株の世界には「空売り」という、株価が下がるほど儲かる取引がある。2008年10月、そのプロ中のプロであるヘッジファンドたちが、ドイツの自動車メーカー・フォルクスワーゲンを相手に歴史的な大敗を喫した。時価総額800億ユーロの会社が、たった48時間で3,000億ユーロに——。ほんの一瞬だけ「世界で最も価値ある企業」が誕生した、ウソみたいな実話だ。
今日の知ってた?
📏 2008年10月、フォルクスワーゲンの時価総額は約800億ユーロからわずか48時間で約3,000億ユーロへと急騰。空売りしていたヘッジファンドが株を「いくらでもいいから買い戻す」しかなくなるショートスクイーズ(踏み上げ)が発生し、一時は世界で最も時価総額の高い企業になったとされている。
背景:「空売り」と「ショートスクイーズ」とは
まず予備知識から。空売りとは、証券会社などから株を借りてきて先に売り、値下がりしたところで買い戻して返す取引のこと。「高く売って、安く買い戻す」ことで、株価が下がるほど儲かる仕組みだ。ただし大きな弱点がある。借りた株はいつか必ず買い戻して返さなければならないため、予想に反して株価が上がり続けた場合、損失には理論上、上限がない。
そして株価が上がり始めると、空売りしていた投資家は損失を抑えようと慌てて株を買い戻す。その買い注文がさらに株価を押し上げ、別の空売り勢がまた買い戻す——この連鎖で株価が爆発的に急騰する現象をショートスクイーズ(踏み上げ)と呼ぶ。
2008年秋、リーマンショック直後の世界では「自動車株はこれから下がる」が常識で、多くのヘッジファンドがフォルクスワーゲン(VW)株を空売りしていた。ところが10月26日の日曜日、スポーツカーメーカーのポルシェが突然「VW株の42.6%を直接保有し、さらに約31.5%分をオプションで確保している」と発表したとされる。地元ニーダーザクセン州が保有する約20%と合わせると、市場で自由に売買できる株は全体の6%足らず。ところが空売り残高は約12%もあったとされている。
つまり「市場に存在しない株」まで買い戻さなければならなくなった空売り勢が我先にと注文を入れ、直前まで200ユーロ前後だった株価は一時1,000ユーロを突破。フォルクスワーゲンは米エクソンモービルを抜き、ほんの一瞬だけ「世界で最も価値ある企業」になったと報じられている。
もう少し詳しく
仕掛けたのは「片手間に車を作るヘッジファンド」。ポルシェは2005年頃からVW株を買い進めていたが、その多くは現物の株ではなく、現金決済型のオプション(株を一定の価格で買える権利)だった。当時のルールではこの形の保有は開示義務の対象外だったため、市場はポルシェの持ち分の大きさに最後まで気づけなかったとされる。この手法は現在では規制され、同様の買い集めには開示が義務付けられている。
「フォルクスワーゲン法」の壁。そもそもVWには、発行株式の20%超を持つ株主が重要決議を拒否できる「フォルクスワーゲン法」という特別な法律の守りがあり、約20%を握るニーダーザクセン州が買収の防波堤になっていた。しかし2007年にEU司法裁判所がこの法律をEUルール違反と判断したことで、ポルシェが買収へと突き進む道が開けた。
結末はまさかの「逆転買収」。株価の急騰などでポルシェは帳簿上巨額の利益を手にし、2008年度には本業の車の売上高を上回る利益を計上したとされる。しかし2009年、金融危機による販売不振と借入金の借り換え難で資金繰りが急速に悪化。買収目前だったはずのポルシェは逆にVW側の救済を受け、2012年にはポルシェの自動車事業がVWグループへ完全に組み込まれた。ただし持株会社のポルシェSEは今もVWの筆頭株主であり続けており、「どちらがどちらを支配しているのか」とネタにされる複雑な資本関係が残っている。一方、空売りしていたファンド側の損失は総額で数十億ユーロ規模に上ったと報じられている。
海外の反応
1. 海外の名無しさん
この話、実はもっと根が深いんだよ。そもそもの原因は、ポルシェが何年もかけてVW株をこっそり買い集めて、会社ごと乗っ取ろうとしてたことなんだから。
2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
これ確か最後は立場が逆転して、VWの方がポルシェを買収するっていう、ウノの逆回しカードみたいな結末になったんじゃなかったっけ?
