スーパーで魚を選ぶとき、誰が安全をチェックしているか考えたことはありますか?米国ではほぼ全ての魚介類はFDA(食品医薬品局)の管轄ですが、なぜか「ナマズ」だけが例外。USDA(農務省)が肉や鶏肉と同じレベルで毎日検査しています。理由を辿っていくと、米国南部の養殖業者と海外からの輸入魚をめぐる、なかなか生臭い政治の話に行き着きます。
※注:USDA=米国農務省(United States Department of Agriculture)。肉・鶏・卵などを所管。FDA=米国食品医薬品局(Food and Drug Administration)。魚介類・加工食品・医薬品などを所管。catfish=ナマズ。
今日の知ってた?
📏 米国で唯一、USDA管轄になっている魚介類はナマズ(catfish)だけ。他の魚はすべてFDA管轄だが、ナマズだけは肉や鶏肉と同じく毎日USDAの検査官が常駐するレベルで監督されている。さらに「catfish」と表示できるのは北米産アメリカナマズ科(Ictaluridae)に限られ、輸入物のバサ(Pangasius)やスワイ(Swai)はこの名前を使えない。
背景:USDAとFDA、なぜ二つあるのか
米国の食品安全行政は、ざっくり「肉・鶏・卵=USDA」「それ以外=FDA」で分かれています。USDAは1906年の食肉検査法以来、食肉処理場に検査官を毎日常駐させ、ライン上で一頭ごとに見る厳格な体制。一方FDAは抜き打ち式で、施設訪問は数年に1回程度の場合もある——同じ「食品安全」と言っても密度が全く違うのが実情です。
魚は伝統的にFDA側にいました。ところが2008年農業法(Farm Bill)にある一文が紛れ込み、2016年に正式施行されると、ナマズだけがUSDA側に「お引越し」することに。世界中の食品行政を見渡しても、特定の魚種だけが肉と同じ扱いを受けるのはかなり珍しい構図です。
もう少し詳しく
引き金はベトナム産パンガシウスとの価格競争。2000年代以降、米国南部ミシシッピ・デルタのナマズ養殖は、ベトナム産のバサやスワイ(パンガシウス属の白身魚)に価格でも生産量でも押されまくっていました。安くて似た味、しかも輸入魚はFDA管轄で検査も緩い——これに業を煮やしたミシシッピ州選出議員らがロビー活動を行い、ナマズだけをUSDA管轄に「格上げ」する条項を農業法に滑り込ませました。
結果として何が起きたか。USDAは輸入魚に対しても、自国の食肉処理場と同等の基準を要求します。海外の養殖場が同じ基準を満たすのは大変な負担で、結果的に輸入が減り、国産ナマズの価格は守られた——という流れです。表向きは「食品安全の強化」ですが、業界保護策としての側面が強く、USDA管轄に変えるコストは年間数千万ドルと試算され、二重行政の典型例として批判する声も根強くあります。
日本ではどうか。日本の魚介類の安全管理は厚生労働省(食品衛生法)と農林水産省(生産・流通)が役割分担しており、特定の魚種だけ別管轄になることはありません。ただし表示偽装の問題は日本でも珍しくなく、「鯛」と称してティラピアが出されるケースなどが時折報じられます。「ナマズだけ別ルール」という米国の状況は、ガラパゴス的と言えそうです。
海外の反応
1. 海外の名無しさん
そういえば、別の動画で観たんだけど、米国で「catfish」と名乗っていいのは北米産のアメリカナマズ科(Ictaluridae)だけなんだよね。海外から来た同じナマズ目の魚は別名で売らないといけないっていう。
2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
え、Ictaluridae限定なの?ガフトプセイルやハードヘッドみたいに、南部やメキシコ湾岸でよく獲れる海ナマズ(ariidae科)も北米産だけど、あれは「catfish」とは呼べないってこと?
3. 海外の名無しさん(>>2への返信)
ちゃんと調べてみたけど、やっぱりIctaluridaeだけ。他のアメリカ産は州や水域によって「ゲームフィッシュ」「非ゲームフィッシュ」に分類されてて、商業ラベルでは別物扱いになる。
4. 海外の名無しさん
今日知ったこと:米国では肉・鶏肉と魚を別の基準で検査してる、というか別の役所がやってる。何十年も米国に住んでて知らなかった……。
5. 海外の名無しさん(>>4への返信)
魚は特別扱いだからね。なんせ水から来るから。鳥や獣は陸にいるけど、魚は水。それだけの違いで役所が変わる。これぞ縦割り行政。
6. 海外の名無しさん(>>5への返信)
「水から来るから」だけで管轄が変わる国家、それが我らがアメリカ合衆国です。憲法には書いてないけど慣習なんですよ、たぶん。
7. 海外の名無しさん
スーパーの精肉・魚介部門で10年以上働いてるけど、ぶっちゃけ魚売場にもUSDAの検査官は普通に来る。FDAなんてこの10年で1回か2回しか見たことない。表向きの管轄と現場の実態って結構違うんだよね。
8. 海外の名無しさん
え、そもそもナマズって「シーフード」枠なの?淡水魚じゃない?
9. 海外の名無しさん(>>8への返信)
米国では料理ジャンル的に淡水魚もまとめて「seafood」と呼ぶことが多い。でも他の国だと、そもそも魚自体をseafoodに含めないところもあるから定義はかなり曖昧。
10. 海外の名無しさん(>>9への返信)
じゃあseafoodに魚が入らない国だと、寿司屋は何を出してるんだろう……海藻と貝だけ?
