RSSヘッドライン

「この年になると、惑星のままでいてほしかった気はするけれど」11歳で冥王星を名づけた少女が、88歳で見届けた”降格”

「この年になると、惑星のままでいてほしかった気はするけれど」11歳で冥王星を名づけた少女が、88歳で見届けた"降格" 歴史

1930年、太陽系の9番目の惑星が見つかったとき、その名前を提案したのはイギリスに住む11歳の少女だった。朝食の席で口にした一言が、そのまま世界中の教科書に載ってしまったのである。そして76年後の2006年、彼女はまだ元気に生きていて、自分がつけた名前の星が「惑星」ではなくなる瞬間を、新聞で読むことになった。

※注:準惑星とは、2006年に国際天文学連合(IAU=世界の天文学者が集まる国際組織)が新しく設けた分類。太陽をまわっていて、自分の重力で丸くなるほどの大きさはあるが、「軌道の近くにある他の天体を重力で片づけきれていない」天体を指す。冥王星のほかに、ケレス、エリスなどがこの分類に入る。

今日の知ってた?

🔭 冥王星(Pluto)の名前を提案したのは、英オックスフォードに住んでいた11歳の少女ヴェネチア・バーニーだった。1930年3月、祖父から新発見の星の話を聞き、朝食の席で「プルート(ローマ神話の冥界の王)はどう?」と答えたのが始まりである。そして2006年8月24日、IAUが冥王星を惑星から準惑星へ分類し直したとき、彼女は88歳で存命だった。自分が名づけた星の”降格”を、名づけ親本人が見届けた形になる。

背景:朝食の席で決まった、太陽系の名前

1930年2月18日、米アリゾナ州のローウェル天文台で、24歳の助手クライド・トンボーが海王星よりも外側をまわる新しい天体を見つけた。3月13日にそのニュースが世界を駆けめぐると、天文台には「名前はどうするのか」という問い合わせが殺到する。実のところ、天文台側にはこれといった案がなかった。

翌3月14日の朝、イギリス・オックスフォードの一軒の家で、11歳のヴェネチア・バーニーが祖父と朝食をとっていた。祖父ファルコナー・マダンは新聞でこの発見を読み上げ、「さて、何と呼べばいいだろうね」と孫に話しかけた。少女はすこし考えてから、こう答えた――「プルート(Pluto)はどうかしら」。ローマ神話で冥界を治める神の名前である。

太陽から遠く離れ、光の届かない暗闇にある星。そこに冥界の王の名を当てるという発想は、水星から海王星まですべてローマ神話の神の名がついているという流れにも、きれいに乗っていた。孫の返事に感心した祖父は、その足でオックスフォード大学の天文学教授ハーバート・ホール・ターナーに話を持ち込む。ターナーはさらにローウェル天文台へ電報を打った。そして1930年5月1日、新惑星の名は正式に「Pluto」と決まった。ミネルヴァ、クロノスといった候補もあったが、最終的に選ばれたのは11歳の思いつきのほうだった。

もう少し詳しく

マダン家には、天体命名の”前科”がもう一件あった。祖父ファルコナー・マダンはオックスフォード大学ボドリアン図書館の元館長で、古い文献に囲まれて生きてきた人物である。孫の一言を地球の裏側の天文台まで届けたのはこの人だが、実は身内にもう一人、星に名前をつけた人物がいた。ファルコナーの兄弟であるヘンリー・マダンは、1877年に発見された火星の2つの衛星に「フォボス」「ダイモス」と名づける案を出した張本人である。イートン校で理科を教えていた人で、こちらもギリシャ神話からの引用だった。孫娘の思いつきが冥界の王にたどり着いたのは、家の中にそういう素地があったからなのかもしれない。一族で合わせて3つの天体を名づけたことになる。

ディズニーの犬ではなく、冥界の王。「11歳の女の子がつけたなら、どうせディズニーの犬でしょ」と思う人は多い。だが順序は逆で、彼女が参照したのはギリシャ・ローマの神話のほうだった。ミッキーマウスの飼い犬プルートが登場するのは同じ1930年だが、その犬が「プルート」という名前を得たのは惑星の命名より後のことである。彼女は当時、学校でギリシャ神話に親しんでいたという。

