見上げた空を鳩の大群が川のように流れていき、昼なのに薄暗くなる。それが何日も途切れない――。19世紀のアメリカでは、そんな光景が本当に見られました。30億羽とも50億羽とも推定された「リョコウバト」は、そこからわずか数十年で1羽残らず姿を消します。最後の1羽が死んだ日付まで、はっきりわかっている鳥です。
今日の知ってた?
🐦 リョコウバト(英名 Passenger Pigeon)は北米東部に暮らしていたハトで、かつては約30億羽、多ければ50億羽いたと推定されている。北米でもっとも数の多い鳥の一つだった。
🕊️ 最後の1羽となったメスの「マーサ」が、1914年9月1日にアメリカ・オハイオ州のシンシナティ動物園で死に、リョコウバトは絶滅した。
📉 大規模な狩猟と森林の伐採が重なり、19世紀後半のわずか数十年で激減。野生の個体は、20世紀に入るころには確実な記録が途絶えていた。
背景:リョコウバトとは
リョコウバトは、ロッキー山脈より東の北米に広く暮らしていたハトです。体長は40cmほど。細身の体に長くとがった尾を持ち、最高で時速100km近い速さで飛べたとされます。和名の「リョコウバト(旅行鳩)」が示すとおり、餌を求めて大群で各地を渡り歩く鳥でした。
主な餌はドングリやブナの実、クリといった木の実。大群で森に降りては実を食べ尽くし、また次の森へ移っていきました。繁殖も巨大な集団でおこない、ひとつの森にびっしりと巣を作ります。推計のなかには、アメリカの陸の鳥全体の25〜40%をリョコウバトが占めていたとするものもあります。
その規模を伝える記録として有名なのが、鳥類画家として知られるジョン・ジェームズ・オーデュボンの目撃談です。1813年、ケンタッキー州で大群に出くわした彼は、群れが3日間途切れることなく頭上を通り過ぎていったと書き残しています。
もう少し詳しく
食料として、都会へ送られた。リョコウバトは入植者にとって手軽な食料でした。南北戦争(1861〜65年)のあと電信と鉄道が全国に広がると、「どこに大きな営巣地ができたか」がすぐに伝わるようになります。プロの猟師が現地に集まって大量に捕らえ、鳩は鉄道で都市の市場へ出荷されました。巣を作っている最中に狩られると親鳥は巣を捨ててしまい、ひなも育ちません。
射撃大会の的にも。生け捕りにされた鳩は、射撃大会の標的としても使われました。1回の大会のために万単位の鳩が集められることもあったとされます。スレ主は「優勝するのに3万羽を撃ち落とす必要がある大会もあった」「猟師は大きな網で一度に800羽も捕まえた」と書いていますが、とくに3万羽という数字は、出どころがはっきりしません。
森も消えていった。農地や町を作るために東部の森が次々に切り開かれ、餌場やねぐら、巣を作る場所が失われていきました。大きな集団で繁殖する鳥だったため、数がある程度を下回った時点で、繁殖そのものが立ち行かなくなった可能性も指摘されています。1857年にはオハイオ州で保護法案が出されましたが、州議会の委員会は「保護は必要ない」と結論づけていました。
最後の1羽、マーサ。野生の群れが消えたあとも、動物園などで少数が飼われていましたが、数は増えませんでした。シンシナティ動物園のマーサは1914年9月1日の午後1時ごろに死亡。遺体は約140kgの氷の塊に閉じ込められ、列車でワシントンのスミソニアン協会(アメリカの国立博物館群)へ送られました。剥製となったマーサは、今も国立自然史博物館に保管されています。
海外の反応
1. 海外の名無しさん
絶滅した理由の一つは、繁殖するにも餌を見つけるにも、とんでもない密度の群れが必要だったこと。数がある一線を割った時点で、群れそのものが立ち行かなくなったんだ。
2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
森に降りてきたら、文字どおり食い尽くすような鳥だったからね。1800年代後半には、あの大群を養えるだけの森がもう残っていなかった。しかも大群でいること自体が生き残り戦略の柱だった。「リョコウバトを復活させよう」って話が出るたびに、自分は「で、森はいつ戻ってくるの?」と聞くことにしてる。
