世界に猫が何匹いるか、と聞かれたら答えはだいたい「6億匹から10億匹」。上と下で4億匹も開いています。人口や家畜の数はもっと細かく分かっているのに、なぜ猫だけこんなに大ざっぱなのか——理由は単純で、飼い主のいない猫のほうが飼い猫より多いから、という話が海外の掲示板で話題になっていました。
※注:この記事では、元は飼われていたのに迷子になったり捨てられたりした猫を「野良猫」、人にほとんど馴れないまま外で生まれ育った猫を「野猫(のねこ)」と書き分けています。英語ではそれぞれ stray、feral と呼び分けられていて、今回の話ではこの区別がわりと効いてきます。
今日の知ってた?
🐱 世界の猫の総数は6億匹から10億匹と推定されている。上限と下限のあいだに4億匹の開きがある。
🏠 このうちペットとして飼われている猫は3億5000万〜3億7300万匹ほどとされ、飼い主のいない猫は4億8000万匹前後と見積もられている。つまり飼い猫より、飼い主のいない猫のほうが多い。
🇺🇸 飼い猫の数が最も多い国はアメリカで9000万匹超。飼い主のいない猫まで含めると1億匹を超えると言われている。
背景:なぜ猫だけ数えられないのか
そもそも猫は「連れてこられた」動物ではありません。牛や馬や犬は、肉のため、運ぶため、番をさせるためと、人間のほうに明確な目的があって家畜化されました。猫にはそれがない。農耕が始まって人が穀物を蓄えるようになると、そこにネズミが集まり、ネズミを追ってヤマネコが人里に近づいた——というのが今の有力な見方です。人間は追い払わず、むしろ都合がいいので放っておいた。中東で農耕が広がった頃に、リビアヤマネコと呼ばれる種が猫の祖先になったと考えられていて、キプロス島では9000年以上前の墓から人と猫が並んで葬られた例も見つかっています。
そして船に乗りました。ネズミは倉庫だけでなく船倉も荒らします。積荷を守るために猫を乗せる習慣が広がり、猫は交易路をそのままなぞって世界中に運ばれました。人間が行った場所には、たいてい猫も上陸している。今あちこちの島や港町に猫がいるのは、この時代の名残りでもあります。
結果として、猫は「人の隣にいるけれど、人の管理下にはいない」という位置に落ち着きました。この立ち位置が、そのまま数えにくさの原因になっています。畜産動物なら出荷の記録が残り、犬なら多くの国で登録制度がある。ところが猫は、飼われていても登録されない国が多く、飼われていない猫にいたっては誰の帳簿にも載りません。
もう少し詳しく
「野良猫」と「野猫」は、数えるうえで別物です。元は飼い猫だった野良猫は、人を怖がりません。餌をくれる家を覚えていて、日中も姿を見せるので、比較的つかまえやすいし、写真にも写ります。一方、外で生まれて人にほとんど接していない野猫は、人の気配がすれば出てきません。活動は主に夜、行動範囲は広く、藪や床下や廃屋を渡り歩く。同じ「飼い主のいない猫」でも、後者は調査員の前にほぼ姿を現さないわけです。
数え方も国ごとにばらばらです。ペットの数は、たいてい世帯調査(「お宅では猫を飼っていますか」「何匹ですか」)か、ペットフードの販売量からの逆算で出します。前者は回答した人の記憶頼りだし、後者は「1匹がどれだけ食べるか」の仮定ひとつで答えが大きく動く。しかも国によって「飼い猫」の線引きが違います。日中は外を自由に歩き、夜だけ帰ってくる猫を飼い猫に数える国もあれば、数えない国もある。この線を1本引き直すだけで、世界の合計は数千万匹単位で動いてしまいます。
だから数えるのをあきらめて、推し量るしかない。飼い主のいない猫の数は、ある地域で捕獲と再捕獲を繰り返して密度を割り出し、それを似た環境の面積に掛けて広げる、といったやり方で推定されます。当然ながら、掛け算のもとになる密度が少しずれれば、答えは何千万匹もずれる。「6億〜10億」という幅は、雑に数えた結果ではなく、丁寧に推定してもこれくらいの幅にしかならないという正直な報告に近いものです。