76年後、名づけ親の前で線が引き直された。2006年8月24日、プラハで開かれたIAU総会で「惑星」の定義が初めて明文化された。太陽をまわり、自分の重力で丸くなり、そして「軌道の近くにある他の天体を片づけている」こと――この3つ目の条件に冥王星は当てはまらなかった。冥王星は海王星の外側に広がる無数の氷天体(カイパーベルト)の一員であり、周囲を独占できていないからだ。かくして太陽系の惑星は8個になり、冥王星は準惑星に分類し直された。当時88歳だったヴェネチアは、報道陣に感想を求められてこう答えている――「この年になると、論争にはほとんど関心がなくてね。まあ、惑星のままでいてほしかった気はするけれど」。

彼女の名前は、いま冥王星のそばにある。1987年に発見された小惑星6235番には「Burney」の名がつけられた。さらに2006年に打ち上げられた冥王星探査機ニューホライズンズには、学生が製作した宇宙塵の観測装置が積まれ、その名は「ヴェネチア・バーニー学生塵カウンター」という。ヴェネチア・フェア(結婚後の姓)は2009年4月30日に90歳で亡くなった。探査機が冥王星に到達したのは、その6年後の2015年7月のことである。

海外の反応

1. 海外の名無しさん
それは「降格」じゃなくて「昇格」だろ。太陽系でいちばん小さい惑星から、準惑星たちの王に成り上がったんだから。むしろ出世してる。

2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
ケレス「あの、私という存在は冗談か何かですか?」準惑星の王を名乗るなら、こっちにも一言ほしいところなんだけど。

3. 海外の名無しさん(>>1への返信)
天国で仕えるか、地獄で君臨するか。プルートはそもそも冥界を治める神の名前なんだから、答えはもう出てるようなものだよな。名づけた時点で勝ってる。

4. 海外の名無しさん
冥王星の「降格」でみんな今も怒ってるけど、同じ日にケレスが「昇格」したことは誰も話題にしないよね。かわいそうに。

5. 海外の名無しさん(>>4への返信)
昇格というより「降格を取り消された」が近いかな。ケレスは発見当初、何十年も惑星として扱われてたんだ。小惑星帯の正体がわかった時点で小惑星に落とされて、2006年にようやく準惑星まで戻ってきた。冥王星より波乱の星だよ。

6. 海外の名無しさん
みんなが本当に知りたいのは、名前をつけた本人が「降格」をどう思ったのか、その一点だと思うんだけど。誰か聞きに行ったやついる?

7. 海外の名無しさん(>>6への返信)
ちゃんと記者が聞いてる。「この年になると、論争にはほとんど関心がなくてね。まあ、惑星のままでいてほしかった気はするけれど」だそうだ。88歳の余裕がすごい。要約すると「もうその手の話に付き合う年じゃないの」だな。

8. 海外の名無しさん(>>7への返信)
自分も惑星のままがよかった派だから、そこは意見が合うな。ただ、この落ち着き方は真似できそうにない。ネットで7日間くらい怒り続けた人間としては頭が下がる。

9. 海外の名無しさん
ネットの人たちが冥王星をここまで特別扱いするの、正直けっこう不思議なんだよな。惑星だった期間はたった76年だし、うちの月より小さいんだから、最初からちょっと無理があったと思う。

10. 海外の名無しさん
そもそも最初からずっと同じ天体で、呼び方が変わっただけの話だよ。自分が子どものころにそう習ったから、という理由で科学が感傷的になる必要はないと思う。

11. 海外の名無しさん(>>10への返信)
これは再分類であって「降格」ですらないんだよね。なぜか自分の人生に関わる問題みたいに怒る人が一定数いるのが、毎回ふしぎでならない。誰も冥王星を消したわけじゃないのに。

12. 海外の名無しさん(>>10への返信)
正確には、惑星の定義のほうを変えたんだよ。他の準惑星をぜんぶ「惑星」と呼ぶ羽目にならないように線を引き直したら、その外側に冥王星が出た。そもそも惑星ってかなり適当なカテゴリで、岩石でできた地球型の惑星は、ガス惑星よりむしろ準惑星や衛星のほうに似てるところが多い。個人的には「準惑星」じゃなく「小型惑星」とでも呼んでおけば、あくまで惑星の一種だと伝わったんじゃないかと思ってる。

