暗殺者は皇帝の目の前まで近づいた。あとは黙って刺すだけ。ところが彼は短剣を振りかざしながら、こう叫んでしまった。「これが元老院からの贈り物だ!」——西暦182年、ローマ皇帝コモドゥスを狙った最初の暗殺は、犯人が芝居がかったセリフを口にした一瞬で完全に失敗した。
今日の知ってた?
📏 西暦182年、ローマ皇帝コモドゥス暗殺未遂事件。暗殺者は刺す前に「これが元老院からの贈り物だ!」と演説してしまい、近衛兵(プラエトリアニ)に即座に取り押さえられた。黙って刺していれば成功していたかもしれない、史上もっとも「悪役ムーブ」な失敗のひとつ。
背景:コモドゥスとはどんな皇帝だったか
コモドゥスは、賢帝として名高い哲人皇帝マルクス・アウレリウスの実の息子です。父は『自省録』を著した知性の人として今も尊敬されていますが、その息子は正反対でした。政務を側近に丸投げし、自らは剣闘士(グラディエーター)の真似事に熱中。闘技場に降りて猛獣や人間と戦い、毎回「皇帝が勝つ」ように仕組まれた茶番の試合を繰り返したと伝えられます。
自分をギリシア神話の英雄ヘラクレスになぞらえ、棍棒とライオンの毛皮で彫像を作らせるほどの自己陶酔ぶり。最終的にはローマの月の名前まで自分の称号に変えさせたとも言われます。映画『グラディエーター』でホアキン・フェニックスが演じた冷酷な皇帝コモドゥスは、まさにこの人物がモデルです。
もう少し詳しく
暗殺の黒幕は、皇帝の実の姉だった。この182年の暗殺計画を裏で操っていたのは、コモドゥスの姉ルキッラだとされます。父マルクス・アウレリウスの時代、彼女は「アウグスタ(皇后格)」として宮廷の頂点近くにいましたが、弟が即位すると、その妻に立場を奪われていきます。失った権勢を取り戻そうと、元老院議員らを巻き込んで弟の暗殺を企てた——というのが伝わる筋書きです。
取り押さえたのは「近衛兵」プラエトリアニ。プラエトリアニ(プラエトリアニ・コホルス)は、皇帝の身辺を守る親衛隊です。ただし彼らは単なるボディガードではなく、ときに皇帝の擁立や廃位そのものを左右する政治的な力を持つ存在でした。気に入らない皇帝を自分たちの手で殺し、次の皇帝を「売る」ことすらあった、ローマ史でも屈指の油断ならない集団です。
そしてコモドゥスの最期は、もっと地味だった。暗殺未遂を生き延びた彼ですが、晩年はますます暴走。最終的には側近たちが毒殺を試み、それが効かないと見るや、彼のレスリングの相手だったナルキッソスという力士に浴室で絞め殺された、と伝わります。剣闘士に憧れた皇帝が、闘技場ではなく風呂場で絞め技で命を落としたわけです。
海外の反応
1. 海外の名無しさん
「黙って刺せばいいのに、わざわざ口上を述べる暗殺者」って、もう完全に映画の悪役の典型じゃないか。やられる前に長々と喋るやつ。
2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
このずる賢いやつめ! まんまと俺に独り言を喋らせやがって!——って感じだな。古代ローマ版の「お前、しゃべりすぎなんだよ」案件。
3. 海外の名無しさん
「撃つときは撃て、しゃべるな!」っていう西部劇の名ゼリフを思い出した。1800年前の暗殺者にこそ聞かせてやりたい一言だ。
4. 海外の名無しさん
これぞ古典的な「悪役の失敗」。勝ちを確信した瞬間にベラベラ説明を始めて、その隙に全部ひっくり返される。脚本家が考えたみたいに出来すぎてる。
5. 海外の名無しさん(>>4への返信)
あらゆるボンド映画の悪役にインスピレーションを与えたのは、この人なんじゃないかと本気で思えてきた。
6. 海外の名無しさん
本当に怖いのは二人目の暗殺者だよ。最初の一人が大失敗して近衛兵の気が逸れている隙に、何も言わず静かに仕事を仕上げるタイプ。…って、いや今回は失敗したから皇帝は生き延びたんだけどさ。
7. 海外の名無しさん(>>6への返信)
そうそう、ジョークが完全にウケるのを待ってから引き金を引くタイプね。ラテン語で意味不明な叫びを上げたりはしない。
8. 海外の名無しさん
元老院議員の立場で考えてみてほしい。「暗殺は失敗しました」っていう報告だけでも最悪なのに、「ついでに誰が雇い主かもバラしました」までセットで来るんだぞ。胃に穴が開く。
