「じゃんけんは紙が発明される前からあった」海外で伸びた豆知識、根拠は1600年ごろの随筆一冊だけだった

「じゃんけんは紙が発明される前からあった」海外で伸びた豆知識、根拠は1600年ごろの随筆一冊だけだった 文化・社会

子どものころ、順番決めや罰ゲームで何百回とやったであろう、じゃんけん。その起源が「紙が発明されるより前、紀元前206年の中国・漢の時代」だという豆知識が、海外の掲示板で大きく伸びていた。ただ、この話は日本人にとって他人事ではない。今のグー・チョキ・パーという形をつくったのは、どうやら日本らしいのだ。

※注:この記事に出てくる「拳(けん)」は、指の形で勝負する昔ながらの手遊びの総称。虫拳や狐拳などがこれにあたる。

今日の知ってた?

📏 「じゃんけんは紀元前206年、中国の漢の時代に生まれた」という説の出どころは、それから約1800年後の明の時代に書かれた随筆一冊だとされる。

✂️ しかも中国語でこのゲームは「石头剪刀布」=石・はさみ・。紙は最初から出てこない。

🗾 そして、石・はさみ・紙という今の三つ巴の形が固まったのは日本で、そこから世界へ広まったとされている。

背景:「紀元前206年」はどこから来た数字なのか

まず押さえておきたいのは、紀元前206年が漢という王朝が始まった年であって、ゲームの記録が残っている年ではないということだ。「この時代に生まれた」という言い方が、いつのまにか「この年に生まれた」に化けている。

では、その「漢の時代」という話自体はどこから来たのか。よく引かれるのは、明の時代(17世紀初め)に書かれた随筆『五雑俎(ごさっそ)』だ。著者の謝肇淛という文人が、酒の席でやる手遊びの一種として「手勢令」を挙げ、これは漢の時代からあるものだ、と書いている——というのが根拠とされている。

つまり、1800年ほど後の人が「昔からあるらしい」と書き残した一文が、ほぼ唯一の手がかりということになる。同じ時代について、実在したかどうかすら確定していない人物が何人もいることを考えると、手遊びの起源だけがきれいに追跡できていると考えるのは、さすがに無理がある。

中国に指を使った遊びの伝統が古くからあること自体は、まず間違いない。互いに数を叫びながら指を出し合う酒席の遊びは長く親しまれ、日本にも伝わって本拳(ほんけん)と呼ばれた。ただ、それらが三者が互いに勝ったり負けたりする均衡した形だったかどうかまでは、はっきりしていない。出した指の合計を当てる遊びと、グー・チョキ・パーのような三すくみは、似ているようで仕組みがまるで違う。

もう少し詳しく

「紙より古い」という言い方は、そもそも成り立つのか

紙といえば、後漢の蔡倫(さいりん)が105年に発明した、という話が有名だ。ただ近年は、それより前の前漢の遺跡からも紙とみられる麻の繊維の断片が出土していると報告されており、「紙は紀元前には存在しなかった」と言い切るのは難しくなっている。蔡倫についても、無から生み出したというより、実用に耐える品質まで引き上げた人、という位置づけで語られることが多い。

さらに決定的なのが、冒頭でも触れた呼び名の問題だ。中国語では今も「石头剪刀布」、つまり石・はさみ・布である。パーにあたるものは紙ではなく布。韓国語の「가위바위보」の最後の「보」も、風呂敷を意味する語に由来するとされる。「紙より前」という前提そのものが、英語の呼び名を土台にした話なのだ。

ちなみに、はさみのほうは紙よりずっと古い。金属の板をU字に曲げてばねのように使う原始的なはさみが、古代エジプトですでに使われていたとされる。「はさみだけ先にあった」という状況は、実際に長く続いていたことになる。

カエル・ヘビ・ナメクジ——日本の「虫拳」

元スレでは「昔はカエル・ナメクジ・ヘビだった」という情報が出回っていた。これは日本に伝わる虫拳(むしけん)のことだ。親指を立てればカエル、人差し指を伸ばせばヘビ、小指を立てればナメクジ。ヘビはカエルを食べ、カエルはナメクジを食べ、ナメクジはヘビを溶かす——という三すくみで勝負する。