3. 海外の名無しさん
最後の1羽はマーサという名前のメス。1914年9月1日にシンシナティ動物園で死んだ。飼育下で死んだからこそ、絶滅した日付まではっきりわかっている数少ない動物なんだよね。
4. 海外の名無しさん(>>3への返信)
しかも同じ鳥小屋で、アメリカ東部にいたカロライナインコの最後の1羽「インカス」も死んでる。一緒に飼われてたわけじゃなくて、インカスが死んだのは4年後の1918年だけど。
5. 海外の名無しさん(>>4への返信)
この流れでカロライナインコのことも調べてみたら、仲間が撃たれると群れがその場に戻ってきて、死んだ仲間のそばを離れようとしなかったんだって。そのせいで、まとめて撃たれやすかったらしい。読んでいてつらくなった。
6. 海外の名無しさん
当時の報告には、一つの群れが太陽を覆い隠して、通り過ぎるまで2日かかったというものまである。ねぐらに降りた場所は糞で植物が壊滅した。そのかわり、同じ場所には10年以上戻ってこなかったらしい。とんでもない距離を短時間で飛べたとも聞く。本当に惜しいものを失ったよ。
7. 海外の名無しさん(>>6への返信)
とはいえ、その糞は窒素をたっぷり含んでいて、土にとっては栄養の塊だったんだよね。一時的に枯れても、長い目で見れば森を肥やしていたんだと思う。
8. 海外の名無しさん(>>7への返信)
だからこそ、ねぐらになっていた森は土がやたら肥えていて、真っ先に切り開かれて畑にされたんだ。鳩が肥やした土地を、人間がそのまま持っていったわけだ。
9. 海外の名無しさん
ジョエル・グリーンバーグの『A Feathered River Across the Sky』(空を渡る羽の川、くらいの意味)って本がすごく良かった。アメリカって「ピジョン」の付く地名がやたら多いでしょ。テネシー州のピジョン・フォージ、ミシガン州のホワイト・ピジョン、インディアナ州のピジョン・ルースト……あれはリョコウバトの名残らしい。オハイオ州だけでも10か所くらいあるとか。
10. 海外の名無しさん
元記事に引用されてるオーデュボンの記録がすごい。馬を降りて小高いところに腰かけ、群れが一つ通るたびに鉛筆で点を打っていったけど、すぐに無理だと悟った。数えてみたら21分で163個。正午の光は日食のように陰り、糞が溶けかけた雪のようにぽつぽつ降ってきた。日暮れ前にルイビルに着いても群れは一向に減らず、そのまま3日間通り続けた、って。
11. 海外の名無しさん(>>10への返信)
鷹に追われた瞬間、群れが雷みたいな音を立てて一気に固まり、地面すれすれを飛んだかと思えば垂直に昇って、巨大な蛇がとぐろを巻くようにうねった、ってくだりも好き。200年以上前の文章なのに、映像がそのまま浮かぶ。
12. 海外の名無しさん
参考までに、1900年の世界人口は約16億人と推定されてる。人類全員を合わせた数の2〜3倍の鳩が、北米の空を飛んでたってことになる。
13. 海外の名無しさん
ここには妙なダブルパンチがあったんだ。19世紀のリョコウバトは、いろんな要因が重なって、本来の姿より数が異常に膨れ上がっていた時期だったという説がある。当然、入植者たちは群れが無限にいると思い込んだ。通り過ぎる群れに長い棒を突き上げるだけで鳩が落ちてきた、っていうんだから。ところが、大群でいることこそが繁殖の条件だったとは誰も気づかないまま狩り続けたせいで、増えるときが雪だるま式だったのと同じ勢いで、群れは一気に崩れていった。
14. 海外の名無しさん(>>13への返信)
コロンブスがやって来る前は、先住民が狩ることで数がもっと抑えられていた、という説を読んだことがある。天然痘などの伝染病で先住民の人口が激減したあとに、鳩が爆発的に増えたんじゃないかって。
※ 19世紀の大群が一時的な「大発生」だったのか、もともとの姿だったのかは、研究者の間でも見方が分かれている。リョコウバトのDNAを調べた研究でも、2014年の論文は「数が大きく増減を繰り返してきた」、2017年の論文は「長く大きな集団を保っていた」と、異なる結論を出している。
15. 海外の名無しさん(>>13への返信)