3. 海外の名無しさん(>>2への返信)
正確に言うと、スポーツカーを作ってるポルシェAGはVWの傘下。でもそのVWの支配株を握ってるのは持株会社のポルシェSE。……うん、ややこしいんだ。
4. 海外の名無しさん(>>3への返信)
ベルトはズボンを支えてるけど、そのベルトを支えてるのはズボンに付いてるベルトループ。さて、本当に偉いのはどっちでしょう?っていう話だな。
5. 海外の名無しさん
しかもポルシェはこの買収劇で倒産寸前まで行って、最終的に乗っ取るはずだったVWに救済してもらう羽目になったんだよな。皮肉にもほどがある。
6. 海外の名無しさん(>>5への返信)
2009年に金融危機の直撃を食らったんだよね。車の販売が落ち込んだのと同時に、銀行が一斉に慎重になって借金の借り換えに応じてくれなくなった。でも2008年のポルシェは、車の売上高より金融取引の利益の方が大きかったらしい。もう「片手間に車も作ってるヘッジファンド」だよ。
7. 海外の名無しさん(>>6への返信)
売上より利益の方が大きいって、自動車メーカーでそんなことが起こり得るのか……。経済の教科書が音を立てて崩れていくんだが。
8. 海外の名無しさん
ヘッジファンドが「市場には勝てる」と思い上がって大負けするのを見るのは最高の娯楽だね。ごく普通の自動車会社をあそこまで強気に空売りするとか、ほとんどギャンブルだもん。
9. 海外の名無しさん(>>8への返信)
誤解されがちだけど、ファンド側も「VWが潰れる」と思って空売りしてたわけじゃないんだ。普通株と優先株の価格差を狙う、本来は地味でローリスクな取引だった。ポルシェが株を密かに買い占めてるなんて、誰も知りようがなかったからね。
10. 海外の名無しさん
ポルシェは現物の株じゃなくて、オプション(決まった値段で株を買える権利)で持ち分を積み上げてた。当時のルールではこの形だと保有を公表する義務がなかったから、市場の誰にも気づかれないまま巨大なポジションが完成してたわけ。さすがに今は規制されて開示が義務になってる。
11. 海外の名無しさん
世界中がリーマンショックで大混乱してる裏で、ポルシェだけが静かに巨大なオプションの持ち分を組み上げてたんだよな。伝説級のこっそり具合だよ。
12. 海外の名無しさん
これには「フォルクスワーゲン法」っていうドイツの法律も絡んでる。株の20%超を持つ株主は重要な決議を拒否できるってルールで、地元のニーダーザクセン州が20.1%を握って買収からVWを守ってた。ところがEUの裁判所がこの法律に待ったをかけて、ポルシェが買い進める道が開いたんだ。
13. 海外の名無しさん(>>12への返信)
つまり「会社を買収から守るための法律」が崩れた瞬間に、金融史に残る大騒動の幕が上がったってことか。歴史ってつくづく皮肉でできてるな。
14. 海外の名無しさん
この事件がもう17年も前だっていう事実に、株価のチャートより先に俺の心がダメージを受けてる。
15. 海外の名無しさん(>>14への返信)
うちの父さん、当時VWの工場で働いてたんだ。報酬の一部として時々自社株をもらってたんだけど、あの騒動の時は全員が「今すぐ売らせろ!」になって、生産ラインが止まったらしいよw
16. 海外の名無しさん
あれ、これと同じようなこと、ゲームストップの株でもなかったっけ?
17. 海外の名無しさん(>>16への返信)
あっちはどちらかというとSNS発のお祭り騒ぎで、その中にショートスクイーズの要素も混ざってた感じかな。VWの方は純粋に株の需給だけで起きた、教科書に載るレベルの本物のスクイーズだよ。
18. 海外の名無しさん
「市場は、あなたが破産せずにいられる期間よりも長く、不合理であり続けられる」っていう相場の格言があるけど、まさにこの事件のための言葉だと思う。
19. 海外の名無しさん
ちなみに今のテスラの時価総額は、この「世界一になった瞬間のVW」の4倍くらいある。うん、ちょっとくらいは割高なのかもしれないね。
20. 海外の名無しさん
一晩で世界一の企業になって、数日後には元に戻るんだから、時価総額っていったい何なんだろうな。会社そのものは何ひとつ変わってないのに。
21. 海外の名無しさん
株価って会社の実力とは別の生き物なんだなって、この話を聞くたびに思うよ。動かしてるのは結局、人間の欲とパニックなんだもん。
22. 海外の名無しさん
この事件のいちばん好きなところは、負けたのが「投資のプロ」のはずのヘッジファンドで、勝ったのが「車を作るフリをしたヘッジファンド」だったところ。もう何が本業なのか分かんないよ。
まとめ
リーマンショックの混乱のさなか、たった48時間で時価総額が800億ユーロから3,000億ユーロへ——フォルクスワーゲンの「世界一」は、ポルシェの周到な買い集めと空売り勢のパニックが生んだ、金融史に残る珍事だった。コメント欄では「片手間に車も作るヘッジファンド」というポルシェの異名や、最後はVWがポルシェを飲み込む逆転劇、ゲームストップ騒動との比較で大いに盛り上がった。株価とは、つくづく人間の欲と恐怖で動いているらしい。
元ソース: 今日知った:フォルクスワーゲンは48時間で時価総額800億ユーロから3,000億ユーロの企業になり、一時世界で最も価値ある企業になった(海外掲示板)


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