ベトナム戦争中、米軍が「天候そのものを兵器化する」極秘作戦を実施していた——海外掲示板で改めて話題になった「オペレーション・ポパイ」。1967年から1972年まで、米軍は航空機からヨウ化銀とヨウ化鉛を雲に散布し、モンスーン季を人工的に延長させた。目的は道路を泥濘化し、地滑りを誘発し、河川の渡河ポイントを破壊することで、北ベトナム軍の補給路ホー・チ・ミン・ルートを寸断すること。コメ欄ではキッシンジャー氏の関与に「やっぱりか」と諦めにも似た反応が並んだ。
※注:オペレーション・ポパイ(Operation Popeye)は、米軍がベトナム戦争中に実施した気象改変作戦のコードネーム。この作戦の発覚を受けて、1977年に「環境改変技術の軍事利用禁止条約(ENMOD)」が国連で採択された。
今日の知ってた?
🌧 1967年〜1972年、米軍は極秘作戦「オペレーション・ポパイ」でベトナム上空から雲にヨウ化銀とヨウ化鉛を散布し、モンスーン季を人工的に延長させた。
目的は道路の泥濘化、地滑りの誘発、河川渡河ポイントの破壊で、北ベトナム軍の補給路ホー・チ・ミン・ルートを寸断すること。
一部報告では降水量が約30%増加。発覚後の議会調査がきっかけで、1977年に国連で「環境改変技術の軍事利用禁止条約(ENMOD)」が採択された。キッシンジャー国務長官(当時)も関与していた。
背景:気象兵器という発想
1940年代、米GEのバーナード・ヴォネガット(小説家カート・ヴォネガットの兄)らは「クラウドシーディング(人工降雨)」の技術を開発した。雲にヨウ化銀の微粒子を撒くと、それが氷晶核となって雨粒を成長させ、降水量が増える。元々は農業の干ばつ対策や山火事鎮圧の技術として研究されていた。
ベトナム戦争中、米軍はこの技術を軍事転用した。北ベトナム軍がラオスやカンボジア経由で南ベトナムに物資・兵員を運ぶ「ホー・チ・ミン・ルート」は、密林に隠れた多数の小道で構成され、通常の爆撃では完全には断ち切れない。だがモンスーン季の豪雨で道路がぬかるめば、トラックは進めなくなる。
「ポパイ作戦」は、ハワイのアメリカ空軍基地から飛び立った特殊改造機が、ベトナム・ラオス・カンボジア国境地帯の上空でクラウドシーディングを行う作戦だった。標語は「雨を作って、泥を作る(Make mud, not war)」のもじりで「Make mud, not war」。
もう少し詳しく
効果は限定的だった可能性。 米側報告では降水量30%増加とされる一方、戦後の北ベトナム兵士へのインタビューでは「通常のモンスーン雨と区別がつかなかった」「補給に大きな支障はなかった」という証言が多い。モンスーン季はもともと豪雨の季節で、人工降雨の効果を厳密に測定するには年単位の対照実験が必要だが、それは戦時下では不可能だった。
ENMOD条約の誕生。 1971年、米記者ジャック・アンダーソンがこの作戦を暴露。続くハーシー記者らの追跡報道でキッシンジャー国務長官の関与も明らかになった。1972年に作戦は終了し、議会公聴会の後、1977年に国連で「環境改変技術の軍事利用禁止条約(ENMOD)」が採択された。気象改変、地震誘発、津波誘発などを「軍事的または他の敵対的目的で使うこと」を禁止する条約だ。