最後の「ナメクジがヘビに勝つ」だけ、いかにも唐突に見える。これは中国の古い書物に見える、三者が互いにすくみ合うという発想がもとになっているとされる。もっとも、そこで登場するのはナメクジではなくムカデで、日本に伝わる過程でナメクジに置き換わったという説明がよくなされる。粘液がヘビを溶かすという話に生物学的な裏づけはないが、三すくみの輪を閉じるにはどうしても必要な一手だった。

この三すくみは、江戸時代後期の読み物『児雷也豪傑譚(じらいやごうけつものがたり)』でガマ・ヘビ・ナメクジの妖術使いとして描かれ、そこから後年の忍者マンガの三人組にまで受け継がれている。海外のコメント欄に「忍者マンガを思い出した」という反応が並んでいたのは、遠回りに見えて実は筋の通った連想だった。

グー・チョキ・パーが完成したのは日本だった

江戸時代の日本では、指や手を使った「拳遊び」が娯楽として広く流行していた。中国から入った本拳、庄屋・猟師・狐の三すくみで勝負する狐拳、そして先ほどの虫拳。三すくみで決着をつける遊びが、何種類も並行して遊ばれていた土壌があった。

そこから、石・はさみ・紙という現在の組み合わせに落ち着いたのが19世紀ごろの日本だと考えられている。ただし「じゃんけん」という語の由来については、「両拳」がなまったとする説、「石拳」から来たとする説など諸説あり、定説と呼べるものはない。いつ誰が石とはさみと紙を選んだのかも、はっきりとは分かっていない。

そして20世紀の前半、日本との人的な行き来が増えるなかで、このゲームは欧米へ渡っていった。英語圏で「rock paper scissors」という呼び方が広まっていくのも、おおむねこの時期にあたるとされる。中国に古い手遊びの土壌があり、日本で今の形になり、そこから世界に散っていった——という三段構えで見るのが、いちばん実像に近い。

だから、この豆知識に対する正確な答えは「はい」でも「いいえ」でもない。指で勝負する遊びが中国で非常に古いのは本当。ただし、あなたが子どものころにやっていたあの三つ巴は、二千年前の中国の遊びではない、ということになる。

海外の反応

1. 海外の名無しさん
最初のバージョンは「グー、未定、チョキ」だったってことか。空いてる枠が埋まるまで数百年かかったわけだ。

2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
というか、はさみのほうが先にあったのが地味にすごい。しかも「そのうち空き枠に紙が来る」と見越して二本指を用意してたことになる。

3. 海外の名無しさん(>>1への返信)
当時はまだアーリーアクセス版だったんだよ。紙の実装が終わるまで正式リリースはお預け、というやつ。

4. 海外の名無しさん
元の記事を読んだら、当時は石・紙・はさみじゃなくて「カエル・ナメクジ・ヘビ」だったと書いてある。親指がカエル、小指がナメクジ、人差し指がヘビ。

5. 海外の名無しさん(>>4への返信)
それ、たぶん日本の「虫拳」のほうの話だと思う。中国の古い酒席の手遊びと、日本の拳遊びが、記事の中でひとまとめにされて混ざってる。

6. 海外の名無しさん(>>4への返信)
カエルがナメクジに勝つのは分かる。ヘビがカエルに勝つのも分かる。でもナメクジがどうやってヘビに勝つんだ、そこだけ理屈が見えない。

7. 海外の名無しさん(>>6への返信)
昔の書物に「ナメクジの粘液はヘビを溶かす」という話があって、そこから来ているらしい。生物学的には完全な間違いなんだけど、三すくみの輪を閉じるにはこの一手が必要だった。

8. 海外の名無しさん
ガマガエル・ヘビ・ナメクジと聞いて、あの忍者マンガの三人組が頭に浮かんだ人はけっこういるはず。作者の思いつきかと思ってたら、江戸時代から続く由緒正しい組み合わせだったのか。