13. 海外の名無しさん
つまりニール・ドグラース・タイソン(冥王星を惑星から外す立場で知られる米国の天文学者)が、この11歳の少女を泣かせたということでいいのかな。

14. 海外の名無しさん(>>13への返信)
正確には「彼女に知らせた人物の舌が空気をかき乱し、その振動が彼女の聴覚器官に到達した結果、涙腺が刺激された」だな。タイソンなら絶対そう言い直してくる。

15. 海外の名無しさん(>>13への返信)
それが笑えることに、報道陣に感想を求められた本人は「べつに気にしてない」と答えてるんだよ。泣いてるのは彼女じゃなくて、僕たちのほうだった。

16. 海外の名無しさん
でも今は「冥王星型天体(プルートイド)」っていう天体グループの名前にもなってる。分類の元祖として名前が残るって、なかなかの称号だと思うけどな。

17. 海外の名無しさん(>>16への返信)
準惑星よりそっちの呼び方のほうが断然しっくりくる。科学者って本当に命名がへたくそだよな、と毎回思わされる。

18. 海外の名無しさん
11歳の女の子がつけたって聞くと、てっきりディズニーの犬から取ったんだと思うじゃん。でも犬のプルートが名前をもらったのは惑星のあとで、彼女が参照したのはローマ神話の冥界の王のほうだった。11歳でその選球眼はすごい。

19. 海外の名無しさん(>>18への返信)
まあ当時の流れを考えれば、けっこう自然な発想ではあるよ。他の惑星がぜんぶローマ神話の神の名前なんだから、そこに気づけば答えは絞られる。それでも「暗い星だから冥界の王」まで一発で持ってくるのは11歳離れしてるけどね。

20. 海外の名無しさん
理屈はぜんぶわかってる。わかってるけど、自分にとっては今でも惑星のままだよ。子どものころ教科書で覚えた9個の並びは、もう頭から消えてくれない。

21. 海外の名無しさん(>>20への返信)
いや、実際に惑星だから安心していい。「準惑星」って、ちゃんと「惑星」って書いてあるでしょ。準惑星は惑星じゃないと言いふらしてる人たちのほうが、よっぽど間違ってる。

22. 海外の名無しさん
この件で過度に怒ってる人たちって、「降格された」と知る程度には科学に詳しいけど、「科学は新しいデータで理解が変わっていくもの」だと受け入れられるほどではない、という中間地点にいるんだと思う。

23. 海外の名無しさん
そもそも降格ですらないって。準惑星が普通の惑星より「劣ってる」なんて誰が決めたんだ? 惑星の数が足りないと減点でもされるのか?「太陽系? ああ8個ね、じゃあ銀河連邦への加入は今回見送りで」とか言われるわけでもあるまいし。

24. 海外の名無しさん
2015年に探査機ニューホライズンズが冥王星に着いたとき、機体には彼女の名前がついた観測装置が載ってた。名前をつけた少女の名前が、80年以上かけてその星まで飛んでいったわけだ。彼女自身は2009年に亡くなっていて、到着は見届けられなかったけれど。

まとめ

1930年、朝食の席で11歳の少女が口にした「プルート」の一言が、太陽系9番目の惑星の名前になった。そして76年後、彼女は88歳で自分の名づけた星が準惑星に分類し直される日を見届け、「もう論争には関心がないけれど、惑星のままがよかった気はする」と語った。海外の反応は、「最小の惑星から準惑星の王への昇格だ」という前向きな読み替え、「これは降格ではなく再分類であって、科学は感傷で決めるものではない」という冷静な指摘、そして「理屈はわかるが自分の中では今も9個目」という素直な感傷に分かれていた。名づけた本人がいちばん落ち着いていた、というのがこの話のいちばん効くところかもしれない。

元ソース: 「1930年に11歳で冥王星の名前を提案した少女は、2006年の”準惑星”への降格を存命で見届けた」(元スレッド)

コメント