だと思う。よその団体の持ち物を預かって、大事に扱って、あとで返すより、自分の国のものとして永久に飾れるほうがずっといい。「複製」なんて呼ばずに「その年のトロフィー」と呼べばいいだけの話だし、五輪の表彰台に立った選手のメダルを複製とは誰も言わないだろう。
20. 海外の名無しさん
非営利をうたっている割に途方もない金額が動いている組織なんだから、大会ごとに新しく一体作るくらいの余裕はあるはずでは、と毎回思ってしまう。
21. 海外の名無しさん(>>20への返信)
無駄が増えるだけだし、各国のサッカー協会が全部そろって盗難の標的になるという副作用もある。一か所で守るほうが結局は安全なんだと思う。
22. 海外の名無しさん
自分の国には、こういう「次の優勝者へ回していくトロフィー」を指す専用の単語がある。だからこの記事を読んでも、そんなに変わった仕組みには見えなかった。呼び名がある文化とない文化で受け止め方が違うんだろうな。
23. 海外の名無しさん
返さなきゃいけないと聞くと少し寂しいけど、逆に言えば歴代の優勝国が全員、同じ一体を同じように掲げてきたということでもある。その連続性のほうが自分にはずっと格好よく思える。
まとめ
ワールドカップの優勝国は、2006年以降あのトロフィーを持ち帰れず、表彰式のあと返却して同型の複製を受け取る。背景には、初代のジュール・リメ杯がブラジルに永久贈呈されたのち盗まれて行方不明になった一件がある。コメント欄は「盗難の歴史を考えれば当然」という納得派と、「そもそも毎回作ればいい」という素朴な疑問が半々。そこから他競技のトロフィー事情や、中身は空洞という話題まで脱線していき、最後は「同じ一体を歴代の優勝国が掲げてきたことこそ価値だ」という声に落ち着いていた。


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