数の話は、そのまま生態系の話につながります。猫は小型の捕食者としてかなり優秀で、人間が船で連れ回した結果、本来なら猫のいなかった土地にも住みついています。とくに島では、逃げ道も隠れ場所も限られる在来の鳥やトカゲが打撃を受けやすく、猫が絶滅の要因のひとつに挙げられた例が知られています。アメリカでは、猫が年間に捕食する鳥を13億〜40億羽と推計した研究があり——ここでも上限が下限の3倍という、例の幅の広さです——オーストラリアでは在来の小動物を守るため、野猫の大規模な駆除計画が組まれてきました。
ただし、これを「猫が悪い」で終わらせると話がおかしくなります。猫をその土地に運んだのは人間ですし、外に出しっぱなしにしたり、去勢避妊をしないまま増やしたり、飽きて捨てたりするのも人間です。海外のコメント欄でも、猫の捕食を数字で示す人と、「野生を壊した主犯は人間だろう」と返す人が正面からぶつかっていました。落としどころとしてよく出てくるのは、猫を室内で飼うこと、そして捕獲して不妊手術をしてから元の場所に戻す取り組み(日本では地域猫活動として知られる考え方と近いものです)。どちらも、猫を減らすというよりこれ以上増やさないための手当てです。
海外の反応
1. 海外の名無しさん
面白いのは、猫が食用でも番でも運搬でも労働でもないまま世界を征服したってところなんだよな。人間が穀物を蓄えるようになったらネズミが集まって、そのネズミ目当てに猫が人についてきた。あとは人間が害獣対策として船に乗せて海を渡らせただけ。猫の側は一度も頼んでない。
2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
別の言い方をすると、猫は自分で自分を家畜化したんだと思う。人間のそばでだらけているのが生き延びるのに一番効率がいい、と進化のほうが先に気づいた。人間は選んだつもりでいるけど、選ばれたのはこっち側かもしれない。
3. 海外の名無しさん(>>1への返信)
犬「人間が餌をくれる。彼らは神だ」
猫「人間が餌をくれる。私が神だ」
4. 海外の名無しさん
元記事に内訳が載ってた。ペットとして飼われているのが世界で3億5000万〜3億7300万匹くらいで、こっちは今も増え続けている。対して飼い主のいない猫は4億8000万匹前後と見積もられていて、飼い猫を上回っている可能性が高い。総数の幅がでかいのは、要するにこの後者がちゃんと数えられていないから。
5. 海外の名無しさん(>>4への返信)
まあ、野良を正確に数えたければ、全部集めて一か所に並べればいいだけの話ではある。健闘を祈ります。
6. 海外の名無しさん(>>5への返信)
それが意外とできるんだ。時間はかかるけど、餌皿を毎日少しずつ動かしていけば猫はついてくる。近所の人が亡くなったとき、その人が外で世話していた猫が50匹以上残されて、隣のアパートを丸ごと占拠したことがあってさ。犬の散歩に出るたび猫が6匹くらい護衛についてきて、それはもう最高の光景だった。数か月でほとんど引き取り手が見つかって、うち2匹はうちの子になった。
7. 海外の名無しさん
4億匹の誤差って、言い換えると「中規模の国がまるごと1個ぶん、あるかないか分からない」ってことだよね。生き物の数え方としてはかなり乱暴に見えるけど、たぶんこれが現時点の限界なんだろうな。
8. 海外の名無しさん
うちの子は室内飼いにしてる。うちの子を守るためでもあるし、外の野生動物を守るためでもある。猫を飼っているなら、家の中で飼ってほしい。
9. 海外の名無しさん(>>8への返信)
どっちも本当でいいと思うんだ。私は猫が大好きだけど、場所によっては外に出すべきじゃない。とくに数を減らしている鳥がいる地域ではね。猫を愛することと、猫を外に出さないことは矛盾しない。
10. 海外の名無しさん(>>8への返信)
猫の話題が出ると必ずこれが貼られて、しかもだいたい猫叩きとセットになってるのが気になる。そもそも野生動物を壊滅させたのは人間だし、猫がそこに加担しているとしたら、その猫を連れてきたのも人間なんだよ。
11. 海外の名無しさん
「じゃあ人間はどうなんだ」って返しが延々続くのは分かるし、人間の破壊のほうが桁違いなのも認めるよ。でも今は猫の話をしてるんだ。猫は世界で一番好きな動物だけど、鳴き鳥の数が猫のせいで減っているという統計を認めることはできる。人間が潔白だという話にもならないし、猫が悪魔だという話にもならない。