しかも、保護してほしいと議会に頼みに行った人たちもいたのに、「あんなにいるのに?」と笑われて追い返された、って話もあるよね。
16. 海外の名無しさん(>>15への返信)
記録に残ってるのは1857年、オハイオ州議会上院の委員会の報告だね。保護法案について「リョコウバトに保護は必要ない。驚くほど繁殖力が強く、北の広大な森を繁殖地とし、餌を求めて何百マイルも移動する。今日ここにいても明日はよそにいる。並大抵の殺し方で数が減ることはなく、毎年生まれる無数の鳩の中では、減った分に気づくことすらない」と書いてる。国の議会じゃなくて州の話だけど、当時の空気はまさにそれ。
17. 海外の名無しさん
リョコウバトを絶滅に追いやったのは鉄道と電信だ、と解説している動画を見たことがある。電信で「どこそこに大きな営巣地ができた」という情報が一気に広まって、プロの猟師たちが鉄道で駆けつけ、獲った鳩はそのまま鉄道で都会の市場に送られた。技術の進歩が、そのまま狩りの効率になっちゃったんだ。
18. 海外の名無しさん
空を真っ暗にするほどの群れを見上げて、「よし、射撃の練習にちょうどいい」と思う感覚ね。殺した数の規模が大きすぎて、頭がついていかないよ。
19. 海外の名無しさん(>>18への返信)
あの密度だと、もはや練習にすらならないだろ。建物の中にいて、壁に穴を開けようと銃を撃ってるようなもんだ。外しようがない。
20. 海外の名無しさん(>>18への返信)
それにしても「優勝に3万羽」って数字は盛りすぎに聞こえる。当時それだけの弾を用意するだけでも大ごとだし、撃ち落とした鳩を数える係の身にもなってほしい。二次資料ではよく見かけるのに一次資料が見つからないから、話が大きくなった言い伝えなんじゃないかと思ってる。
21. 海外の名無しさん
リョコウバトはダニの天敵だったらしいね。いなくなったせいで、それ以来ダニが大陸じゅうに広がり続けてるって聞いた。
22. 海外の名無しさん(>>21への返信)
惜しいけど、ちょっと違う。リョコウバトはダニを食べてない。主食は木の実や種だよ。関係があるかもしれない、という仮説ならある。ドングリを取り合う相手がいなくなって、ライム病(マダニが媒介する感染症)を広めるダニの宿主になるネズミが増えたんじゃないか、というもの。ただ、歴史からの推測なので、今となっては確かめようがないんだ。
23. 海外の名無しさん
訪問営業の仕事をしてるんだけど、この前お邪魔したお客さんが、リョコウバト復活の研究に関わってる専門家だった(と、自分は理解してる)。大学と組んで、DNAから種をよみがえらせる研究をしてるらしい。研究用の鳩がぎっしりいる小屋を見せてもらって、話を聞くのが本当に楽しかった。順調にいけば10年か20年で、まとまった数のリョコウバトが見られるかもしれない、って本人は言ってたよ。
24. 海外の名無しさん(>>23への返信)
ネットで明るいニュースが読めるとは珍しい、ありがとう! 気になる人向けに補足すると、アメリカの団体「リバイブ&リストア」が復活プロジェクトを進めていて、公式サイトによれば、いちばん近い仲間のオビオバトにリョコウバトの遺伝子を書き込む方法で、2030年代に最初のひなを孵すのが目標らしい。
25. 海外の名無しさん
ちなみに、北米から姿を消した鳥はリョコウバトだけじゃない。カロライナインコ、オオウミガラス、カササギガモ、エスキモーコシャクシギ、ハシジロキツツキ……(最後の二つは「ほぼ確実に絶滅した」と見られている段階だけど)。ハワイまで含めると、さらに何十種にもなる。「こんなにいるんだから大丈夫」が、いちばん危ないんだよな。
まとめ
30億羽とも50億羽とも推定され、空を覆うほどの群れで飛んでいたリョコウバトは、大規模な狩猟と森林の伐採が重なって19世紀後半に激減し、1914年のマーサの死で絶滅しました。コメント欄では「数が多いから大丈夫」と思い込んだ人間への苦い声が相次ぐ一方、オーデュボンの目撃記録の迫力や、遺伝子技術で復活させる研究の行方にも関心が集まっていました。

コメント
元々、住んでいたモンゴロイド系の人達は?