9. 海外の名無しさん
パピルスは紙にカウントしちゃだめなの。紀元前3000年ごろにはもうあったはずで、それを認めるなら「紙より古い」という前提が最初から崩れると思うんだけど。

10. 海外の名無しさん(>>9への返信)
厳密には別物とされてる。パピルスは草の茎の芯を薄く裂いて縦横に重ね、叩いて樹液で貼り合わせたもの。漢の紙は麻などを一度どろどろに砕いて繊維をばらし、水に浮かせてすくい上げて乾かす。用途は同じでも作り方がまったく違う。

11. 海外の名無しさん
そもそも中国語では紙じゃない。石头剪刀布、つまり「石・はさみ・布」だ。紙は最初から登場しないので、紙より前も後もない。

12. 海外の名無しさん(>>11への返信)
今でも布のままだよ。中国で育った友人は、日本に来て「パー」が紙のつもりだと知って本気で驚いてた。

13. 海外の名無しさん
韓国語の「가위바위보(カウィ・バウィ・ボ)」も、最後の「ボ」は風呂敷のことだと聞いた。東アジアでは布のほうが多数派なのかもしれない。

14. 海外の名無しさん
元記事をちゃんと読むと、1600年ごろの人が「この手遊びは漢の時代からあるものだ」と書いた、というだけの話だった。1800年前をさかのぼって証言していることになるので、根拠としてはかなり弱い。

15. 海外の名無しさん(>>14への返信)
しかも紙をつくったのが漢なんだから、漢の時代には紙が存在してる。「紙の発明前」という見出しの時点で自分の首を絞めてる。

16. 海外の名無しさん
育ったのはオーストラリアの東海岸、シドニーから南へ一時間半くらいの町なんだけど、うちの地域では「シザーズ・ペーパー・ロック」の順番で、歌うように節をつけて言っていた。

17. 海外の名無しさん(>>16への返信)
ニュージーランドは「ペーパー・シザーズ・ロック」。海を一本またぐだけで並び順が入れ替わるの、地味におもしろい。

18. 海外の名無しさん
紙のカード、紙幣、トイレットペーパー、紙を張った窓。よく考えると、紙まわりの発明は中国がほとんど独占してるよな。

19. 海外の名無しさん(>>18への返信)
ただしチャイニーズチェッカーは中国発じゃない。なんとなく知ってはいたけど、あらためて確認すると少し裏切られた気分になる。

20. 海外の名無しさん
紙が発明された本当の理由がやっと分かった。石とはさみだけのゲームがつまらなすぎたからだ。二択だとあいこか、石を出したほうの勝ちかしかないので、最終的に全員が石を出して何も決まらなくなる。

21. 海外の名無しさん(>>20への返信)
『ザ・シンプソンズ』で、少年が勝負のたびに「やっぱり頼れるのはグーだ、これに勝てるものはない」と言って毎回負ける場面を思い出した。紙が実装される前の時代に生まれていれば無敵だったのに。

22. 海外の名無しさん
自分にとって一番の驚きは、石・はさみ・紙という今の形になったのが日本らしいという部分。ぜんぶ中国発だと思い込んでいたので、途中で枝分かれしていたのが意外だった。

まとめ

「じゃんけんは紙より古い」という話は、明の時代の随筆に残る一文だけを頼りにした、かなり細い糸の上に乗っている。しかも中国語ではパーは布であって、紙は最初から関係がない。指で勝負する遊びが中国で非常に古いのは確かだが、石・はさみ・紙という今の三つ巴が固まったのは19世紀ごろの日本で、そこから世界へ広がったとされる。コメント欄でも早い段階で「中国語では布だ」「根拠は1600年ごろの一文だけ」という指摘が並び、話題は起源探しから、国ごとの呼び方の違いや三すくみの妙へと移っていった。誰もが知っている遊びほど、来歴は一本の線にまとまらないらしい。

元ソース: じゃんけんは紙が発明される前から存在していた。このゲームは紀元前206年、漢の時代に生まれたものだ

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