キッシンジャー氏の評価。 ヘンリー・キッシンジャー(1923-2023)は、ニクソン政権の国務長官・大統領補佐官として米国の冷戦外交を主導した。ベトナム和平交渉でノーベル平和賞を受賞した一方で、カンボジアへの密かな絨毯爆撃、チリのピノチェト政権支持、東ティモール侵攻黙認など、各地での軍事介入の責任を追及され続けた。料理人・作家アンソニー・ボーディンは生前、彼を強い言葉で批判していたことで知られる。
関連話:クラウドシーディングは平時にも使われている。 中東諸国(UAE、サウジアラビアなど)や中国は、現在でも干ばつ対策として人工降雨を実施している。北京五輪では大気汚染を雨で洗い流すために使用された。技術自体は「使い方」の問題で、軍事使用だけがENMODで禁止されている。
海外の反応
1. 海外の名無しさん
「カンボジアに一度でも行ったことがあれば、ヘンリー・キッシンジャーを素手で殴り殺したくなる衝動が一生消えない。新聞でこの男がチャーリー・ローズと談笑したり、新しい雑誌のブラックタイ・ガラに出席している記事を読むたびに吐き気がする。彼がカンボジアでやったことを目の当たりにすれば、なぜ彼がミロシェヴィッチの隣のハーグの法廷に座っていないのか永遠に理解できない」——アンソニー・ボーディン
2. 海外の名無しさん(>>1への返信)
ボーディンに敬意を。彼は東南アジアの素晴らしさを世界に伝えてくれた。ベトナム人として、本当に感謝してる。
3. 海外の名無しさん(>>1への返信)
キッシンジャーがハーグに座らない理由なら、説明できる。米国は国際刑事裁判所のローマ規程を批准してないからだ。
4. 海外の名無しさん
これって効いたの?
5. 海外の名無しさん(>>4への返信)
うん、降水量に測定可能な増加があった。一部の報告では最大30%の増加。
6. 海外の名無しさん(>>4への返信)
戦後の北ベトナム兵士へのインタビューでは、通常のモンスーン雨と区別がつかず、補給に支障はなかったと言ってる。
7. 海外の名無しさん(>>4への返信)
正直、誰にも分からない。「明確にYes/No」と言ってる人は、自分が信じたい側に偏ってるだけ。モンスーン季はその年たまたま長かったが、年ごとのバラつきが大きいから、対照実験が無いと結論は出ない。
8. 海外の名無しさん(>>4への返信)
いや、結局戦争には負けたから。
9. 海外の名無しさん(>>4への返信)
『フォレスト・ガンプ』の「4ヶ月雨が降り続けた」って描写、たぶんこれを暗示してたんじゃないかな。
10. 海外の名無しさん
これに加えて、エージェント・オレンジ(枯葉剤)、ローム・プロウ(森林破壊用ブルドーザー)、絨毯爆撃で、森林とマングローブが広範囲に破壊された。これらの地域は表土流出の危険にさらされ、追加の雨はそれを悪化させた。米軍は単にベトナム人を殺しただけじゃなく、大地そのものに傷を残した。
11. 海外の名無しさん(>>10への返信)
米兵自身も犠牲になった。私の伯父はベトナムで河川作戦に従事していた退役軍人で、肝臓にグレープフルーツ大の腫瘍ができて死んだ。妻は約5万ドルの補償しか受け取れなかった。
12. 海外の名無しさん
「キッシンジャーが関与」って書く必要ある? 20世紀の米国の戦争犯罪なら、彼の関与はもう前提でしょ。
13. 海外の名無しさん(>>12への返信)
第二次大戦後の20世紀の戦争犯罪、any%スピードラン、スタート!