12. 海外の名無しさん(>>11への返信)
「もっとひどいやつがいる」は、どんな話題でも議論を止めるだけなんだよな。二つのことが同時に本当であっていい。片方がよりひどいからといって、もう片方が問題なしになるわけじゃない。
13. 海外の名無しさん
言いたいことは分かるけど、実際に猫が原因で絶滅した鳴き鳥の種がいくつもあるんだ。しかも猫を持ち込んだのは人間だから、その土地の野生動物には猫に対抗する手段がそもそも用意されていない。逃げ方を知らない相手に、突然一流のハンターが放たれた状態なんだよ。
14. 海外の名無しさん
オーストラリアもかなりの数がいるはず。在来種を守るために、何千匹という単位で駆除しているという話を読んだ記憶がある。あれを残酷だと思う気持ちと、放置したら固有種が消えるという事実が、頭の中でずっと折り合わない。
15. 海外の名無しさん(>>14への返信)
島は特に厳しいんだよ。大陸なら追われた側がどこかへ逃げられるけど、島の生き物には逃げる先がない。人間が船で猫を運んだ時点で勝負がついているようなもので、そのツケを今になって払わされている。
16. 海外の名無しさん
子どもの頃に飼っていた猫が、飛んでいる鳥を空中で捕まえるのを見たことがある。垂直に2メートル近く跳んだと思う。見事だったし、同時にぞっとした。実家を出てからうちの猫は全員が室内飼い。それでみんな幸せそうにしてる。一匹だけどうしても家の中に耐えられない子がいて、その子は納屋のある農場に引き取ってもらった。
17. 海外の名無しさん
うちは猫を飼っていない。ただ、箱の中で用を足して、毎朝6時に「メシーーー」と死にかけみたいな声で起こしてくる怠け者の同居人がいるだけだ。家賃は1円も払っていない。
18. 海外の名無しさん(>>17への返信)
誰も猫を飼ってなんかいないよ。猫のほうが人間を飼ってるんだ。統計の「飼い猫3億5000万匹」も、正確には「猫に飼われている人間の世帯数」と書くべきなんじゃないかな。
19. 海外の名無しさん
犬には飼い主がいて、猫には使用人がいる。「女と猫は好きなようにやる。男と犬は肩の力を抜いて、それに慣れたほうがいい」ってロバート・A・ハインラインの言葉として広まってるやつ、猫に関しては本当にそのとおりだと思う。
20. 海外の名無しさん
つまり私が1000万匹くらい引き取れば、行き場のない猫の問題はだいぶ解決に近づくってこと? 夫は激怒するだろうけど、やってみる価値はある。
21. 海外の名無しさん(>>20への返信)
1000万匹を1日1匹ずつ引き取ると、終わるのが2万7000年後くらいになる。夫の怒りが持続するかどうかのほうが心配だ。
22. 海外の名無しさん
統計的に見れば、人類は10億匹の小さな頂点捕食者を支えるサポートスタッフということになる。避妊去勢をして、保護施設から迎えよう。ご主人さまがたがお待ちだ。
23. 海外の名無しさん
結局のところ、正確に数えることより増やさないことのほうが現実的なんだと思う。捕まえて手術して元の場所に戻す活動をしている地域では、数年かけて確実に数が落ち着いていく。全部を数え終える日は永遠に来ないけど、来なくても手当てはできる。
まとめ
世界の猫は6億匹から10億匹。4億匹という乱暴な幅が残るのは、飼い猫より飼い主のいない猫のほうが多く、その大半が誰の帳簿にも載らないからでした。飼い猫は3億5000万匹前後、飼い主のいない猫は4億8000万匹前後とされ、飼い猫が最も多いアメリカでも、野良を含めれば1億匹を超えるといいます。海外のコメント欄では、猫が人間の穀物倉に自分から寄ってきて世界中に広がった経緯に感心する声から、鳥の捕食をめぐって数字を突きつけ合う議論、そのあいだに挟まる「うちの怠け者の同居人」の話まで、温度差の激しいやりとりが同時に走っていました。数えられない生き物と何千年も一緒に暮らしている、というのはよく考えると不思議な話です。

コメント
液状化してあらゆる容器や隙間に入り込んでたりするし、放射性物質の入った箱の中とか車のエンジンルームとかに、猫がいるかどうか開けたり猫バンバンして観察してみるまで分からない、それがたぶん4億の誤差