11. 海外の名無しさん
記事の核心がここ。USDAの基準は国産より輸入品に厳しく適用される。この条項を農業法にねじ込んだ上院議員の選挙区が、まさに中国・ベトナム産の輸入で苦しんでた米国ナマズ養殖の一大産地。要するに業界保護です、はい解散。
12. 海外の名無しさん(>>11への返信)
ああ、自由競争市場ってほんと素晴らしいですよね(棒読み)。
13. 海外の名無しさん(>>12への返信)
皮肉る前にちょっと考えてほしい。グローバルな完全自由貿易が常に正解とは限らない。労働基準も環境基準もバラバラな国の補助金漬け商品が流れ込んだら、国内産業は壊滅する。食料生産を国内に残しておくのは、安全保障の観点からも一理あるよ。
14. 海外の名無しさん(>>13への返信)
理屈は分かる。ただ、それを判断するのが献金漬けの上院議員ってのがね。「正しい産業を守ろう」と「俺の選挙区を守ろう」は、見分けが付きにくい。
15. 海外の名無しさん
昔ミシシッピ州の環境品質局で検査官やってたんだけど、コロナ直前にデルタ地帯の検査ラボが、何年も前に亡くなった人の署名で報告書を偽造してたのが発覚した。顧客の大半がナマズ養殖場で、USDA準拠の検査がほぼ全部紙の上だけ。2014〜2019年にミシシッピ産ナマズを食べた人は、汚染物質入りを口にしてた可能性が普通にある。
16. 海外の名無しさん(>>15への返信)
それ怖すぎる……何が混入してた可能性があるの?
17. 海外の名無しさん(>>16への返信)
水銀、鉛、PFAS※、ヒ素、なんでもあり得る。検査自体が捏造だったから「検出されてない」という記録に何の意味もない。怖いのはそこ。
※PFAS=有機フッ素化合物。分解されにくく体内に蓄積する「永遠の化学物質」と呼ばれる汚染物質。
18. 海外の名無しさん
このルール、個人的にはありがたい。「catfish」と書いてあって運ばれてくる皿が実はバサとかスワイだった、みたいな魚介偽装は本当に多い。牛・豚・鶏は何を食ってるかすぐ分かるけど、魚はマジでギャンブル。表示が守られるだけでも価値はある。
19. 海外の名無しさん(>>18への返信)
5年間ペスカタリアン(魚は食べる菜食主義者)やってたけど、レストランの魚偽装はマジで桁違い。グルーパー、ヒラメ、ナマズ、ハリバット——どれも偽物率が高すぎて、しかも個人経営の店ほど被害が大きい。悪意というより仕入先に騙されてるパターンが多いけど。
20. 海外の名無しさん
うちの近所のレストランのメニューに「Catfish(Swai)」って書いてあったわ。中身はベトナム産パンガシウス。ぶっちゃけ美味い。これを「catfish」と呼ばせないのが今回のルールってこと?
21. 海外の名無しさん
要約すると:米国のナマズ養殖業者が外国産との競争に負けそうだったので、ミシシッピ州選出の上院議員に泣きついてUSDA管轄にして輸入のハードルを上げた。業者は喜び、加工施設は二重対応で泣き、消費者は値上げで泣く。役所が増えただけ。これがアメリカ式の「自由市場」です。
22. 海外の名無しさん(>>21への返信)
ちょっと補足。「二重行政で役所が増えた」っていうのは正確じゃない。USDA検査官は既に近くの食肉処理場を回ってる人員を当てがってる。FDAが年数回しか来ないのに対して、USDAは毎日来る。コストは確かに増えてるけど、現場の検査密度は段違いに濃くなった。
23. 海外の名無しさん
政府が保護する産業の中では、国内の食料生産を守るっていうのは比較的マシな部類だと思う。半導体や鉄鋼を守るのと違って、食料は文字通り命に関わるし、輸送コストや環境負荷も国産の方が圧倒的に低い。
24. 海外の名無しさん
日本人から見ると、特定の魚種だけ管轄省庁が違うって発想がそもそも理解の外。「マグロは農水省、サバは厚労省」みたいなことが起きてるってことでしょ? 縦割り行政では日本も人のこと言えないけど、これは斜め上を行ってる。
25. 海外の名無しさん
ナマズが「川のチキン」と呼ばれる理由がちょっと分かった。検査体制まで鶏肉と同じだったとは。次は「実は牛扱いされてる魚」とかも出てきそう。
まとめ
「ナマズだけUSDA管轄」の裏には、米国南部の養殖業界と海外輸入魚との長年の競争、そして農業法に滑り込ませた一文があった。海外の反応は「食品安全のため」と評価する声と、「ロビイングによる業界保護に過ぎない」と冷ややかに見る声で割れている。表示偽装の被害談や、検査ラボの捏造事件など、現場の生々しい告発も飛び交い、たった一種類の魚をめぐる議論が、規制・自由貿易・食の安全という大きなテーマに広がっていくのが印象的だった。
元ソース: 今日知ったこと:米国でUSDA管轄になっている魚介類はナマズだけで、他の魚より肉・鶏肉に近い検査を受けている

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