9. 海外の名無しさん(>>8への返信)
いつの時代も、良い人材を見つけるのは本当に難しい、ということだな…。
10. 海外の名無しさん
「俺は緊張するとつい喋っちゃうタイプなんだよね」っていう、あの感じか。めちゃくちゃ共感できる。ただしタイミングが最悪すぎる。
11. 海外の名無しさん
この皇帝、後年は妻に毒殺されかけて、それが失敗したらレスリングの先生に絞め殺されたんだよね。波瀾万丈すぎる最期。
12. 海外の名無しさん(>>11への返信)
もっともローマらしい死に方だと思う。剣闘士に憧れた皇帝が、最後は風呂場で力士に絞め技で。なんというか、様式美すら感じる。
13. 海外の名無しさん(>>11への返信)
絞め殺した相手の名前はナルキッソスっていう、たぶん奴隷身分のレスリング相手だったらしい。最期まで名前のインパクトが強い。
14. 海外の名無しさん
この人、英語だとトイレ(commode=洋式便器)の語源と勘違いされがちなんだけど、調べたら実は関係ないらしいぞ。皇帝の名前があまりに悪評高すぎて、そういう俗説まで生まれたわけだ。
15. 海外の名無しさん(>>14への返信)
「皇帝としてあまりに最悪すぎて、便器の代名詞だと信じられている男」って字面だけでもう面白い。
16. 海外の名無しさん
これ、映画『グラディエーター』に出てくる皇帝そのものだよね。役者が悪役を誇張して演じてるって批評を読んだことがあるけど、実際の本物のコモドゥスはもっと残虐で常軌を逸していて、史実どおりに描いたら逆に「やりすぎ、リアリティがない」って言われるレベルだったらしい。
17. 海外の名無しさん(>>16への返信)
ローマでは「死んだ人物の評判を貶める」のがほぼ国民的スポーツだったからね。皇帝に関する「狂人」「暴君」みたいな記録は、けっこう割り引いて読む必要がある。
18. 海外の名無しさん(>>16への返信)
ということは、映画みたいに北の軍団の将軍と闘技場で一騎打ちして死んだわけじゃないのか…ちょっと残念。
19. 海外の名無しさん(>>18への返信)
史実では浴室で絞め殺されたわけだけど、正直それはそれで『グラディエーター』で観たかった気もする。
20. 海外の名無しさん
近衛兵(プラエトリアニ)の歴史を調べると、後の皇帝たちが彼らを信用しなくなった理由がよく分かる。腐敗した帝国の中でもさらに腐敗した組織で、機嫌を損ねたり監視しようとしたりすると、皇帝本人が普通に殺された。守るはずの存在が一番の脅威という。
21. 海外の名無しさん(>>20への返信)
だからビザンツ帝国の皇帝は、はるか北のヴァイキングを傭兵(ヴァランギア親衛隊)として雇って身を守った。千年の歴史をかけて出した結論が「凶暴な北方人に守らせる」だったの、皮肉が効いてる。
22. 海外の名無しさん
正直に言うと、コモドゥスを殺そうとした人間を「悪役」呼ばわりするのは違う気がする。むしろ世のため人のための義挙だったのでは。
23. 海外の名無しさん
そもそもの話、暗殺者が「黙って刺せなかった」のは、相手があの自己陶酔の塊みたいな皇帝だったからかもしれない。つい場の空気に飲まれて、自分も一席ぶちたくなったとか。
24. 海外の名無しさん
父があの『自省録』のマルクス・アウレリウスで、息子がこれって、教育って難しいんだなと心から思う。賢帝の血も万能じゃない。
25. 海外の名無しさん(>>24への返信)
ただ民衆には案外人気だったらしいよ。記録を書き残したのは彼に殺されかけた貴族や元老院の側だから、評判が悪いのも当然。エンタメ皇帝として庶民にはウケてた、という見方もある。
まとめ
西暦182年、皇帝コモドゥス暗殺未遂事件。暗殺者が刺す前に「これが元老院からの贈り物だ!」と芝居がかった一言を放ったせいで、近衛兵に取り押さえられ計画は破綻。黒幕は姉ルキッラだったとされます。コメント欄は「映画の悪役そのもの」「黙ってやれよ」というツッコミから、賢帝の息子という落差、近衛兵の油断ならなさ、『グラディエーター』との比較まで、歴史好きの脱線が止まらない展開に。たった一言の余計なセリフが歴史を変えた(変えなかった)話でした。


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