14. 海外の名無しさん(>>12への返信)
これが20世紀の戦争犯罪だと分かる目印は、軍隊崇拝者が「戦争犯罪」と呼ばれると怒り出すこと。
15. 海外の名無しさん
オペレーション・ポパイの暴露が直接的に議会公聴会と国際条約の制定につながった。1977年の「環境改変技術の軍事利用禁止条約(ENMOD)」だ。
16. 海外の名無しさん(>>15への返信)
「お天気をいじり回さない条約」とでも訳すべきだな。
17. 海外の名無しさん(>>15への返信)
「ルールはお前らのためだけにある、俺らには適用されない」というのが米国の伝統芸。
18. 海外の名無しさん
TIL文「ベトナム戦争中、米軍は航空機から鉛とヨウ化銀を散布……」
おっと、それは悪いな
「……モンスーン季を延長させた。降雨で道路を軟化させ、地滑りを起こし、河川の渡河ポイントを流し、土壌を飽和状態に保つため」
あ、思ったほど悪くなかった
「(キッシンジャーが関与)」
おっと、それは悪い。
19. 海外の名無しさん(>>18への返信)
意図せず無差別に地滑りや補給線寸断で民間人を巻き込むのが「悪くない」って? おいおい。溺死、食料不足、土砂で押しつぶされる——これらは「キッシンジャーがやる時だけ」悪なのか?
20. 海外の名無しさん
ベトナム戦争で米国またはその同盟国が犯した戦争犯罪なら、キッシンジャーの名前を明記する必要はない。デフォルトで関与してる。
21. 海外の名無しさん(>>20への返信)
「キッシンジャーって、もしかして悪い人だったのでは?」と最近気づき始めた。
22. 海外の名無しさん(>>20への返信)
キッシンジャー、「戦争犯罪のフォレスト・ガンプ」だな。歴史上の悲劇に必ずどこかにいる。
23. 海外の名無しさん
クラウドシーディングのパイオニアは、GEの科学者バーナード・ヴォネガットだった。私の家の70年代の百科事典には彼の項目があった。彼の弟、作家のカート・ヴォネガットの項目はなかった。彼はまた、風で鶏から羽が何本むしれるかで竜巻速度を計算する研究で「イグノーベル賞」も取ってる。彼ならこの軍事利用には絶対嫌悪したと思う。
24. 海外の名無しさん
そしてキッシンジャーはノーベル平和賞を受賞している。皮肉が効きすぎてる。
25. 海外の名無しさん
ノーベル平和賞受賞者ヘンリー・キッシンジャー氏に対して、敬意を払いたまえ。
26. 海外の名無しさん
そして、私はずっと「民間人への攻撃って戦争犯罪じゃないの?」と思ってたんだが……。
27. 海外の名無しさん
気象制御というのは愚か者の使命。せいぜい少し影響を与えるくらいで、結果として何が起こるかは制御不能。意図せず大規模な災害を引き起こす可能性のほうが高い。
28. 海外の名無しさん
最近イランがサウジアラビアのクラウドシーディング研究施設を破壊したって話、あれが原因でサウジの干ばつが終わったって本当?
29. 海外の名無しさん
1946年以降、米国がそのまま家にいたら世界経済はどれだけ違っていたか想像してみてほしい。世界に与えてしまったコストは計り知れない。
30. 海外の名無しさん
米国がベトナム戦争でこれだけのことをやって、(1)結局戦争に負けて、(2)現代の米越関係は意外と良好——ということがクレイジー。人生は暴力的で、めちゃくちゃ奇妙だ。
まとめ
1967〜1972年、米軍はベトナム戦争で「オペレーション・ポパイ」と呼ばれる極秘作戦を実施。ヨウ化銀・ヨウ化鉛を雲に撒いてモンスーン季を人工的に延長し、北ベトナム軍の補給路ホー・チ・ミン・ルートを泥濘化させようとした。海外コメ欄では、効果の有無(米側30%増加 vs 北ベトナム兵「変わらない」)、キッシンジャー氏の関与、そしてアンソニー・ボーディンの強烈な批判コメントが反復して引用された。
この作戦の暴露がきっかけで、1977年に国連で「環境改変技術の軍事利用禁止条約(ENMOD)」が採択された。気象を兵器化するという発想がいかに歯止めなく拡大しうるか、そしてキッシンジャー氏が関与した冷戦期の米国軍事介入の闇が、再認識される豆知識だった。


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